『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

「告発のとき」 息子

2008年07月04日 | 映画
凶悪な事件が起こると、新聞とか偉そうなおっさんとかが“社会の責任”とか言うことがあるけど、あの論旨に納得できんかった。
ちゃうわい「本人の問題やろ」とか「親の育て方が悪いから、あんな怪物みたいなヤツに育つんじゃぁ!」とか思っとたわ。
でも、この映画見て、“社会の責任”というのもちょっとあるなと思た。

トミー・リー・ジョーンズは、申し分ない子育てをしとったと思う。
息子二人が軍人になったんも、きっちり“親父の背中”を見て成長した子供らが自ら選択したんやと思う。
でも、時代がちゃうねん。
社会がちゃうねん。
環境がちゃうねん。
トミー・リーにとって『ノー・カントリー』同様、住みにくい国になっとんねん。
アメリカだけとちゃうで~。
FOR OLD MENだけとちゃうで~。
普通に育てた子供が、成人して、手を離れたらあんなことになってまう。
シャーリーズ・セロンの子供かって、どないなるやわからへん。
お母さん自身も、男社会の仕事場で、しょーもないことされてるもんなぁ~。
イラク戦争がどやということより、身につまされ、そら恐ろしいことに感じたわ~。


クリント・イーストウッドが、セルジオ・レオーネや、ドン・シーゲルの現場で育ったように、ポール・ハギスも、実によくイーストウッドの仕事を見て育ったんやなぁ~。
もしスニーク・レビューでこの映画見てたら、イーストウッドの新作?って思うほどや。
影の使い方、ヒロインの造型、男根主義、師弟関係の描き方、そして音楽も。
すごいのは、50歳オーバーのイーストウッドの元嫁はん、フランシス・フィッシャーの裸まで出すとこ!
ここは、『タイトロープ』で、自分の娘にとんでもない役をやらせる、そんなとこまで受け継いでるのは、もう完全にイーストウッドの息子って言ってもええくらいや。
ジェームス・ファーゴ、バディ・ヴァン・ホーン、リチャード・タッグル、デキの悪い息子ばっかりやったけど、最後の方にきてディープインパクト(馬名です)級の傑作種がつきましたな!


★★★★

「イースタン・プロミス」 t.A.T.u.

2008年07月02日 | 映画
変態SFX映画でハードコアでバイオレントなデビッド・クローネンバーグの映画やのに、妙齢の女性一人客が多いなぁ~と思ったけど納得!
しかも隣席をなるべく等間隔に空けて座ってた理由にも納得!
生ツバを飲み込む音を聞かれたくないのね!(←そこまで考えてないよ!)
ヴィゴ・モーテンセンの全裸ファイトは、『オースティン・パワーズ』の見えそで見えないギャグとは対極にあるシ-ンやけど、「今見えた?」と必死になって探そうとするんは同じ。
アクションより別のとこに目がいってしまうわ~。
しかも、このシーン、結構重要やん。
基本的な話は、今までのクローネンバーグ同様、秘密結社的なコミューンと繋がりを持ってしまい、ハードコアな世界を披露するというやつやけど、そのきっかけが、関西地区にお住まいの方は「探偵ナイトスクープ」に依頼するような内容の“ちょっとした親切心”というもんで、ちょっとコーエン兄弟っぽい。
決して“お笑い”方向に行くことはないけどね~。
で、さっきの“全裸ファイト”後の展開は、近年ハリウッド流行のストーリーラインで、そんなんに無関心独自の道を歩んでたクローネンバーグからは想像つかなかっただけに、かなり驚いたわ。
この転換は大賛成!
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』から、いやヴィゴ・モーテンセンと出会ってからスタイルが若干変わってきたんかなぁ~。
コーエン兄弟がアカデミー賞を取った今、近い将来クローネンバーグにもその栄冠が輝くんでは?
そう思わせるに十分な内容やった。
他にも、アーミン・ミューラー=スタールは、初めて見たんが『ミュージックボックス』やったから、この爺さん一筋縄ではいかん爺さんやで~と思いつつ、その懐に入ってくる術は絶品。
ゲイも匂わすバカ息子、ヴァンサン・カッセルも厭味たっぷりで良い。
ナオミ・ワッツ(脱がない!)は、モロにクローネンバーグ好みの顔。
クローネンバーグと組んだ時のハワード・ショアの音楽は相変わらず冴えまくっとった。
好きなタイプの映画です。


★★★1/2