『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

『クレイマー、クレイマー』 子供が生まれたから

2010年02月18日 | 映画
今年一番楽しみな「午前十時の映画祭」のスタート作品(近所の映画館で)が、『クレイマー、クレイマー』だなんて、なにかの縁ですな。
50本の中でも『ライトスタッフ』、『大脱走』、『パピヨン』と並んで、“女房を質に入れてでも 見に行かなければいけない(by「キン肉マン」)”一作!
初めて見たのは、高校生か大学生の時分。
子供目線で見てたなぁ~。
「チャンプ」系の普通に泣けるいい映画やったなぁ~と言う感じ。
でも、ダスティン・ホフマンと同じような子供を持つ親になった今、この映画を見てどう感じるかって、自分自身とても興味深かってん。

結果は、ボロボロ~。
当時のパンフに「なぜ、こんなにも涙が流れるのだろう」(タイム誌79.12/3号)とある通り、とんでもなく泣き通しやった。
とにかく、子供の出てくるシーン全てがもれなく自分の子供とダブって見てしまう。
子供の寝顔を見つめるシーンは、瞼に自分の子の寝顔がこべりつく。
子供を抱きしめるシーンでは、子供の重みさが感覚的に甦る。
公園で遊具落下も、決して父親やから(パンフで淀長先生はそう指摘してらっしゃる)ではなく、目を離した時に限って…(四六時中見張ってる親でも元気のいい子供の親ならありうることだ)ということが、今ならわかる。
その後の病院探し回りRUNの、なんともいえん不安感。
そういう、“親”の気持ちが、ダイレクトに伝わってきよるんよ。
丁寧に描かれてるわ~。
それも、これもジャスティン・ヘンリー君の功績大やで。
当時8歳。
ムスメと同い年で、こども店長(加藤清史郎)と同い年。
その時の気分で、親の好きなものを嫌ったり、好きなものを好きになる(パパのこと好き度のある種のバロメーターでもある)とことか、
やっぱりジュースこぼすとことか、
パパやママ目がけて一目散に走るとことか、
アイスをねだる猫なで声、
会社の部屋に来た時の反応とか、
ほんま、ええ表情でせまってきよるわ~、この子。
アカデミー助演男優賞ノミネート!

それに単なる“泣かせ”だけの映画でもない。
山田洋次が「徹子の部屋」で言っていた言葉「家族を描けばなんでも、そこにちゃんと(政治・経済)出てくるんだ」のとうり、風俗・社会事情なんかもきっちり描かれとる。
さすがに風俗的な古さは感じるけど、訴えてる内容は現在でも通じるものやわ。
見た当時は、メリル・ストリープのヨメはん、もっと悪い女のイメージやったけど、そうでもなかったわ。

それにしても、エエ企画の映画祭がはじまったわ~。
1年間、楽しませてもらいます。


★★★★

『おとうと』 寅さんの皮を被ったハナ肇!

2010年02月12日 | 映画
香川照之が鶴瓶の演技を大絶賛してたそうや。
「(「ディアドクター」の撮影時)自分ら俳優が役作りのためにピリピリしている中、鶴瓶はロケ見学に来たおばちゃんらにサインしたり、世間話したりで「ハイ、本番!」。で、あの演技するんだもん。うらやましいよな~。」
ラジオで聞いた話なんで、うろ覚えやけどこんな感じ(正確には「キネ旬」の香川照之コラム“日本魅録”参照)。
で、この話を聞いた時に思い出したのが、名優緒形拳が語った「演じることは演じないことに通じていく」という境地。
鶴瓶は、いつも通り自然体、無意識でそういう域に達してるんやろな~。
その天才鶴瓶が、今回はデ・ニーロアプローチまでやってのけたそうな。
最強やん!
役柄は、「母べえ」からインスピレーションを得た寅さん風な役。
鉄板やん!

さて、映画の方は夢のシーンじゃないけど、山田洋次節全開で、ええ感じに始まった。
くるま屋(寅屋)じゃなく高野薬局で、ひとしきり世間話。
娘役:蒼井優の“てへっ!”ってベロだしも洋次演出なら許せちゃう!
結婚前夜最後の一家団欒も洋次流クライマックスがこんな早くに出てきていいのって感じ。
こんなに場が暖まった上で、寅さん風の鶴瓶が、出てきたら、どないなるやろと期待しまくりで、いよいよ登場!
あれ!?なんかちゃう。
この人、ほんまに来てほしくない迷惑な人設定やん。
この後、最後まで鶴瓶にあまり感情移入できずじまい。
どっちか言うと、蒼井優の恋の行方の方に興味がいったわ。
鶴瓶は、ここも寅さん風の「恋の指南」とか「愛のキューピット」的役割はなし。
どうも勝手にこの映画の鶴瓶を寅さんとシンクロさせようとしすぎました。
でも、しゃあないよね。
結婚式んとことか、店の前行ったり来たりとか、蛾次郎とか、ラスト団子屋バイトくんなど、「寅さん」を彷彿させるイメージや、設定、キャストが散りばめてあるんやもん。
鶴瓶は、寅さんと言うより、破壊的なハナ肇やったということに見終わってこうして書くまで気づかなんだ。
もう一度見直すと違った面が見えてくるかもしれんね~。
まぁ、見直しても吉永小百合の大根ぶりは気になるやろね。
それに比べて、加藤治子!
NHK朝ドラ「君の名は」を彷彿させる姑役やが、最後はええとこもらいましたな!
あとセレブ旦那のせこさを表わす歯の治療費エピソードは、マジすぎて笑えなかった。
低所得者としては、旦那の見解に一票やからな。
最後に、お好み焼きジャンボ総本店の大看板が目立っとたな。
東京にも進出しとったんやね~。
ここ、安くて美味いよ!

さあ、この後の山田洋次は、なにか?
吉永小百合三部作やったら、ヤやな~。
できれば鶴瓶三部作で。
でも「虹を掴む男」、「昭和初期シリーズ」みたいに二部作で終わるかもね。


★★★