
リニューアル:再掲 乙女の像 (十和田八幡平国立公園:2011.02.22 撮影)
異常なほどの酷暑では厳冬湖の厳しい景観を思い浮かべ涼を摂る
(過去の記録:2015.03.05)
十和田湖畔には人の造った構造物はそぐわない。素朴な景観ゆえに美しくもあり
倍増するものだが。しかし、乙女の像は美の緊張を打ち破り大自然に溶け込んだ。
詩歌:この像を造った詩人・彫刻家、高村光太郎がこの像に次の詩を添えている。
原文はこの像の土台の石板に彼の直筆で刻まれているが、読む人は少ない。
『天然四元の平手打ちをまともにうける
銅とスズの合金で出来た
女の裸像が二人
影と形のように立っている
いさぎよい金属が青くさびて
地上に割れてくづれるまで
この原始林の圧力に堪えて
立つなら幾千年でも黙ってたってろ』(高村光太朗)
解説:背景の湖面にカルデラ山が同じく、形と影に映っている。この像はそれを
意識して、影と形を、鏡に手を合わせる裸像にしたのだろう。老体にムチ
を打ち、最愛の智恵子の面影を刻み込んだ高村光太郎渾身の遺作であった。
乙女の像は対岸の子ノ口に設置予定だったが当時の関係者らの強い意向で
今の休屋に建てられた。月日を経る内に乙女の像は十和田湖の景観に同化。
そして十和田湖を訪れる観光客の殆どは湖畔の銅像に足を延ばすのである
参照#① 高村光太郎 ( 無垢の愛 ) 探査紀行
② 厳冬期の十和田湖絶景 2023.3.12