売れ残りの宅地造成地は、カヤ原となり刈り取る人もなく、鬱そうとしていて、そのカヤの根元では、ナンバンギセルの花が所狭しとせめぎ合うように咲きほこっていました。
このナンバンギセルはカヤ場に寄生する花としてよく知られています。
以前は茅葺き屋根を葺き替える材料にするために、どこの村に行ってもカヤ場があってナンバンギセルもよく見かけたものです。
しかし、今では昔のカヤ場はほぼ無くなり杉や檜などが植林されています。
暫しナンバンギセルの生息地を見かけることはありませんでしたが、時代は変わり、山を開き宅地造成が乱造され、挙げ句所有者は住宅を建てることをしない荒れ地が残っています。
その団地内の空き地には、カヤ場が如き荒れ地になっています。
その身近な荒れ地に、水を得たりとばかりナンバンギセルが自生するようになっていました。
今のところ、それに気付いている人らがいなく、しめしめと一人で意地汚く足繁く通っています。
おかげで、その通りを散策するのが楽しみとなりました。