鹿児島県では最初に初雪に見舞われることでよく知られた紫尾山がある。
この山懐に神の湯と知られている紫尾温泉がある。
紫尾温泉に付随するかのように、その後方には霊峰紫尾山を祀った紫尾神社があり、神の湯と称されるに値する。
湯は透明であるが、硫黄泉で、入湯と同時に体中に硫黄のぬめりを感じ、このぬめり感を味わうと、その心地よさからやみつきになるほどである。
湯温は高い方が56℃で、湯温に慣れないといきなりは入れないが、我慢して入れば、湯温は気になら無いほどに心地よさを感じることが出来る。
近くには人気の温泉場が2箇所あるが、そこを通り抜けて紫尾温泉へ入りに行くほどである。
ここの風物は、この温泉の湯を用いて渋柿をあおすこと(渋抜き)が出来るのである。
近在の人々は、夕暮れになれば、ネット状の袋に渋柿を入れて、備え付けの専用槽に漬けて、その翌朝に引き上げに来ている。
早朝にあおした柿を取りに来た中年の女性に「一晩で渋抜きできますか」と問うたら、「そうです。食べますか」とソフトテニスボール大のあおし柿を5~6個差し出してくれた。
味も美味しかったが、女性の心根が優しかった。
駐車場の周囲には、ツゲが定植されてあり、写真のとおり心和ませてくれそうな飾りが施されていた。
日経新聞でも取り上げていたが、名湯の一つである。