(画像は映画館のHPよりお借りしました。)
やっと、この「バベットの晩餐会」をスクリーンで観ることが出来ました
それほど映画にこだわる方ではありませんが、
この映画は、心の中にずっと残っている数少ない映画でした。
最初の公開は1987年頃ですが、もちろんその当時は知りませんでした。
その後、勤めていた会社の上司に、
「この映画は絶対に見ておくといいですよ。」と勧められて
レンタルビデオで初めて観たのです。
1885年生まれのデンマークの作家による作品で、
北欧の寂れた漁村が舞台。
鮮やかな色彩がほとんど使われない、淡々とした物語です。
ビデオの映像も暗く、よくは分からない感じでしたが、
心のツボにしっかりはまっていました。
それから、度々、ふと思い出して何度かレンタルショップで探したり、
DVDを購入しようとしたのですが、
どうも、ビデオもDVDも廃盤になっているようで、
その後は、全く観ることが出来ませんでした。
先日、夫と「ハリーポッター」を観に行った映画館で、
新旧数々の名作を1年間かけて1週間ずつ期間限定で50本上映するという、
「午前十時の映画祭」というイベントがあることを知り、
この「バベットの晩餐会」が最終演目、先週いっぱいの上映とのこと!
あまりのラッキーさに、嬉しくて観に出かけてきたのです。
宗教家の2人姉妹のもとに仕えるフランス人家政婦バベットが
大金をはたいて、晩餐会を開くお話ですが、
「知らない」ということが、とてももの哀しいということ。
やはり、幾つになっても、「知る」ということを知っていれば、
人生はとても豊かで楽しくなるのでは・・・
でも、「知らなくても」本当に美しい芸術は(ここでは美味しいお料理)
「知らない人」(快楽は罪だ、ワインは毒だ、と信じて生きてきた老人達)を
心から幸せにする力がある・・・
淡々と、と書きましたが、
寂れた漁村で、つつましい生活が続けられてきた、
小さな石造りの民家のテーブルが、
バベットによって、白いリネンが掛けられ、
クリスタルのグラスが並べられ、シルバーの燭台にキャンドルが灯され、
そしてアビラントの「ユージェニー」がセッティングされ、
フランスの高級レストランのメニューが次々と運ばれ、
料理にふさわしいワイン、シャンパンが注がれていく様子は、圧巻です
フランス革命で全てを失ったバベットの心の気高さが
とても美しく感じられる、本当に素敵な映画です。
北欧が舞台でも、フランスとのかかわりが多いので、
質素な漁村の民家でも、エレガントなミラーやランプ、
慎ましく暮らしている2人の姉妹が、お茶の時間に出す美しいティーセットなど
見ごたえもあります
また見る機会があったら、何度でも観たいと思う、お勧めの映画です