alternativemedicine

Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

Fasciaのテンセグリティと美容鍼

2018-06-28 | メモ
顔の肌がたるむ原因は?
 
以下、引用。
「縦の線維からなる突起状の構造体が、顔の肌を支えるのに大きな役割を果たしていた!
加齢によってこの構造体が減少すると、肌を支える力が弱まり、たるみが発生
この突起状の構造体を詳しく解析してみると、通常の真皮層ではコラーゲン線維やエラスチンなどの弾力線維が横向きに張り巡らされているのに対し、縦方向に配列されていることが分かりました。このことから、この突起状の構造体は縦の弾力で、肌をしっかりと固定させる役割があることが分かります。この特殊な形とその役割から、水底にひっかけて船を固定させる錨にちなみ、「アンカー」と名づけました。
さらに、20代と70代の方のアンカーを比べてみたところ、70代の方のアンカーが減少していることが分かりました。加齢によってアンカーを形づくる細胞が減ってしまうことで、アンカーが失われ、たるみが引き起こされていたのです。」
以上、引用終わり。
(PDFファイル:カラーの画像あり)
 このコラーゲン繊維・エラスチン繊維の縦方向の「アンカー(anchor)=碇(いかり)構造」という発見は面白いと思います。美容鍼をすると、たしかに肌のはりは良くなります。また、リフトアップ効果もあります。しかし、理論的に説明するのが難しかったです。美容鍼(コスメティック・アキュパンクチャー)に関する科学的研究と言えるのは、論文では3つぐらいです(※1、※2、※3)。しかし、いずれも美容鍼で起きている現象を説明できるレベルではないです。
 
 一度、皮下の結合組織のコラーゲン繊維・エラスチン繊維を破壊して、刺激して、再構成するのなら、長期的効果としては説明できます。
この資生堂の研究を発表した江連智暢(えずれ・とものぶ:Ezure Tomonobu)先生によると、以下のようになります。
 
「加齢線を加えるだけで、どんな顔でも老けた印象に見えてしまいますよね。一般的に、ほうれい線は、固定化された深いシワだというイメージがあるかもしれませんが、シワではないんです。それを証明する実験があります。同一人物で起き上がった状態と仰向けに寝た状態での顔の形態を比較します。起き上がった状態よりも、仰向けに寝た状態の方が、ほうれい線が目立たなくなるんです。この実験によって、シワのように固定化されたものではなく、頬が重力によって垂れ下がることによってできる境界線であるということが判明しました。
 
意外なことがたるみの原因になっていました。それは皮下脂肪です。皮下脂肪が多いヒトは肌の弾力が低下し、たるんでいるのです。これは皮下脂肪が多いことで真皮へのダメージとなり、エラスチンと呼ばれる弾力繊維がバラバラになって肌の弾力が下がってしまうためです。なぜこんなことが起きるのでしょうか。皮下脂肪が増えると、脂肪細胞が脂肪を蓄え、肥大化するのですが、この肥大化した脂肪細胞が肌へのダメージ因子(遊離脂肪酸)を出していました。このダメージ因子により肌でのヒアルロン酸やコラーゲンの産生が低下して、肌の弾力が低下してしまいます。つまり、たるみ・加齢線の原因は肥大化した脂肪細胞であることがわかってきたのです」
 
 江連智暢(えずれ・とものぶ:Ezure Tomonobu)先生が発表した論文をPubmedで調べると、ほとんどが表情筋についての研究です。シワではなく、皮下脂肪によるタルミであるというものです。
 皮下脂肪からの遊離脂肪酸・アディボネクチンが分泌され、TNFーαが過剰分泌され、これらのダメージ因子により、ヒアルロン酸・コラーゲンの産生が低下して、肌の弾力が落ちるというロジックです。それに対して、江連智暢(えずれ・とものぶ:Ezure Tomonobu)先生が特許をとっているのは、ワレモコウ筋細胞賦活剤ATP代謝促進剤(※4)やアズキの抽出物、甜茶、西洋バラエキスやヨモギエキスによる靭帯細胞賦活剤、表情筋エクササイズやストレッチ、電気刺激装置や温熱刺激装置などでした。
 
 江連智暢(えずれ・とものぶ:Ezure Tomonobu)先生は、資生堂という企業に属し、論文が公開されているのが少ないため、本当に考えていることがわかりにくいです。
しかし、早川も自称オープン・ソース・インテリジェンス(OSINT:Open Source INTelligence)専門家として、公開されているオフィシャル情報を分析していくと、これは、バラエキスやヨモギ、桃の葉などの生薬を顔面に外用して温熱療法を加え、さらにコラーゲン・エラスチンの再生を促すために鍼をやるというスタイルは、かなりイケそうな気がします。実は、2004年頃に美容鍼灸サークルのS先生とK先生が、こういうスタイルの美容鍼をされていました。まあ、まだ、江連智暢先生の研究の分析が必要ですが。
 
 コラーゲン繊維・エラスチン繊維の縦方向の「アンカー(anchor)=碇(いかり)構造」というのは、まさに「テンセグリティ」テンション・ネットワークであり、これは面白い分野になると思います。
 
以下資料。    
[Theme]  NOVEL APPROACH TO ANTI - AGING FACIAL SKIN CARE    
[Presenter]  Tomonobu Ezure ,  Senior Scientist  ( Cosmetics Basic Research Center ),  Shiseido  Research Cent er    
[Summary]  We elucidated that "sagging" and "nasal - labial folds", which become more visible  due to  aging, are related to decrease in skin elasticity. F acial shape drastically changes with aging;     and sagging and nasal - labial folds, which have been the con cern for many women, are formed. As  a result of the joint research with Mr. Kyoichi Matsuzaki, who is Associate Professor of St.  Marianna University School of Medicine, and Mr. Takahiro Ochiya, who is Chief of Division of  Molecular and Cellular Medicine, N ational Cancer Center Research Institute, it was elucidated that  one of the major factors is the fact that decrease in skin elasticity due to aging makes it difficult to  support facial shape. By further advancing this result, we will develop new skincare c osmetics.          
 
※1:2012年4月、筑波大学の殿山希先生。
Cosmetic acupuncture to enhance facial skin appearance: a preliminary study.
Donoyama N, Kojima A, Suoh S, Ohkoshi N.
Acupunct Med. 2012 Jun;30(2):152-3.
Epub 2012 Apr 25.
 
※2:2013年7月の韓国の慶熙大学校。
Effect of facial cosmetic acupuncture on facial elasticity: an open-label, single-arm pilot study.
Yun Y1, Kim S, Kim M, Kim K, Park JS, Choi I.
Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:424313.
Epub 2013 Jul 28.

※3:2015年の中国、北京中医薬大学
Acupuncture for melasma in women: a systematic review of randomised controlled trials
Qianyun Chai, et al.
Acupunct Med 2015;33:254-261 doi:10.1136/acupmed-2014-010633A
 
※4
 
 

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