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Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

Fasciaとセルライト

2018-06-28 | メモ
偶然発見した、『レーザーセラピー』という雑誌に掲載された神奈川県、クイーンズスクエアメディカルセンターの皮膚科医、尾見徳弥 (おみ・とくや)先生の論文「セルライトの形態学の超微細構造アセスメント:治療戦略の手掛かり?」です。 
 
「セルライトの形態学の超微細構造アセスメント:治療戦略の手掛かり?」
Ultrastructural assessment of cellulite morphology: clues to a therapeutic strategy ?
Tokuya Omi et al.
LASER THERAPY
Vol. 22 (2013) No. 2 p. 131-135
実は、「セルライト(cellulite)」は、いままで、形態も病理も治療法もまったく不明でした。
 
1998年論文「形態学的・生化学的なセルライトの探求・研究」
An exploratory investigation of the morphology and biochemistry of cellulite.
Plastic Reconstruction Surgery
ニューヨーク、ロックフェラー大学のローゼンバウムが1998年に発表した論文では、以下のように論じています。
以下、引用。
「セルライトの形成の原因について、生理学的にも、血流でも、生化学的にも初歩的な証拠さえ、存在しません。しかしながら、女性の大腿部の結合組織の小さな皮下脂肪組識貯蔵の違いを強調するために、それは構築されています」
There is noevidence of any primary role for adipose tissue physiology,blood flow, or biochemistry in the etiology of cellulite, although the
connective tissue of the female thigh is structured to accentuate differences in small subdermal adipose tissue depots.
以上、引用終わり。
 
2004年にカルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)が『美容とレーザー治療雑誌』に「セルライト:生理学と治療法のレビュー」という総説論文を書いています。
Cellulite: a review of its physiology and treatment
Journal of Cosmetic and Laser Therapy
2004, Vol. 6, No. 4 , Pages 181-185
 
「(セルライトの)治療法は4つのメイン・カテゴリーに分けられる。悪化の要素を遅らせるための物理的、化学的方法と、薬物的治療法とレーザー治療法である。セルライトに対して効果的な治療法は、本当は存在しない
‘Treatment modalities can be divided into four main categories:attenuation of aggravating factors, physical and mechanical methods,pharmacological agents and laser. There are no truly effective treatments for cellulite’
 
 ですから、エステで行われている、リンパドレナージ、高周波、高価なコスメティック・クリーム、圧迫バンドを巻いての遠赤外線、美容整形外科でやっているコラーゲン注射、レーザー治療や薬物療法は全て、科学的根拠がないというのが結論でした。
 
 しかし、尾見徳弥 (おみ・とくや)先生の論文「セルライトの形態学の超微細構造アセスメント:治療戦略の手掛かり?」は、はじめて、『セルライト』の形成について、納得できる仮説を提出しています。脂肪細胞のまわりに、線維芽細胞(Fibroblast)が繊維を形成し、繊維が脂肪を囲む隔壁を形成し、局所的な循環障害(peripheral circulatory failure)が起こり、「セルライト」を形成するというのです。これは、納得できます。

 そして、治療法として、繊維の隔壁を破壊する「低レベル光治療(Low-level Light therapy)」を提唱しています。
これは、既に、世界中で、低レベル・レーザー治療によるセルライト治療が報告されつつあります(※1、※2)。もっとも、「セルライト(cellulite)」は正常な脂肪組織なので、美容以外で、治療の意味はあまり有りません。
 
 「セルライト(cellulite)」については、聞かれることが多いのと、ロバート・マイグネの『セルラジア(cellulalgia:蜂巣痛)』の概念に少し関係があると感じたので記録します。
 
※1:「局所脂肪と線維性セルライトの低レベル・レーザー治療と振動治療」
Low-Level Laser Therapy and Vibration Therapy for the Treatment of Localized Adiposity and Fibrous Cellulite
Antonella Savoia et al.
Dermatol Ther (Heidelb). 2013 Jun; 3(1): 41–52.
Published online 2013 May 23.
 
※2:「脂肪層減少のための低レベル・レーザー治療:包括的見直し」
Low-level laser therapy for fat layer reduction: a comprehensive review.
Avci P,et al.
Lasers Surg Med. 2013 Aug;45(6):349-57. 

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