ひょうきちの疑問

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「新・世界秩序」を創ろうとしているのはドイツ勢と英国勢なのか?

2010-06-14 12:36:49 | 国際金融

原田武夫の『国際政治経済塾』 2010.5.19 より
http://money.mag2.com/invest/kokusai/2010/05/post_164.html


■「新・世界秩序」を画策する英独勢

“ギリシア・ショック”はマッチポンプ?

欧州勢が国際通貨基金(IMF)まで担ぎ出して、緊急支援を決めたギリシア勢を巡る「危機」が依然、収まらない。
マーケットとそれを取り巻く国内外情勢は、米欧勢がその都度“喧伝”するメッセージによって二転三転、終わりのない展開を見せている。


もっともこうした展開に直面して、本気で
「ギリシア勢はまもなくデフォルト(国家債務不履行)に陥る」
と信じ込んでしまうのは早計だ。
4月7日掲載の本欄コラム「ギリシア勢の金庫は本当にカラなのか?」でも紹介してきたとおり、
ギリシア勢は大量の国有資産を持っているが、驚くべきことに未だそれを放出していないのである。
平たく言えば、
「ヘソクリを持っているのに小遣いを親にせびっている子供」
のようなものであって、未だ十分救いようがあるというわけなのだ。


そうした実態を踏まえ、とりわけ欧州勢の域外で
「ギリシア勢を国際社会が全体として救済すべきなのだろうか」
という大きな疑問が湧きあがりつつある。
筋から言えば、ギリシア勢はIMFや各国勢から受け取る資金を危機に瀕している国内経済に回し、
それで少しでも生産力を上げて景気を上昇させることで税収を増やすべきである。
ところがギリシア勢は同じ欧州勢だからといってドイツ勢のような重化学工業地帯を抱えている国とは全く異なる産業構造を持っている。
主たる産業といえば海運王オナシスでも有名な「海運業」なのであって、
しかもその多くがオフショアをベースとしているため、儲かったからといって税金をギリシア政府に納める立場には置かれていないのである。
したがって、緊急支援で受け取った資金はギリシア勢によって、その大部分がギリシア国債を持っている米欧系“越境する投資主体”や欧州勢の中央銀行へと手渡されることになるのが関の山である。


つまりよくよく考えてみると、ギリシア勢の“デフォルト(国家債務不履行)”騒動とは、欧州勢による「マッチポンプ」ではないかという疑いがあるわけなのだ
そうである以上、今だからこそあらためて
「なぜ今、欧州勢から始まる“デフォルト・ドミノ”なのか」
という問いを、真剣に考えてみる必要があるのである。


高額ユーロ紙幣を排除し始めた英国勢

こうした観点でマーケットとそれを取り巻く国内外情勢を東京・国立市にある我が研究所でウォッチしていると、一つの気になる情報が飛び込んできた。


5月12日、英国当局が「500ユーロ札」の両替を全面的に停止すると発表。
しかも、その理由として「500ユーロ札は大規模な組織犯罪に際して用いられることが多い」というのである(13日付米国AP参照)。
英国勢が用いているのは「ユーロ」ではなく、「ポンド」である。
したがって英国勢の中では両者が頻繁に両替されている。
そうであるにもかかわらず、それを全面的に“停止”したというわけであり、大きな波紋を呼んでいる。


実は、この話には伏線がある。
――ここに来て、ドイツ勢が「ユーロ」に関する国内での印刷業務を、それまで委託していたドイツ国内2社による“寡占”を止め、
今後は国際競争入札に付す旨、突然“喧伝(けんでん)”し始めたのだ。
これにより、関連するドイツ国内企業たちにとっても、明らかに「寝耳に水」であったように見受けられる。
いくら「共通通貨」だからといって、監督当局の常として、これまで事実上の規制的な措置を取っていた事項についてあえてそれを止め、「開放」するにはそれなりの圧力があったと考えるべきなのだ。
しかも現状は上述のとおり、ギリシア勢を巡る“デフォルト(国家債務不履行)”騒動が真っ盛りなのである。
この騒動の中でただでさえ「ユーロ」が売り込まれているというのにもかかわらず、
なぜあえてこのタイミングで下手をすると“不安定化”ともとられかねないような措置に踏み切るのか、疑問無しとはしないのである。
しかも今度は英国勢が「500ユーロ札の両替停止」である。
「これは何かある」――そう考えない方が不思議であろう。


4月28日掲載の本欄コラム「新100米ドル札発行から見る米国勢の狙いと“日華の金塊”」でも紹介したとおり、
米ドル札、とりわけ「100米ドル札」を巡っては中央銀行(FRB)だけではなく、実は米系インテリジェンス機関による刷り増し、そして対米協力者への配布が常態化しているというのが欧州系通貨当局関係者の中における「常識」である。
同種のことが「ユーロ」についても言えそうなものではあるが、少なくとも現段階までに入手できた情報に基づいても、そうした事実は確認できない。
しかし、そうだとすれば一体なぜ、欧州勢はここまでしてあえて共通通貨「ユーロ」を自ら貶(おとし)めようとするのか、全く納得が行かないのである。
確かなことはただ一つ、
「欧州勢はどうやら自ら“ユーロ”を混乱に陥れようとしている」
ということだけなのである。


“潮目”の焦点は「新・世界秩序」にある

この点も含め、今後、激動が想定される“マーケットとそれを取り巻く国内外情勢”と、その中で欧州勢が密かに描き、着々と実現してきている戦略シナリオについて
私は5月29日(土)に大阪、30日(日)に名古屋でそれぞれ開催する「新刊記念講演会」(無料)で詳しくお話できればと考えている。
ご関心のある方は是非ともお集まりいただければ幸いである。


上述したような欧州勢の不可解な動き、
そしてそれに伴い続々と出現するマネーの“潮目”を見る限り、
思いつくことはただ一つ、というのが私の考えである。

すなわち、欧州勢はあえて混乱を招くことによって、実のところ次なるフェーズにおける「新・世界秩序(die neue Weltordnung)」を創造しようとしている可能性があるということなのである。
そして私が見る限り、その「新・世界秩序」を創り上げようとしているのはドイツ勢、そして英国勢である。
例えば人々が世界経済フォーラム(通称・ダヴォス会議)に目を奪われている間に、英独勢は全く別のフォーラムを立ち上げ、これを着々と育てつつあったりもする。
そしてまた、今回の「ユーロ」を巡る不可思議な行動も英独勢によるものである一方、
例えばフランス勢やイタリア勢などは蚊帳(かや)の外に置かれたままなのである。


よくよく考えてみれば、2度にわたって行われた世界大戦はいずれもドイツ勢を封じ込めるために行われたものであった。
そしてその“封じ込め”の急先鋒が英国勢だったのである。
そうであるからこそ、今年、2010年10月にヴェルサイユ講和条約(1919年)で課された戦後賠償金を「完済」し終わるドイツ勢としては、英国勢とまずは手を組み、然るべき後に「新・世界秩序」を目指すという戦略をとることは自ずから納得がいくことなのである。


その意味で、英独勢は確実に次のフェーズに向けて動き始めている。
それではそこで指向されている「新・世界秩序」とは一体何であり、その中で私たち=日本勢は一体どのようなものとして位置づけられているのか。
――当分の間、地球の裏側でうごめく英独勢の策謀から目が離せない。


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