日刊ゲンダイ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160727/1
これが世界の現実…戦後の戦争すべて「集団的自衛権」口実に
2015年6月13日
「集団的自衛権は国連憲章も認めている」とムキになって反論しはじめている。
しかし、戦後の悲惨な戦争は、ほとんど「集団的自衛権」を口実にして行われている。
自民党はどこまで「集団的自衛権」の実情を理解しているのか。
■民主化の弾圧、旧植民地の利権、冷戦の代理戦争…
戦後の「集団的自衛権」の実情について、衆院事務局に33年間勤めていた平野貞夫氏(元参院議員)が、衆院調査局が作成した「報告書」を参考に、最新号のメルマガ(日本一新)で詳細に分析している。
戦後、国連の安保理に報告された「集団的自衛権行使」の代表例は、ざっと14あるという。
直近は2001年のアフガン戦争だ。
9・11同時多発テロを受けたアメリカが反撃する時、同盟国のイギリスやフランスなどが一緒に戦った。
行使された14の「集団的自衛権」は、
〈民主化の弾圧〉
〈冷戦の代理戦争〉
〈旧植民地の利権確保〉
〈内乱への関与〉
の4つに分類されるという。
たとえば、1956年のソ連による「ハンガリー政府支援」は、〈民主化運動の弾圧〉だ。
アメリカによる「南ベトナムに対する支援」(1964年)は、〈冷戦の代理戦争〉である。
ただし、1990年の「湾岸戦争」と、2001年の「アフガン戦争」は、国連の集団安全保障に近いという。
要するに、国家の私利私欲のために「集団的自衛権」が行使されてきたのが実情なのだ。
なのに、「集団的自衛権は国連憲章も認めている」と反論している自民党議員は、戦後の歴史をほとんど知らないのだろう。
「戦後レジームからの脱却」を唱えながら、戦後レジームの出発点である「ポツダム宣言」を読んでいなかった安倍首相と同じだ。
「集団的自衛権」の歴史について平野貞夫氏がこう言う。
「国連憲章は1945年に決定されています。
当初の憲章案には、集団的自衛権はなかった。
戦争の原因になるという判断があったからです。
ところが、冷戦がはじまるという予兆もあり、アメリカの要求によって入れられることになった。
当時は、異論を唱える国際法の学者もかなりいました。
実際、昭和24年、外務省の条約局長は衆院外務委員会で『集団的自衛権というものは、国際法上、認められるかどうか、学者の間に議論が多い』と答弁している。
集団的自衛権について、多くの学者が疑問を持っていたのです。
なのに『国連憲章も認めている』と鬼の首でも取ったように訴えている自民党議員は、集団的自衛権の歴史も実情も勉強していないのだと思います」
安倍自民党は「国連憲章」を持ち出せば国民をだませると考えているのだろうが、簡単にだませると思ったら大間違いである。
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