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『くじけないで』 柴田トヨ 99歳

2010-12-31 09:27:19 | その他
くじけないで
柴田 トヨ
飛鳥新社



私ね
人からやさしさをもらったら
心に貯金しておくの
さびしくなった時は 
それを引き出して元気になる 
あなたも今から積んでおきなさい 
年金よりいいわよ



2010.3.28  産経新聞 より
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/100328/acd1003280917003-n1.htm
 

【書評】『くじけないで』柴田トヨ著

 ■眼をさました詩の天使

 すばらしい詩集です。今まで詩に興味のなかったひともこの柴田トヨさんの「くじけないで」はぜひ読んでみてください。
人生いつだってこれから、何をはじめるにもおそ過ぎるということはないと元気がでてきます。

 92歳から詩を書きはじめて、100歳近くなった現在までの詩を読んでいくと、詩の質が進歩していることにも感動します。

 生きてるということは本当にすばらしいとうれしくなる。

 「私が詩を書くきっかけは倅のすすめでした。腰を痛めて趣味の日本舞踊が踊れなくなり、気落ちしていた私をなぐさめるためでした」

と、あとがきにありますが、それが天の声で、トヨさんの心の中でねむっていた詩の天使が眼をさまして、人生の晩年に歌いだしたのだと思います。
少しも枯れていない少女のような愛らしい声で。

 詩はおもいついた時にノートに鉛筆で書き朗読しながら何度も書きなおして完成するので、1作品に1週間以上の時間がかかるそうですが、これは正しい詩のつくりかただと思います。

 全部の詩がなめらかで読みやすい。耳にやさしくひびきます。

 読んでいてひとりでにメロディが生まれて思わず歌ってしまった詩もありました。

 ぼくは詩の楽しさはこういうところにもあると思っています。

 読んでもなんのことやらよく解らず、相当な知識がないと理解できない難解な詩も、それはそれでそんな詩を愛するひとたちにはいいのだと理解していますが、誰でもがわかる詩で、イージーリスニングであるほうが、むしろぼくは好きです。

 もし詩のボクシングで、柴田トヨさんとぼくがリングで対戦することになったら、たたかう前にぼくはギブアップして平伏してしまいます。

 詩集の最後に「秘密」という詩があります。

 九十八歳でも

 恋はするのよ

 夢だってみるの

 雲にだって乗りたいわ

 「ぼくもそうだ」と心の中でトヨさんにさけびました。(飛鳥新社・1000円) 
評・
やなせ たかし(漫画家)

おわり


しばた・とよ 
1911(明治44)年、現栃木市生まれ。
裕福な米穀商だった実家が10代のころに傾き、料理屋などへ奉公に出る。
33歳で結婚。
翌年、一人息子の健一さん誕生。
92年に夫と死別以来、一人暮らし。
腰を痛めて趣味の日本舞踊をあきらめたのを心配した健一さんの勧めで、92歳から詩作を始める。

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【私のコメント】

決して生への執着ではない。
『生かされている』という気持ちが、99歳になって感謝の気持ちとなって自然にあふれ出ている。

それが人々に勇気を与える。
大地の恵みのような詩だ。

この詩は自我を歌っているのではない。
それよりもっと大きなものがあることを日常の言葉で歌っている。

本来、年をとるということはそういうことなのだろう。


今年流行った『トイレの神さま』(歌 植村花菜)

トイレにはそれはそれはきれいな
女神様がいるんやで
だから毎日 きれいにしたら女神様みたいに
べっぴんさんになれるんやで

そういうことを孫に伝えようとしたおばあちゃんの気持ちを思いだした。


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