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ドルに代わる通貨システムは?~10.金(ゴールド)高騰が意味するもの

2011-07-02 14:42:53 | 国際金融

金貸しは、国家を相手に金を貸す より
http://www.financial-j.net/blog/2009/12/001120.html




2009年12月15日

ドルに代わる通貨システムは?~10.金(ゴールド)高騰が意味するもの

gold.jpg金(ゴールド)が高騰している。
今月初めには史上最高の1オンス1212ドルをつけ、ドル建てでは今年に入って約1.5倍、3年前からは約2倍の価格に跳ね上がった。
ここ数日はやや売り戻しが起こっているが、これは年末の利益確定のためで、上昇基調は変わらないだろう。
今後数年で、ゴールドの価格は5000ドルまで上がるという説すらある。


各国の経済状況が悪化して行く中、投資家のマネーが逃避先として現物資産に向かうのは当然だが、ゴールドは中でも特別な意味を持つ。
古代以来永きに渡り万国に通用する貨幣として広く利用され、紙幣が主流になった後も金本位制という形で通貨価値を支えてきた存在だからだ。
歴史上、多くの通貨が盛衰を繰り返す中、ゴールドだけはその高い交換価値を維持したまま現在に至っている。


現在のゴールド高騰は、新しい通貨システムの出現と何か関わりがあるのだろうか?


●金(ゴールド)の高騰とドルの下落は表裏一体

なんでやのブログに興味深いグラフがある。
今年初めのゴールドの価値を基準(100)として、世界各国の通貨価値の動きを表したものだ。

ゴールドを基準にした通貨価値の変動(クリックで拡大)

 


世界中の通貨は必ずしもゴールドに対して下がっているわけではない。
オーストラリアドルやブラジルレアルはゴールドに対して直近で約5%上昇している。
つまり、ゴールド価格は約5%弱下落している。
対して、ドル(及びドルペッグされている人民元)は80%弱に下落(価格は3割弱上昇)している。


通貨価値とは、実は相対的なものだ。
ゴールドがドル建てで高騰しているということは、ドルがその分下落していっているということだ。
そして、この傾向は実は今に始まったことではない。
1945年のブレトンウッズ協定では金1オンス=35ドル。
これと比べるとドルの価値は実に35分の1に下がっている。
現在のゴールド高騰は、その(ドル下落の)最終局面だと考えられる。


●金価格の人工的操作でようやく維持されているドルの価値
しかも、ゴールドの価格は「金キャリートレード」と呼ばれる仕組みによって人工的に引き下げられてきた。

金融危機時の金相場下落:金キャリートレードの仕組みより

金キャリートレードとは、ドルを調達するためにドル調達金利より低いリースレートで中央銀行から金を借り、それを先物市場で売却する。
売り叩いて価格をつり下げた後、安値で金を買い戻し、差額を利益として得る。
そして、借りてきた金を中央銀行に返却するというしくみ。
これは、金融機関に金先物市場で儲けさせると同時に、ゴールドの価格を抑制できる手法だ。
なぜ、抑制する必要があるのか?
無論、ドルの価値を維持するためである。

 


ニューヨークの金先物市場は、ドルが金兌換を停止した1970年代から始まった。
目的はやはりゴールド価格の人工的な抑制・下落である。
他にも、FRBは各国中央銀行に外貨準備でゴールドを増やさないよう要請したり、
「金はもはや通貨としての価値を持たない(商品でしかない)」
「ゴールドの時代は終わった」
という反ゴールドの一大キャンペーンを張ることで、ニクソンショック以降の金価格を低く操作してきた(参考:吉田繁治
「ビジネス知識源セレクション~ゴールドと通貨の本質」)。


これが、1980年代~1990年代にかけてゴールドの価格が低下していた理由である。


●新しい国際準備通貨は兌換通貨か?ペーパーマネーか?
なぜ、FRBはここまで徹底的にゴールドの価格を抑える操作を行う必要があったのか?
もちろん、不換紙幣となったドルの価値を維持するためであるが、
それは逆を返せば、
ゴールドがいまだに通貨としての普遍的価値を持っていること、
不換紙幣はそれに代替し得るものではなかったことを、
金貸したち自身が認識していた
ことを意味している。


吉田繁治氏によれば、ゴールドの価格が低く抑えられていた80~90年代に、放出されたゴールドを安く買い集めていた勢力が存在するのではないかという。
その勢力がドルの終焉を見越して金本位制の新通貨の創設に乗り出すことも考えられる。


これまで扱ってきたSDRやバスケット通貨といった新通貨システムのの候補はいずれも兌換通貨ではないが、果たしてドルに代わる新たな国際準備通貨制度は、現在の体制と同じ管理通貨制(ペーパーマネー)になるのか?
それとも兌換通貨制になるのか?


かつての金本位制復帰の可能性については、副島隆彦氏の「今こそ金を買う!」に記述がある。

 仮需(デリバティブ)の総量は、7京円とか8京円と言われているから、その1割が保証金(担保金)として、実体のある資金として積まれているはずである。
だとすれば(ただし契約高ベースだから、各種のリスク債権の残高は膨大である)、8000兆円である。

 

 金本位制をとるためには、最低でもその2割は実物資産が必要だ。
だから金の総量16万トン(500兆円)が、この3倍の1500兆円(15兆ドル)とか4倍の2000兆円(20兆ドル)ということになれば、金本位制への復帰もなんとか可能になる。

現在のゴールドの総量と価格では世界に出回っているマネーをペッグするには不十分で、金本位に復帰するには最低でも3~4倍は必要だという。
ただし、もしゴールド価格が3~4倍(4000~5000ドル)に高騰すれば、有り得ない話ではないということになる。

 


現在の経済危機が、タガの外れた不換紙幣が引き起こした虚構経済の終焉を意味するのだとすれば、
来るべき新通貨システムは、何らかの実体価値
(それが、ゴールドか、エネルギーなのか、はたまた炭素なのかは分からないが)
とリンクした兌換通貨に回帰していくのかも知れない。


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