安田さんのニュースを受けて、高遠さん、殺害されてしまった後藤さん、湯川さん、香田さんを思い出す。
「自己責任」の言葉は小泉政権の頃から飛び交い始めたと記憶している。
そして、あの地獄のような日々を救ってくれたのは、日本政府ではなくTwitterのお友達だったことを思い出している。
2011年 エジプト革命時、日本政府がやっと手配した実費自己負担のチャーター機はたったの1機。
しかも180人乗り。それでローマまで3往復との事。
エジプト在住の邦人は1000人以上。ルクソールには500人程の観光客が残っていると報道されていた。
どう考えても勘定があわない。
しかもネットが遮断されていて情報は行き渡らず。
外務省は、日本で自力で航空チケットを取れという。
当然エジプトへの便は飛ばず、取れたとしてもネット遮断でどうやってeチケットを送れというのかと抗議した。
しかし、その時一番知りたかったのは、連絡の途絶えた娘の安否だった。
「活発なお嬢様は、ご両親に頻繁に連絡される方だったのでしょうか?公衆電話なら連絡出来るはず」と言われた時は怒髪天をついた!
装甲車が走り回り銃声が聞こえる革命の町で、なぜそんな事が出来る!
私達親子の信頼関係も知らず、よくもそんなことが言えたものだ。
娘の命がかかっている。当然声を荒らげた。
海外で暮らす活発な邦人など、本気で救出する気などなかった。
少なくとも私と話したこの公僕は!
そして日本国とは、こんなものなのかと愕然とした。
後年「無血革命」「スマート革命」と称されたが、エジプト人の犠牲者は多数。事態はどう推移するかは分からなかった。
娘の身の安全を確保してくださったのは、考古学者河江氏だった。氏は米国古代エジプト調査協会のメンバー。
その考古学者宿舎で安全に 食べる物、眠る場所にも困らず居候で過ごさせて頂いた。
それを無償で許可してくれた米国にも、娘のために宿舎のスペースを空けて頂いた各国考古学者の方々にも、
心から深く感謝申し上げている。
何より出エジプトにご尽力頂いた河江氏、金谷氏、バヒトラベル社、貴重なアドバイスを頂いた冨田氏、Twitterの友人のお陰で今の娘がある。
各氏は、もう過去の事と言われるだろう。
しかし私と娘にとっては忘れてはならない事だ。
日本政府が救出しなかった香田さん、後藤さん、湯川さんのご遺族の壮絶な苦しみを思うと。
「自己責任」という言葉で人命を軽んじる事が無くならない限り。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます