どうしてもエジプトでお会いしたかった日本人のお友達との約束で、ドッキへ向かう。
朝がゆっくりのエジプトでは、少し早い時間なので静かな町並みだ。
近代的なビルが立ち並び、看板にアラビア語がなければエジプトにいることを忘れてしまう町。
ずっと家族だった今は亡きうちの猫にそっくりな子に出会う。
エジプトにはニャンコが多い。
どこへ行っても、のんびり暮らす猫が幸せそうだ。
今日お会いできるMさんとのご縁は Twitterから始まったが、
革命時、エジプト脱出に苦慮した いわば同志。
兆しとなった騒乱が勃発した2011年1月25日「警察の日」を、お互い忘れることはできないだろう。
この日、ご主人のお仕事の関係でカイロに在住していらしたMさんは、幼いお子達お二人とルクソールマラソンを楽しんでいた。
アラビア語習得のため単独エジプトへ渡った娘は、旅行会社で働いていた。
一時はネットも携帯も遮断されるという事態に、私が日本で途方に暮れている頃、
Mさんも幼いお子達を連れて、ルクソールからカイロへ戻るため大変なご苦労をされていた。
そしてカイロへ着いてからの様子、エジプト脱出までの行程を、克明に迫力ある文章でブログに記録されている。
Mさんの当時のブログはこちら→http://d.hatena.ne.jp/hiragam/20110212/1297535513
革命後カイロへ戻られ生活を続けられていたMさんは、この日から数か月後、次の生活の地ブダペストへ旅立っていかれる予定になっていた。
運よくエジプトでお会いできる最後のチャンスに、私も娘も大変楽しみにしていた。
待ち合わせ場所のCOSTAへ到着。
少し早く着いたので、まだ柔らかい陽射しが降りそそぐ店内で待つことにしよう。
店員さんたちのお掃除はまだ終わっていないようだ。
と思う間もなく、ニコニコ微笑むスレンダーで素敵なMさんが颯爽と店内に入ってきた。
実際にお会いできたのは初めてだったが、女性三人お喋りは止まらない。
エジプトのお話、ご主人とのなれ初めのお話などで、もう盛り上がった♪
お話をしていくうち、Mさんはエジプト生活の中、愛をもって多くのエジプトの人々とふれ合っていらしたと、私も娘も感じとっていた。
笑ったり、驚いたり、感動したり、そして時には怒ったり。肉親のような愛でエジプトの人々の今後をも心配されていた。
この日、Mさんとお別れして3か月後に再び政変が起きた。
JICAのエジプト隊として赴任していた娘は、エジプト退避を余儀なくされた。
Mさんご一家も同様だった。
政変の最中、悲惨なニュースや画像を見ていた7月。
たった3か月前の平和な明るいカフェでのひとときが、幻だったように何度も思い出された。
あのエジプトの穏やかな時の流れの中で、私達は確かに笑いながら、時を共有していた。
幸せな時間だった。
Mさん、いつか、また お会いしたいです。 アシューフィック マッラ タニヤ! インシャーアッラー。