06/18/2013
私には、ギザの三大ピラミッドエリアで働く一人の親友と、一頭の親友がいます。
らくだ御者のワリードとその相棒らくだのペプシ。もう5年以上の付き合いです。
らくだ御者とは、観光客をらくだに乗せて、ピラミッドや、その周辺の砂漠エリアを巡り、絶景ポイントで写真を撮ることを生業にしている人たちのことです。
ワリードは相棒のペプシをとても可愛がっています。
ペプシを決して仕事道具だとは思っていない優しいワリード。
ワリードはペプシに鞭を使わず、合図を送る時は、力を入れずに「ぺしぺし」と軽く当てるだけ。
「ぎーぎー」と奥歯を鳴らすような音(らくだ語)でペプシとコミュニケーションを取り、足場が悪いところを歩くときは、
「大丈夫、怖がらなくていいよ。」と優しく声を掛けます。
お客さんを降ろした後は、「頑張ったね。」と撫でてやり、ペプシが満足するまで一日何度も餌をあげます。
ギザの辺りには、らくだ専用の床屋やアクセサリーを作っている人がいて、星やピラミッドの様な三角形の模様に毛を刈って、タトゥーのように見せたり、
ボンボンの可愛いアクセサリーを体や顔に付けてあげる溺愛ぶりです。
これまで数え切れない程何度も、私や、私の大切なゲストをもてなして楽しませてくれたワリード。
予想以上のらくだの背丈と、前足からのっそり立ち上がる不安定な感じに、最初は悲鳴を上げながら乗っていた私も、
ワリードのおかげで随分と上手く優雅に乗れるようになりました。
ピラミッドエリアや私の家の近所で顔役の彼のおかげで、現地のエジプト人でさえ、かわすのに一苦労の気合の入った
馬車やらくだの客引きに捕まることもありません。
みんな顔を見ると「おかえりー!げんき??」と笑顔で迎えてくれるだけです。
仕事中だけピラミッドとの調和を取るためエジプトの伝統衣装ガラベイヤを着て、普段はカジュアルな格好をしていることも、
「お茶しに行こう!」と言って私の家の前まで車ではなくらくだで迎えに来てくれるところも、大好きです。
ワリードには可愛がっている二人の少年の弟子がいます。
彼らは授業が終わった後や、学校が休みの日に、
ワリードのもとで熱心に修行しています。
近い将来、彼らもワリードのようにらくだを愛し、
沢山の観光客を笑顔に出来る立派ならくだ御者になりますように。
ペプシと少年たちの成長が楽しみです。