アナザースカイ エジプト

もうひとつの故郷のように感じるエジプト。たびたび訪れるエジプトのフォト旅行記をご覧下さい。

カイト・ベイの要塞

2010年08月31日 | 旅行



ギリシア人のアレキサンダー大王が、デザインして作った町。

そして、彼はその町に自分の名前を与えた。

そのアレキサンドリアと名付けられた町は、

現世を謳歌するギリシアと、死後の哲学をもつエジプトの思想が融合した美しい町になった。





                    





エジプトは、遺跡と砂漠で土の色のイメージ。アレキサンドリアは、海と建物で青と白のイメージ。





     




その中でひときわ目につく真っ白な建物が、カイト・ベイの要塞だ。





                     




いにしえには、ファロスの大灯台が、そのカイト・ベイの要塞の場所に建っていたと伝えられている。

80mから180mぐらいの高さがあったといわれている大灯台は、50km先からでも、その灯りが見えたそうだ。





                

                                                  (海岸で帽子を売っているおにいさん)




暗黒の海を照らしたであろうこのファロス大灯台は、危険な海を旅する船乗りたちにとっては、安全と救いの光に

アレキサンドリアの人々には、夜空に浮かぶ不夜城のミラーボールのように、活気と希望を与えていたのではないだろうか。







エジプトで出合った物たちⅡ

2010年08月26日 | 旅行




発掘品風砂漠の砂つきアヌビス。

アヌビスはジャッカルという犬の仲間。ミイラ作りと墓の守り神として、彫像、壁画によく登場する。

ハン・ハリーリで購入。




                                




ツタンカーメンの柩。

細かく彩色された柩のふたを開けると…

なんと!!ミイラが入っている。

カイロ空港売店で。




                                




エジプトカレンダー。

エジプトの遺産を毎月ひとりじめ。

ハン・ハリーリ、ブックショップで。




                    




ラー神のじゅうたんタペストリー。

サッカーラのじゅうたん工房で購入。




                                  




少女たちが、じゅうたん作りの手法を一生懸命 学んでいた。

彼女たちのほんのりピンク色に染まった指先が、めまぐるしく動き、糸を操って少しずつじゅうたんが編みあがっていく。

幼い頃から技術を身につけ、たくましく生きていく努力をしている姿が印象的だった。

彼女たちは、きっと立派な職人になることだろう。






マアバット・カルナックⅡ(カルナック神殿)

2010年08月23日 | 旅行



カルナックは、まるで長い歴史劇のようだ。

第一幕は、羊頭のスフィンクスの出迎えから始まる。




                    




スフィンクスに導かれるように、巨大な塔門へ入っていくと、景色が一変。




                    




第二幕へ移る。

私たちは、巨大なパピルスが生い茂る森の中に迷い込む。

周りを数えきれないほどのヒエログリフが、凄まじい勢いで飛び交い、

それらが理解不能な古代エジプト語でいっせいに話しかけてくる。




         




あまりの騒々しさに、耳をふさぐと突然インスピレーションが閃き、私たちは理解する。

ファラオたちの人生を。




               




第三幕。

トトメス1世の苦悩、ハトシェプストの努力、ラムセス2世の自慢話…

その話は延々2000年にも及ぶ。

その途方も無く長い時間、ファラオたちはカルナックを増改築し続けた。

アメン・ラーの加護と自分の権力を見せつけるために。




                 




第四幕。




                                




ファラオたちから逃れて、聖なる池にたどり着く。

そこで、身を清める神官と出会う。

アク・エン・アテン(アメンへテプ4世)という1人の反逆者の話を聞く。

アメン・ラーを否定したと、ひどく憤慨していたが、すぐに権力は神官の手に戻ったと満足そうに笑った。

そして物語は終幕へ。




      




聖なる池を少し行くと、巨大なスカラベが現れる。

そのスカラベの周りを7回まわると願いが叶うといわれている。

国境、民族を越えた人々が願いを込めて回り続けている。

その願いとは、一体何なのだろう。

ここで、この歴史劇は幕となる。






フンドック(ホテル)Ⅰ

2010年08月19日 | 旅行


エジプトを旅して訪れたホテルには、それぞれ忘れられない思い出がある。




                    




目の前にプライベートビーチが広がり、初めて見る地中海の美しさに胸躍らせたアレキサンドリアのホテル

ヒルトン・ボルグ・エル・アラブ。




      




映画で見たような渚のジュースバーもロマンティック。

あのイケメンライフセーバーに出会ったのも、この白い砂浜だった。




              





ギザのヒルトン・ピラミッド・ゴルフリゾートホテル。

その名のとおり部屋のベランダの目の前に、なんとゴルフコースが広がっている。

椰子の木が立っているコースがやはりエジプト。




                    




夜になるとスプリンクラーが回って、芝生や椰子に涼しげに水を与えていた。




                    




ベッドメイキングの陽気なスタッフが、バスタオルをスワンの形にセッティングしては私たちを喜ばせてくれた。

そうそう部屋に小さなネズミが迷い込んで、大騒ぎしたっけ。




ソフティル・スフィンクスホテルはギザのピラミッドのすぐ近く。

ロビーに趣向を凝らして、ツタンカーメンの秘宝の数々のレプリカが置いてあり、沢山の写真を撮ったっけ。




           





ピラミッドビューの部屋で、ピラミッドパワーの恩恵か、グッスリ眠れたホテルだった。





                    




エジプトでのエキサイティングな旅を優しく癒してくれるホテル。

スタッフも笑顔で迎えてくれて温かかった。

充電できた私たちは、またエジプトの旅を続けた。




                    











古代エジプトの宗教観

2010年08月17日 | 旅行



ナイル川の、東は日出ずる処で生者の町、西は日没する処で死者の町、

という古代エジプトの宗教観からピラミッド群、葬祭殿の多くは西側に建築された。王家の谷も西側にある。




                    





古代エジプトの宗教は多神教で、神々の個性が強くて興味深い。

イシスが、殺された夫オシリスを超能力で生き返らせたり、

オシリスとイシスの子、ホルスが父を殺害した叔父セトに仇討ちをする。

その時にホルスは左目を切りつけられて失う。




                         

                       (イシス神)                      (ホルス神)



それが、護符で有名な ウジャトになった。




                    





また、死者の書によると、オシリスはまるで閻魔大王のように死者を天国か地獄かに仕分けする。




                    

                                 (オシリス神)


                   

神には、太陽の神、天空の神、大地の神、大気の神、豊穣の神、冥界の神、砂嵐と砂漠の神…

というように、自然崇拝が根底にある。

自然物には、多くの神が宿ると考えられている日本の神道と非常に共通性がある。

古代エジプトの宗教観が西アジアを経て、東アジアへ広まったと考える私の想像は突飛すぎるだろうか。





      




もしそうなら、アメンラー神はアマテラス、

オシリス、イシスはイザナギ、イザナミ、

ホルスはさしづめスサノオだろうか。 考えると楽しい。



                    






タクシー

2010年08月12日 | 旅行




タクシーに乗ってみた。




                    




娘が料金の交渉をして、まとまったようだ。

クーラーがついていないので、窓を開けよう。パワーウインドウではないので 取っ手を探す。

なんと!!ついていない。どこかへいったようだ。




                     




発進と同時につかまるところを探す。なぜなら、すごいスピードで走り出す。

渋滞でも車の間を、恐ろしいほど上手くすり抜けていく。クラクションを会話をしているように、やたら鳴らす。




                     




娘との会話が弾んでいるようだ。

振り返って、後部座席の娘と話す。前を見ていて欲しい。

テンションが上がってきたドライバーは、ますます声がでかくなる。「ガッハッハ!」と笑う。

オーバーリアクションで話すので、ハンドルを持つ手もいいかげんだ。ハンドルだけはしっかり握っていて欲しい。




                    




もう窓の外の遠くの景色でも見ていよう…




                     




そのうち、運が良ければ目的地に着くだろう。

インシャー・アッラー(神の思し召しのままに)






                      


メムノンの巨像

2010年08月09日 | 旅行



「メムノン」とはギリシャ神話では、エジプト王として登場する。

3000年ほど前に作られた18メートルの2体の巨像である。




                    




彼らは昔は朝日が昇る頃、歌ったとか…

といってもメムノンに入った亀裂が、温度差や風によって音を生じさせていたようだが。

いにしえの人々には、不思議な謎の巨像だったのだろう。




                    
               (現在85歳の母は80歳過ぎてから3度エジプトを訪れた。このときは83歳)




修復されて、もはや歌わなくなったメムノンは、まるで倒しても倒しても復活してくるゲームのボスキャラのような風体で、

今は姿無きアメンポテプ3世葬祭殿を、忠実な家来のように守り続けている。




                     




びょーびょーと風が吹きぬける日には、声なきメムノンの昔語りにでも、耳を傾けたくなる思いがする。




                     






エジプトで出合った物たち

2010年08月06日 | 旅行


シティスターズの革製品専門店で見つけた箱。カービングされた牛革と真鍮で出来ている。




     



                   
店の片隅で ほこりをかぶっていたが、デザインが一目で気に入って

4キロあるにもかかわらず、トランクに詰め込んで重量超過(エジプトは寛大なので許してくれる)で日本へ持ち帰った。



同じ店で買った皮表紙のアルバム。

私は「魔法の書」と呼んでいる。何に使うかは まだ未定。




                          




カルフールの本屋で買ったブルーナの「ミッフィー」の絵本。

息子、娘の幼い頃に何度も読んでやった絵本のアラビア語版。

私の頭脳にとっては、この絵本がアラビア語の勉強に丁度いい。




                    




夫がどうしても欲しいといったカノポス壷。

発掘品風に見せる演出で、壷に砂漠の砂をすり込んで売っていたのには、笑えた!

自宅のコーナーに飾ってあるが、今でもパラパラ砂が落ちている。




                    




番外編!エジプト製でなく、ドイツのGOTZ社のドール。

以前どうしても欲しくて個人輸入で購入。

スカラベのネックレスはファイアンス製。

ネックレスやバングルも精巧に出来ていて、サンダルもおしゃれ。

名前は娘がつけて「ヌール」(光)




                      




エジプトで出合った物たちには、思い出がつきまとう。

これを買った時は、あの遺跡のそばの店だったとか、ずいぶん値切ったとか、

お店の人にうんざりされるくらい長居をしたとか…鮮明に覚えている。

なぜだろう…。

エジプトへ行くたびに、思い出とエジプトグッズが増えていく。






太陽の船

2010年08月02日 | 旅行



ピラミッドエリアにある太陽の船博物館へ行く。




                    




中に入ると巨大な船に圧倒される。

そして、それが木製である事にも驚かされる。




                    




法隆寺の日本最古の木製仏像 百済観音も誉れであったが、作成年代とスケールの大きさではかなわない。

5000年前の船で、全長46mもある。




                    




太陽は天界の「生」の方角 東から出現し、「死」の方角 西へ沈むと、冥界に入り輝きをなくし闇が訪れる。

太陽は死んだのである。

しかし、死者再生復活の哲学を持つ古代エジプト人は、太陽は再び蘇えり「生」の東の方角から出現すると考えた。




                     

                      (早稲田隊の第二の太陽の船の発掘が進められていた)




この太陽の船が、生から死へ向う船だったのか、死から生へ向う船だったのか、わからないが

人生を終えたクフ王の亡骸はこの船に乗り、美しいナイルにゆっくり揺られ抱かれながら、最後の安置所へ向ったのだろう。

人間の永遠のテーマ「死」に対する恐れと救いと尊厳を、この船に込めた古代エジプト人の死生観は

現代に生きる私たちの心をも魅了する。