アナザースカイ エジプト

もうひとつの故郷のように感じるエジプト。たびたび訪れるエジプトのフォト旅行記をご覧下さい。

112年振りの記念に・・・ カイロの雪

2013年12月23日 | 日記

 

2013年12月13日(日本時間) 112年振りにカイロ北東部の町に雪が降った。

2,3日前からエジプトの人々は「寒い寒い...今まで経験したことがないぐらい寒い!」とつぶやいていた。

そして13日、アレキサンドリアに雪が降りだした写真を見つけた。

アレキサンドリアは確か、2年前にも雪が降ったと記憶している。

シナイ山の雪景色も見た記憶があった。

 

 

                                        

 

 

今回は雨、雪だけでなく風も強烈で、雹まで降るという大荒れの天候に見舞われたエジプトだった。

いつもは温厚な地中海が、怒り狂っているかのような凄まじい写真だ。

 

 

                        

 

 

その日のうちに信じられない写真が次々とアップされてきた。

一体どこの国?と誰しも目を疑ったが、まぎれもなくエジプトカイロに雪が降ったのだ。

 

                            

 

 

                                  

 

ヤシの木にも雪が積もる。。。。

アハラムのポストには、初めて見る、触れる雪に はしゃぐ子どもたちが。

 

                                         

 

心配なのは、雨さえもめったに降らないエジプトの生活環境が、雨や寒さに適応していないこと。

日干し煉瓦の家に被害が及ぶことも考えられる。

娘はエジプトの冬は小さな電気ストーブで事足りてきた。

この寒さをどう乗り越えているだろう。 

 

 

                                  

 

しかし、どんな状況でもユーモアを忘れないエジプトの人々は次々と面白写真をアップしてきた。

ある人はミイラのように衣服で肌を覆い、ある人は店の商品のスカーフで自らを守った。

なぜかモナリザに、カーペットを被せた写真も。

 

 

                                              

 

また気になったのはエジプトの生き物たち。

ラクダ、馬、ロバ、犬、猫、鳥たちも、ビックリしたことだろう。

彼らの身体もエジプト仕様になっていて、短毛で身体を大地の熱から守るため脚が長い。

ピラミッドエリアで見つけた蟻の脚も長くて驚いた!

 

 

                                 

 

考古学者や遺物の専門家の方々の心配は、やはり遺跡。

ギザに雪が降らなくて良かったとホッとされていた。

水分が凍れば中で膨張し、遺構の亀裂を広げ、風化が進んでいるピラミッドの石材やスフィンクス表面の剥離を誘発する。

また雪が溶ければ、遺構にしみ込み部分的な破砕が起こる。

日本でも東北以北や山間部の文化財の劣化原因で、大きな問題となっている。

世界中で起る異常気象を考えると、今後はエジプトでも、一刻も早い雨と雪の対策が必要だと憂慮されている。

 

 

                                                    

前代未聞のカイロの雪の写真が世界中に出回った。

その中には、すぐにフェイクとわかり楽しいものもあったが、東武ワールドスクエアのミニチュアの遺跡が「現地より」とコメント付きで出回ったことは残念だった。

エジプトに詳しい人は、ピラミッドエリアの様子やスフィンクスの顔が変だと気付いたが、当然ながら多くの人々が、この写真を本物だと信じた。

それほど今回の出来事は衝撃的であり、世界中が驚いたということだろう。

しかし、カイロの雪に一番驚いたのは、前回の雪から112年後の現代エジプト人であったのかもしれない。

 

 

                            

 

                                                

 

この雪騒動を、早速楽しい思い出に変え作品に残したエジプトの人々。

ユニークなシーシャを吸っている雪だるまは、史上初ではないだろうか。

私たちの心配など、どこ吹く雪?で楽しんでいる。

https://www.youtube.com/watch?v=CFPPsXlmLZ8

この動画には、フェイクの写真やカイロ以外の写真も含まれているが、良く出来ているのでご紹介。

"Next snow 2117" だそうだ。そうならいいのだが。。。。。 

 

 

       

 

 

 


アフリカ塾

2013年12月06日 | 日記

 

 

私には娘ほど歳の離れた、若い可愛いTomomiさんという友人がいる。

彼女は世界中を飛び回り、特にアフリカを見つめ続けている。

そんな彼女らが、「アフリカ塾」というグループを立ち上げた。

名古屋のいろいろな大学の学生に呼びかけて、定期的にアフリカの勉強会を続けている。

 

考古学者さんでもないのに、8回エジプトへ行ったというだけで、この度「アフリカ塾」にお招きいただいた。

しかし、FBで多くのエジプトの人々と仲良くさせていただいている強みを生かした

一般人の感じたエジプトの姿をお伝えしようと意気込んで、ついついパワーポイントのページが膨れ上がった。

その一部をご紹介。

 

       

           

 

エジプトの地に降り立った2003年から、2011年革命以来の多くの出来事を振り返って 

「優しさと激動のエジプト・私の見てきたエジプト」と題してみた。

 

学生たちに聞いたら、エジプトへは、まだ行ったことがないとの事。

これは、エジプトの遺跡の文化の国民の素晴らしさを、思いの丈ぶつけなければならない。

 

このパワーポイントの写真の前半は、ほぼ私が撮影したもの。

このツタンカーメンの遺物も生写真である。

2003年当時、カイロ考古学博物館では、まだ写真撮影が可能だった。

しかし翌年2004年に訪れた時には禁止されていたが、当然の措置だと思った。

 

 

         

 

スフィンクス通りに住んでいた娘のアパートのテラスで、ピラミッドを一望しながらお茶を飲んだ思い出や 実際のピラミッドの石の大きさを伝えた。

ピラミッドは町の中にあること、古代遺跡とは対極にある現代建築の巨大ショッピングモールは意外だったようだ。

 

 

   

 

           

ハン・ハリーリの活気と人情、上手な買い物のコツ、店員の呼び込みが笑ってしまうほど、ほめごろしで面白いこと。

 

そして、エジプト革命。

国民はどのような不満を持ち、どのように闘ったか、革命のきっかけには何があったのか、娘が帰国できたのはなぜか、

当時を振り返り、娘や友人からの情報もお伝えした。

 

 

 

 

           

ムバラク国民党の炎上している写真は友人から、その下の無残な姿の写真は、私が撮ってきたもの。

「自分たちの国」だと初めて実感できたと、革命後、掃除や落書きを消すエジプト国民たち。

 

そして、記憶に新しい2013年の政変。

革命をも上回る凄まじい国民のデモのうねり見た学生たちは、驚愕した。

 

 

 

           

 

民主主義とは、いったい何なのだろう。政変以来何度も問いかけてきた疑問だった。

現在、特定秘密保護法案で日本も大きく揺れている。

学生たちは、これらさまざまな写真を見て、何を感じとってくれただろうか。

 

エジプト人の親日は一般にはまだまだ知られていない。

東日本大震災直後 「がんばれ日本 がんばれ東北」 と横断幕を作り、応援行進を行なった。

革命直後訪れたエジプトで、タクシーの運賃を支払おうとしたら、

タクシードライバーが「地震にあった人に寄付してくれ。」と料金を受け取らなかった私たちの体験も伝えた。

 

 

 

 

           

 多くのモスク、教会で、小さな日本国旗をもったムスリム、コプトの人々が震災で亡くなった方々の鎮魂の祈りを、

名門サッカーチーム、アル・アハリは試合前に横断幕を掲げ、黙祷を捧げてくれたこと、

最近では、東京オリンピック決定の盛大な祝典を、ピラミッドエリアで開催してくれたこと、

日本人の気質、日本製品への絶大な信頼を持ってくれていることも伝えた。

 

エジプトと日本人との繋がり、エジプトの現地で活躍されている日本人の方々も紹介。

ピラミッドタウン発掘に情熱を傾ける考古学者 河江さん。

大エジプト博物館設立、遺物修復、保存でご尽力されている松田さん。

 

 

 

           

早稲田発掘隊を経て、昨年開催されたツタンカーメン展のプロデューサー廣田さん。

エジプト在住で、国際交流基金での日本語教師でもある考古学者 万奈美さん。

 

エジプト関連の書籍も2冊紹介した。

エジプトを、とめどなくタフで果てしなく不条理だと表現された田中真知さんの「ある夜、ピラミッドで」

8年に渡る生活がユーモアを交えて本音で描かれている作品。 

師岡カリーマさんの「変わるエジプト、変わらないエジプト」は、薫り高くかつ世俗的でもある愛するエジプト文化の紹介と共に、

革命、政変に至るまでの筆者の冷静な分析、叙述に共感できる1冊だった。

 

 

 

           

エジプト人が日本人のために日本語で発行しているエジプト情報フリーペーパー「エジプトワールドステーション」の紹介。

エジプトの遺跡、文化の紹介であり、革命以来激減した日本人観光客へのラブコールでもある。

 

異例のスピードで新入幕を果たしたエジプト人力士 大砂嵐金太郎の愛すべき人となりも語った。

彼の躍進は深刻な状態にあったエジプトに、一筋の光を照らし続けていた。

 

あっというまの2時間。つたない話に、真剣に耳を傾けてくれた学生に感謝。

後日、もうすぐ協力隊で赴任していくMiokoさんはじめ、何人かが感想コメントを送ってくれたことも嬉しいことだった。

その中の一人 Ayakoさんのコメント

エジプトとエジプトの方々の素朴さと美しさ、そしてなによりそれぞれが自分達の国へ真っ正面から向き合ってる姿に影でうるうるしていました。
後藤さんが語られるエジプトが本当にキラキラしてるんです。今すぐ行きたくなりました!

 

 

 

                                  

 

またAiさんは、エジプトクイズの賞品にした古代神、ファラオボールペンと、彼女自身の手作りルワンダ人形とコラボさせて、こんなにキュートな作品を送ってくれた。

これらの素敵な心遣いを胸に、これからも頑張っていけそうだ。

意欲的な若者たちが、真摯な、しかし熱い活動を続けていることに希望が見えた! そして清々しい気分になった。

どうか 彼女、彼らの未来が、平和で幸せで充実したものでありますよう。

そのためには、まだ私たちロートルのなすべきことが、数多く残っているような気がしている。