2013年4月15日 記す
エジプトには、少しの滞在では巡ることが出来ないほど多くの観光スポットがあります。
圧倒的迫力で存在しつづけるギザのピラミッド、遥か何千年もの歴史を持つ壮大な遺跡の数々、果てしなく広がる砂漠、真っ青に透き通る紅海、
エジプトは世界中の観光客を魅了し続けています。
そんなエジプトの中でも、何年経っても一番好きな場所、それはハーンハリーリです。
ふと気がつくと、足が勝手に向かってしまうほど心魅かれるハーンハリーリ。
エジプトを離れる前日の夜は名残惜しくて、やっぱりここを訪れます。
ハーンハリーリは、世紀後半から続く、中東最大のスーク(市場)です。
歴史あるモスクが立ち並ぶイスラーム地区の一角に、ひしめき合うように、多くの店が軒を連ねます。
古代エジプトの神々の置物、金や銀のアクセサリー、ストール、パピルス、ガラスの香水瓶、香辛料、ベリーダンスのコスチュームなど、
エジプト土産がぎっしり詰まった場所です。
タクシーに乗り、ハーンハリーリが近づいてくると、まるで遊園地に行く時のように気分が高揚してきます。
喧噪のハーンハリーリでも、朝はまだ静寂が立ち込めています。
出勤した店員さんたちが、黙々と店先に商品を飾り、床や通りを丁寧に掃除し、お客さんたちを迎える準備をします。
昼になると、各国からのゲストが続々と姿を現し、店員さんたちも徐々にテンションを上げていき、お客さんを呼び込む声にもエネルギーが増していきます。
こうしてハーンハリーリは本来の活気のある顔に変わっていくのです。
そして夕暮れになると、店先の銀細工のランプに明かりが灯り、スークは幻想的な光に包まれます。
夜のハーンハリーリは、昼とは違った魅力を見せてくれます。
スークの店先に溢れる光の洪水、アラブのお香のエキゾチックな香り、喫茶店から漂う水たばこの甘い匂い、
買い物や散歩に繰り出す人で溢れ、夜遅くまで賑やかなハーンハリーリ、私にとってのエジプトの象徴が、一気に感じられる時間です。
いつも行く度に、店から出てきて「お帰り!」と満面の笑みで声を掛けてくれる友人たちと挨拶を交わし、
大好きなエジプト土産に囲まれ、お店でお茶をご馳走になりながら、みんなと話をする時間が最高に幸せです。
お客さんの呼び込みのために、簡単な各国の言葉を話せる人も沢山いますが、中には私の友人たちの様に、それぞれ自分の好きな国の言葉を熱心に勉強し、
仕事に活かせるように努力している人もいます。
そんな彼らのガッツを見ていると、私も見習わなければと気合が入ります。
幼い頃の日本の夏祭りや、年末年始の買出しのような、わくわくする賑やかさがここにはあるのだと思います。
今日もそんなハーンハリーリの店先で、陽気でおしゃべり好きな店員さんたちが、エジプトの楽しいお土産とともに、お客さんに喜んでもらおうと待っています。