「どうでしょう。レッスンの中で検定もできるので受けてみませんか?」
「イエローはいけると思うんですよね」
もう一度習いたいというので、翌日預けにいくと、先生がこんなことを言う。面白半分に「ぜひ」というと、先生は一度受付に引っ込んで受験する旨を伝えにいった。
すると中で先生同士が、「えっグリーンじゃなくて?」「イエロー? 大丈夫??」「4歳で通ったら最年少だ」と問答しているが、Y先生はいけると主張。
「グリーンは止まれるというだけだから、絶対受かるし面白くない」というY先生。
「イエローなら最年少? じゃぁやってみようよ」という僕に
「じゃぁ、落ちる覚悟でいてください」と受付の先生が言う。
「わかりました」といいながら、Y先生への信頼の気持ちもあって「先生さぁ、落ちる覚悟って言われたからよろしくね!」
とこれからレッスンという先生の肩を叩いてしまった。
先生はやる気になって(=相当気負って)、子供を連れてゲレンデに消えていった。
それを見て、
しまった!!! やっちまった!!
っと自戒の念に駆られたが、時すでに遅し...。
もしかしたら、うちの子なら受かるかもしれない...この先生ならやってくれるかも知れない...そんな馬鹿な欲目に流されて、先生に無用なプレッシャーをかけてしまった。ついでに子供を送り出すときも、「楽しんでこいよ!」っとは言ったものの、やはり普通ではない送り方してしまった。普段ならもう少し冷静に、「先生、落ちたって構やしないから、好きにやってきて!」みたいなことが言えただろうに、やっぱり子供のことになると冷静さを欠いてしまう。
それに気付いたときには、自分のミスだから仕方ない。バッジはなくても仕方ないな...そう思うと同時に、子供に悪いことをしたなと反省した。変なプレッシャーを与えなければ楽しいレッスンになっただろうに...。
そんな風に思いながら、終了10分前頃に検定をやりますよ、と言われた時間に言ってみると、先生はやることはやったというすがすがしい顔で戻ってきて「イエローはやっぱり無理だと思います」という。「一緒に滑るとちゃんと曲がれるんですが、ひとりだと『ここで曲がって』と言ってもわからないんです。それに検定ではずっとボーゲンで滑らないといけないんですが、曲がった後、本人が自然に板を揃えてしまうので、これでは検定が通らないんです」
「僕の中ではぜったいイエロー合格なんですけど...」その意味ではちょっと無念そう。「順番に取る必要はないから、むしろもっと後に上のバッジをとればいいと思います」と言ってくれた。
結局何にももらえないのは本人も面白くないので、グリーンを受けてみることに。滑り出して止まるだけだからアホみたいな検定。当然合格して、賞状とバッジをもらって帰ってきた。
それよりも何よりも、僕はイエローのバッジ以上に重い教訓を持ち帰ることになった。
今シーズンあと何回行けるか? 多分ちゃんと説明して練習すれば取れると思うんだけど...本人のやる気を尊重しさえすれば。
スキーはぜんぜんできないので。
お客さまはブロンズからお願いしまーす!
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