赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

沖縄反基地闘争の本質――利権目的の反日闘争はもう止めよう!!

2015-04-10 00:00:00 | 政治見解
赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』(13)

沖縄反基地闘争の本質
利権目的の反日闘争はもう止めよう!! 




沖縄で何が起きているのか

辺野古基地建設問題で沖縄が大変騒がしくなっているとの報道をたびたび目にするようになりました。「沖縄と日本政府の戦いだ」などとの報道さえもあります。また、本年(2015)3月23日、自民党出身の翁長雄志【※1】沖縄県知事が、辺野古沿岸の埋め立て作業の中止を指示したこと、これに対して国が沖縄県知事の指示の「効力を一時停止」の方針を示したことから、沖縄と国の対立が一層顕著になったようにも思えます。

【※1】翁長雄志(おながたけし):2014年12月の沖縄県知事選挙で、現職で辺野古移転派の仲井眞弘多氏を破っては初当選。それまで自民党所属の那覇市長であった翁長氏は、社民・共産・生活の3党の推薦と辺野古移設反対派を巻き込んだのが勝因とされる。

しかし、実際に騒々しいのは、基地が移設される辺野古周辺と、移転前の普天間基地周辺、そして沖縄県庁あたりだけというのが実情のようです。県民はいたって冷静だと思います。

マスコミは冷静な目で沖縄の真実を報道していただきたいと思います。


反基地闘争の本質

さて、沖縄の反基地闘争の実態をよく見ますと非常に違和感を感じます。なぜなら、辺野古問題は国防問題ですから国家の専権事項であり、沖縄県知事や県民が口を挟む問題ではないからです。その上、「反基地」闘争を繰り広げる人たちが、いわゆるプロ市民【※2】といわれる人たちであり、その中にはもともと沖縄の住民でない人も多く、さまざまな疑問が生じてくるからです。

【※2】プロ市民:一般市民を装い市民活動と称しているが、実質的には営利目的または別の目的を持つ政治活動家を指す。

こうした点を考えていけば、「国家 VS 反国家・反基地」という対立の構造で見える沖縄問題も、実際は、「別の事柄」を隠すために、この図式を利用しているのではないかと思われるのです。それは、ずばり「お金」の問題をかくすための口実なのです。

こう考える理由はただ一つです。沖縄の人はだれもが「辺野古に基地を移設することは阻止できない」と知っているからです。沖縄県知事も、プロ市民も、そして沖縄県民もそれはよくわかっています。それを承知の上で、なぜ反対するのかといえば、反対運動を大きくしたほうが莫大な利権を手に入れることができるからです。これまでの日本では、国家の施策に反対する声を大きくするほど莫大なお金を得た経緯があるからです。


日本革命を放棄した左翼の人びと

この「反国家闘争は金になる」ということは、一般の人にはにわかに信じがたいことかもしれません。しかし、これが今日の日本における「反日、反国家闘争」の本質なのです。実際のところ、プロ市民とか左翼とか言われている人びとで「日本に革命が起きる」と信じている人は殆どいないでしょう。日本革命を夢見た人たちは1970年代までに殆どいなくなってしまいました。

かつて、街宣右翼が60年代安保時に自民党の傀儡になったり、70年代に総会屋となって堕落したように、左翼の活動家は70年代には日本革命を諦め、利権目的の集団になってしまったのです。そこには社民党や共産党も含まれます。イデオロギーが金集めの道具になったのです。国民の支持が広がらない理由もそこにあるのです。


こうした流れの発端は、かつての首相田中角栄氏の金権政治でした。金権政治は自民党の専売特許ではありません。野党も、労働貴族も、日教組も、左翼運動の闘士もみんな金権に染まっていったのが70年代の日本なのです。お金で問題の全てを解決しようとしたのです。その傾向を、いまもなお、野党や、左翼の人たちが引き摺っているのです。

筆者自身、ある大物代議士が70~80年代に国会対策委員として活動していたときの話しを伺ったことがあります。その大物代議士は次のように語りました。「野党の国会議員対策の接待で明け暮れていた」と。

また、知己を得た方からは「成田闘争当時、警察庁幹部や政府要人が集まって、反対派の個人リストを広げ、一人一人への具体的な支払金額を決めていた現場に立ち会っていた」というお話も伺ったこともあります。ものはいい得く、圧力はかけ得く、ゴネ得くがまかりとおっていたのです。




沖縄県知事選挙は、新旧各派の沖縄利権争奪戦だった

こういう事例から考察すれば、沖縄の反基地闘争も違った姿で見えてくるはずです。

昨年(2014年)の知事選も実は沖縄利権にからむ新旧勢力の利権争奪戦だったのです。仲井眞弘多前知事の影響下に利益がもたらされるか、翁長雄志現知事の影響下に利益がもたらされるのかの戦いが沖縄知事選の本質であったのです。「平和、反戦、反基地、自然環境の保全」が本質ではなかったのはいうまでもありません。

沖縄は昔から特殊な地域です。常に国の補助金で成り立っている【※3】場所です。

【※3】沖縄県平成25年度決算:収入総額7190億円。そのうち県税や県債が1571億円(自主財源26.3%)、国庫支出金と地方交付税の合計が4400億円(全体の73.6%)で、国からの財源がなければ沖縄県の運営は成り立ちません。

翁長氏は那覇市長を務めていた時代から、補助金に関わる利権を握っていた人物のようです。ひところの自民党の体質をしっかりと継承していました。そして、当然、那覇市よりも県に沖縄振興【※4】の莫大なお金がつぎ込まれていたのを知っていますから、大きな利権の方に切り替えようとしたわけです【※5】。

【※4】沖縄振興特別措置法;1972年から2011年の間に沖縄振興費用として累計約10兆円が投じられ、内9割以上が公共事業に費やされてきた。多額の振興費用は土建屋に流れ、その結果、沖縄県下には中小零細を含むと5000社を超える建設関連業者が存在する。翁長知事誕生のとき、隣で万歳していた後援会幹部は、沖縄で有名な土建業者であったといわれている。

【※5】平成26年度沖縄振興予算の総額は3,460億円。基本的に沖縄が自由に使える交付金として「沖縄振興一括交付金」が1,759億円、国直轄事業を中心とした公共事業関係費が1,382億円となっている。



翁長氏は知事選出馬のために、辺野古基地移設反対派や親中派の利益団体を取り込みました。同時に共産党や民主党と同様、表向きの政策に「自然保護」とか「反戦」という聞こえの良い理屈を掲げたわけです。翁長氏は利得のためだけに、共産党や社民党と手を組み、彼らと予算の山分けをしようと考えていたようです。

したがって、翁長氏は知事になって、継続的に国からお金を引き出すためには、基地周辺の工事の差し止めなどの手法で国を揺さぶり、恫喝をかけたのが、「辺野古沿岸の埋め立て作業の中止」ということなのです。あくまでも駆け引きに利用しているわけです。

最終的に、辺野古移転は国家の基本政策ですから必ず実現します。翁長氏はどこかで補償問題などを持ち出すことになるはずです。しかも、翁長氏と連帯している諸政党【※6】やプロ市民らは、翁長氏が国からお金を引き出す能力に期待して騒ぎを一層大きくするでしょう。かれら自身、「沖縄は中国化されない」とわかっています、逆に中国からの資金援助も堂々と受け入れています。中国もかれらのことを「欲が深い人間だ」と蔑んでいる可能性もあります。

【※7】2015年03月25日、鈴木宗男氏はブログで「私は砂利利権と考えるが、あの綺麗なジュゴンのいる海を埋め立てる発想が理解できない。翁長知事と沖縄県民の思い、心を私は尊重して参りたい」と述べている。



日本の政治は変わらなければならない

旧態依然とした政治、そして、利権を山分けして特定の人だけの利得を追求する政治はもう止めてほしいものです。それも、本来はそのような利権を真っ先に批判すべき野党勢力が、実は一番に利権を追い求めていたのです。

政治の根本は、国民が豊かで安心して暮らせる社会の実現が第一義です。そのために選良として委託されたのが政治家のはずです。改めて政治家は自らの姿勢に襟を正すべきです。

また、同時に選挙民は私利私欲や名誉欲のために動く人物にNOを突き付けねばなりません。


沖縄問題を真剣に考えよう

沖縄支援策のこれまでの経緯を見ると、特定の人の利権の温床となっていたということも認識して改めなければなりません。

政府は、沖縄の人びとの真実の声を聞くことから始めなければならないでしょう。まずは、沖縄県民の本当のニーズとは何なのか知り、その上で、人びとの雇用を促進し、より豊かに生活できるためには何をしなければならないのか、という提案が必要になります。

今ある観光産業の充実にプラスして、ほかに伸ばしていく産業は何なのかを考え、活性化を進める必要があるのではないでしょうか。


沖縄の基地問題を解決する最良の方策は、政府が「沖縄の心」を理解し、沖縄の振興と沖縄県民が生き生きと暮らしていける提言を行うことだと思います。内閣府の特命担当大臣に期待したいと思います。



次回は4月14日(火) 『地方創生と統一選挙に寄せて』を掲載する予定です。

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