赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

メディアが岸田首相を叩かない理由 コラム(382)

2022-01-13 13:16:15 | 政治見解



コラム(382):メディアが岸田首相を叩かない理由
 


1月11日、岸田政権は発足してから100日が過ぎました。それまでの経緯を振り返ると、不思議なことにメディアや反体制左派の人びとから強烈な批判は目にしませんでした。菅前首相、安倍元首相の時とは大違いです。なぜなのでしょうか?


首相を叩く、叩かないの差

菅前首相は就任早々、日本学術会議の六名の共産党系学者任命拒否問題でメディアや反体制左派から集中砲火を浴びました。立憲民主党などの野党も一緒になって騒ぎ、国会周辺は共産党員の動員デモで喧騒に包まれました。菅前首相は安倍政治の継承者としてはじめから憎悪の対象だったからだと思います。

その前の安倍元首相が第二次安倍内閣を組閣したときはもっと露骨でした。朝日新聞が葬ったはずの安倍氏が復活した途端、メディアや反体制左派は目の色を変えて安倍批判に走りました。メディアは中韓のプロパガンダを使って安倍氏を「右翼的な歴史修正主義者」として世界中に発信し、それを海外メディアの報道として逆輸入することで、国民に安倍政権がいかに危険であるかを繰り返して主張し続けました。はじめから安倍元首相は彼らにとっての不倶戴天の敵だったのです。

なぜ、彼らは安倍元首相、菅前首相を最初から極悪人のように批判し、一方で、岸田首相には批判を控えているのか。これは、彼らにとって思想的な祖国であり盟主と考えている中国の利益に添うか添わないが判断の基準であることに間違いなく、反中を鮮明化した安倍政権、菅政権は憎むべき存在、対中政策が妥協的な岸田政権は与しやすいと判断しているからにほかなりません。

したがって、かつては強烈な安倍批判を行いながらも、現岸田政権に対しては何も物言わぬメディアなどは中国の走狗であることを自ら証明しているとも言えます。しかも、岸田政権は、結果的に自民党内からかつての民主党政権と同じものができたと言わざるを得ず、中国にとっても、その走狗たちにとっても再びよい季節が巡ってきたと考えているように思えます。


中国が好意を寄せる岸田首相

実際、岸田政権は中国にとって好ましい政権と見られているようです。北京冬季五輪の外交的ボイコット問題も中国の面子をつぶさないような妥協を行いました。しかも、外交的ボイコットの背景にある中国の人権問題に対しては頬かむりしたままです。

しかも、外務大臣には訪中を何度も繰り返したハニトラ疑惑のある人物をあてがい、党の幹事長も極めて中国に妥協的な人物を据えています。中国にとっては、日中国交正常化を推進した大平・田中の後継者たちが自民党の主流に返り咲いたことを歓迎しているのだと思います。

結局、いつも盟主中国の顔色をうかがいながらご相伴にあずかるメディアや反体制左派にとって、岸田首相を批判しないのは当たり前のことなのです。


安倍元首相と中国の攻防

第二次安倍政権発足早々、安倍元首相は「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する諸国との協力」を宣言し、「国民の生命、財産、領土・領海・領空を断固として守り抜く」として歴代内閣で初めての海洋・領土担当大臣を設けるなど、世界に覇を唱えようとする中国の野望を打ち砕く政策を打ち出しました。

2015年には安保法制を成立させることで中国の日本侵攻の抑止力を高め、2016年11月には米大統領就任予定のトランプ氏と会談してアメリカを世界に先駆けていち早く反中に導きました。

この一連の行動は、中国にとって安倍元首相を一刻も早く抹殺したい存在になったはずです。事実、2017年2月には、朝日新聞が森友問題を報じ、その後、家計・桜を見る会などを繰り出すことで安倍元首相の追及が国会論戦の主たるテーマになり、安倍元首相に対して「責任がないことを証明しなければ首相の犯罪だ」という「悪魔の証明」の論法で退陣を迫りました。第二次安倍政権発足以降の2822日間、安倍打倒がメディアや反体制左派のお仕事であったと言っても過言ではありません。

また、2021年には日米豪印戦略対話Quad(クアッド)が開催され中国に対する包囲網の完成形が出来上がりましたが、会談に臨んだのは安倍後継の菅首相であることから安倍―菅ラインは中国にとっての最大の敵であることがわかります。菅前首相退陣の背景にも親中派の暗躍によるものと見ることもできます。


考えるべき課題

以上述べてきたことは、外国からの内政干渉を嫌がる中国がいかに日本の内政に干渉してきたかという事実とその尻馬にのって跳梁跋扈する浅ましい人たちが国内に無用の軋轢を生じさせたという事実です。私たちは知らず、知らず中国という国の巧みなプロパガンダによって転がされていたと言えます。

そう考えると中国に妥協的な岸田政権でこれからの日本はどうなるのだろうかと思うのですが、ある面で世界中を苦しめている新型コロナウイルスは当面収まりそうもなく、しかも、気候変動による自然災害がさらなる甚大な被害をもたらすのではないか予測される今、現状のままで推移することはないと言わざるをえません。

しかも、日本という国は外側から圧力を加えられることで変化を余儀なくされることがたびたび起きているので、コロナ禍あるいは災害によって今の政治の在り方も抜本的に変わらざるをえなくなるのは確かです。

とりわけ、日本に悪しき影響を与えている中国は、コロナ制圧に失敗することで国家内に大規模な変化がもたらされると予測され、日本への影響力を失うと見ています。かつて、ソ連が崩壊した時、メディアや反体制左派がよりどころを失って、右往左往したときと同じ現象も起きると考えられます。

したがって、岸田政権をどうしよう、メディアをどうしようなどといった些末なことはさておいて、新時代にふさわしい価値観とかそのもとで繰り広げられる政治的システムはいかにあるべきかを考えていくことが必要だと考えます。

これを今年一年の本ブログのテーマとして考えていきたいと思います。





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