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ペロシ・ショックによる様々な化学反応
米下院議長ペロシ氏の東アジア諸国訪問は、各国に様々な化学反応を起こしているように思えます。
なかでも中国は、感情をむき出しにして馬脚を現してしまいました。2日から実弾演習、4日から7日まで台湾を取り囲む6つの海空域での演習を行っています。これは、96年の「海峡危機」の際と比べて海域が2か所増えるだけでなく、台湾全島を囲む演習となっていること、一部の地域では、台湾が領海を主張する地域と重なっており、事実上の台湾封鎖であると言えます。
台湾からわずか110kmしか離れていない与那国島の糸数健一町長は「迷惑な話」と憤りを示し、「日本政府は(台湾情勢を)座視せず、防衛力を増強し、台湾有事を起こさせないよう抑止力を高めてほしい。日、米、台の連携に向け、地方自治体としてやれることがあれば、微力ではあるが協力する意思はある」との意見を地元の『八重山日報』で述べています。
このような中で、唯一腰が引けているのは韓国です。ペロシ氏の訪韓の際には韓国側は誰も出向かず、米国大使館と米軍関係者だけという有様で、ペロシ氏はこの対応に不快感を抱いたと言われています。しかも、尹大統領は夏休みを口実に電話会談にとどまりました。韓国は中国にビビりすぎです。
これに対して日本は、ペロシ氏が横田基地到着の際には、小田原潔外務副大臣らが出迎えました。また、本日5日には、首相主催の朝食会、その後、岸田首相や細田博之衆院議長と会談するもようです。
ところで、数年前の動画に
「辻元清美さんに国防について聞いた。『中国がミサイル撃ってきたらどーするんですか?』
辻元さん『いつ撃たれますか?』逃亡」
というのがありました。それが8月4日に現実のものとなりました。中国発射の弾道ミサイル9発のうち5発が日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下したからです。
これは、有事になったら、このように中国からミサイルが日本に向けて発射されることが可視化されたわけで、「ミサイル撃つけど対話はしない、憲法9条なんて知ったこっちゃない」世界がすぐ目の前に現れたことになります。「憲法9条があれば日本はウクライナのように他国から攻められない」という幻想が潰えた瞬間です。
ただ気になるのは、林芳正外務大臣は日中外相会談を中止しただけで、与那国島の目の前のEEZでの実弾軍事演習にも抗議していません。媚中派の「リンホウセイ」外務大臣と揶揄される所以かもしれません。
また、保守派の中にも、ペロシ氏の台湾訪問を疑問視する向きもあります。しかし、これらの人びとは、世界情勢がどうなろうとそれには無関心で、自分の利益が守られればそれでよく、ペロシ氏の訪台で事情が大きく変わり既得権益を失うようなことに強く反対していただけなのです。つまり、現状のままが一番利益を享受できるための最良の道で、そのために保守の側にいることが利益になっていただけで、本当の保守ではありません。あの籠池さんを思い出せばすぐに納得できると思います。
したがって、保守の側から、“「ペロシ訪台」は米国の失策、習近平総書記「3選」の最大の追い風に”などという人は、本当は、中国と利益を分かち合っている人であまり信用はできません。商売としての保守として見るべきです。
一方、自我をむき出しにする中国のおかげで、対中包囲網の動きも活発化しています。
自民党の外交部会「太平洋島嶼国政策検討PT」が太平洋島嶼国との協力強化を提言する動きもでてきました。太平洋地域で影響力を拡大する中国を念頭に、日本が米国、豪州、ニュージーランドに加え、台湾も含め、対太平洋島嶼国へのODA(政府開発援助)強化や気候変動対策、防衛協力等の連携を目指しています。
結局、ペロシ氏の東アジア歴訪は様々な化学反応を引き起こす触媒の役割を果たしたと思います。とくに中国のむき出しの本音が世界に知れ渡ったことほど大きな成果はありません。メディアはもともと媚中派ですから、この成果をまともに見ることはしませんし、中国の本質についてか取ろうとはしませんが、中国自身がペロシ氏の訪台に怒って馬脚を現してしまいましたので、世界の人びとはますます中国離れになることは確実です。
かつて、ソ連が崩壊したとき、ソ連頼みだった人がこぞって中国派に転向しましたが、今度は中国が暴走し自滅の道を歩むことは確実で、中国派の人びとは行き場を失います。かれらは次、どこの国に依拠するのでしょうか、興味は尽きません。
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