赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

消費増税撤回の決断を コラム(308)

2019-09-18 20:57:05 | 政治見解




コラム(308):消費増税撤回の決断を


日本政府は10月1日から消費税を10%に引き上げようとしています。しかし、世界の経済状況と日本の現状を見た時に、増税は決して実施してはなりません。


中国リスクからドイツリスクへ

世界経済の最大の懸念は中国経済の失速です。

中国は米中貿易摩擦だけでなく、ここ数年来の歯止めのきかない経済減速に起因しています。貿易摩擦が加わって中国経済の回復が困難となり、世界経済への悪影響は避けられません。

すでにその兆候が随所に現れていて、EUを牽引しているドイツの中国向け輸出が不調に陥り、2019年4~6月の実質国内総生産(GDP速報値)がマイナス成長に転じました。また、ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行(大株主は中国企業)の経営悪化が大きな社会問題になっています。ドイツがEU全体のGDPの2割超を占めるだけに欧州全体への影響が懸念されはじめています。


中東リスク

さらに9月14日のイランによるサウジアラビアの石油施設攻撃により米国・イランの対立が激しさを増し中東情勢は緊迫の度を増しています。

原油需給に対するリスクは、石油価格の高騰、電力料金やガソリン代の値上げに直結するだけに日本経済と家計を直撃する可能性が極めて高くなっています。


日本経済の現状

一方、日本も8月の貿易統計によると、輸出額が前年同月に比べて8.2%減で、9カ月連続の前年割れとなっています。とくに輸出額の約20%を占める中国向けが12.1%減となっており、輸出から輸入を差し引く貿易収支は1363億円の赤字です。


自然災害の多発


わが国は毎年、自然災害が多発し被災の規模が大きくなる事態に直面しています。災害からの復旧には予想以上に時間がかかり自立困難な人が増え続けています。

この状況下での消費増税は被災地域の住民の暮らしを直撃することになります。また、被災地域の人々のみならず、自然災害の多発により消費を手控える傾向が高まっています。国民の財布の紐は固く縛られたままになりそうです。


消費増税にメディアが反対しない理由

メディア各社は軽減税率の複雑さの解説ばかりで消費増税そのものに対し反対の声を上げるところはありません。理由は新聞自体が軽減税率を適用され、新聞代が現行のまま控え置かれているからです。

メディアは新聞代金が控え置かれていることと引き換えに、国民生活の困窮を見て見ぬふりをしているのです。ジャーナリズムの風上にも置けません。こうしたメディアの卑怯な態度は決して許されるものではありません。


リーマン・ショック以上の緊急事態


政府は、「リーマン・ショック級の事態」が起きない限り予定通り増税するとの見解を繰り返し示していますが、実は現在進行形でリーマン・ショック以上の危機が日本を覆っていることを直視すべきです。


安倍総理へのお願い

安倍総理におかれては、たとえ増税直前であっても勇気をもって国民の立場に立ち、消費増税を撤回し、国家経済の安定を図り国民に安心を与えていただきたいと思います。

導入を前提にすでに商店が新レジ導入などの準備が終了したため引き返せないとするなら、全品目に軽減税率を適用し、実質的に現行の8%水準を保つ方策も成り立ちます。

その上で改めて、消費税率とその使用目的を国民に問うことが必要ではないでしょうか。

国民の多くは国会改革や行政改革で税金の無駄遣いをやめ、併せて安易な増税にとらわれる財務省の根本的改革を望んでいます。


国民の税負担感の増大は人心を遠ざけることになります。

安倍総理におかれましては速やかに消費増税の撤回をお願い致します。



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