赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

危機に瀕する中国経済 コラム(271)

2018-08-23 00:00:00 | 政治見解



コラム(271):危機に瀕する中国経済 


米中間の経済摩擦が激しさを増す中、中国は今後どのようになるのか。


中国経済の現況

朝日新聞は「世界恐慌の引き金を引く危険すらある」「戦争に突入する危険も」として「愚かで危険な米中『貿易戦争』を止めよ」と報じています。中国の窮状を朝日新聞が代弁せざるを得ないほど中国経済はひっ迫しています。

当ブログが以前にも指摘したように、中国は国家戦略として統計数字を操作し経済大国を装っています。しかし、2015年の中国株大暴落を発端にバブル経済は崩壊し、政府による市場介入の効果もなく急速に減退しています。

この影響で、富裕層の所得の伸びが止まり、家賃などの家計債務の圧迫で消費意欲が低下している状況です。また、特別引き出し権(SDR)の構成通貨の人民元が実際には市場での信用を失い、海外に資本が流出し始めています。富裕層の間では保有資産を守るために仮想通貨を経由してドルに移す動きも出ています。

この先アメリカによる経済制裁が一層強まれば、中国経済の破綻が現実のものとなるのは時間の問題と言えます。


対抗手段のない習政権

毎年夏に党指導部や長老らが集い人事や重要政策について議論する北戴河会議に、序列5位の王滬寧(オウ・コネイ)氏の姿がないため、失脚したのではないかとの噂がありましたが、実際には米中の貿易対策のために会議に出なかったようです。

習政権は強気の構えですが有効な対抗策はありません。

「一帯一路計画」もほとんど機能せず、これまで援助してきた発展途上国から債務の踏み倒しも始まり資金の回収が見込めなくなっています。

また、中国の軍事力増強が伝えられていますが、米中の軍事力には圧倒的な差があり、こうした中国の虚勢は何の役にも立ちません。


習政権を怨む人民解放軍幹部


今でさえ中国国民の7割が中国共産党政権に不満を持っている状況下で、アメリカの経済制裁が直接的に国民の生活レベルに影響が及ぶと、今まで以上に国民の不満が高まることになります。

歴代王朝がことごとく農民などの反乱によって崩壊したように、反政府運動が中国の至るところで発生すると予想されます。

また、最近頻繁に起きている人民解放軍の退役軍人による反政府デモは、「現役の人民解放軍の軍人が中国政府を守らない」ことを意味しています。

その理由の一つには、従来から軍の内部ではびこっていた汚職行為が、習政権が推し進める「汚職追放による軍事改革」によって断ち切られ、締め付けが強まったため軍人の不満が鬱積していることにあります。彼らはもともと国家の防衛のことよりも自分の保身や私腹を肥やすことのほうが大切だからです。


国家の威令が及ばなくなったとき

2017年10月の党大会で絶対的権力を手にした習近平主席であっても国民の総反発と軍の離反で失脚の可能性もありえます。

後継は権力志向の強い胡春華氏と見られており、今後国内の取り締まりは一層強硬なものになると思われます。そうなると、国内は一層混沌となり、政府の威令がどこにも及ばない状況になりそうです。

政府の威令の源泉はお金です。アジア大会での中国選手の士気は多額の報奨金によって保たれています。しかし、国家財政の悪化に伴い選手の士気は極端に落ちます。

これと同様に、国策で資金を投入されていたところは資金が断たれれば衰退し、その結果、国家としての威信が保てなくなります。それが事実上の共産党政権崩壊の引き金となる可能性が高いのです。





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