赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

政治改革の本質 コラム(196)

2016-11-03 00:00:00 | 政治見解



コラム(196):政治改革の本質


小池都知事の希望の塾が開塾して以降、永田町周辺からは「政治の素人に何ができる」といった声が聞かれました。既存の政治家の自信に満ちた意見のように聞こえますが、実際は、これまで築き上げてきた自分の立場が、希望の塾の登場によって失われる不安から小池氏周辺に一撃を加えようとした発言です。


永田町の常識は時代錯誤

小池氏の希望の塾に多くの応募があったことには理由があります。既存の政治家や政治手法に対する拒絶です。

既存の政治家は与党、野党にかかわらず古い体質を踏襲しています。「政治は駆け引きするものだ」「政治は根回しするものだ」「政治とは妥協するものだ」「政治家は冠婚葬祭を欠かしてはならない」「政治家は頼まれたらすぐに便宜を図るものだ」「有権者との握手の数が票につながる」「大物政治家には挨拶が必要だ」「新人議員は古参の政治家の言うことに従うべきだ」「こういうことを知らなければ政治のプロとは言えない」・・・。現在の政治家、とくに自民党の政治家にはこの傾向が強く、こうした人たちが日本の政治を古臭く田舎臭いものにしています。

また議会では、国会に自由討論は存在せず、あらかじめ通告されている質問に形式的な答弁をしています。また、政府側に質問権がないため野党の政府批判が繰り返されます。国会議員の政策実現能力が低く議員立法があまりありません。重要な調整事項が国会対策委員会で秘密裏に取引されています。衆議院では議事進行係【※1】がおり、動議さえも事前に決められている等々・・・。国民とかけ離れた永田町の裏取引きを当然とする論理で国会が運営されているからです。こんな慣習は決して円滑な国会運営などではなく、ただの談合政治と言わざるを得ません。

【※1】議事進行係は、議席に臨時に設けられた専用マイクを用いて「議長ー!」と議長に発言を求め、動議の内容を「〜されることを望みまーす!」と独特の抑揚・大声で申し出る。都議会でも同様のシステムがある。

こうしたカビ臭い仕組みをもって「議会とはこういうものだ」と言う政治家や評論家が大勢いるのです。


危機の現状

日本の政治はすでに行き詰っています。しかも、官僚主導の無責任な政策が横行し、政治に役に立たず、機能しないシステムが目立つようになりました。それにもかかわらず、政治家は既存の政治システムに安住し、国民のためになすべき変革を試みようとはしません。むしろ、官僚とともに既得権益にしがみついているのが現状です。

政治家は今こそ、古くなったものを廃棄し、新しい仕組みの創造に取り組むべきです。

「日本を取り戻す」として日本再生に立ち上がった自民党は、安倍総理と一握りの人を除いて、自己保身と現状維持に満足して、問題点の解決を図る姿勢すら示しません。政治を取り巻く環境が変化しているのに、過去にこだわって改革に手をつけない政治家ばかりです。いま日本は、国民の幸福のために政治を行うという本当の政治家が少ないために、予想外に深刻な危機に直面していることを認識しなければなりません。


変革すべきこと

かつての時代を築いた栄光が、滅びの原因ともなっている以上、政治改革は急務です。まずは、談合と利権体質の議員の一掃し、陳腐化した政治システムと官僚組織を早急に改める必要があります。議会の意識革命を行い、意思決定のシステムを変えることが何よりも先決です。現代社会の変革運動とは、暴力や武力によって達成されるのではなく、変革の思いを抱いたふつうの人の意思の総和によって築き上げられることが望ましい形なのです。


近現代の政治変革運動は、既存の体制側からもたらされる例はありません。明治維新のように、目の前の危機を認識したふつうの人が、志を抱いて立ち上がり、試行錯誤しながら、旧弊を打破し、新しい価値観のもとに、時代を築いていた歴史があります。

希望の塾や、小池知事を支援した議員たちを指して、「政治の素人」呼ばわりした自民党の二階氏は、すでに機能しなくなった政治システムや官僚体制を打破する勇気や実行力を失い、国民の幸せのための政策を打ち出せない人物です。こうした旧態依然とした政治に安住している者たちこそが政治の素人であることを認識していただきたいと思います。

政治の変革に敢然と立ち向かう希望の塾から、本当の政治のプロが輩出されることが、日本の希望になると確信しています。

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