ううううう・・・つらいー
乙)いいよ→甲)え、いいんだ
↓
乙)じゃあまたね→甲)うんまたね
↓
3日後
甲)じゃあよろしくね→乙)えー・・・ちょっと
という目に。
自分でも驚くほど傷つかなかったけど、ちょっとふらっとするくらいはへこんだ。
誰かに同情してもらいたくて、知り合いの女の子に話したら「赤目さんってロマンチストだねー」とか「ベッドの上でする会話を真に受けちゃダメだよ」とたしなめられた。
え、俺がロマンチストなんだ。そういうまぐわいって、そんな乾いた感覚で思い出にできるんだ。それが都会モンの感覚か。
「東京ラブストーリー」か。「か~んち、SEXしよ」か。
日に日になんとなく辛くなってきて、一人で飲む。
西口はいつも優しくてほっとする。あの人はいつもあそこに立ってて、この店ではいつもの通り、主人がうっとうしそうな顔でモツを焼いている。
火がない。
ご主人に「火を貸してください」言うと、これ使いな、と網の下から熱をはらんだ炭を差し出してきた。それに煙草をつけ、スパスパと火を移す。
飲み終わり、横丁の入り口で座り込む。
意味はない。ただ家に帰りたくなかった。酔うと寂しさが増幅し、「誰かはなしかけてぇー」という訳の分からない衝動にかられた。
しばらくするとホームレスのおっさんが声を。
「俺はコッチ(ホホに人差し指を走らす)の人間でよお。大阪じゃあいっつもスーツよ。でも嫌いなんだよな。こっちじゃあいつもこれよ」ヨレヨレのジャージ。
「すぐそこに若ぇもんがいっけどな。連れて歩くの嫌いなんだよ」とかそういう貴重なお話をうかがった。
話を聞いてるだけでもいろいろと紛れてよかった。ので、このおっさんに一服入れてもらおう。「ちょっとしょんべん行って来ます」とその場を離れた。
しょんべん横丁の名の通り、すぐそこにトイレがあるので、そこで済ませてから近くの自販機で煙草を買う。
戻るとおっさんはいなかった。
なんだ・・・・
喫茶店でコーヒーをすする。
そのまま西口へ。今ならまだ最終に間に合う。
あの人はもういない。
代わりに俺が、あの人がいつも立っている場所に立ってみる。
「そうか、こういう景色を見ていたんだ」
ややあってから、飲んできたような若い男女のサラリーマングループが目の前で「これからどうするー」的な話題で盛り上がり始めた。花金。
本当に、スレスレになるくらい近くにいるのに、みなさんわたしのこと、全く気にしてらっしゃらない。すげえ、透明人間になったようだ、と思った。
「お兄さん、火、ありますかね」と、先ほどの煙草を取り出す。
やっと俺という存在を認めたサラリーマン。「あ、はは・・・あります、どうぞ・・・・あ、火、でかいですよ」
ぼっとついたそれは、確かにでかかった。
最終には乗らなかった。なんかこれから電車に揺られて、自転車に乗って家に帰って、風呂入って、寝て・・・とか考えるとものすごく疲れた。
西武新宿駅沿いを歩くと、中国人か韓国人か知らないが、そういったお姉さん達が立ちんぼをやっている。
とにかく人と触れ合いたかったので、意味もなくあるってみた。
気付くともう、手を引っ張られていて、その手のぬくもりがいとおしかったので、店だかなんかの建物前までずっとついていった。そんで「お金ないんです。ごめんね。さようなら」とその場を去った。
歌舞伎町はずっと明るいのでいい。
今まで通ったことのないような通りを歩くと、ブラザーが「オニーチャン、ボインボインのとか、タクサンよ!」と、つかむ手の力が強い。さすが外人さん。
「手、いてえ。それから今日はもう終わったん」
これからどこで夜を明かそうか。
そうだ・・・ちょっと前、こんな感じで夜中の新宿を徘徊してたら、ゴールデン街を見つけた。「ああ、ここがあの・・・」と、場所を覚えていたので、行ってみた。
案の定、まだまだ店の灯はともっている。
常連とかにからまれるのが嫌だったので、まったく客の入っていない店にしけこむ。
ハスキーな声の、小柄なお姐さんが迎えてくれた。いかにもゴールデン街のママって感じ。
それからのことは、酔ってあまり覚えていない。でも思ってることを全部聞いてもらった。「あんたねぇ・・・いい年して・・・」とかいさめられたりもした。
ああ、しかし飲んでも飲んでも寂しさがくすぶる。なんだこれは。
「飲めば飲むほど 寂しいくせに」という曲があるが、嘘じゃねえな、と思った。
その店が閉まってから、お姐さんと一緒に違う店に行った。
そこのトイレで三度吐いた。
朦朧とした意識の中、夜が開けた。この店も閉まるよう。気付くと、隣にいたお姐さんがいなかった。勘定は俺持ち。
そこのママが「お尻のポケットに、なんか入れて帰ったよ」と。
まさぐると、金ではなく彼女の店のマッチが入っていた。ずっと火を借りていたからか。「来たら返す」とかそういう意味か。
何が悲しいって、ちゃんとした失恋さえしていないのにフラれたという・・・
そしてこの年でこの経験値の少なさから来るこのもろさ。
大人ってのは、クールってのは、こういうのを割り切る感覚のことをいうのか?
それは全然優しくはないよな。絶対俺のほうが真っ当だよ。
これでチンコでも痒くなった日にゃ、もう誰も信じない。
乙)いいよ→甲)え、いいんだ
↓
乙)じゃあまたね→甲)うんまたね
↓
3日後
甲)じゃあよろしくね→乙)えー・・・ちょっと
という目に。
自分でも驚くほど傷つかなかったけど、ちょっとふらっとするくらいはへこんだ。
誰かに同情してもらいたくて、知り合いの女の子に話したら「赤目さんってロマンチストだねー」とか「ベッドの上でする会話を真に受けちゃダメだよ」とたしなめられた。
え、俺がロマンチストなんだ。そういうまぐわいって、そんな乾いた感覚で思い出にできるんだ。それが都会モンの感覚か。
「東京ラブストーリー」か。「か~んち、SEXしよ」か。
日に日になんとなく辛くなってきて、一人で飲む。
西口はいつも優しくてほっとする。あの人はいつもあそこに立ってて、この店ではいつもの通り、主人がうっとうしそうな顔でモツを焼いている。
火がない。
ご主人に「火を貸してください」言うと、これ使いな、と網の下から熱をはらんだ炭を差し出してきた。それに煙草をつけ、スパスパと火を移す。
飲み終わり、横丁の入り口で座り込む。
意味はない。ただ家に帰りたくなかった。酔うと寂しさが増幅し、「誰かはなしかけてぇー」という訳の分からない衝動にかられた。
しばらくするとホームレスのおっさんが声を。
「俺はコッチ(ホホに人差し指を走らす)の人間でよお。大阪じゃあいっつもスーツよ。でも嫌いなんだよな。こっちじゃあいつもこれよ」ヨレヨレのジャージ。
「すぐそこに若ぇもんがいっけどな。連れて歩くの嫌いなんだよ」とかそういう貴重なお話をうかがった。
話を聞いてるだけでもいろいろと紛れてよかった。ので、このおっさんに一服入れてもらおう。「ちょっとしょんべん行って来ます」とその場を離れた。
しょんべん横丁の名の通り、すぐそこにトイレがあるので、そこで済ませてから近くの自販機で煙草を買う。
戻るとおっさんはいなかった。
なんだ・・・・
喫茶店でコーヒーをすする。
そのまま西口へ。今ならまだ最終に間に合う。
あの人はもういない。
代わりに俺が、あの人がいつも立っている場所に立ってみる。
「そうか、こういう景色を見ていたんだ」
ややあってから、飲んできたような若い男女のサラリーマングループが目の前で「これからどうするー」的な話題で盛り上がり始めた。花金。
本当に、スレスレになるくらい近くにいるのに、みなさんわたしのこと、全く気にしてらっしゃらない。すげえ、透明人間になったようだ、と思った。
「お兄さん、火、ありますかね」と、先ほどの煙草を取り出す。
やっと俺という存在を認めたサラリーマン。「あ、はは・・・あります、どうぞ・・・・あ、火、でかいですよ」
ぼっとついたそれは、確かにでかかった。
最終には乗らなかった。なんかこれから電車に揺られて、自転車に乗って家に帰って、風呂入って、寝て・・・とか考えるとものすごく疲れた。
西武新宿駅沿いを歩くと、中国人か韓国人か知らないが、そういったお姉さん達が立ちんぼをやっている。
とにかく人と触れ合いたかったので、意味もなくあるってみた。
気付くともう、手を引っ張られていて、その手のぬくもりがいとおしかったので、店だかなんかの建物前までずっとついていった。そんで「お金ないんです。ごめんね。さようなら」とその場を去った。
歌舞伎町はずっと明るいのでいい。
今まで通ったことのないような通りを歩くと、ブラザーが「オニーチャン、ボインボインのとか、タクサンよ!」と、つかむ手の力が強い。さすが外人さん。
「手、いてえ。それから今日はもう終わったん」
これからどこで夜を明かそうか。
そうだ・・・ちょっと前、こんな感じで夜中の新宿を徘徊してたら、ゴールデン街を見つけた。「ああ、ここがあの・・・」と、場所を覚えていたので、行ってみた。
案の定、まだまだ店の灯はともっている。
常連とかにからまれるのが嫌だったので、まったく客の入っていない店にしけこむ。
ハスキーな声の、小柄なお姐さんが迎えてくれた。いかにもゴールデン街のママって感じ。
それからのことは、酔ってあまり覚えていない。でも思ってることを全部聞いてもらった。「あんたねぇ・・・いい年して・・・」とかいさめられたりもした。
ああ、しかし飲んでも飲んでも寂しさがくすぶる。なんだこれは。
「飲めば飲むほど 寂しいくせに」という曲があるが、嘘じゃねえな、と思った。
その店が閉まってから、お姐さんと一緒に違う店に行った。
そこのトイレで三度吐いた。
朦朧とした意識の中、夜が開けた。この店も閉まるよう。気付くと、隣にいたお姐さんがいなかった。勘定は俺持ち。
そこのママが「お尻のポケットに、なんか入れて帰ったよ」と。
まさぐると、金ではなく彼女の店のマッチが入っていた。ずっと火を借りていたからか。「来たら返す」とかそういう意味か。
何が悲しいって、ちゃんとした失恋さえしていないのにフラれたという・・・
そしてこの年でこの経験値の少なさから来るこのもろさ。
大人ってのは、クールってのは、こういうのを割り切る感覚のことをいうのか?
それは全然優しくはないよな。絶対俺のほうが真っ当だよ。
これでチンコでも痒くなった日にゃ、もう誰も信じない。