65~66年の2年間に執筆され、オール読物、文芸春秋、小説現代などに掲載された短編14編をおさめた780頁の大冊です。
司馬氏の短篇執筆が最も盛んだった頃の作品群ですが、中でも、島津家光の愚鈍ぶりを描いた「きつね馬」、幕末、上野に立てこもった彰義隊を粉砕した元込め砲が佐賀藩に輸入され、自製されるまでを描いた「アームストロング砲」や最後の会津藩主松平容保の波乱に満ちた生涯を概括した「王城の擁護者」など高名な短編が並ぶ。
また、一連の"豊臣家の人々"シリーズの内、「殺生関白」「金吾中納言」「宇喜多秀家」「北ノ政所」の4編が収容されていて興味深い。
ご一読をお勧めします。