社交ダンスは、日本人にとってはまだまだ恥ずかしさや後ろめたさを起こさせる存在であるのに対し、社会的な背景の違うアメリカでは同じ設定は成り立たない。「あのダンス・スタジオに入るまでは、夢見ることを忘れてしまった都会のホワイトカラー」に書き換えることで、アメリカ版の主人公を仕立て上げている。その微妙であり、決定的な日米の違いを埋めてなおあまりある役割を果たしたのが、キャスティングであったような気がしてなりません。
リチャード・ギア(ジョン・クラーク)
オリジナル版で役所広司が演じた主人公のサラリーマン役(ボタン会社の経理課長)を、
本作ではリチャード・ギアが遺言書作成専門の弁護士役で演じる。
社交ダンスを通じて自らの人生を再生させていく様を、叙情性とリアリティをもって表現している。
『シカゴ』(02)に続いてスクリーンで見せるダンスシーンは見ものです。
ジェニファー・ロペス(ポリーナ)
オリジナル版で草刈民代が演じた、憂いを帯びたダンス教師役を演じている。
時折見せる彼女の内なるラテン系パッションがオリジナル版とは異なる印象を与えていますが
日本にファンが多いというのも、なるほどとうなずけます。
スーザン・サランドン(ビヴァリー・クラーク)
オリジナル版で原日出子が演じた主人公の妻役(パート勤めの専業主婦)
本作では大手デパートに勤めるキャリアウーマンを、スーザン・サランドンが演じる。
彼女の演技で日本とアメリカでの夫婦間の考え方や愛情表現の違いがくっきり。
後編その2へつづく
★今夜9:03から、「金曜ロードショー」でオリジナル版が放映されます。
まだご覧になっていない方はぜひどうぞ。