徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

秋季展 中国宋元画の精華 畠山記念館

2006-10-08 | 美術
秋季展 中国宋元画の精華
夏珪 牧谿 梁楷...日本人が愛した伝来の絵画
2006年10月3日~12月10日
畠山記念館

当館に所蔵する中国宋・元時代の絵画は、南宋院体画、禅僧による水墨山水画・人物画、着色の道釈画からなっています。長く日本人に愛好され、狩野派や土佐派などの画家の規範ともなった、いわゆる「宋元画」と称される一群です。決して数は多くありませんが、中国絵画史研究上見過ごすことのできない貴重な作品を含んでいます。
本展は、夏珪や牧谿、梁楷ほか日本にもたらされた「宋元画」のうち、「国宝 禅機図断簡」と「国宝 煙寺晩鐘図」を含む全十五点を紹介いたします。大名家や茶人に伝えられたこれらの作品を通して、日本における鑑賞の歴史の理解に役立てば幸いです。「宋元画」と時を同じくして制作され日本人に愛された青磁の諸作品と、季節の茶道具の取り合せも併せてご覧ください。


今年は、中国宋元画を順々に見るようにしています。この畠山記念館の秋季展では国宝が2点も出展されるので、見逃せません。しかし、あまりHPもチェックせずにいったら、前期、後期の2回でいいかと思っていたら、特別公開は下記の通り。都合三回訪れなければならないようです。

【特別公開】
国宝 禅機図断簡 因陀羅筆(10月3日~10月29日)
国宝 煙寺晩鐘図 伝 牧谿筆(10月31日~11月12日)
国宝 大慧宗杲墨跡 尺牘(11月14日~12月10日)

11月5日までの展示は、
1.重要美術品 二条切
3.出山釈迦図 伝 胡直夫 中峰明本賛
8.猪頭蜆子図 伝 梁楷筆(猪頭図~11月5日・蜆子図11月7日~)
9.騎牛老子図 俵屋宗達筆(10月3日~11月5日)
53. 藻魚図 伝 劉宷筆
56. 重要文化財 山水図 伝 夏珪筆(10月3日~11月5日)
58. 重要美術品 老子出関図 伝 蘇漢臣筆(10月3日~11月5日)
61.琴碁書画図 伝張路筆(琴碁図の二幅が展示されていた)明時代
62.藻魚図 頼庵筆 元時代(こちらは10/29まで)

後半の主な展示は、
重要文化財 竹林山水図 伝 夏珪筆(11月7日~12月10日)
重要美術品 篠虫図 伝 趙昌筆(11月7日~12月10日)
蓮鷺図 伝 牧谿筆(11月7日~12月10日)
達磨図 無準師範賛(11月7日~12月10日)
など

このほかに、会期を通して、
  • 探幽縮図 狩野探幽筆
  • 青磁浮牡丹瓢形花入
  • 青磁鳳凰耳花入
  • 御所丸茶碗 銘 堅田
  • 古瀬戸肩衝茶入 銘 円乗坊
    など展示されている。



    まずは、宋元画のみ感想を。
  • 3.出山釈迦図 伝 胡直夫 中峰明本賛;元時代;顔はボカシタ筆で細筆で目を書く。「笹葉中峰」らしい字体で賛。
  • 5.国宝 禅機図断簡 李渤参智常図 因陀羅筆 楚石梵賛 津軽家伝来 元時代;今年は2枚目。1枚目はブリジストンで拝見。この図は、図録によれば、「江州の刺史李渤は大変な読書家で万巻の書を読破したが、ある時「維摩経」の「芥子粒に須弥山を納れる」という語をどうしても理解することができず、深く帰依する智常禅師を訪ねて問いはじめてその意味を悟ることができたという図を描いたもの」(他の禅機図断簡の説明はこちら)
  • 8.猪頭蜆子図 伝 梁楷筆 松平不昧箱書 北条早雲所持 南宋時代;双幅のうち今回の展示は、猪頭図。粗筆だが、力強い衣服の筆が素晴らしい。特に足元の筆遣いは風を切るよう。パンフレット表紙。
  • 53. 藻魚図 伝 劉宷筆 元時代; 九匹の大小の藻魚が画面いっぱいに泳ぐさまを描く。鱗はリアリステック。
  • 56. 重要文化財 山水図 伝 夏珪筆 芸州浅野家伝来 狩野常信箱書 南宋時代;西湖の風景を基に描かれたとされ、遠くに連山、広い水面、手前には橋亭、近くには山すその叢樹を描く。山水図らしい、山水図。本来は消失とした「江城図」と双幅であったという。台湾故宮博物院の夏珪の「渓山清遠図巻」にも同様な場面があることが重要視されているという。
  • 58. 重要美術品 老子出関図 伝 蘇漢臣筆 原三渓旧蔵 元時代;今回唯一の彩色画;老子が乱世を避け西方に逃れ函谷関にいたり関守の尹喜に「老子道徳経」を語った後、牛に乗って出関したという故事は、「老子騎牛」の画題で好んで取り上げられる。ここでは、赤い法衣を着た釈迦風に老子が描かれ、白い牛にまたがる。尹喜婦人も弁財天風。さらに後方には尹喜。赤と緑が美しい色合いを保っている。
  • 61.琴碁書画図 伝張路筆(琴碁図の二幅が展示されていた)明時代;
  • 62. 藻魚図 頼庵筆 元時代;こちらは藻魚が一匹、鱗もぼかして描く。上下薄茶地文字入緞子が面白い。亀、壽、福、長、命などの字と鳳凰、牡丹?などを織り込んだ緞子が上下に表装されている。

    他に、
  • 9.騎牛老子図 俵屋宗達筆;老子が黒い牛に横すわりで乗る図。牛の黒々とした書きっぷりが宗達です。ちょっと頭部と特に腹は水で薄めて描く。胴もうっすら筆跡で牛を描く。灰色(白色)になるように牛を縁取る。どうやって描いたのか。
  • 65.探幽縮図 狩野探幽筆 河鍋暁斎旧蔵;はじめてじっくりと拝見しました。面白いですね。模写が縮図で並んでいます。

    書、青磁、茶道具については別稿を起こします。

    (7日)
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    ムンク @出光美術館

    2006-10-07 | 美術
    ムンク @出光美術館
    展示期間 2006年9月より2007年8月まで

    出光美術館のオスロ市立美術館所蔵のムンクの作品が模様替えした。今回は1910~20年代に描かれた裸婦の代表作を展示しています。

    今回の三点の裸婦は、色彩豊かに、女性のタイプと内面を描き分けており、(ムンクの場合は、ムンクと画家の距離感を描き分けているというべきかも知れないが)三点ながら興味深く鑑賞できる。オーラを渦で象徴した「叫び」から一歩進んで、画家として技量が発揮された優品。

  • うずくまって横たわる裸婦(1917)
    赤いベットでうずくまる若い女性のふくよかな裸体。猫のようなポーズが可愛らしい。

  • ソファーに寄りかかる裸婦(ブリギット・プレストーの肖像)(1924)
    1920年代に、飛び切りの美貌と聡明さでお気に入りのモデルでだったブリギット・プレストーの肖像画。彼女は、「時計とベッドの間」(1940-43)(この作品はN.Y.のMOMAで鑑賞した)の画面にもモデルがシルエットして描かれているとのこと。ソファにすわりこちらを見つめる表情は豊かで自身に満ちている。「うずくまって横たわる裸婦」とは正反対のタイプの女性の姿。

  • 肘掛け椅子の側の裸婦I(1919)
    両腕を垂らして、髪もばさばさと垂らして肘掛け椅子の側に立つ裸婦。若き女性の隠された視線は近寄りがたい雰囲気。裸体はピンク、黄、緑、青により構成、髪は青と黒で描かれる。室内空間は、赤いカバーのかかった肘掛け椅子。様々な色のにぎやかな空間。複雑な構成と力強い色彩表現の本作品は、ムンクの作品の中でも際立っているという。また、閉所恐怖感を抱かせそうな緑色の部屋に捨てられた女が泣いている姿を描いた「泣いている裸婦」(1907)と関連しているという。
    家に帰ってMOMAのムンク展の図録をみると、載っていました。The Artist and his Model I(1919)という作品の関連作品ということで展示されていたため記憶がないのかも知れません。(単なる言い訳か)


    前回の出光美術館のムンクの拙BLOG
    N.Y. MOMAのムンク展の拙BLOG
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    国宝伴大納言絵巻展

    2006-10-07 | 美術
    国宝伴大納言絵巻展
    2006年10月7日から11月5日(ただし全巻展示は10/7-10/15,10/31-11/5)
    出光美術館

    初日の10時に到着したのですが、もう入館に長蛇の列。勉強してあったので、(こちら)はじめの説明は全て飛ばして、上巻に並びます。10人くらいです。あっという間に後ろに20人くらいの列。並ぶのを諦めて、はじめところだけは後ろから覗いて歩き出しました。

    書物と違って実物を見るとやはりこの装束の美しさは、検非違使の話だなあというのが実感。あとは、紅葉の赤が美しい。

    上巻の断簡のあとは、今回UVランプ(X線?)をあてて再確認された。また、貴族と庶民では白の絵の具が異なっていたというのも新発見。上巻の良房の衣装が消されているのは、最後の捉えられる人物と同じだからではというのが、今回の謎解き。確かに。

    最後の展示室で拡大した人物像が貼ってある。もう一度、上巻から並びなおして、ちょっとだけ、炎の火の粉、上巻の伴中納言の衣装などを確認。

    11時ごろ帰る頃には、10時の頃よりは、列は20人ぐらいだが、すこしは落ち着いたようだ。そんな混雑具合でした。絵巻物は混みますのでお早めに。



    伴大納言絵巻のほかの展示は少々。

  • 重文 不動明王二童子図 平安末期から鎌倉;天台宗の僧侶安然は9世紀末から10世紀に活躍した。不動明王関係の経典類を総合して「不動十九観」というイメージする方法を創った。中央に不動明王を描き脇侍として二童子を従えるという図様の多くの不動明王が描かれることになった。
  • 重文 十王地獄図 双幅 鎌倉末から室町期;十王信仰は地蔵菩薩信仰と結びつきながら広まった、画面上方に円相内の本地仏とともに十王が描かれる。十王の表情はコミカル。
  • 重文 真言八祖行状図;保延二年(1136年)に建立された大和内山永久寺の真言堂伝来。伝藤原宗弘。
  • 重文 金剛蓮唐草文透彫経箱 室町後期
    など

    これらは、不動明王二童子図を除いては、出光美術館名品展Iに展示されていた。
    実は、初日に11時ぐらいまでは、不動明王二童子図と十王地獄図の説明が逆転していました。それを指摘したのは私です。


    ムンクは次のページ
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    旧朝香宮家邸のアール・デコ  @都庭園美術館

    2006-10-05 | 美術
    旧朝香宮家邸のアール・デコ
    2006年7月8日から10月1日
    都庭園美術館

     最終日に覗いてきました。普通の展覧会では、何度か訪れたことがあるのでが、建物内装はそれなりに観ているつもりですが、今回新規公開された小客室を含め、またざっざと観て回ります。3Fの白黒タイルのウィンター・ガーデン。こんな洒落た3Fがあったとは。

     もう1点の発見は、「ミカドの肖像」でも書いてあった北白川親王のフランスでの交通事故の件。戦前の皇族は、現代のヨーロッパの王族のようにヤンチャに過ごされていたのかと思っていました。120kmオーバで激突というような当時の新聞記事も展示されていました。かなりスピードですね。
     同乗されていたのが久邇宮朝彦[くにのみやあさひこ]親王の第8王子鳩彦[やすひこ]王。この交通事故の件で3年間も妃殿下とともにパリに三年間滞在され、その経験が、このアールデコ建築の引き金になったとは。

    ミカドの肖像

    小学館

    このアイテムの詳細を見る


    http://www.teien-art-museum.ne.jp/museum/asaka.html
    朝香宮家は久邇宮朝彦[くにのみやあさひこ]親王の第8王子鳩彦[やすひこ]王が1906年(明治39年)に創立された宮家です。
     鳩彦[やすひこ]王は、1910年(明治43)5月に明治天皇第8皇女允子[のぶこ]内親王とご結婚され、大正10年(1921)に白金台の御料地1万坪を下賜されました。
      鳩彦王は、陸軍大学校勤務中の1922年(大正11年)から軍事研究のためフランスに留学されましたが、1923年(大正12年) 4月パリ郊外で交通事故に遭われ、看病の為渡欧された妃殿下とともに大正14年(1925)まで長期の滞在を余儀なくされました。

     当時フランスは アール・デコの全盛期で、1925年にはパリで現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称アール・デコ博覧会)が開催されました。
    朝香宮ご夫妻もこの年の7月9日に美術局長ポール・レオンの案内で博覧会を見学されています。
      帰国後は高輪の旧邸に住まわれましたが、1929年(昭和4年)より白金台の敷地に新邸建設の計画をすすめられ、アール・デコの粋を集めた朝香宮邸は1933年(昭和8年)5月に竣工しました。
      妃殿下は建築が完成した年の11月にご逝去されますが、朝香宮家は第二次世界大戦後までこの地に住まわれました。その後、1947年(昭和22年)10月皇籍離脱し、朝香家と称し住まいを熱海に移されました。


     最後の発見は、宮内省内匠寮が手がけた主な建築物について。赤坂離宮(1908年)、竹田宮邸(1911年 現高輪プリンスホテル)、久邇宮[くにのみや]邸(年代不詳 現聖心女子大学。麻布にあった久邇宮邸の敷地は、現在は聖心女子大学のキャンパスとなっており、御常御殿(日常の居所)は久邇ハウスと呼ばれ現存している。久邇宮邸は香淳皇后の生家である。香淳皇后は久邇宮2代・邦彦(くによし)王の子女)、李王家邸(1930年 現赤坂プリンスホテル)、東京国立博物館(1937年)などということ。

     意外と普段目にしている建物が多い。久邇宮邸は拝見したことはないが、時々テレビには放映されるようだ。

    (一日)
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    花鳥画への誘い @松岡美術館

    2006-10-04 | 美術
    花鳥画への誘い
    2006年9月9日から10月26日
    松岡美術館

    拙宗 等揚《翡翠図》 紙本墨画 一幅 室町時代; 画史初出は狩野栄納「本朝画史」(1693)。「拙宗」「等揚」印を有する作品より確認される画家。三教蓮池図(ボストン美術館)破墨山水図(正木美術館)など数点が知られる。渡明前の雪舟ともいわれる。とのこと。画面を斜めに切る樹に止まり下を見る翡翠の図。
    (伝)秋月 《山茶花に蟹》 紙本着色 一幅 室町時代:秋月は雪舟弟子。1498年まで北京に滞在し西湖図を描く。
    狩野松栄 《蘆雁図》紙本墨画 一幅;元信の三男 
    (伝)狩野 永徳《花鳥・達磨》紙本墨画 三幅対;剽軽な烏、達磨、鶯二羽
    (伝)狩野 山楽《老木古木花鳥図》紙本着色 六曲一双のうち右隻 桃山時代;滝落つる川辺の松のたもとに、花が咲き鳥たちが歌う。

  • 酒井抱一 《揚柳飛燕図》紙本着色 一幅 
  • 楽 道入 赤楽獅子香炉
  • 松村 景文《花鳥図》紙本着色 衝立一基;白い尾長に牡丹四輪。。

  • 円山応挙 《遊鯉水禽図》紙本着色 六曲一双のち右隻 天明元年(1781);遊魚に青紅葉の樹にたらしこみ
  • 円山応挙 《鶏・狗子図》絹本着色 双幅 天明七年(1787)
  • 尾形乾山 《萩》紙本淡彩 一幅

  • 酒井抱一 《三笠山》絹本着色 一幅;平面的に曲線を描かれた鹿のフォルム。緑の松に赤い紅葉の蔦が絡まる
  • 酒井抱一 《月兎・旭鶏》絹本着色 三幅対のうち左幅・右幅
  • 酒井抱一 《菖蒲と鷭》;水草の線。画面を横きる霧。

  • 狩野探信 《画帖 山水・花鳥・人物》
    東方朔
    雉?
    魚籠観音
    牡蠣
    丹茂叔愛蓮図
    尾長
    琴棋書画図(4点、四芸図)
    弄玉乗鳳図(秦の国王穆公の姫君、簫史と結婚して彼に笛を習い、大変上達して鳳凰を呼び寄せたと伝えられている。後に弄玉は呼び寄せた鳳に乗って昇天したといわれる。)
    鶴2羽
    鳥(うぐいす)
    松(盆栽)
    鴛鴦

    佐野渡(新古今和歌集、謡曲 針木)
    黄石公張良(BC166)

    西王母
    業平東下りの図

    金縁の色紙に細密に描かれていて美しい。なるほど、故事にちなむ画題の一覧といったとこでしょうか?参考になります。

    (1日)
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    歌麿と栄之-歌麿没後200年・栄之生誕250年-後期

    2006-10-03 | 美術
    歌麿と栄之-歌麿没後200年・栄之生誕250年-(後期)
    2006年10月1日から26日
    太田記念美術館

    前期の記録はこちら

    さて後期は、鳥文斎栄之をメインとした展示です。栄之は、浮世絵師には珍しく、旗本という身分の高い武士という特異な経歴を持つ絵師で、栄之の美人画は、その出自を反映してか、上品で風雅な落ち着きに満ちています。何といっても今回のハイライトは4点の栄之の肉筆美人画がお勧め。

    鳥文斎栄之の肉筆美人画
    まず、床の間に栄之の肉筆画がかけられています。故事にちなむ美人肉筆画。今回の展示のハイライトです。優品です。
  • 吉原女芸者図 鳥文斎栄之;芸者3人が歩く姿を描きます。
  • 胡蝶の夢図 鳥文斎栄之画、大田南畝賛;蝶になった夢を見た荘子は、自分が蝶になった夢をみたのか、蝶が夢を見て今の自分になったのか疑ったという故事に基づく。夢と書いた団扇を持った五本の簪で髪を飾る芸者が赤い肘掛について横たわる図。芸者の着物には、蝶を誘う花の絵柄。

  • 西王母図 鳥文斎栄之;桃の花の下で、桃を花を浮かべた杯をもって立つ西王母。黄地。
  • 毛延寿図・王昭君図 鳥文斎栄之 双幅;白地 絶世の美人の王昭君。毛延寿が賄賂を渡さなかったので一番醜く描かれて、それがもとで匈奴の人質となってしまう。

    鳥文斎栄之の版画
  • まつ葉や内 冨川 おなみ みなみ;先日、東博で3枚揃いで拝見しました。
  • 見立五人の茶屋女;菊本おはん、立花屋おたつ、難波屋おきた、高島おひさ、中村屋おもよの五人の女性。雁金五人男に見立てられており、手ぬぐいを肩に尺八を手に見栄をきる
  • 隅田川舟遊図(5枚組み);「吉野」丸のなかで子供が踊る春駒を楽しむ図。
  • 松葉や内喜瀬側 こけの さしの、扇屋内瀧川 めなみ となみ、ついしや内ときわづ ? ?;新造二人と禿二人と5人ずつ描く。
  • 七賢人略美人新造揃 てうしや内とき哥;とき哥が草双紙をを読む。背後には竹林の屏風

    鳥文斎栄之の肉筆風景画
  • 御殿山富士望遠図 大田南畝賛;茶地
  • 富士図 大田南畝賛;白地墨書
  • 秋の隅田川図 茶地;屋根船を浮かべ月見に興じるさま、後ろには四手網(シースルーに描かれ見事)を使って魚をとる船。白抜きで描かれた三囲神社の鳥居。満月が空に浮かぶ。手前の川岸にはススキ。
  • 江戸四季風俗図 双幅 墨地。丸や四角や扇で画面を区切り、それぞれに四季の花や風俗を描く。左福は丸に美人三人が舟から降りる図。右幅は雪景色に傘差す三美人図。
  • 不忍之池図、新吉原図、三囲図
  • 三囲富士望遠図

    鳥文斎栄之の絵巻と扇
  • 絵巻 隅田川両岸一覧図;御殿山、品川宿から永代橋から大川橋まで四つの橋の両岸を描く長い絵巻。
  • 潅仏会 扇;
  • 月夜の木菟 扇;
  • 吉原十二時絵巻

    このあと、弟子の栄昌、栄里、栄水などが並ぶ

    後半は、喜多川歌麿
    喜多川歌麿
  • 見立美人六歌仙
    -大伴黒主 高島おひさ
    -在原業平 矢場おみや
    -小野小町 扇屋花扇
    -僧正遍照 富本豊雛
    -文屋康秀 平野屋おせよ
    -喜撰法師 難波屋おきた
    に見立てています。
  • 七福美人器量競
     高島おひさ、難波屋おきた、菊本お半、平野屋おせよ、立花屋おたつ、藤屋おたよ、芸者 富本豊雛
  • 扇屋内花扇;通用徳成による狂歌が添えられている、新造二人、禿一人
  • 扇屋内瀧川 男なみ、女なみ;あと禿二人を描く。黄つぶし
  • 青楼十二時 戌の刻;遊女がなじみ客に手紙をしたためる図。禿になにか耳打ち。
  • 青楼七小町 若那屋内白露;五本簪の遊女の大首絵 正銘歌麿
  • 風俗三段娘 上品之図;黒地の振袖姿に団扇を持つ娘
  • 中田屋;向島の料理屋。坐る女性すがたと、障子の向こうのシルエット。
  • 針仕事;黄つぶし
    1793年の町触れにより遊女以外の女性の名を記すことが禁じられた。見立美人六歌仙や七福美人器量競など市井の美人も描いた作品は、まあ本人は急に江戸の町のアイドルになってしまうわけで、どんな感じだったのだろうと思うわけですが、それが禁止されてしまったということです。
  • 五人美人愛敬競 松葉屋内喜瀬川;五本簪の遊女の大首絵 朝顔の団扇
  • うちわもつ美人 毛剃りの描写が見事
  • 大文字屋内一茂登
  • 母と子;細腕、細面
  • 風俗美人時計 子の刻;画面の右端の緑の布地と赤、茶の着物の色合いが妙


  • 菓子袋を三美人図;雲母摺り(銀地)

  • 音曲恋の操 おこま 才三郎;享和年間;
  • 忠臣蔵二段目;享和年間;
  • 忠臣蔵十一段目;享和年間;摺り色が佳い
  • 当世女風俗通 下品の女房;針に糸を通す簪をひとつの女性;
  • 江戸名所遊 
  • いろは揃 よたれ そつねな

    狩野栄川院典信の扇
    鳥文斎栄之が絵の手ほどきを受けた狩野栄川院典信の作品。
  • 雪中柳に鷺図
  • 駿馬図;金地墨彩
  • 馬図;金地墨彩
  • 紅梅図;金地墨彩

    など。
     
    損保ジャパン東郷青児美術館にいったのですが、無料ということで長蛇の列。あきらめて、原宿にある太田記念美術館へ。初日10:30開館直後、小雨交じりにも関わらず、随分と熱心なファンが多いようで、数人すでに先客がおりました。

    (1日)
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    NHK日曜美術館30周年展

    2006-10-02 | 美術
    名品と映像でたどる、とっておきの美術案内
    NHK日曜美術館30周年展
    2006年9月9日-10月15日
    東京藝術大学大学美術館

    名品が多く並んでいることは承知してはいて、新日曜美術館で何回か宣伝もして、混雑を極めていることも予想されたので、土曜日の開館直後に入館。しかし、地下2階の第一会場は、かなり混みあっています。

    展示されている作品は流石の私も拝見したことがあるものが多いので、期待はしていなかったのですが、説明、それに映像もみると映像でしかわからないこともあり面白く、意外にも楽しめました。そして図録の文章も多いので、読み物として購入して帰りましたが、美術案内として楽しめる図録です。(本展覧会は各地を巡回しますが、微妙に展示作品が異なります。そのため、図録には、今回展示されていない作品も多数掲載されていて、それはそれで嬉しいところです。)

  • 《女》 荻原守衛(1910、東京芸術大学美術館):よく知っている作品です。一方新宿中村屋サロンの相馬黒光さんの話もすこしは知っていました。でも話が結びついていませんでした。この作品が、新宿中村屋の黒光をモデルとしたともいわれる作品で、荻原守衛が第一号の犠牲者だとは。最近まで展示されていた《文覚》(1909)がアメリカとフランスから帰国後の作品で文展で三等賞。《女》は死後に文展で最高賞。
  • 《子供》(1919、ブリヂストン美術館)、《子供の祈り》(1918、福島県立美術館) 関根正二;モダン・パラダイス(記録はこちら)で《三星》(1919)《信仰の悲しみ》(1918、大原)を鑑賞したばかりでしたし、《子供》はブリヂストン美術館で見慣れてしまっているので、関根正二がたった20歳で夭逝したと知りませんでした。《子供》では、ヴァーミリオンの絵の具が高価だったのを思い切り子供の服に塗ってみたとは。《子供の祈り》は、《信仰の悲しみ》の悲しみと同様な感覚になります。《信仰の悲しみ》は、日比谷公園で歩いていた女性を見て制作されたようですが、今東光さんは「愚連隊仲間」。中央の女性は東郷青児さんとその後結婚した田口真咲さんとのこと。と図録で知ります。
  • 《読書》(1891年、東京国立博物館)黒田清輝;白洲正子さんの実家の食堂に飾ってあったそうです。《湖畔》も飾ってあったとのこと。土曜日の午後になったので、隣の東京文化財研究所 黒田記念室をはじめて訪れ、《湖畔》も鑑賞。《智・感・情》、《赤髪の少女》などとともに鑑賞。《湖畔》の空色を直に見れました。不思議な色です。
  • 《曲亭馬琴》(1907 鏑木清方記念美術館);真に迫る江戸の風情というところでしょうか。男性を題材にした鏑木の作品も《三遊亭円朝像》(1930)といい(記録はこちら)いいですね。
  • 《蓬莱仙境図》(五島美術館);この作品が五島美術館にあるとは、五島慶太も渋いですね。
  • 《ザムザ氏の散歩》(1954)《碑・姫》(1962、京都国立近代美術館)《発芽の様相》(1977、広島県立美術館)八木一夫のオブジェ。司馬遼太郎氏は「八木毒」という「えらい毒」に当てられたという。特に前者2点のなんとも不思議な形をした陶器のオブジェは今回の最大の収穫のひとつ。
    ほかにも安井曾太郎の絶筆《秋の城山》(1955)とかルオーの《たそがれ あるいはイルド・フランス》(1937、出光美術館)、ゴヤの《戦争の惨禍》(1810-1820)などなど。

    3Fにあがって、
  • 《落葉》菱田春草(1909、滋賀県立近代美術館)
  • 《エトルタの朝》(1883、朝日ピール株式会社)モネ
  • 《二菩薩釈迦十大弟子》(1939/48 棟方志功美術館)棟方志功;棟方志功美術館でも感激しましたが、池田満寿夫のいうように、傑作です。
  • 《雪富士》(1971 フジヤマミュジアム)横山操;ソ連に捕虜になったことが、画面に滲み出ている。ビデオを見ていると非常に筆を動かす早さが早いのに目がいった。

  • 《ナヴァグラハ(九曜星)》(1991-92)秋野不矩;インドでの感覚を残そうとした作品だそうだ。
  • 濱田庄司の流掛による創作のようすのビデオはなるほど年季ですね。
  • 富本憲吉の羊歯模様も、ビデオで様子をみると凄い細かい作業ですね。
  • 田中一村の作品は、はじめて。

    (9月30日)
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