秋季展 中国宋元画の精華
夏珪 牧谿 梁楷...日本人が愛した伝来の絵画
2006年10月3日~12月10日
畠山記念館
当館に所蔵する中国宋・元時代の絵画は、南宋院体画、禅僧による水墨山水画・人物画、着色の道釈画からなっています。長く日本人に愛好され、狩野派や土佐派などの画家の規範ともなった、いわゆる「宋元画」と称される一群です。決して数は多くありませんが、中国絵画史研究上見過ごすことのできない貴重な作品を含んでいます。
本展は、夏珪や牧谿、梁楷ほか日本にもたらされた「宋元画」のうち、「国宝 禅機図断簡」と「国宝 煙寺晩鐘図」を含む全十五点を紹介いたします。大名家や茶人に伝えられたこれらの作品を通して、日本における鑑賞の歴史の理解に役立てば幸いです。「宋元画」と時を同じくして制作され日本人に愛された青磁の諸作品と、季節の茶道具の取り合せも併せてご覧ください。
今年は、中国宋元画を順々に見るようにしています。この畠山記念館の秋季展では国宝が2点も出展されるので、見逃せません。しかし、あまりHPもチェックせずにいったら、前期、後期の2回でいいかと思っていたら、特別公開は下記の通り。都合三回訪れなければならないようです。
【特別公開】
国宝 禅機図断簡 因陀羅筆(10月3日~10月29日)
国宝 煙寺晩鐘図 伝 牧谿筆(10月31日~11月12日)
国宝 大慧宗杲墨跡 尺牘(11月14日~12月10日)
11月5日までの展示は、
1.重要美術品 二条切
3.出山釈迦図 伝 胡直夫 中峰明本賛
8.猪頭蜆子図 伝 梁楷筆(猪頭図~11月5日・蜆子図11月7日~)
9.騎牛老子図 俵屋宗達筆(10月3日~11月5日)
53. 藻魚図 伝 劉宷筆
56. 重要文化財 山水図 伝 夏珪筆(10月3日~11月5日)
58. 重要美術品 老子出関図 伝 蘇漢臣筆(10月3日~11月5日)
61.琴碁書画図 伝張路筆(琴碁図の二幅が展示されていた)明時代
62.藻魚図 頼庵筆 元時代(こちらは10/29まで)
後半の主な展示は、
重要文化財 竹林山水図 伝 夏珪筆(11月7日~12月10日)
重要美術品 篠虫図 伝 趙昌筆(11月7日~12月10日)
蓮鷺図 伝 牧谿筆(11月7日~12月10日)
達磨図 無準師範賛(11月7日~12月10日)
など
このほかに、会期を通して、
探幽縮図 狩野探幽筆
青磁浮牡丹瓢形花入
青磁鳳凰耳花入
御所丸茶碗 銘 堅田
古瀬戸肩衝茶入 銘 円乗坊
など展示されている。
まずは、宋元画のみ感想を。
3.出山釈迦図 伝 胡直夫 中峰明本賛;元時代;顔はボカシタ筆で細筆で目を書く。「笹葉中峰」らしい字体で賛。
5.国宝 禅機図断簡 李渤参智常図 因陀羅筆 楚石梵賛 津軽家伝来 元時代;今年は2枚目。1枚目はブリジストンで拝見。この図は、図録によれば、「江州の刺史李渤は大変な読書家で万巻の書を読破したが、ある時「維摩経」の「芥子粒に須弥山を納れる」という語をどうしても理解することができず、深く帰依する智常禅師を訪ねて問いはじめてその意味を悟ることができたという図を描いたもの」(他の禅機図断簡の説明はこちら)
8.猪頭蜆子図 伝 梁楷筆 松平不昧箱書 北条早雲所持 南宋時代;双幅のうち今回の展示は、猪頭図。粗筆だが、力強い衣服の筆が素晴らしい。特に足元の筆遣いは風を切るよう。パンフレット表紙。
53. 藻魚図 伝 劉宷筆 元時代; 九匹の大小の藻魚が画面いっぱいに泳ぐさまを描く。鱗はリアリステック。
56. 重要文化財 山水図 伝 夏珪筆 芸州浅野家伝来 狩野常信箱書 南宋時代;西湖の風景を基に描かれたとされ、遠くに連山、広い水面、手前には橋亭、近くには山すその叢樹を描く。山水図らしい、山水図。本来は消失とした「江城図」と双幅であったという。台湾故宮博物院の夏珪の「渓山清遠図巻」にも同様な場面があることが重要視されているという。
58. 重要美術品 老子出関図 伝 蘇漢臣筆 原三渓旧蔵 元時代;今回唯一の彩色画;老子が乱世を避け西方に逃れ函谷関にいたり関守の尹喜に「老子道徳経」を語った後、牛に乗って出関したという故事は、「老子騎牛」の画題で好んで取り上げられる。ここでは、赤い法衣を着た釈迦風に老子が描かれ、白い牛にまたがる。尹喜婦人も弁財天風。さらに後方には尹喜。赤と緑が美しい色合いを保っている。
61.琴碁書画図 伝張路筆(琴碁図の二幅が展示されていた)明時代;
62. 藻魚図 頼庵筆 元時代;こちらは藻魚が一匹、鱗もぼかして描く。上下薄茶地文字入緞子が面白い。亀、壽、福、長、命などの字と鳳凰、牡丹?などを織り込んだ緞子が上下に表装されている。
他に、
9.騎牛老子図 俵屋宗達筆;老子が黒い牛に横すわりで乗る図。牛の黒々とした書きっぷりが宗達です。ちょっと頭部と特に腹は水で薄めて描く。胴もうっすら筆跡で牛を描く。灰色(白色)になるように牛を縁取る。どうやって描いたのか。
65.探幽縮図 狩野探幽筆 河鍋暁斎旧蔵;はじめてじっくりと拝見しました。面白いですね。模写が縮図で並んでいます。
書、青磁、茶道具については別稿を起こします。
(7日)
夏珪 牧谿 梁楷...日本人が愛した伝来の絵画
2006年10月3日~12月10日
畠山記念館
当館に所蔵する中国宋・元時代の絵画は、南宋院体画、禅僧による水墨山水画・人物画、着色の道釈画からなっています。長く日本人に愛好され、狩野派や土佐派などの画家の規範ともなった、いわゆる「宋元画」と称される一群です。決して数は多くありませんが、中国絵画史研究上見過ごすことのできない貴重な作品を含んでいます。
本展は、夏珪や牧谿、梁楷ほか日本にもたらされた「宋元画」のうち、「国宝 禅機図断簡」と「国宝 煙寺晩鐘図」を含む全十五点を紹介いたします。大名家や茶人に伝えられたこれらの作品を通して、日本における鑑賞の歴史の理解に役立てば幸いです。「宋元画」と時を同じくして制作され日本人に愛された青磁の諸作品と、季節の茶道具の取り合せも併せてご覧ください。
今年は、中国宋元画を順々に見るようにしています。この畠山記念館の秋季展では国宝が2点も出展されるので、見逃せません。しかし、あまりHPもチェックせずにいったら、前期、後期の2回でいいかと思っていたら、特別公開は下記の通り。都合三回訪れなければならないようです。
【特別公開】
国宝 禅機図断簡 因陀羅筆(10月3日~10月29日)
国宝 煙寺晩鐘図 伝 牧谿筆(10月31日~11月12日)
国宝 大慧宗杲墨跡 尺牘(11月14日~12月10日)
11月5日までの展示は、
1.重要美術品 二条切
3.出山釈迦図 伝 胡直夫 中峰明本賛
8.猪頭蜆子図 伝 梁楷筆(猪頭図~11月5日・蜆子図11月7日~)
9.騎牛老子図 俵屋宗達筆(10月3日~11月5日)
53. 藻魚図 伝 劉宷筆
56. 重要文化財 山水図 伝 夏珪筆(10月3日~11月5日)
58. 重要美術品 老子出関図 伝 蘇漢臣筆(10月3日~11月5日)
61.琴碁書画図 伝張路筆(琴碁図の二幅が展示されていた)明時代
62.藻魚図 頼庵筆 元時代(こちらは10/29まで)
後半の主な展示は、
重要文化財 竹林山水図 伝 夏珪筆(11月7日~12月10日)
重要美術品 篠虫図 伝 趙昌筆(11月7日~12月10日)
蓮鷺図 伝 牧谿筆(11月7日~12月10日)
達磨図 無準師範賛(11月7日~12月10日)
など
このほかに、会期を通して、
など展示されている。
まずは、宋元画のみ感想を。
他に、
書、青磁、茶道具については別稿を起こします。
(7日)