歌麿と栄之-歌麿没後200年・栄之生誕250年-(後期)
2006年10月1日から26日
太田記念美術館
前期の記録はこちら
さて後期は、鳥文斎栄之をメインとした展示です。栄之は、浮世絵師には珍しく、旗本という身分の高い武士という特異な経歴を持つ絵師で、栄之の美人画は、その出自を反映してか、上品で風雅な落ち着きに満ちています。何といっても今回のハイライトは4点の栄之の肉筆美人画がお勧め。
鳥文斎栄之の肉筆美人画
まず、床の間に栄之の肉筆画がかけられています。故事にちなむ美人肉筆画。今回の展示のハイライトです。優品です。
吉原女芸者図 鳥文斎栄之;芸者3人が歩く姿を描きます。
胡蝶の夢図 鳥文斎栄之画、大田南畝賛;蝶になった夢を見た荘子は、自分が蝶になった夢をみたのか、蝶が夢を見て今の自分になったのか疑ったという故事に基づく。夢と書いた団扇を持った五本の簪で髪を飾る芸者が赤い肘掛について横たわる図。芸者の着物には、蝶を誘う花の絵柄。
西王母図 鳥文斎栄之;桃の花の下で、桃を花を浮かべた杯をもって立つ西王母。黄地。
毛延寿図・王昭君図 鳥文斎栄之 双幅;白地 絶世の美人の王昭君。毛延寿が賄賂を渡さなかったので一番醜く描かれて、それがもとで匈奴の人質となってしまう。
鳥文斎栄之の版画
まつ葉や内 冨川 おなみ みなみ;先日、東博で3枚揃いで拝見しました。
見立五人の茶屋女;菊本おはん、立花屋おたつ、難波屋おきた、高島おひさ、中村屋おもよの五人の女性。雁金五人男に見立てられており、手ぬぐいを肩に尺八を手に見栄をきる
隅田川舟遊図(5枚組み);「吉野」丸のなかで子供が踊る春駒を楽しむ図。
松葉や内喜瀬側 こけの さしの、扇屋内瀧川 めなみ となみ、ついしや内ときわづ ? ?;新造二人と禿二人と5人ずつ描く。
七賢人略美人新造揃 てうしや内とき哥;とき哥が草双紙をを読む。背後には竹林の屏風
鳥文斎栄之の肉筆風景画
御殿山富士望遠図 大田南畝賛;茶地
富士図 大田南畝賛;白地墨書
秋の隅田川図 茶地;屋根船を浮かべ月見に興じるさま、後ろには四手網(シースルーに描かれ見事)を使って魚をとる船。白抜きで描かれた三囲神社の鳥居。満月が空に浮かぶ。手前の川岸にはススキ。
江戸四季風俗図 双幅 墨地。丸や四角や扇で画面を区切り、それぞれに四季の花や風俗を描く。左福は丸に美人三人が舟から降りる図。右幅は雪景色に傘差す三美人図。
不忍之池図、新吉原図、三囲図
三囲富士望遠図
鳥文斎栄之の絵巻と扇
絵巻 隅田川両岸一覧図;御殿山、品川宿から永代橋から大川橋まで四つの橋の両岸を描く長い絵巻。
潅仏会 扇;
月夜の木菟 扇;
吉原十二時絵巻
このあと、弟子の栄昌、栄里、栄水などが並ぶ
後半は、喜多川歌麿
喜多川歌麿
見立美人六歌仙
-大伴黒主 高島おひさ
-在原業平 矢場おみや
-小野小町 扇屋花扇
-僧正遍照 富本豊雛
-文屋康秀 平野屋おせよ
-喜撰法師 難波屋おきた
に見立てています。
七福美人器量競
高島おひさ、難波屋おきた、菊本お半、平野屋おせよ、立花屋おたつ、藤屋おたよ、芸者 富本豊雛
扇屋内花扇;通用徳成による狂歌が添えられている、新造二人、禿一人
扇屋内瀧川 男なみ、女なみ;あと禿二人を描く。黄つぶし
青楼十二時 戌の刻;遊女がなじみ客に手紙をしたためる図。禿になにか耳打ち。
青楼七小町 若那屋内白露;五本簪の遊女の大首絵 正銘歌麿
風俗三段娘 上品之図;黒地の振袖姿に団扇を持つ娘
中田屋;向島の料理屋。坐る女性すがたと、障子の向こうのシルエット。
針仕事;黄つぶし
1793年の町触れにより遊女以外の女性の名を記すことが禁じられた。見立美人六歌仙や七福美人器量競など市井の美人も描いた作品は、まあ本人は急に江戸の町のアイドルになってしまうわけで、どんな感じだったのだろうと思うわけですが、それが禁止されてしまったということです。
五人美人愛敬競 松葉屋内喜瀬川;五本簪の遊女の大首絵 朝顔の団扇
うちわもつ美人 毛剃りの描写が見事
大文字屋内一茂登
母と子;細腕、細面
風俗美人時計 子の刻;画面の右端の緑の布地と赤、茶の着物の色合いが妙
菓子袋を三美人図;雲母摺り(銀地)
音曲恋の操 おこま 才三郎;享和年間;
忠臣蔵二段目;享和年間;
忠臣蔵十一段目;享和年間;摺り色が佳い
当世女風俗通 下品の女房;針に糸を通す簪をひとつの女性;
江戸名所遊
いろは揃 よたれ そつねな
狩野栄川院典信の扇
鳥文斎栄之が絵の手ほどきを受けた狩野栄川院典信の作品。
雪中柳に鷺図
駿馬図;金地墨彩
馬図;金地墨彩
紅梅図;金地墨彩
など。
損保ジャパン東郷青児美術館にいったのですが、無料ということで長蛇の列。あきらめて、原宿にある太田記念美術館へ。初日10:30開館直後、小雨交じりにも関わらず、随分と熱心なファンが多いようで、数人すでに先客がおりました。
(1日)
2006年10月1日から26日
太田記念美術館
前期の記録はこちら
さて後期は、鳥文斎栄之をメインとした展示です。栄之は、浮世絵師には珍しく、旗本という身分の高い武士という特異な経歴を持つ絵師で、栄之の美人画は、その出自を反映してか、上品で風雅な落ち着きに満ちています。何といっても今回のハイライトは4点の栄之の肉筆美人画がお勧め。
鳥文斎栄之の肉筆美人画
まず、床の間に栄之の肉筆画がかけられています。故事にちなむ美人肉筆画。今回の展示のハイライトです。優品です。
鳥文斎栄之の版画
鳥文斎栄之の肉筆風景画
鳥文斎栄之の絵巻と扇
このあと、弟子の栄昌、栄里、栄水などが並ぶ
後半は、喜多川歌麿
喜多川歌麿
-大伴黒主 高島おひさ
-在原業平 矢場おみや
-小野小町 扇屋花扇
-僧正遍照 富本豊雛
-文屋康秀 平野屋おせよ
-喜撰法師 難波屋おきた
に見立てています。
高島おひさ、難波屋おきた、菊本お半、平野屋おせよ、立花屋おたつ、藤屋おたよ、芸者 富本豊雛
1793年の町触れにより遊女以外の女性の名を記すことが禁じられた。見立美人六歌仙や七福美人器量競など市井の美人も描いた作品は、まあ本人は急に江戸の町のアイドルになってしまうわけで、どんな感じだったのだろうと思うわけですが、それが禁止されてしまったということです。
狩野栄川院典信の扇
鳥文斎栄之が絵の手ほどきを受けた狩野栄川院典信の作品。
など。
損保ジャパン東郷青児美術館にいったのですが、無料ということで長蛇の列。あきらめて、原宿にある太田記念美術館へ。初日10:30開館直後、小雨交じりにも関わらず、随分と熱心なファンが多いようで、数人すでに先客がおりました。
(1日)