北斎展(後半) @東京国立博物館
25日、北斎展(前半)(観覧期はこちらとこちら)にひきつづき、後半に行ってきました。金曜日の夜間は多少は空いていると東京国立博物館のホームページに書いてあるのですが、1830頃に上野駅に到着すると国立博物館に向かう人が可也います。凄い人出。会期も後半ということもあるのでしょうが、混雑々々です。空いているところを探して2周しましたが、冨嶽三十六景は、2回とも混んでいてまともに見れない、20:00の閉館間際にもう一度最後の「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)期」を鑑賞しようとしたら、それはそれで混んでいるという凄い有様です。空いていたのは19:30過ぎた時点の第一室から第二室ぐらいでした。2日金曜日を狙っていく方は、仕事をなるべく早く切り上げて、16:00過ぎに行ってみてはどうでしょうか?
関連BLOG:世界美術館紀行 フリーア・ギャラリー
第1期 「春朗(しゅんろう)期」 20歳〜
2 ふく清女ぼう 中村里好 細判 東京国立博物館
女性のポーズは、ちょっと反った姿勢で肉筆画と同じです。
15 新板浮絵化物屋鋪百物語の図 横大判 ボストン美術館
よくみると化け物屋敷。楽しい気分。
21 風流男達八景 文七の落雁 中判 シカゴ美術館
典型的な浮世絵の構図。窓の外に飛ぶ雁が風流。
8 渦ケ渕勘太夫 高嵜市十郎 間判 シカゴ美術館
9 鬼面山谷五郎 出羽海金蔵 間判 東京国立博物館
相撲絵です。膝の力瘤の表現はこのころからあります。
28 (五代目市川団十郎の暫)色紙判摺 ケルン東洋美術館
摺物です。
第2期 「宗理(そうり)期」 36歳頃〜
48 風流無くてなゝくせ ほおずき 大判 メトロポリタン美術館蔵
前期の「遠眼鏡」と同様の美人大首絵です。海老茶が斜めに走る背景が目に入りますが、襟のピンク、着物の薄茶の柄のグラデーションが粋です。
58 新板浮絵忠臣蔵 第八段目 横間判 東京都江戸東京博物館蔵
舞台ですが、舞台背景が風景画のようです。
62 王子 横大判 シカゴ美術館蔵
63 上埜 横大判 ベルギー王立美術歴史博物館蔵
前期の亀井戸開帳、蟻通明神とともに、ベルギー王立美術歴史館のこのシリーズは発色がすばらしいです。
93 鱗彌引札 東京国立博物館蔵
前期にも見ましたが、黄色が鮮やか
71 たかはしのふじ 横中判 房総浮世繪博物館蔵
冨嶽三十六景を髣髴とさせる構図の「たか」げたの「はし」の向こうに「ふじ」の構図。なまこ壁の表現が妙。
72 賀奈川沖本杢之図 横間判 墨田区蔵
この作品も、後年の冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏の構図につながります。
97 亀図 色紙判摺物 葛飾北斎美術館蔵
朱鮮やか
99 門前の往来 横長判摺物 東京国立博物館蔵
叙情性のみちた女性。このあと何点か発色のいい作品がならんでいましたが省略。
125 『美やこ登里』 狂歌絵本 シカゴ美術館蔵
126 『はるの不尽』 狂歌絵本 フリーア美術館/アーサー・M.サックラー美術館図書館蔵
この2点は、発色がすばらしい。特に後者の状態のよさは秀逸。これが同じ「狂歌絵本」?といいたくなる。往時もてはやされたのが色合い偲ばれます。
第3期 「葛飾北斎期」 46歳頃〜
169 仮名手本忠臣蔵 三段目 横大判 東京国立博物館蔵
170 仮名手本忠臣蔵 五段目 横大判 東京国立博物館蔵
この2点も発色がよかった。
202 五美人図 絹本着色 細見美術館蔵
五人も美人が所狭しと描かれていて華麗
209 大黒に二股大根図 紙本着色 葛飾北斎美術館蔵
画題とおり剽軽な作品
217 鯉図 紙本着色 埼玉県立博物館蔵
水面の様子描いた作品。前期にあった379游亀や後出てくる488流水に鴨図につながる。
第4期 「戴斗(たいと)期」 51歳頃〜
225 『北斎写真画譜』 絵手本 フリーア美術館/アーサー・M.サックラー美術館図書館蔵
前期と違って彩色のページでなく残念。
242 列子図 絹本淡彩 ミネアポリス美術館蔵
風を描いた作品。
第5期 「為一(いいつ)期」 61歳頃〜
289 冨嶽三十六景 山下白雨 横大判 シカゴ美術館蔵
とにかく混んでいて、 冨嶽三十六景は楽しめず。この1点は、前期と違って、摺り色が最高です。
320 千絵の海 絹川はちふせ 横中判 東京国立博物館蔵
321 千絵の海 五島鯨突 横中判 東京国立博物館蔵
322重美 千絵の海 甲州火振 横中判 東京国立博物館蔵
324 千絵の海 総州銚子 横中判 千葉市美術館蔵
前期の展示の千絵の海より、水しぶきの表現が特徴的な作品が並んでいます。「絹川はちふせ」には久慈川あたりで現在も行われている漁法を思い出した。五島鯨突は、その土地柄を思い出せる画題。総州銚子は、神奈川沖浪裏にも似た構図だが,富士が見えないのが残念。
349 小禽に虻 中判 東京国立博物館蔵
350 雀に朝顔 中判 葛飾北斎美術館蔵
351 波に千鳥 中判 葛飾北斎美術館蔵
鳥の表現は、秀逸です。この表現が472柳に烏図などにつながります。
354 鯉 団扇絵 ギメ美術館蔵
鯉の画題は多いです。
357 西村屋版横大版花鳥シリーズ 芥子 横大判 墨田区蔵
日経に紹介されていた作品。芥子が風に吹かれるさまを捕らえる。
366 西村屋版横大版花鳥シリーズ 百合 横大判 シカゴ美術館蔵
背景の水色の発色のよさ。それにしても艶かしく画面中央を横切る百合
436 寒山拾得図 絹本着色 墨田区蔵
伝統的な画題に赤い紅葉が画面のアクセント
437 歌占図 紙本淡彩 大英博物館蔵
文政丁亥十年正月筆始。歌で新年を占うという正月らしい画題。
438 堀川夜討図 絹本着色 個人蔵
着物が豪華な画面。人物を三人縦に重ねて描く。
第6期 「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)期」
465 前北斎卍筆 肉筆画帖 (蛙とゆきのした、塩鮭と鼠、蛇と小鳥、鰈と撫子、桜花と包み)
この作品だけは並んでもゆっくりと鑑賞したい作品。蛙の片足上げた様や、蛙とゆきのしたの繊細な描写、そして画面横切る赤い枝の構図。塩鮭と鼠と笑みをさそうかと思えば、蛇と小鳥と緊張感。見事に描かれた鰈とアクセントをそえる赤い撫子。透明な包みに桜の花を包んで持ち帰るというはかなさ。どれも繊細な描写と画題が呼び起こす感情があわせて訴えかけてくる素晴らしい作品。
465 春日山鹿図 絹本着色 氏家浮世絵コレクション(鎌倉国宝館内)蔵
淡色の春日の山に鹿が二匹。よくみると鹿が素晴らしい。かなりデフォルメされて意匠と繊細な筆致によるボリューム感。
475 桜に鷲図 絹本着色 氏家浮世絵コレクション(鎌倉国宝館内)蔵
何でこんなに大きくそしてリアルに描くの。本当に怖いです。
481 鍾馗騎獅図 紙本着色 出光美術館蔵
騎獅にまたがり空を飛ぶ鍾馗。躍動的に空を飛ぶ。そして爪をむいた騎獅の威圧感。よくみると騎獅の肌は丸でデザインされています。
483 羅漢図 紙本着色 太田記念美術館蔵
244羅漢図と同じ構図。こちらは丹念に描かれている。人物の表現は筋肉質。煙のようすは、すすける様が見事。そして赤い稲妻が小さく光る。
487 柳に燕図 紙本着色 墨田区蔵
長らく所在が不明だった作品だそうだ。向かいに展示されている472柳に烏図には秋を感じたが、こちらの作品には明るい春風を感じる。
488 流水に鴨図 絹本着色 大英博物館蔵
217 鯉図から表現を追及した水面が墨色で表現されている
495 富士越龍図 絹本墨画淡彩 北斎館蔵
嘉永二年正月辰の日の絶筆とされる作品。この年の四月に北斎は亡くなる。黒雲の濃淡の表現そして緻密な龍の筆致は最後まで衰えない。
最後に。何周も回ると晩年の作品に初期の画題から発展していくのが垣間見れ、北斎が堪能できました。
P.S.本棚から93年に東武百貨店で開催された大北斎展(朝日新聞社)の図録がでてきました。まったく覚えていませんでした。ぱらぱらとめくると、今回の冨嶽三十六景は、やはり発色がすばらしいです。そして、肉筆画も充実しています。逆に版画のシリーズは、大北斎展では展示されていたものも多少あるようです。とにもかくにも、BLOGで記録するという行為と東京国立博物館らしい年代順の展示が私の北斎への理解を深めたといえるでしょう。次の北斎展はまた十年後でしょうか。
25日、北斎展(前半)(観覧期はこちらとこちら)にひきつづき、後半に行ってきました。金曜日の夜間は多少は空いていると東京国立博物館のホームページに書いてあるのですが、1830頃に上野駅に到着すると国立博物館に向かう人が可也います。凄い人出。会期も後半ということもあるのでしょうが、混雑々々です。空いているところを探して2周しましたが、冨嶽三十六景は、2回とも混んでいてまともに見れない、20:00の閉館間際にもう一度最後の「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)期」を鑑賞しようとしたら、それはそれで混んでいるという凄い有様です。空いていたのは19:30過ぎた時点の第一室から第二室ぐらいでした。2日金曜日を狙っていく方は、仕事をなるべく早く切り上げて、16:00過ぎに行ってみてはどうでしょうか?
関連BLOG:世界美術館紀行 フリーア・ギャラリー
第1期 「春朗(しゅんろう)期」 20歳〜
女性のポーズは、ちょっと反った姿勢で肉筆画と同じです。
よくみると化け物屋敷。楽しい気分。
典型的な浮世絵の構図。窓の外に飛ぶ雁が風流。
相撲絵です。膝の力瘤の表現はこのころからあります。
摺物です。
第2期 「宗理(そうり)期」 36歳頃〜
前期の「遠眼鏡」と同様の美人大首絵です。海老茶が斜めに走る背景が目に入りますが、襟のピンク、着物の薄茶の柄のグラデーションが粋です。
舞台ですが、舞台背景が風景画のようです。
前期の亀井戸開帳、蟻通明神とともに、ベルギー王立美術歴史館のこのシリーズは発色がすばらしいです。
前期にも見ましたが、黄色が鮮やか
冨嶽三十六景を髣髴とさせる構図の「たか」げたの「はし」の向こうに「ふじ」の構図。なまこ壁の表現が妙。
この作品も、後年の冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏の構図につながります。
朱鮮やか
叙情性のみちた女性。このあと何点か発色のいい作品がならんでいましたが省略。
この2点は、発色がすばらしい。特に後者の状態のよさは秀逸。これが同じ「狂歌絵本」?といいたくなる。往時もてはやされたのが色合い偲ばれます。
第3期 「葛飾北斎期」 46歳頃〜
この2点も発色がよかった。
五人も美人が所狭しと描かれていて華麗
画題とおり剽軽な作品
水面の様子描いた作品。前期にあった379游亀や後出てくる488流水に鴨図につながる。
第4期 「戴斗(たいと)期」 51歳頃〜
前期と違って彩色のページでなく残念。
風を描いた作品。
第5期 「為一(いいつ)期」 61歳頃〜
とにかく混んでいて、 冨嶽三十六景は楽しめず。この1点は、前期と違って、摺り色が最高です。
前期の展示の千絵の海より、水しぶきの表現が特徴的な作品が並んでいます。「絹川はちふせ」には久慈川あたりで現在も行われている漁法を思い出した。五島鯨突は、その土地柄を思い出せる画題。総州銚子は、神奈川沖浪裏にも似た構図だが,富士が見えないのが残念。
鳥の表現は、秀逸です。この表現が472柳に烏図などにつながります。
鯉の画題は多いです。
日経に紹介されていた作品。芥子が風に吹かれるさまを捕らえる。
背景の水色の発色のよさ。それにしても艶かしく画面中央を横切る百合
伝統的な画題に赤い紅葉が画面のアクセント
文政丁亥十年正月筆始。歌で新年を占うという正月らしい画題。
着物が豪華な画面。人物を三人縦に重ねて描く。
第6期 「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)期」
この作品だけは並んでもゆっくりと鑑賞したい作品。蛙の片足上げた様や、蛙とゆきのしたの繊細な描写、そして画面横切る赤い枝の構図。塩鮭と鼠と笑みをさそうかと思えば、蛇と小鳥と緊張感。見事に描かれた鰈とアクセントをそえる赤い撫子。透明な包みに桜の花を包んで持ち帰るというはかなさ。どれも繊細な描写と画題が呼び起こす感情があわせて訴えかけてくる素晴らしい作品。
淡色の春日の山に鹿が二匹。よくみると鹿が素晴らしい。かなりデフォルメされて意匠と繊細な筆致によるボリューム感。
何でこんなに大きくそしてリアルに描くの。本当に怖いです。
騎獅にまたがり空を飛ぶ鍾馗。躍動的に空を飛ぶ。そして爪をむいた騎獅の威圧感。よくみると騎獅の肌は丸でデザインされています。
244羅漢図と同じ構図。こちらは丹念に描かれている。人物の表現は筋肉質。煙のようすは、すすける様が見事。そして赤い稲妻が小さく光る。
長らく所在が不明だった作品だそうだ。向かいに展示されている472柳に烏図には秋を感じたが、こちらの作品には明るい春風を感じる。
217 鯉図から表現を追及した水面が墨色で表現されている
嘉永二年正月辰の日の絶筆とされる作品。この年の四月に北斎は亡くなる。黒雲の濃淡の表現そして緻密な龍の筆致は最後まで衰えない。
最後に。何周も回ると晩年の作品に初期の画題から発展していくのが垣間見れ、北斎が堪能できました。
P.S.本棚から93年に東武百貨店で開催された大北斎展(朝日新聞社)の図録がでてきました。まったく覚えていませんでした。ぱらぱらとめくると、今回の冨嶽三十六景は、やはり発色がすばらしいです。そして、肉筆画も充実しています。逆に版画のシリーズは、大北斎展では展示されていたものも多少あるようです。とにもかくにも、BLOGで記録するという行為と東京国立博物館らしい年代順の展示が私の北斎への理解を深めたといえるでしょう。次の北斎展はまた十年後でしょうか。










TBありがとうございました。
終わってしまいましたね。
最終日は雨が降ったようです。
別れの涙雨でしょうか。
時間延長してくれるなど
東博も随分頑張りましたね。
書きたいことがいっぱいすぎる展覧会でした(^^;
http://www5f.biglobe.ne.jp/~itukamitaaoisora/hokusai.htm