たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

星組『食聖』『エクレールブリアン』_終わりがあるから美しい

2019年08月12日 22時45分56秒 | 宝塚



今日もしゃくねつじごくの中、朝から宝塚では紅飯店が無事に開店したようでよかったです。15日と16日、台風で退団公演が中止になったりしないといいですが心配。それてくれるといいな。わたしは昨日無事に行けましたがこれからまだ観劇予定のみなさんが無事に観劇できますように。星組のみなさんが無事に千穐楽を迎えられますように・・・。

 断片的に思い出すままに備忘録。

『エクレールブリアン』、ボレロの場面、少しずつ色合いの違う緑色の衣装が素敵でした。生地の光沢が美しくてお高いものなんだろうなと素人目に思いました。さざなみのように波打つ衣装をまとった星組生たちの、床をうつ靴の音と手拍子の音が広い大劇場に沁みわたるように響く静逸な時間。最初は組子と同じ緑色の衣装で登場した紅さん、暗転の時からひときわ光っていましたが、最後は、階段の上にスペインのフラメンコのような衣装で登場。階段が回るなかで踊る姿がこれまた輝きをはなっていました。舞台上の全員が紅さんに集中していくラストまでの流れが圧巻で息をのむ美しさでした。一つ狂ってしまうと全てが狂ってしまう緊張感が張り詰めるなかで組子たちの息使いが観客にきこえてきそうな、静逸な時間でした。四週間前は長い場面だと感じたのですが昨日はあっという間でした。この素晴らしさを伝える言葉が自分の中になさすぎ。燕尾服の場面、琴さん率いる男役さん5人のダンスが終わろうとしているところで暗転となり、紅さんが一人大階段を降りてくる。そして照明があたるまでのほんの数秒間、襟を正して燕尾服に魂を込めるおごそかな時間、男役18年の誇りが広い大劇場を包み込んでいました。紅さんの男役魂、宝塚を愛する想いに劇場中が満たされた一瞬の時間、照明があたると三味線演奏にのって、ダンスが上手いとは言えないかもしれない紅さんがひとり踊る姿から気迫が伝わってきました。そして、ピンク色のドレスに身を包んだ娘役さんたちが登場し、ひらひらと美しいドレスさばきで紅さんを包み込むように踊るのは、桜の季節ではないけれど桜の花びらたちが卒業していく紅さんを送り出す演出のようにみえるという書き込みをツィッターでみかけてなるほどと思いました。紅さんが愛おしそうに花びらを拾うようなしぐさをする場面もあったかな。極楽鳥の場面で使われている楽曲わたしにはわかりませんが、小学生の時宝塚にときめき憧れ続けた少女の儚い夢への想いを歌っているようにきこえて、極楽鳥から燕尾服への流れは涙でした。紅さんが一歩一歩嚙みしめるように銀橋を渡り終えると琴さん率いる燕尾服の男役さんたちが大階段に登場し、一番上にいる男役さんから順繰りに白から黒だったかな、回転していくのが一縷の乱れもなく見事にそろっていて、みなさん気迫がこもっていました。その頂点に立ち踊る紅さんに18年間の想いが滲み出ていました。感じたことを十分に表現できる言葉を持ち合わせないのが残念です。燕尾服ではなかったですが一路さんの退団公演で大階段を登っていく一路さんを高嶺さん率いる男役群舞が順繰りに膝を折って一路さんを送る場面があったことをふと思い出しました。たーたんの退団公演のプログラムを見返すと、紅さんラインダンスには出ていなかったですね、フィナーレ群舞の男役の一番下にお名前があります。少し上に柚希さん、万里柚美組長は上級生の娘役、美希副組長は男役中堅ぐらいかな。18年という歳月の重さをあらためて感じます。たーたんは紅さんのこと、印象に残っているかな、気になります。

 クンバンチェロのあとに登場した愛里さん、ツィッターの書き込みにあるように黒髪ショートで前髪ぱっつんだったと思います。常に鬘を工夫して変えてくるのですね。どれもお似合い、そして歌が上手い。声量ゆたかに歌い上げていました。可愛らしく、同時にトップ娘役としての貫禄十分。ライブビューイングでみた『スカーレットピンパーネル』を思い出すとものすごい成長ぶりだと思います。今が円熟の極み。退団もったいないと思ってしまいますが一番いい時に辞めたいと瀬奈じゅんさんがどこかで話していましたね。












『食聖』のラスト大団円、厳しいご意見もあるかもしれませんが、「ハッピーでなければエンドではない」、ハッピーなエンドは幸せな気持ちにさせてもらえます。退団公演の芝居のラストが子宝父さんと母さんのトップコンビ、ホンがおぶっている赤ちゃん、もちろん小道具ですがふくらはぎがリアルな子ども感にあふれているようにみえてすごく可愛かったし、なぜか夫婦の顔がすごく似ているようにみえました。アイリーンママのたれ目が逞しくも幸せにあふれていて、ラストの台詞が「パパのつくる料理は世界一」。パパの台詞は「子どもがどんどん生まれるからまだまだ稼ぐぜ、仕事だ、仕事だ」。バックのお店の名前が紅&愛麗飯店になっていることをオペラグラスで確認しました。ホンとリーがラップで対決する場面、ツィッターでみかけたアイリーンが牛魔王の鎮座していた椅子の上で魚を持って踊りながら?ホンを応援する姿もオペラグラスで確認しました。ホンが現われるまでアイリーンがポスター画像になっているミニのエプロンドレス姿で登場して場を持たせようとするのもよかったです。

 ホンがベンチに座ってアイリーンの手作りクッキーを受け取る場面の二人は、カールとマルギットにしかみえなくって何気に胸あつなりました。この場面の紅さん、より端正ですごく美しいと思いました。アドリブ冴えわたっていましたね。アイリーンがピンクのジャージ姿でホンのところへ抗議にくるとホンはアイリーンの声が聞こえない、聞こえないといった感じで人差し指で耳を何度もふさぐ仕草、自己破産して行き倒れている所を発見された時のわなわながパワーアップ、白目のむきかたも最高、ホンとアイリーンが言い合いをするところはなかなか終わらず、ニコラスだったかな?がまあまあと仲裁に入ってようやく終わりました。ホンが坐ったまま歩くところはアイリーンも同じように歩いたり、息ぴったり。アドリブ盛りだくさんでしたが美しさと品格を損なうことなく、やり過ぎずにやっているバランスがうまい。笑わずにはいられない場面はいっぱいあって、細かいところは観切れておらず認識できていないキャラクターもまだまだいて二回の観劇では目が足りなさ過ぎ。今回は地上に降りてきた牛魔王と鉄扇公主がタピオカミルクティー?を飲みながら歩いている姿も発見。次回はアイドルグループをもう少し認識したいです。

「オレ端正」って脚本にちゃんと書かれているんですね。行き倒れたところを助けられたあとはサングラスに長い足を椅子に掛けてお箸をもって登場、お茶目な紅さんもかっこいい紅さんも堪能できます。ホンがリーに包丁を投げて包丁がリーのちょうど目の前で壁にささる場面、どうなっているんでしょうね、気になります。









 次は19日の千穐楽ライブビューイング、その前に今日の深夜エルベとエストレージャスの舞台中継があるのですが明日出勤なのでみることはできません。明日も最高気温38度の予報。死なないようにしなければ。段捨離は少し進みましたが持ち返ってきた資料は結局全く手つかず。現実に戻るのつらいなあ。今月もお給料もらわないわけにはいかないのでやるしかありません。次の観劇を目指してふんばる、そのためにふんばる。

 笑うとなんだか幸せな気持ちになりますね、笑いは心のお薬、ありがたい。

旅の思い出_京都(2)

2019年08月12日 17時01分33秒 | 小さな旅の思い出
「1984年11月22日(木) 晴れ時々しぐれる

 自分の足でゆっくり歩いてみるのがいちばんいいな、なんといっても。
 京都は寒いときいていたけれど、夜になると寒いですね、本当に。
 はじめての京都のひとり旅。
 また、きたいなと思ってしまう。
 まだまだ行きたい所がたくさんあって困ってしまうな。
 明日は、ぶらりと嵐山へ行ってこよう。
 まだ、眠るまで時間はたっぷりある。
 何して過ごそうかな。」


「1984年11月23日(金)快晴

7:00 起床・朝食

8:00 ユースホステル出発
    同室の女の子二人で光悦寺へ。
    まだ人もいなくひっそりとしていて落ち着いたたたずまい。吐く息が白い。

8:32 源光庵前→四条大宮(市バス)

9:10 四条大宮→嵐山(京福電鉄)

9:30 嵯峨野・嵐山めぐり
     天龍寺、常寂光院、二尊院、竹のトンネル、から嵐山を野宮神社、
     落柿舎、じゅうたん苔、亀山公演の頂上から嵐山を眺望、あまざけをのむ

11;57 嵐山→太秦(京福電鉄)

12:10 東映太秦映画村 
     村内をぶらり歩き、ロケ場面を見る。休日なので人波をぬって歩くばかり。
     思ったより狭くて少しがっかり。

14:35 太秦→京都駅(京都バス)

15:52 京都発

18:06 〇〇着

18;45 自宅着

やっとかなえられた京都へのひとり旅。
ずっとお天気もよくてセーターを着ていると暑いほど。
紅葉もまだかなり残っていて十分楽しめた。
嵐山は去年も行ったので、今日は午前中嵯峨野を歩いた。
どこも落ち着いた雰囲気の庭ばかりでぶらり歩きが楽しかった。
じゅうたんのように苔むした庭、竹のトンネル、水面に散った紅葉、
京都にはなにかふるさとを感じる。
どことなくなつかしく気楽になって・・・
冬は寒さが厳しいだろうけどな・・・。

映画村は思ったよりもこじんまりしていてちょっぴり期待はずれ。
休日で人ばかり見ていたのでよけいそう感じたのかもしれない。
ロケを二か所でやっていた。
ロケーションスタジオをオープンセット、
何かを作り出すって時間がかかって大変なことだ。
それと高橋英樹のサイン会。
どこから来ていたのか、彼氏と彼女、
友だちと来ていることになっているから一緒に写真を撮ってほしいと頼まれてしまった。
わたしはやっぱり人がよさそうにみえるタイプなんだな。

時代劇の扮装をしている人があちこちにいた。
一緒に写真を撮るためだな。
まあ、面白い人には面白いのでしょう、という所。

今回泊まった北山ユースホステル、
常連が多い所のようだ。
通信大学の講習を受けるためだけに来ている人、
家が近くて、ふらりとギターを弾きに来る人、
北山ユースホステルに100泊以上している人etc
ペアレントがヘルパーを置かない主義の人だからどことなく他のユースホステルと雰囲気が違っている。
気に入った人には、すごくよくてやみつきになってしまうんだろうな、きっと。
 
関西から来ている人が多かったようだ。
関西の人って自分の主張がはっきりしているみたいだ、なんとなく。
関西弁、女の人も平気で使っていて、一緒にいると影響されてしまう。
兵庫から来ているという彼女、明るくてしっかりしていた。
もう少しお話したかったな。
ひとり旅は、一応今年だけにしようと思っていたけれど、なんだか惜しいなあ。
まだまだ行きたい所がたくさんあって、来年も続けたくなってしまった。
ガイドブックばかり増えてしまいそうだけれど、京都の中でもまだ行きたい所がある。
修学旅行以来行っていない金閣寺、宇治平等院、平安神宮、
奈良へも足を伸ばしたい。
ゆったりとしたスケジュールを組めばじっくり楽しめるし、
一度でいいから半月ほど気ままに旅したいな。
毎日思うままに暮らせば楽しいよね。
日常のつまらない事から全く離れて別世界。
仕事に戻るのが、もっといやになってしまうかもね。
ただ、旅は何かをみつける手段であって、最終目的ではないから惰性になってはいけない、
いつも新鮮でありたいと思う。」


天龍寺









大原来迎院









常寂光院








寂光院縁起










二尊院







東映太秦映画村







星組『食聖』『エクレールブリアン』_生きていてよかったと思えるひとときでした

2019年08月12日 00時29分09秒 | 宝塚
 四週間ぶりの宝塚大劇場、バスツアーを予約したのは4月だったか5月だったか、すごく長かったですが終わる時はあっという間。ほんの束の間、儚い夢のひととき、終わりがあるから美しいひととき、生きていてよかったと思えるひとときでした。世の中はお盆休みですね。自分関係ないのでわかっていなかったですが渋滞でバスが一時間半ぐらい遅れました。遠かったあ。お昼はバスの中でおにぎり三個。くすのきもフェリエもあきらめ、開演まで一時間半しかないのでとにかくついたら真っすぐ歌劇の殿堂へ。目標だったメモリアル展の映像を1回半堪能しました。メモリアル展、前回見落としていたかな、2002年初舞台で、大劇場公演での初台詞が2007年、最初で最後の新人公演主演が2008年。たーたんの退団公演のプログラムでは一番下のいちばんすみっこに顔写真が載っていた紅ゆずるさん。全く認識できていませんでしたが背が高いから一番真ん中で足上げていたのかな。『エクレールブリアン』でラインダンスのすぐあとに5人の極楽鳥を従えて登場したとき、この間に18年という、努力に努力に努力を重ねてきたであろう凄まじい歳月があるのだと思うと胸があつくなりました。一人大階段をシンプルな燕尾服で降りてきて三味線演奏にのって踊る姿に男役として過ごした18年という歳月の全てが込められているのだと思うと涙なりました。銀橋わたるとき、一歩一歩嚙みしめるように歩いている姿に涙なりました。芝居は星組生総出でわちゃわちゃと明るく楽しく、男役最後の場面がまさかの赤ちゃんおんぶしているのはあとにもさきにも紅さんだけでしょう。組子全員がそれぞれパワーアップしていてトップコンビは最高の円熟味。「星なんていらない」「星なんていらない」と二回繰り返したときはぐっとこみあげてくるものがあったようにお見受けしましたが最後は大団円でしんみり感なし。心の中では涙を流しているであろうに最後の最後まで笑顔なところが紅さんらしすぎます。琴さん、笑いのとる間の取り方がすごく上手くなっていてびっくり、いつの間にと思いましたが、頬がこけて顔が一回り小さくなってしまっているのにもびっくり。早くも忙しすぎてきついのかな、心配です。

 今日は一階席でした。愛月ひかるさんご観劇。顔みていませんが後ろ姿と雰囲気でわかりました。ものすごくかっこよかったです。ボレロの場面のフォーメーションをみることはできませんでしたが客席降りで天寿光希さんがすぐ後ろに。小顔美人でした。舞空瞳ちゃんと有沙瞳ちゃんも至近距離でした。どちらの瞳ちゃんも顔小さくって可愛いこと可愛いこと。極楽鳥の場面、紅さん、舞空瞳ちゃんとも目線を絡ませていました。プロローグ、琴さんが紅さんの顔をみてものすごくデレデレに嬉しそうにしているのをオペラグラス越しに確認。最後のトップコンビのデュエットダンスは愛里さんの安心しきった幸せそうな表情が全てを物語っていて、二年半は長くはないけれど作品に恵まれた相性のいい素敵なトップコンビだとメモリアル展をみながら思いました。

 芝居は楽しく色々な紅さんを堪能させてもらえて、とにやく賑やかすぎて目が足りず、ショーでは研ぎ澄まされた男役集大成の姿を堪能させてもらえて、四週間後の東京公演もありますが大劇場はこれが最後。千穐楽、ライブビューイングのカメラはどう捉えるのかな。星組と公演内容をよくわかっているカメラマンさんだといいな。

 四週間後は東京宝塚劇場公演二日連続観劇予定。休みをとって新幹線に乗って行くぞい。こうして観劇したいという気力があるうちはわたし大丈夫かな。この気力がわいてこなくなった時がセルフネグレクトの始まりなのだろうと思います。いずれ体は動かなくなるときは必ずやってくる。それでもこうしてなにかをしたいという気持ちを最後まで失わずいることができたら、それは幸せな人生なのかな。生きていてよかったと思えることはあまりないのでほんのひとときでも生きていてよかった思える時間と出会えたら幸せ。わたしがいなくなって困る人はいないので誰の為でもない、自分のために生きればいい。宝塚をいちずに愛し20年もの歳月を儚い夢にかけて生きた一人の人生に出会えてような二本立てとメモリアル展。生きていてよかったよ、出会えてよかったよ。

2019年8月11日(日)の花のみち、暑かったけど緑があると違いますね。