やがて、家の灯りがみえ始めたとき、マサオは、ほっと安どの吐息をついた。やっとついたのだ。だが、どこにも灯りはついていない。ああ、やっぱりぼくは捨てられた子なんだ。マサオは、がっかりした。やっぱり家に入るのはよそう。どろんこのすがたを父さんや母さんにみられるなんていやだ。きっとどんなにかはずかしいだろう。
だが、マサオの小さな頭は、それ以上のことを考えるには、あまりにつかれていた。マサオは、よろよろとげんかんの前に坐りこむと、そのまま深いねむりに入った。
目をさますと、ラヴェンダーのとてもいい香りがする。母さんのにおいだ。マサオは目をあけた。ぼくはあったかいふとんの上にねている。マサオは昨夜のことをすっかり思い出した。そうか、きっと母さんがぼくを見つけてねかせてくれたんだ。その時、母さんが戸をあけて入ってきた。
「母さん・・・」
マサオは、しゃにむに母さんのうでにしがみついた。母さんは、だまってマサオを抱きしめた。マサオは、しばらくのあいだしゃくりあげていた。それから、
「ごめんね、母さん」
といいながら、もう一度母さんにしがみついた。
「もうなにもいわなくてもいいわ、お兄ちゃんがそんなに泣いたりしたら、赤ちゃんがびっくりするわよ」
母さんの布団の横では、ちひろが気持ちよさそうにすやすやと眠っていた。マサオは、母さんの腕からはなれると、ちひろのまるまると太った小さな手にそっとさわった。
「ごめんね、ちひろ」
**********************
つたないお話はこれで終わりです。
一応市の文芸祭の入選作品でした。
主人公が男の子なのにどことなく女の子くさいのは作者自身の投影かと評された記憶があります。
読んでくださり、ありがとうございました。
ずっと先に自費出版した童話集から載せてしまうかもしれません。
コスモスの写真は、インターネットからダウンロードしました。
だが、マサオの小さな頭は、それ以上のことを考えるには、あまりにつかれていた。マサオは、よろよろとげんかんの前に坐りこむと、そのまま深いねむりに入った。
目をさますと、ラヴェンダーのとてもいい香りがする。母さんのにおいだ。マサオは目をあけた。ぼくはあったかいふとんの上にねている。マサオは昨夜のことをすっかり思い出した。そうか、きっと母さんがぼくを見つけてねかせてくれたんだ。その時、母さんが戸をあけて入ってきた。
「母さん・・・」
マサオは、しゃにむに母さんのうでにしがみついた。母さんは、だまってマサオを抱きしめた。マサオは、しばらくのあいだしゃくりあげていた。それから、
「ごめんね、母さん」
といいながら、もう一度母さんにしがみついた。
「もうなにもいわなくてもいいわ、お兄ちゃんがそんなに泣いたりしたら、赤ちゃんがびっくりするわよ」
母さんの布団の横では、ちひろが気持ちよさそうにすやすやと眠っていた。マサオは、母さんの腕からはなれると、ちひろのまるまると太った小さな手にそっとさわった。
「ごめんね、ちひろ」
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