時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

新年早々、経団連のわがまま

2008年01月02日 | 経済問題
日本経済団体連合会(経団連)は、年頭にあたって10年以内に世界最高の所得水準を実現するためにあらゆる政策手段を結集すべきとする提言「成長創造 躍動の10年へ」を発表した。
少子高齢化や新興経済国の台頭、地球温暖化問題など、国民の間に広がる閉塞感を打ち消す必要があるとし、2008年をスタートの年にしたいとしている。
具体的には、今後5年間をメドに1)世界最先端の電子政府・電子社会の実現、2)地球温暖化防止に向けた取り組みの強化、3)道州制の導入に向けて全国で5つ以上の自立した広域経済圏の形成──を重点的に推進すべきとした。
また、今後10年間に取り組むべき重要政策課題として1)イノベーションを加速し成長力を強化、2)経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)を通じた世界経済との関与強化、3)道州制導入による日本全体の豊かさ向上、4)税制など事業環境整備の推進、5)公的部門の改革による国民の安心・安全の確保──の5つを掲げた。
経団連は、年初に会長の年頭所感を公表してきたが、過去10年来、1人当たり国民所得の国際順位が低下していることなどの危機感から、具体的な成長戦略が必要と判断し、提言にまとめたと報じられている。
しかし、ここで述べられていることは、多少もっともらしく見えるものもあるが、甘言にだまされてはいけない。
イノベーションの加速と称して今までに経済界が行ってきたことは、労働法制の緩和を政府にやらせ、その結果、大量の非正規雇用を生み出してきたわけである。これに加えて、推進しようとしているのが、残業代ゼロ法案を実現することだ。確かにこれによって、企業の成長力は強化されるかもしれないが、国民が懸念している格差の広がりが是正されることはない。
地球温暖化防止などと偉そうなことを述べているが、温室効果ガス削減の数値目標の設定に圧力をかけているのが産業界である。家庭からの二酸化炭素排泄量は、全体のわずか10%に過ぎない。
道州制の導入も、この間の市町村の合併と同様に、税源移譲とひきかえに国庫補助負担金の廃止・縮減、地方交付税の削減を疾走進めるものになるだろう。また、.徹底した職員削減によって、民間への業務の移管を進め、住民サービスの切捨てが進められることになる。
さらに、税制改革という名の「消費税増税」を狙っていることは、周知の事実だ。
日本の全企業のわずか0.1%の大企業に対する規制強化こそ、日本政府が真っ先に取るべき政策であろう。
そういう政府を実現する第一歩となるような1年にしたいものである。