時々新聞社

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東京都:軽症者の救急搬送はお断り?

2007年05月23日 | 社会問題
119番通報の急増に対応するため、東京消防庁は来月1日から、救急隊員が現場で救急搬送の必要のない患者を選別する「トリアージ(患者の選択)」制度を全国で初めて試験運用する。
社会の高齢化もあり、搬送の遅れが重大な結果を招くケースが増えていることから、軽度の患者や救急車をタクシー代わりにしようとする通報者には民間搬送の利用を求める。これによって年間約5000件の搬送が不要となる見込みで、同庁は、通報から平均7分30秒かかっている救急車の到着時間の短縮につなげたいとしている。
東京消防庁によると、都内(東久留米市、稲城市、島しょ部を除く)の救急車の出動件数は、1995年の44万8450件から、2005年には69万9971件に急増。これに伴い、救急車が到着するまでの平均時間も、19995年の6分18秒から2005年には7分30秒と、1分12秒も遅くなった。
現行の消防法には、救急搬送の対象となる「緊急性のある患者」について明確な定義がなく、同庁では、119番の通報者を便宜的にすべて緊急性があると判断してきた。このため、「胸がどきどきする」「子どもの手に湯がかかった」といった程度の訴えや、病院の入院患者が転院に利用するための通報でも患者の要求通り搬送に応じてきた。
こうしたことから、救急搬送業務はパンク状態で、今後、救急車の到着遅れが生死にかかわるケースの増加が予想されることから、同庁はトリアージ制度の導入で緊急性の判定を明確にすべきだと結論づけたという。
実際、同庁が昨年9月19日~10月31日と今年2月の計71日間にあった12万115件の搬送者を調べたところ、緊急性が明らかに認められないケースが0.7%あることが判明。同庁は、これをもとに年間約5000件の出動要請については緊急性がないと試算したという。
以前にテレビでも放映していたが、休日の歯科診療所がわからないから乗せていってくれとか、通院の際のタクシー代わりに救急車を呼びつけるなどのひどい例があるようだ、こういう事例はその場で搬送をきっぱりと断るべきである。しかし、全体として緊急性が低い例が0.7%あるからといって、それを理由に救急搬送を断ると、思いもかけないような重症例を見逃してしまう恐れもある。トリアージの信頼性についても、更なる検討が必要だ。
緊急性が低い0.7%の事例のために、搬送を拒否するのではなく、必要な予算や人員をつぎ込み、今まで以上に迅速に対応することこそが求められているのではあるまいか。
また、医師不足のために、救急患者を受け入れない病院も増えていると聞くが、こういう問題も含めて、国民が安心して暮らせるような体制を作るべきではなかろうか。
東京都は、ペンペン草に覆われた臨海開発事業、オリンピック開催や築地市場の移転などに無駄金を使わずに、都民の命に関わることに予算を使って欲しいものである。


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