学校会計基準が4月から変わる。
それにあわせて一番早く出版されたのがこの本だろう。
もともと学校会計基準は補助金を受けるために、資金がどのように使われるかを国に報告するのが目的だった。そのために、企業会計とは異なる形式になっていた。資金収支計算書はその目的のためには優れたものだったのだろう。
経営状況を知るために、損益計算書に近い消費収支計算書もあるが、学校は永続的に続くことが条件だということで「基本金」という特殊な会計概念も取り入れられている。
私立学校法、私立学校侵攻助成法という二つの法律から求められる目的が異なるため、二つの収支計算書を持つことになった。
しかし、経営状況を知る目的や利害関係者への説明責任から消費収支計算書はよりわかりやすさを求められるようになった。
企業会計ではキャッシュフロー計算書が当たり前になったが、資金収支計算書をそれに似せるようにした。
この流れが今回の会計基準の様式変更になったのだろう。
資金収支計算書の名称はそのままだが、キャッシュフロー計算書に近い活動区分資金収支計算書を作成することになった。
消費収支計算書は、事業活動収支計算書という名称に変わり、並びも損益計算書に近くなった。
この本の出版の後、続々と新・学校会計基準に対応した本が出されている。
改訂版を含め、まだまだ出版は続くだろう。
この本の良いところは財務分析についての解説があるところだ。
企業会計の分析と似た安全性の分析、効率性の分析、資金安定性の分析が解説されている。
学校法人会計におけるFCF(フリーキャッシュフロー)についての解説もあってなかなかおもしろい。
ただ出版が早すぎたこともあって、分析指標の取り方が私立大学連盟の案と少し異なっている。
ここは要注意だろう。