goo blog サービス終了のお知らせ 

お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

伊藤元重『経済学で読み解く これからの日本と世界 』PHPビジネス新書

2015-01-05 11:29:53 | 経済・金融
「日経MJ」と「静岡新聞」に連載されたコラムをまとめたもの。
その時々に読んでいたら面白かったのだろうが、バラバラに短くまとめた文章は全体像がつかみにくい。
長期のトレンドを押さえておけば、日本がどこに向かうかがわかるという。
医療が雇用を生むとか当たり前のことなのでもう少し深い掘り下げが欲しいが、コラムなんで無理か。
この経済学者は政権に影響力があると思われるが、理論を読みたい。

佐藤雅彦・竹中平蔵『経済ってそういうことだったのか会議』日経新聞社

2014-12-31 15:37:58 | 経済・金融
2002年に文庫化された本。
もう10年以上前になるのにあまり古く感じない。
むしろキンコ-ズやH・I・Sがベンチャーとして紹介されているのに新鮮さを感じる。
経済学の入門教科書としておもしろいと思うが、マクロ経済学、ミクロ経済学の教科書の理論が書かれていない
のはどうなのかな。
竹中平蔵が財務大臣になる前の対談で、文庫化された時には大臣になっていたようだ。
竹中氏は将来はこの本を使って小学校なんかで市民を対象に教えたいと書いているが、どうなったのだろうか。
10年経っても古く感じないのは経済学の基本が書かれているからなのか、日本経済が停滞しているせいか。

冨山和彦『なぜローカル経済から日本は甦るのか』PHP新書

2014-12-14 23:17:53 | 経済・金融
グローバル(G)とローカル(L)はそれぞれ違う経済原理で動いている。それを理解して経済政策を立てないと何の効果もない。
特にグローバル経済を中心に成長戦略を立てていると、ローカル経済には利益が回らないという主張だ。
リーマンショック頃からトリクルダウンというグローバル企業の利益がローカル企業に回るという減少は起きなくなった。
グローバル企業は製造業中心であるが、ローカル企業はサービス業中心である。サービス業の供給者は消費者の近くにいなければならず、労働集約的である。
グローバル企業は世界で競争している。そのためには、法人税の引き下げとか雇用のダイバーシティが必要である。
それに対して、ローカル企業は世界企業ほど競争がなく、中小企業が多い。賃金が低く、慢性的な人手不足に悩まされている。
しかし、淘汰が起きにくいのでゾンビ企業が残っている。
そのために最低賃金の引き上げとゾンビ企業が退場しやすい制度改革を著者は提案している。
これでローカル企業の人手不足は減少し、経済効率の良い企業が地域で再生する可能性がある、というのが著者の主張だ。

さて、G型、L型という分け方や経済原理の説明は説得力がある。
著者が産業再生機構COOを経験し、今、東北でみちのりホールディングスという交通関係の企業の再生に関わっているので浮ついた経済学の理論説明ではない。
G型、L型と分けるとすっきりすることが多い。
供給者と消費者がどこにいるのか、世界を市場の対象とすることで経済効果が上がる企業とそうでない企業。
教育産業もローカル産業なのだということをハーバード大学を例にして言っている。
ただ、教育産業はすべてローカル産業かというとそうでもないのかもしれない。
テンプル大学などが典型だろう。しかし、グローバル化の効果を上げていないのも事実だ。

著者はこのG型、L型で、いろんな産業の整理を行っている。
日本の大学もG型、L型で分けて教育内容を整理せよと言っている。
しかし、このG型、L型の間にある大学もある。
自らをL型と規定したくないだろう。
分類化してしまうことで競争力を失うという判断があるからだろう。

文部科学省の類型化より単純なこの分類で大学が整理されるとは思えない。
処方箋はあるが、それを実行できないのは経営者が冷静な判断をできないからか、
それとも消費者がグローバル化に憧れる幻想をもっているからなのか。

竹中平蔵『経済古典は役に立つ』光文社新書

2012-02-15 23:56:17 | 経済・金融
竹中平蔵が経済古典について書いている本がある。
経済学史というより、現実の問題にどう対処していくかという視点で、経済古典を書いた人々がその時代の何の問題をどのように解決したかったのかを解説しようとした試みだ。
アダム・スミス、マルサス、リカード、マルクス、ケインズ、シュンペーターなどがその素材に上がっている。
ケインズが言っているように、その時代の対処法をパンフレットくらいのサイズで経済学者は書くべきなのかもしれない。
経済思想はあとで体系化されるのだろう。
何の問題でもそうだ。思い悩むより、状況を把握して、適切な時期に適切な策を講じなければいけない。

秋山をね『社会責任投資とは何か』生産性出版

2010-10-11 20:40:14 | 経済・金融
著者はE・F・ハットンやリーマンブラザーズなどでトレーダーを務めた。その後、ウォールストリートの短期利益のみを追求する投資のあり方を疑問に思って、日本でCSR格付けに基づく社会責任投資(SRI)のための調査会社・インテグレックスを立ち上げる。

この志の高さにまず敬服する。

この本は2003年に出版されているので、大和証券がインテグレックスの調査をもとにファンドを立ち上げるのはこの後である。

インテグレックスはCSRをアンケート調査で数量化しているが、これは欧米のやり方とほぼ同じようだ。それで社会的価値を測れるのか疑問の部分もあるが、年々改良されているようだ。

もともと酒、たばこ、ギャンブルに関係する企業に投資しないというキリスト教会の価値観がもとでネガティブリストとして始まったSRI。今では労働条件、環境対策から動物実験まで多岐にわたる評価項目がある。

インテグレックスの主張するように誠実な会社こそが長期的な価値がある会社だとすると、この投資基準は投資家にとって利益があるものかもしれない。

インテグレックスは大和証券のファンドの後も取引ファンドを増やしているようだが、まだまだヨーロッパのように投資家に浸透はしていないようだ。イギリスでは1997年に英国大学退職年金基金の運用に対して大学教員がキャンペーンを展開して広がったらしい。

日本の年金基金でそんな志の高いところがあれば広がるかもしれない。

伊藤元重『はじめての経済学(下)』日経文庫

2010-05-03 21:07:17 | 経済・金融
経済学の入門書。難しいことをやさしく説明するのはなかなか骨が折れるのだろう。
主に国民経済などマクロ経済学に関することが説明されている。
そのなかに貨幣の機能や年功序列制と人質などミクロ経済的なトピックも混ざっていて、概論を理解したいひとにはちょっとごちゃごちゃした印象。

伊藤教授の本では『吉野屋の経済学』がやはり一番おもしろいと思う。