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お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

後正武『意思決定のための「分析の技術」』

2007-10-29 00:33:22 | 思考法・表現法
「大きさ」を考える。
「分けて」考える。
「比較して」考える。
「変化/時系列」を考える。
「バラツキ」を考える。
「プロセス」を考える。
これらの基本を説く本である。
ロジックツリー、ディシジョンツリーなどの使い方も解説されている。
印象的だった事例は、日比谷公園でめっきり減った鳩をどのように増やすかという課題だ。8割方の市民は、餌場を作ればいいとか、ボランティアの餌担当を置けばよいという。しかし、餌場を作っても鳩は増えない。
鳩が減った原因をプロセスで調べるとカラスが増えたことが原因だとわかった。鳩の卵をカラスが餌にするので鳩が成鳥にならない。公園に餌を置いてもカラスが増えるばかりで、鳩は余計に減るのだ。原因を考えずに打ち手だけ考えても逆効果になる例だ。
定量分析をロジカルに行うときにもよい参考書である。

和田勲生『戦略の本質』

2007-10-28 18:25:07 | 経営戦略
元BCGコンサルタントの本。企業の存在意義は「社会貢献」と「利益」を同時に満たすこと。その必要条件が優位性であるという。
戦略と中長期計画の違いは、戦略は企業あるいは事業として優位性を強化、創造していくためのグランドデザインであり、現在の組織を超えたもの。計画は各組織が立案し、合意し、実行していくもの。しかし各組織の計画の集合体では企業全体の優位性構築のシナリオにはならない。
そのほか実践的な課題として、資源配分には適度なアンバランスが必要であることや本質論点への執着心をもった分析の必要性などが説かれている。
フレームワークを説明した戦略本はたくさんあるが、この本はフレームワークを実際にどう使うかについて書かれていてとても参考になる。

田中靖浩『会計力トレーニング』

2007-10-27 20:06:49 | 財務・会計
右脳でわかる!というキャッチフレーズとカラー印刷に惹かれて買った。
同業種の会社の売上が棒グラフで表現されていたり、セグメントが円グラフで表現されていたり、貸借対照表がカラーでわかりやすかったりする。
右脳でわかるというより、見た目で比較ができるというだけのことだ。
これで会計の知識が増えたりするわけではない。
まあ、見るには面白いが840円の価値はないと思う。

マイケル・デル『デルの革命』

2007-10-26 00:53:36 | オペレーション戦略
高校生のときからコンピュータおたくだったマイケル・デルは、知り合いのPCをチューンアップして儲けていたらしい。その才能をいかして早く起業家になりたかったという。しかしまともな生き方を求める父親の強引な勧めでテキサス大学の医学生となった。しかし学生時代にも起業家の虫が騒ぎ、カスタムメイドのPCを販売する現在のビジネスモデルの原型となる仕事を始めた。経営に疎かったので、成功するまでは経営の専門家をまわりに置いたり、ダイレクト・モデルを生み出しただけでなく経営者としてもデルは戦略家であったと思う。ダイレクト・モデルはマージンを下げて低価格を実現するだけでなく、顧客から直接データを得られるのでニーズへの対応が速いことや在庫回転率が短いのでキャッシュフローが増えるなどさまざまなメリットがある。またデルは大型顧客には直接営業を行い、システム部門をすべて請け負ったりしている。マイケル・デルはビル・ゲイツに似て本物の起業家なのがこの本でわかる。プッシュ型のマーケティングの代名詞のようなT型フォードを売っていたフォードが、いまやデルの影響でプル型のマーケティングを採用しているらしい。デルの影響は業種を越えて広がっている。

石渡嶺司『最高学府はバカばかり』

2007-10-25 21:55:47 | 大学事情
こういう本が出版され、話題になるのはやはり大学が世間離れしているせいだろう。書いてあることは多少の誇張はあるが、業界にいる者ならよく知っていることばかりだ。そういえば元大学関係者の中村忠一という人がこの手の本を毎年出版していたが、どこへ行ったのだろう。この本は中村忠一の系統といえる。
進学率の上げ止まりのもとでの規制緩和による競争激化。多数乱立市場。これから学位取得市場はどのような方向にいくのだろうか。アメリカの航空市場も1980年代に規制緩和により多数乱立市場になり、200社くらいが倒産したらしいが、日本の大学もいくらかは市場から退場することになるだろう。
しかし、この著者を呼んで講演会を開催して大学もあるらしい。こういう現象はどう理解すべきだろう。これも世間離れの一例か。

佐藤可士和『佐藤可士和の超整理術』

2007-10-21 10:27:21 | 仕事術
今日本で最も注目されいるアートディレクターの一人である佐藤可士和氏のデザインコンセプトと整理に関する著書。鞄の中の整理から、机、部屋など空間の整理に始まって情報、思考と難易度の高いものまでの整理に関する考え方が述べられている。もともとデザイナーなのに芸術的というよりとても論理的な主張である。部屋をすっきりさせるのは、視覚作用を考えると、多くのものが見えていると気が散ってしまうから。いろんなことができると思っていても結局ひとつのことしかできない。一つのことに集中できるようにすっきりさせるためらしい。ドコモのN702iは機能美を追求した携帯電話で100万個以上のセールスになったそうだ。あのケータイのコンセプトは、機能美やシンプルさということを表すコンセプトを後から考え出し、「潔さ」としたそうだ。デザインを考える思考回路は芸術的というよりロジカルシンキングなのだ。整理も問題解決も、まず見えていないものを見えるようにして、順番にならべ、優先順位をつける。それから因果関係を見つけ、本質を捉え、課題を見つけ解決する。

ひろゆき『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』

2007-10-21 00:07:41 | 教養・時事
2ちゃんねるはなぜ潰れないのか。①社会的な問題であると誰かが言っても強制力をもたない限り何も起こらない、②法的な問題については、アメリカにサーバーを置いていることで日本の法律が通用しない、③金銭的な問題については今のところ広告収入が入るので潰れない、ということだ。ひろゆきが管理人をやめても誰かが2ちゃんねる的な匿名掲示板を作るだろうと本人も言っている。需要と供給の関係とも。小飼弾との対談では、みんながリアルな世界でけっこう幸せなのに2ちゃんねるのようなインターネットに時間を使うのは社会に何か不満があるからという分析だ。プログラムの話から日本史までひろゆきは博学である。ホリエモンより得体の知れない感がある。ひろゆきはインターネットが生み出した社会の裏面なのかもしれない。本人はそれを自覚していいないので無邪気な社会のダース・ベイダーともいえる。