goo blog サービス終了のお知らせ 

お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

佐藤優『人に強くなる極意』青春新書

2013-12-30 17:13:22 | 人間関係学
人に強くなる極意として佐藤氏は、「怒らない」「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断らない」「お金に振り回されない」「あきらめない」「先送りしない」ことを上げている。
否定形での教えだが、怒ること、断ること、あきらめること、先送りすることの見極めも大事だとも述べている。

怒らないためには、日頃ストレスを溜めないこと、怒りを昇華させるためによい小説、よい映画を読むことを薦めている。

びびらないこと。佐藤氏が拘留514日を経ても、自白させられなかったのは、検察のハッタリや脅しが通じなかったかららしい。
エリートは「お前は社会のクズだ」「犯罪者だ」などどなじられるとそれまでの自信を一気に失って、検事の言いなりになるらしい。これを検察は「相手を自動販売機にする」と言ってるとか。
佐藤氏はインテリジェンス経験者として検察官よりもハッタリや脅しには慣れていた。
相手にびびらないためには、相手を知ること、相手の内在的論理を知ったり、いろんな体験からあらゆる場面をシミュレーションしておくことが重要だと。体験が少ない場合は、小説や映画などで想像力を働かせることなのだそうだ。

侮らないためには「内省ノート」で毎日の相手の行動の分析をすること。
断らないことは、自分に力をつけるために必要だと。
佐藤氏は、毎月本を300冊読み、原稿を1000枚以上書いているが、それはだんだん自分の容量を増やしていったからだ。
知の怪物と呼ばれる由縁だ。

最後に時間感覚について、うつ病や統合失調症の人は、「取り返しがつかなくなった」「もう終わってしまった」という感覚が強いらしい。時間に対する柔軟性、いつでもやり直しがきくんだという感覚が大事だそうだ。
それは先送りする、しないの見極めにも通じる。

佐藤優の顔を思い浮かべるだけで、人に強そうな気がする。
だが、この本を読むだけで、人に強くなるなんてことはない。
佐藤氏が拘留中も強い気持ちでいられたのは、大学で神学を深く学び、考える芯を築き、外務省でスパイもどきの目の前の仕事を誠実にこなし、修羅場を論理的に見極めていった成果であり、鈴木宗男を裏切らないと誓った情熱からだろう。
この本を読むと、ムネオハウスも世間とは違って見える。

伊東明『ほめる技術、しかる作法』PHP新書

2010-10-12 23:04:53 | 人間関係学
「しかる」だけの、いわば恐怖政治を敷いているような職場の中で、スタッフから自由な発想を引き出そうと思っても無理な話である。しかし、「ほめる」は実践していても「しかる」を実践していない職場では緊張感が欠け、スタッフの間に緩みが生じるため、向上心が低下して成長が止まってしまう。

こういう記述を読むと、なるほどと思う。


いくら「ほめ上手」「しかり上手」でも、仕事のスキルが備わっていないリーダーは部下から信頼されない。仕事のスキルとコミュニケーションのスキルが両方備わって初めて人を動かすことが出来る。


ますます、なるほどと思う。

アメリカは「しかる」というよりコンフリクト・マネジメント・スキルというテーマが主流だそうだ。コンフリクト・マネジメント・スキルでは意見の対立や衝突が表面化したときに、お互いが率直に意見を言い合える環境を形成しつつ、コミュニケーションを通じて問題解決をはかる。「しかる」スキルではなく、「主張する」スキルという違いがあるのだ。

「ほめる」ことは難しいが、「しかる」ことも確かに難しい。
しかる作法で参考になることがいくつか書かれている。

「しかる」基準を自分のなかにつくっておく。これによって、気分で部下をしかったりすることは少なくなるし、部下もどういうことをすればしかられるのかがわかる。

しかり方には3つのモードがあり、「怒りモード」「冷静モード」「優しいモード」があり、相手により状況により、また自分のキャラクターによって使い分けることとよいらしい。

上手なしかり方。

・まず、相手の言い分を聞く
・相手の性格でなく、行動をしかる
・しかるときは1体1が原則
・しかることによって、考えさせ成長させる

最後にしかられる作法まで書いてある。


人格批判さえも成長の糧にできる。

逆説的な教訓だ。要するに、「この人は部下を冷静にしかることもできないんだ」とメタ認知するのだそうだ。


薄い本だが、案外気づかない上司・部下の関係の大事なことが書かれている。ささやかだけれど、ためになる本。

D.カーネギー『人を動かす』創元社

2010-07-19 21:53:07 | 人間関係学
 熱心に読んでみるとなかなか面白い本だ。

 この本ではリンカーンやロックフェラーなど成功した偉人の体験が多く取り上げられている。それらの事例について、ロジャースやスキナー、ハンス・セリエなどの心理学者の理論を引用することによって、デール・カーネギーの主張を説得力のあるものにしている。1936年に出版されたこの本に登場する心理学者のほとんどが今でもいろんな本で引用される人たちばかりだ。心理学の基礎理論は1930年代にほとんど成立していたのかもしれない。

 カーネギーのそれぞれの主張は簡単にできそうで、実はできていないことが多い。これからは日々の生活で出来ることから実行したいと思う。

 ただ、本を読んでいて自分の誤解にも気づいた。「カーネギー」といえば、鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーのことだとずっと思っていた。けれどデール・カーネギーとアンドリュー・カーネギーは血縁関係もない別人だった。『人を動かす』は、松下幸之助のように成功した企業家が自らの体験を啓蒙的に語る本だと勝手に思い込んでいたので、「カーネギー」違いだとわかってから、伝記と心理学を研究したビジネスセミナーの専門家の本として読んだ。こういう誤解していたのは世界中で私だけなのだろうか。

 Wikipediaによると、デール・カーネギーはCarnegieという綴りもアンドリュー・カーネギーに合わせて改名したそうだ。ここまでやると、ちょっとやりすぎのような気もする。

 でもこの本に書かれていることを実行できれば周囲から尊敬される人物になれるだろう。世界的ベストセラーになる本にはそれなりの理由がある。

加藤健二『伝説のホテルマン 「おもてなし」の極意』

2008-02-19 23:11:27 | 人間関係学
ホテルマンは紺の服を着るべき。グレーは清潔感を感じさせないから。コンピュータに入力されたお客様の情報はプリンタから印刷される用紙の裏側に手書きで書く。昔はメモに書いていた。書くと覚えられるから。
加藤健二氏は古いタイプのホテルマンである。
「伝説のホテルマン」と呼ばれる所以だ。
東京ヒルトンから東急キャピタルホテルへと42年間もホテルで、それもおもにロビーで働いた。ビートルズ来日の異様な熱気も宿泊ホテルの従業員として経験している。ハウスマンからベルボーイ、フロント係からフロント支配人、コンシェルジュ、エグゼクティブ・コンシェルジュへとお客様におもてなしをすることを何より楽しみとした仕事ぶりがよく伝わってくる。
周りから「あんたちょっと仕事をやりすぎだよ」と言われると、見返すために進んで人のいやがる仕事をした。このあたりの負けん気がこの人の向上心となったのだろう。

お客様をハッピーにするテクニックとは、

(1)何をすれば喜んでいただけるか → 心にとどくおもてなしがリピーターを増やす
(2)形式的なサービスでは心は動かない → 相手の立場で嬉しいサプライズを演出する
(3)お客様の情報は自分の方法で蓄積 → 豊富な情報量が的確なサービスを生む

では、最高のおもてなしとは、

決してお客様の依頼に「ノー」と言わない。
お客様の望まれるサービスを実現するために誠実に努力をすること。

これは地道な努力しかないという。

東京ヒルトンのハンデル元総支配人を師匠と敬う。
ハンデル支配人がゲストをホテルの外でレストランに招待したときに、床に落ちていた紙くずを拾ってさりげなくポケットにしまった。こういう気配りが自然にできることこそ、本当のおもてなしだという。