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お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

若松義人『トヨタ式「改善」の進め方』PHPビジネス新書

2015-01-02 15:44:30 | オペレーション戦略
トヨタ生産方式は、
(1)人間の知恵の上に
(2)自働化と
(3)ジャスト・イン・タイムの日本の柱が立っている
こととまとめられる。

トヨタの強さはリーダーから現場までこのやり方が身についていることだろう。
生産部門だけでなく、間接部門でも応用できるようだ。
しかし、間接部門では、手を動かしているときだけが仕事でなく、考えているときも仕事である。
だから何を仕事か仕事でないかという区分けから入るより、この仕事を何人でやるかという目標を決めることで始めるのが多いとか。

トヨタでは強力なリーダーシップで組織を動かすより、改善を自発的にする組織にすることを重視する。
人を育てるときにも、トップが答えを示すのではなく、わざと考えさせるという。

これがヨタの強さなんだろう。

p.43の提案活動評価ポスターはパクってもいい。

遠藤功『現場力を鍛える』(東洋経済)

2008-03-31 23:37:31 | オペレーション戦略
強い現場をつくる七つ道具として、業務連鎖、人、場、組織、業務評価、情報技術、基本哲学が上げられている。現場でPDCAサイクルが意識的に回っており、問題発見から問題解決まで行われている組織ほど強いものはないだろう。倒産時の吉野屋がそんな感じだったんじゃないだろうか。
トヨタでは、PDCAに+A(Achievement)効果の検証でPDCAAサイクルなのだそうだ。Actionの効果のまで追求する現場力。さすがトヨタ。

ルチアーノ・ベネトン『ベネトン物語』

2007-11-11 11:21:42 | オペレーション戦略
後染め製法、ベネトン帝国とも呼ばれる地域での低コスト分業などがベネトンモデルとして今やハーバード・ビジネススクール(HBS)のオペレーション戦略のケースとしても扱われている。はじめてアパレルを工業化したといわれるベネトンの功績は大きい。この本の最後にはルチアーノ自身がHBSに招かれ、大学院生からの質問に答えた記録も掲載されている。イタリアの貧しく教育もろくに受けられなかった4人の兄弟が世界の大企業ベネトンの経営者に成長して行くストーリーはオペレーションの巧みさ以上に不屈の精神を感じる。またルチアーノの愛人問題という脂ぎった性格の話題まであからさまに書かれていておもしろい。

マイケル・デル『デルの革命』

2007-10-26 00:53:36 | オペレーション戦略
高校生のときからコンピュータおたくだったマイケル・デルは、知り合いのPCをチューンアップして儲けていたらしい。その才能をいかして早く起業家になりたかったという。しかしまともな生き方を求める父親の強引な勧めでテキサス大学の医学生となった。しかし学生時代にも起業家の虫が騒ぎ、カスタムメイドのPCを販売する現在のビジネスモデルの原型となる仕事を始めた。経営に疎かったので、成功するまでは経営の専門家をまわりに置いたり、ダイレクト・モデルを生み出しただけでなく経営者としてもデルは戦略家であったと思う。ダイレクト・モデルはマージンを下げて低価格を実現するだけでなく、顧客から直接データを得られるのでニーズへの対応が速いことや在庫回転率が短いのでキャッシュフローが増えるなどさまざまなメリットがある。またデルは大型顧客には直接営業を行い、システム部門をすべて請け負ったりしている。マイケル・デルはビル・ゲイツに似て本物の起業家なのがこの本でわかる。プッシュ型のマーケティングの代名詞のようなT型フォードを売っていたフォードが、いまやデルの影響でプル型のマーケティングを採用しているらしい。デルの影響は業種を越えて広がっている。

安部修仁・伊藤元重『吉野家の経済学 』

2007-08-23 21:52:21 | オペレーション戦略
吉野家の牛丼は、丼鉢に米を盛って、その上に牛肉とタマネギが入った汁をかけるだけの簡単なオペレーションのように見える。だが実は奥が深い。「うまい、安い、早い」というキャッチ・フレーズ=基本ポリシーも、実は時代によって順序が入れ替わっているという。倒産した1980年の直前には「安い」が優先されたらしい。肉はフリーズドライの乾燥肉、タレは粉末にした。これが「うまさ」とのトレードオフになり、味は落ち、客が離れていった。復活して280円の価格破壊をやったときも、値段の決め方ではテストマーケティングを綿密に行い、260円、270円、280円での客の動きを見て、270円でも280円でも客の動きが少なかったので利益を得られる280円に決めたという。しかし400円から250円にすると、顧客が3倍になりオペレーション自体を根本から変えないと対応できなくなるようだ。肉鍋の大きさを変え、配送センターと配送回数を増やし、アルバイトを雇いやすい夏休みと春休みの時期に実施する。マニュアルも分厚いが、客に失礼があるより、過剰な方がよいという考えだ。この本は狂牛病騒ぎでアメリカ牛肉の輸入がストップする前に書かれたものだ。倒産した原因が味の低下だったので、吉野家の牛丼の味を変えないためにあえて牛丼を販売停止にしたのもよくわかる。牛丼販売中止の間に吉野家は牛丼単品から豚丼、焼き肉丼などメニューを多品種化した。この本の書かれた頃と今ではオペレーションも当然変わっているだろうが、倒産から再建し、業界トップに復活したのは、西武百貨店資本の支援も大きいが、オペレーションの強さも要因の一つだろう。倒産したとき、とにかく「店を閉めるな」が合い言葉だったとのこと。本当に強い会社とはオペレーションが強い会社なのだろう。何が起きようと、客が来る限りいつものように牛丼を提供する。伊藤元重氏の解説も随所に書かれ、オペレーション戦略を考えるうえでは良い教科書である。

山口廣太『最新マクドナルド パート・アルバイト・マネジャー超短期育成ノウハウ 』

2007-08-19 10:40:13 | オペレーション戦略
マクドナルドはQSC&Vという基本ポリシーの下にアルバイト・パートをトレーニングしている。基本ポリシーは、Q=クオリティ、S=サービス、C=クリンネス、V=バリュー。大学生でも店長(スイングマネジャー)として短期間に育成するノウハウは、ただどんな客にもフライドポテトを勧めるというマニュアルどおりの応対にあるのではない。リーダーシップやコミュニケーションの研修もある。マニュアルには火災や台風対策もあるのが驚きだ。風が強いときは、植栽を店の中に入れ、ガラスにはガムテープを貼って割れたときの被害に備えることまでマニュアルになっているらしい。マクドナルドは多能工的な働きと自律性を求める育成方法をとっている。業界トップにはトップなりの育成法の蓄積があるのだろう。

村上悟ほか「『在庫ゼロリードタイム半減TOCプロジェクト―究極のムダとりに挑んだ3社の実例 』

2007-08-19 09:53:23 | オペレーション戦略
TOCを日本で実践したレポート。スループットを増やすために、ボトルネックを探し、その能力を最大限に発揮させるという極めて簡単なことができないことが多い。それは、生産計画で予算の達成目標を立てると、月末には利益率の高い製品を優先して投入したり、在庫を増やそうとしたりするからという生産をとりまくしくみがボトルネックになることもあるからだ。日立ツール野洲向上で、予算を立てること自体をなくしたというのは示唆的だ。セイコーエプソン半導体工場では、検査工程がボトルネックになっていた。生産設備だけがボトルネックとは限らない。機械や人の作業、生産工程のしくみなど目に見えないボトルネックもあることに注意が必要だ。

バーガーキング

2007-08-10 18:25:55 | オペレーション戦略
一昨日、東京出張の帰りに、西新宿のバーガーキングに寄ってきた。再上陸1号店は新宿アイランドタワーの地下一階にあった。
東京で6年間働いている友人との待ち合わせ場所にしたのだが、ビルとビルの間につくられた広場の脇にあり、友人は店を見つけるのに困ったと言っていた。西新宿は遊びでもあまり来るところではないとのこと。道路にも面しておらず、ビジネス関係の人が利用する感じの店。

午後6時30分でも20人くらいの行列ができていた。行列を整理するためのバーなどの道具も置いてあり、行列を作らせることは当然という感じ。友人によると東京ではラーメンでも並ぶのが好きな人が多いので、これでもやっていけるのではないかとのことだった。
バーガーキングはまだ日本には2店しかないので、バーガーキングが目指す一般的な店舗の形態ではないのだろう。

カウンターはシュートが客側にドンと出ていて、マクドナルドの店内とは明らかに違うようだった。ワッパーチーズとフレンチフライのM、コーラで670円。マクドナルドのバリューセットより高い。ワッパーはマクドナルドのハンバーガーより幅が広く、たしかに新鮮そうなトマトが入っていた。でかくて食べにくいとも思ったが、味はたしかにマクドナルドよりおいしい。この週、メガマックを食べて腹をこわしたが、ワッパーではそんなことはなかった。

2人分の注文をしてから商品を受け取るまでは4分10秒くらいだった。注文したメニューも写真に撮ろうと思っていたが、久しぶりにあった友人と会話がはずみ、写真を撮るのを忘れた。
ホームページのメニューとほぼ同じだった。

バーガーキング・ジャパン
http://www.burgerkingjapan.co.jp/



稲垣公夫『TOC革命 制約条件の理論』 

2007-07-25 22:52:36 | オペレーション戦略
この本はまだ『ザ・ゴール』が日本で翻訳されていない時にTheory of Constraints(TOC制約条件の理論)について書かれた数少ない本である。『ザ・ゴール』のエッセンスがまとめられていて、とても参考になる。TOCによる「金を儲ける」とは、スループットを増大させ、総投資を低減し、経費を低減することである。TOCの生産改善の5つのステップとは、①制約条件を見つける、②制約条件を徹底的に活用する、③制約条件以外を制約条件に従属させる、④制約条件の能力を向上させる、⑤惰性に注意しながら第一ステップに戻る。生産改善のスケジューリングではDBR(ドラム、バッファ、ロープ)の考え方を取り入れる。ドラムは制約条件工程、バッファは制約条件を守るための余裕、ロープは制約条件の生産ペースに同期させて材料を先頭工程に投入させるしくみ。
もし納期遅れのオーダーが発生したらスケジューリングを見直す必要がある。そのためには①同じオーダーを組み合わせて段取り時間を節減、②段取り時間が節約出来るなら製品順序を入れ替える、③制約条件上の作業を一部別の工程へ振る、④残業による操業時間増大というような方法がある。
ゴールドラット博士はTOC理論をさらに拡大させて、会計の考え方で「スループット会計」や需要を拡大させるために「思考プロセス」の理論を確立している。しかし、生産過程の原理からそこまで拡大させて問題はないのかは若干疑問だ。

E.ゴールドラット『ザ・ゴール』

2007-07-22 22:46:57 | オペレーション戦略
小説仕立てのビジネス書だが、小説として純粋におもしろいのかどうかはわからない。でもこの本は映画にもなったそうだから、オペレーションに興味がない人が読んでもおもしろいのかもしれない。全米で250万部も売れているそうだ。500ページを越える大作なので、ただ買っただけという人もいるだろう。しかしオペレーション戦略の参考書としては星5つの価値がある。スループット:売上から総資材費を引いたキャッシュ、在庫:販売する製品を作るために使うものを購入する費用、在庫をスループットに変換するために費やす費用がこの小説のキー概念である。村上春樹の長編小説がおもしろいのはseek&findというミステリー小説の定石にしたがっているからだと村上春樹本人が書いていたが、この本も同じである。スループットを制約している条件をseek&findする。その条件を徹底的に活用する方法をseek&findする。その次のボトルネックをseek&findする。その解決法をseek&findする。と延々と探して見つけるおもしろさが展開される。
この本はもともと著者の経営する会社が開発したソフトを売るために書かれたそうだ。この本でもっと売上を伸ばそうと思ったらしい。だが40万ドルもするソフトを導入した企業より、20ドルくらいのこの本に書いてある通りにやった企業の方が高い生産性になったりしたそうだ。ソフトの導入だけでは背後にあるシステムを変えることができなかったからなのだ。それからゴールドラット博士はその会社をたたみ、この本に書いてある方法を研究する研究所をつくったとか。日本に長らく翻訳版がなかったのは、日本人がこの本を読んで世界制覇することを博士が恐れたからというエピソードもあるくらいすごい本だ。