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お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

諸富祥彦『自分に奇跡を起こす心の魔法44』三笠書房王様文庫

2014-01-13 22:41:49 | 心理学
タイトルのいかがわしさとは反対に心理学者の書いたまじめな本。
でも魔法が40紹介されていて、読むだけでも魔法にかかったような気分になる。

毎朝10回、ガッツポーズで「やった~」と叫ぶ。
「私は嫌われても構わない」と一日100回つぶやく。
わたしはあなたの期待に応えるためにこの世の中にいるわけではない、というゲシュタルトの祈りを唱える。
一日5分、自分スペースを見つける。
not to do リストをつくり、自由時間を増やす。

などすぐに実行できることもある。

幸福は目的でなく結果である。
成し遂げたいことをやった結果として訪れるものであり、目的にすると得られない。

ユングのシンクロニシティやチクセントミハイのフローなんかもさりげなく紹介されていて、著者の奥の深さを感じる。

とにかく魔法40をかけてみよう。
そんな気にさせる本だ。

究極のワーク

地球上で一番好きな場所で大地のダンスをして、気づかなかったメッセージを受け取る。

なんかはちょっと理解不能だが、トランスパーソナル心理学って興味がわく。

名越康文『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学』角川SSC新書

2012-02-15 23:25:38 | 心理学
体が疲れ、心が弱ることは誰にでもある。
このまま不安やうつ気分にとらわれるのか、それとも明るい気分に向かうのか。
その違いはなんだろう?

そんな疑問にこの本は答えてくれる。薄い本だが、気分をうつから「楽」に変えるしくみや方法がいくつも書かれている。

一日の生活の中で、「今、ここ」を充実させるのが何より大切。
そのために、目の前の仕事に集中すること、過程を楽しむこと、少し開き直ること、自分を客観視して感情的にならないことなどヒントになることが書かれている。

食べるご飯をかんでいることに集中するというような明日からでもできることから、「不安は自分の中にしか客観的には存在しないのだ」というちょっと哲学的なことまで読むだけでも楽しくなる。不安は自分の妄想が創り出すものなのだ。その正体を知って、あらゆる手をうつ。それでも最後に見えてくるもの、それは何なのか。確かめるのは自分。

この人最近、テレビによく出ていて調子づいているが、よく他人のことを考えていて、いいこと書く人なんだ。

この本を時々読んで、明日も楽しく、今、ここを生きてみよう。

海保博之他『心理学研究法』日本放送出版協会

2010-08-10 19:04:59 | 心理学
心理学の研究法では

①仮説を立てる
②仮説を実験的に検証する
③実験結果によって仮説を評価する
④研究成果を公開する

というプロセスがある。

心理学が科学として成立するためにもこの過程は重要だろう。
理論の信頼性を証明するためには、同じ条件での実験で同じ結果が出ないといけないのだ。

心理学の研究法で、この20年くらいの間に変わったことは、認知心理学の発展とコンピュータ技術の進歩と普及、それらに伴う研究方法の変化だろうか。
おそらく心理学をより「科学的」に成立させるために研究者が認知心理学の研究方法を進化させたのだろう。
これは臨床心理学の発展とベクトルが逆のような気もするが、臨床心理学にも認知行動療法などの進展があるので逆ともいえないかもしれない。

また、環境心理学の発展とアクションリサーチの研究方法も新たな変化だろう。
これは従来の仮説-検証というサイクルとは異なるし、実験者が行動に介入するところもこれで科学といえるのかよく理解できない。

あと研究倫理に対する世論の意識も変化している。一頃流行った監獄実験ももう出来ないようだし、動物実験に対する批判も強くなっている。

ビジネスでは「仮説思考」などが話題になるが、ビジネスにおける「仮説-検証」と心理学研究法の違いは、データの精度の違いだろう。それにビジネスでは判断のタイミングが、仮説の正否より重要なときもある。厳密な「仮説-検証」をどこまで追求するのかもそのときの状況による。

ビジネスでは実験結果を公開する必要もないし、誰かが追実験を行うにはあまりにも条件が違うことがあるだろう。

研究とビジネスはやはり似て非なるところがあるように思う。

ダニエル・ゴールドマン『EQ こころの知能指数』講談社+α文庫

2010-08-10 18:33:16 | 心理学
人間には二種類の脳(大脳辺縁系と大脳新皮質または扁桃核と前頭前野)、二種類の知性(考える知性と感じる知性)があり、人生をうまく生きられるかどうかは、両方の知性のバランスで決まる(p.64)という考え方は、実感としてよくわかる。
けれど自分の日常生活を振り返ると、人を見るとき、無意識に考える知性としてのIQ的な側面を重視しがちだと思う。感じる知性としてのEQは意識していないと本当に相手の行動や自分の行動を理解できないだろう。

EQの定義は、(1)自分自身の情動を知る (2)感情を制御する (3)自分を動機づける (4)他人の感情を認識する (5)人間関係をうまく処理する という知能のこと (p.85~87) 。これらの知能は生理学的には大脳辺縁系や扁桃核の働きが重要になっている。
この本を読んでから、人を見るときに脳の周辺を見るのではなく、「この人の頭の中心部は今どうなっているんだろう」という眼で気持ちや感情との関係で見るようになった。


EQ(こころの知能指数:Emotional Intelligence Quotient)が提唱された背景は、IQ(知能指数:Intelligence Quotient)が偏重される社会への批判だということはよくわかる。
ただ、IQを測る知能検査はもともと、児童や成人に知的発達の遅れの問題がないかどうかを調べるためのものであり、IQはその測定のために便利な表記法として編み出されたものだった(大学時代、一応心理学専攻でした)。それが健常者に普及して学習指導などに応用されるようになってから、社会的にIQという尺度で人間の資質を比較できるかのようなおかしな価値観が根付いてしまったのだと思う。

訳者あとがきにも触れられている以上にいまやEQテストが大学生の就職指導や企業人事で広く使われている。こういう現象をどう理解してよいのかわからない。EQを数値化して他人と比べることは社会の価値観として正しいことなのだろうか。EQがIQと同じように人間の資質を比較できるかのようなおかしな尺度として根付かないようにすべきだと思う。

EQは意識的に変えることが可能だと著者は言っている。とくに発達過程においてのほうが変容しやすいのはよくわかる。

大人になってから、感情のコントロールをどのように行うのかは難しい課題だ。
怒りを抑えることも難しいが、自分を鼓舞することも難しい。

生理学的には、脳の中核あたりは下等動物の方が比重が大きい。
人間は野性から離れていくにつれて、脳の外側が発達してきた。脳の中核は野性的なものが残っているのだ。しかし、この野性的な部分がないと喜怒哀楽も動機づけられることもない。

知性と野性のバランスは難しい。
スタートレックのミスター・スポックの悩みはよくわかる。

星薫ほか『心理学入門』日本放送出版協会

2010-04-29 09:48:17 | 心理学
『心理学入門』を読んでいると、論文発表や実験実施の年が気になる。自分が大学を卒業した後かどうかでその研究が古いのか新しいのかの判断をしてしまう。1985年の研究でももう25年近く前になるのに「新しい研究」などと思っている。それでもピアジェやパブロフ、ワトソン、スキナーなどの研究はまだテキストに載っている。心理学のパラダイムは基本的には劇的な転換はしていないようだ。

今はやりのヒューリスティックもアルゴリズムとの対比で説明されている。ヒューリスティックが判断を曇らせる例として、信念バイアス、アンカー効果、受け入れバイアスなどがある。うーん、こんな薄い本でも勉強になる。

心理学の概論書が昔と違うのは臨床心理の分量が増えたことか。その他の分類はあまり変わっていないように思う。どんな分野でも入門書、概論書はできるだけ多く読んで今の相場観を捉えるのが大事だ。

小杉正太郎『社内うつ―職場ストレスのコントロール術』講談社

2008-08-13 17:22:43 | 心理学
仕事上のストレスがあっても、うまく処理できる人と出来ない人がいる。
「社内うつ」とは、仕事上のストレスをうまく処理できない結果であり、心理ストレス理論から説明すると「不適切なコーピングに原因するストレス反応の集積」なのだそうだ。イベント型社内ストレッサーが慢性型ストレッサーを作りだし、社内うつの原因となることもわかっている。イベント型ストレッサーとは、仕事に失敗することから転勤、昇進などの日々の出来事だ。
仕事量と裁量権の問題の解説も面白い。ストレスが多いだけではうつにはならない。仕事量が多く、裁量権が小さい仕事ほどストレスが大きいのだ。社長は仕事量も多いが裁量権も大きいので高ストレスではない。人間関係もコーピング(処理)では大事だ。職場や家族から精神的なサポートを受けている人ほどストレスの処理がうまくいく。
コーピングには問題優先型と感情優先型があるが、問題優先型にするほどストレッサー自体の解決になるのも納得できる。しかし、問題優先型のコーピングをできないときこそ、「うつ」になっているときだろう。