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ハラリ、ギャロウェイ、ガブリエル他『欲望の資本主義3 偽りの個人主義を越えて』東洋経済

2019-12-22 23:12:14 | 将来予測


ギャロウェイは、フェアなルールのためにプラットフォームを独占しているGAFAは分割すべきと言う。
ホスキンソンはブロックチェーン技術などにより仮想通貨こそが国家の介入なしに誰もがフェアな競争に参加できるのだと違う意見。
ティロールは、新規事業者が競争に参加できないGAFAの市場は規制すべきで、仮想通貨はマネーロンダリングなど社会に有益でないと言っている。
ハラリは、経済成長がすべての問題を解決する鍵になると多くの人が信じている。しかし、今後、ビッグデータは中央集権的な管理を志向し、AIは人間の雇用を奪うことになると予言する。
最後に登場するガブリエルの主張は、テクノロジーの進化により、「自由」の社会でのあり方のイメージが二の次になっている。その「自由」のイメージを哲学的に批判している。
この本に登場するそれぞれが、時代を代表する「知性」なのだろう。
では、知性とは何なのだろうか?
AI時代の人間にとっての自由とは何か?
それは大事なものなのか、そうでもないのか?
ということを考えさせられた。

佐々木俊尚『2011年 新聞・テレビ消滅』文春新書

2010-06-28 23:57:23 | 将来予測
マーケットとしてのマスの消滅と従来型のメディアによる情報流通の独占が崩れること(メディアのプラットフォーム化)によって、新聞・テレビが消滅するというのが著者の主張だ。

メディアのプラットフォーム化とはこういうことだ。
グーグルの及川卓也氏によるとメディア機能は「コンテンツ」「コンテナ」「コンベア」の3つに分けられ、そのあり方が変化している。

新聞で言うとこういう変化。

コンテンツ 新聞記事  → 新聞記事
コンテナ  新聞紙面  → ヤフーニュース、検索エンジン、だれかのブログ
コンベア  販売店   → インターネット

テレビではこうなる。

コンテンツ 番組           → 番組
コンテナ  テレビ          → ユーチューブ、ニコニコ動画
コンベア  地上波、衛星放送、CATV  → インターネット

確かに著者の言うように、技術の進歩だけによって新聞やテレビのような現在のメディアが滅びるわけではない。電子メディアの新興によって、アメリカの新聞社は講読部数、広告収入が減少し、いくつかの会社が倒産に追い込まれている。
しかし日本ではR25のように紙のメディアが人気の出ることもある。これは技術の進歩のほかにマーケットの変化をどう捉えるかによるのだ。
消費者がメディアに求めるニーズの多様化によって、総合雑誌のようなマスとしてマーケットを捉える編集の仕方では売れなくなっている。R25のように世代によるセグメンテーションを行い、その対象にライフスタイルを提案するというアプローチをとり、媒体をR25世代にだけ必要な情報を提供するフリーペーパーというポジショニングをとるかによって成功している。マーケットの捉え方とマーケティングの問題もあるのだ。

新聞はメディアにおける重要度が昔に比べて下がっている。新聞の宅配が有料なのに対してネットは無料、その上グーグルなど検索サイトができたことにより、ユーザーは記事に直接アクセスするようになった。新聞が紙面を編集して、社会的な重要度を決めるという行為自体が貴重でなくなっているのだ。

それでも日本の新聞はしぶとく生き残っている。
それは全国的に整備された宅配体制と新聞紙という持ち運びやすく他の用途にも使える素材の特性が愛されているからかもしれない。
もし新聞がアマゾンのキンドルではなく、紙のように薄い媒体になって、iPadのように指でスライドしてページを繰ったり、文字を拡大できるようになればどうだろう。おそらく宅配の方が便利だという人はいなくなるだろう。これまで宅配に関わっていた人件費や設備費が節減できるので、購読料も安くできる。弁当を包んだり、ゴミをくるんだりするする紙は、おそらくホームセンターで安く売り出され、ヒット商品になるだろう。

それに比べてテレビがまだまだ残りそうなのは電波免許で保護されている要因が大きい。NHK以外は「電波は無料」という意識が抜けないのも要因だろう。スカパーなどのCSが普及しない理由もそこにある。しかし、「あるある大辞典」事件以来、電波免許がテレビの質を低下させる歯止めにはなっていないことは世間の人はわかり始めている。
莫大な制作費は大手広告代理店とテレビ局に大方が渡り、制作会社には1割程度しか入らない。番組づくりが、どの局も似たような企画で同じタレントを使い、短時間で荒っぽく作らないといけない悪循環に陥っているのも無理はない。

しかし、セット・トップ・ボックス(STB)という番組コンテンツのコントロールする機器が開発されており、これがテレビのプラットフォームを崩すかもしれないらしい。


著者の話はいつもわかりやすいが、なんか信じられない雰囲気もある。

しかし、ちょっと昔、著者が言っていたようにグーグルが本当に世界を変えてしまった。

今度の話も本当かもしれない。

『ウェブ進化論』梅田望夫(ちくま新書)

2007-01-08 16:53:31 | 将来予測
技術進化の話は賞味期限が早い。この本は2005年末の情報が中心なので今が限界というところか。Web2.0という言い方も来年の今頃は廃れているかもしれない。この本にはアマゾン、google、ブログ、ウィキペディアなどにみられるロングテール、アフィリエイト、発信型HPなどの最近のトレンドがまとめられて、かつ未来予測が描かれている。著者の梅田望夫氏は「はてな」の非常勤取締役なのだそうだ。そのためかはてなの近藤社長がえらくもちあげられている。それはともかくこの本のなかで引用されている将棋の羽生棋士のことばが印象的だった。それはITの世界では情報ハイウェイやソフトの発達などがあり、それが将棋の世界には定石や棋譜などを自由に学ぶことやネット上で強い棋士と対戦して強くなることも可能な環境を作った。しかし、高速道路の先で渋滞が起きているような状況になっているとのことだ。つまり、昔に比べて奨励会で2段くらいになるには高速道路を走るくらい早くなったが、高速道路の終わりあたりに人がたまっているらしい。それ以上伸びることが難しいのだ。情報環境を越えて人間の能力がどのように伸びるのかを考えることが将棋界でもIT業界でも課題であるというのだ。その答えが実は根性や忍耐力という陳腐な答えなのかどうかはわからない。続きは『ウェブ人間論』でのお楽しみということか。