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お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

エリック・シュミット他『How Google Works』日経ビジネス人文庫

2019-12-22 11:18:48 | 人材マネジメント
スマート・クリエイティブと呼ばれる新種の労働者を集めて管理しない。それがGoogleの労務管理?のようだ。
創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、これまでにない事業を始めるときにこれまでの会社の経営戦術が間違っていたのはわかっていた。だが、どうすればよいかの明確な戦術はなかったという。
アドワーズを今の形にしたのは広告の担当者ではなく、休みの日にたまたまラリーのメモを見た社員たちだったとか。
他人の担当の仕事をすることも不思議ではない組織だとか。
Googleの日本代表の一人が、自分がリーダーと言えばリーダーになれるんだ、と言っていた。あながち嘘ではなさそうだ。Googleではリーダーシップがみんなに必要なようだが。

山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』光文社新書

2019-12-21 20:26:46 | 人材マネジメント
ダイソンの創業者は英国カレッジオブアートで学んでいるとか、VUCAと呼ばれる先の読めない時代には、アートが大事だということはわかる。
経営者として理性や論理だけでなく、感性や直感を磨かねばとか言われると、そうだと思う。
で、どうやってそういうのを磨くかってことになると、例示の説得力に落差を感じる。
例えば、カラバッジョの絵を見て議論しましょうとか、詩を読みましょうとか言われてもねえ。
アートに優れた経営者として、スティーブ・ジョブズやマツダの前田育男デザイン本部長があげられているけど、どっちも感性が天才的な人。ビジョンづくりがうまい。けど、そうそういないよね。
普通の組織にできることはアート、クラフト、サイエンスのバランスの取れた人事構成を心がけるってことくらいかな。


大久保幸夫『マネジャーのための人材育成スキル』日経文庫

2015-01-02 15:30:24 | 人材マネジメント
プロフェッショナルの定義。
(1)専門的な知識(わかる)と技術(できる)を兼ね備えた人
(2)高度な職業意識(プロフェッショナリズム)を持った人

プロフェッショナリズムとは、
(1)自律と自己責任
(2)利他性
(3)職業倫理
(4)継続学習

人材育成とは、プロフェッショナルを育てること。
著者の考えでは、これには10年かかるとのこと。

人材育成とは、リーダーシップと専門性を育てることともいえる。

大久保氏はリクルートでずっと人材事業に関わっている。
この人の主張に説得力があるのは、リクルートワークス研究所での集団での研究成果によるものが大きい。

大久保幸夫『会社を強くする人材育成戦略』日経文庫

2015-01-02 14:59:50 | 人材マネジメント
新規事業が多かったバブル崩壊前までは、人材は自然と育つ状況だったが、新規事業も少なく、雇用さえも守れないバブル崩壊後は、人材は育つものではなくなったと著者は言う。人材は育てる時代になったのだと。
人材育成は採用時から始まり、採用前、入社後の導入が重要とか。

ローパフォーマーの問題も興味深い。
本人の問題も大きいが、半分は会社の責任である。
ローパフォーマーだからと言って簡単に解雇できないのが日本の労働法である。
裁判になれば次のことが問われる。
ローパフォーマーであり、放置できない問題であることを本人に通知したか、本人からの意見も真摯に聞いたか、
改善目標を設定して、それを実現できるように指導・支援したか、配置転換などによって場を変えてチャレンジする機会を与えたか、
解雇の前に退職勧奨などのプロセスを経たかが問われる。
さらに悩ましいのはメンタルヘルスの問題を経て、ローパフォーマーになってしまうこと。
女性に場合、仕事と育児の両立期間をきっかけにローパフォーマーになること。
どこでもある問題なのだ。

人事育成とはプロフェッショナルを育てること。
スペシャリストは、ある一連の仕事の特定分野をもっぱら担当する。仕事の細分化により生まれた専門職のイメージ。
それに対して、プロフェッショナルは、仕事の個性化から生まれてくる。
専門性を深く追求し、経験を積み上げていくにつれて、信念が生まれ、その人なりのやり方が生まれ、職業倫理が生まれ、際限なく知識や技術を深めていく本当の専門職のイメージ。
プロになるまで10年というのが著者の考え方。


ハーバード・ビジネス・レビュー『業績評価マネジメント』ダイヤモンド社

2010-08-11 22:51:20 | 人材マネジメント
この本の最後にBSCの考案者キャプラン&ノートンの1996年の論文がある。
キャプラン&ノートンは予想を超えてBSCが多くの企業で採用され、長期戦略と短期的な行動をいかに関連づけるかという作業化が進んだ成果から、どのように業績評価に落とし込むかの方法をこの論文で説明している。

BSCは顧客、ビジネスプロセス、学習と成長の3つの視点によって伝統的な財務指標を補うものとして位置づけられている。
BSCによって新しい4つのマネジメントプロセスを導入できる。

①ビジョンの明確化
②コミュニケーションとの関連づけ
③経営計画
④フィードバックと学習

この論文の時点でBSCを採用した企業の使い方は次の6つにまとめられる。

①戦略を明確化し、リニューアルする。
⑤企業全体に戦略を伝達する
⑥事業ユニットや個人の目標を戦略と連携させる。
⑦戦略目標を長期目標や年間予算と関連づける
⑧戦略プログラムを確定させ、連携させる
⑨戦略についての学習を促し、戦略を改善するために定期的な業績検証を行う

この論文から15年経って、日本では国立大学でBSCを導入し、成功しているところも現れている。
これはキャプラン&ノートン想定の範囲だとは思うが。

今野浩一郎『人事管理入門』日経文庫

2010-06-30 20:27:52 | 人材マネジメント
誰もが人事管理の基本的な知識をもてば、会議でも共通の基盤を持つことができる。自社の何が問題か、戦略との整合性、他社との強みと弱みなどが建設的に議論できると思う。

そういう意味でこの本は1時間くらいで読めて、基本的な要素はすべて入っている。もちろん190ページに満たない本なので解説が不十分な項目もある。

基本的に押さえられる知識はこのようなもの。

・基本的な枠組みとしての社員区分と社員格付け
・社員格付けにおける職務遂行能力の分析と分類による職能資格制度の作り方
・人事配置・異動政策の留意点
・人事評価における能力評価、情意評価、成績評価の考え方とその方法
・給与と評価の報酬への反映方法
・教育訓練、人材育成の考え方とその方法

人事制度をどのように設計するかは、その企業が戦略目標を達成するために、従業員にどのように働いてもらいたいのかが基本となるだろう。

企業理念が確固たるもので浸透力も強く、従業員にとって職位や報酬などまったく関係ないという組織ではフラットな構造で、みんな同一賃金でも従業員は気持ちよく働くのかもしれない。しかしそんな組織は現実にはない。

その企業がどういう方向性をもっており、どのような能力や成果が期待されるのか、そのために公平な評価はどのようなもので、報酬をどう分配するのが最も適切なのか。昇進・昇格のしくみはどう設定すべきか。そのために人材マネジメントがあり、人事制度がある。

しかし、「人が人を評価するのに客観性などない」「どういう制度も万人にとって公平なものはない」という主張が強くなると人事制度の改革は難しくなり、小手先の不満の解消にしかならない。客観性や万人という100%基準でall or nothingで考えるのではなく、より100%に近づけるにはどういう方法があるのかを考えるのが適当だろう。

すべての人は自分の経験の上に、今の自分がある。過去を全否定する人はいないだろう。どうしても自分の成功体験や失敗体験、自分の人生の価値観にとらわれる。みんなが自分は何にとらわれ、相手は何にとらわれているのかを自覚して議論する。

人が人を考えるときに、そういうふうに冷静になれるかも組織改革において大きな要素だろう。

日本賃金研究センター『コンピテンシー概念に基づく日本型人事の革新とその設計 』経営書院

2010-05-30 00:44:14 | 人材マネジメント
この本は2001年の出版なので今の人事・賃金制度と少しずれているかもしれない。
確かコンピテンシーという言葉が日本で流行り始めた頃だったと思う。

編集した日本賃金研究センターというのは座長が楠田丘氏となっている。
楠田氏と言えば、80年代、90年代の日本の人事制度に影響を与えた人だ。それで日本の職能資格制度と成果主義にコンピテンシー評価を混合させた人事制度を提案する形になっているようだ。

人事考課に基づく職能資格制度は、能力考課と情意考課の上に成り立っている。人材の能力を期待値に比して評価するものだ。
それに比べてコンピテンシーは優秀な人材の行動特性を抽出して、それと比べることが基本だ。
潜在能力とアウトプットという違うものを合わせようとしているところに少し無理があるようにも思える。
経済成長、ポスト不足などの時代では職能資格制度がある程度機能した。しかし低成長、実力主義による報酬の分配が重視される時代には機能しなくなってきている。
コンピテンシーの考え方が出てきたのも、結果重視の行動をとることがホワイトカラーに求められる時代になったからだ。

それで楠田氏はこれまでの日本の制度にコンピテンシーを混ぜるハイブリッドな考え方になったと思える。果たしてこの考え方が日本に合っているのだろうか。

職能資格の等級をジュニア、シニア、マネジメントに分け、さらにいくつかに分ける方法は日本の企業では一般的になっているのかもしれない。
コンピテンシーモデルはコンピテンシー評価、職務基準は達成度評価、職群基準はアセスメントと評価をいくつもの基準で行うのはそれだけ労力がかかるということだ。
すべて絶対評価で行うことが原則だ。

人が人を評価するのに客観性は相対的なものになる。しかしより客観性を高めるために、職能資格の基準を細かく決めたり、いくつもの基準で面接調査したりする。

こんな風に細かく記述するのがよいのか、それとも何人かの評価者が集まって、それぞれの基準で合意ポイントに持って行くのがより客観性を求めることになるのか判断が難しいところである。

それぞれの企業の戦略に沿って、その組織をどういう組織にしたいのか。そのために求める基準は何か。その目的に沿った人事制度と評価制度は何かを考えるのが大事なのだろう。加点主義かよいのか、減点主義がよいのか、年齢や勤続年数を重視するのか、成果を重視するのか、それぞれの企業の条件によってすべて異なってくると思う。

楠田丘氏の考えたシステムなどをいかに自分の企業に適用するのかを考えるセミナーなどを見かけるが、ちょっと逆立ちした発想だと思う。

最近の傾向としては評価者訓練を重視するところや360度評価を取り入れるところも増えている。
人事制度を設計するとき、人が人を評価することの難しさ、その企業で人は何にモチベートされて働くのか、という根本的な考え方の擦り合わせも必要なのではないだろうか。

高木晴夫『人的資源マネジメント戦略』有斐閣

2009-09-23 23:52:42 | 人材マネジメント
薄い入門書だが、内容は濃い。
巻末のケースにある「ベネッセ・コーポレーション」や「榎本氏の再就職活動」などはとても参考になる。ただ個々のケースをテキストとして扱うにはあまりにテーマが盛りだくさんすぎるように思う。特にベネッセのケースなどは少しテーマを絞って解説があればよいのにと思う。
こういうケースを読むとハーバード・ビジネス・スクールのケースはよく練られていると思う。
またMBAのHRM入門書にしては珍しく労働法の実務上の論点が整理されているところはよい。

マイケル J マーコード『実践アクションラーニング入門』ダイヤモンド社

2008-11-25 23:58:28 | 人材マネジメント
「アクションラーニングとは簡単に言えば、実務を通じたリーダー育成、チーム・ビルディング、組織開発を効果的に行う問題解決手法である。小グループが現実の問題を解決するなかで行動し、個人、グループ、組織が学習していくプロセスがアクションラーニングといえる」というのがマーコードの説明。これでは、世間によくある能力開発ワークショップと同じではないかとも思えるが、アクションラーニングは6つの必要不可欠な構成要素でなりたっているらしい。①問題(プロジェクト、挑戦、機会、課題)、②グループ、③質問とリフレクションを重視するプロセス、④問題解決のための行動を起こす、⑤学習へのコミットメント、⑥ALコーチ。このなかでも③の質問とリフレクションと⑥ALコーチの要素が重要なようだ。
ALコーチとファシリテーターは同じ役割のようだが、マーコードの定義によると違いがあるという。大きな違いはファシリテーターがグループプロセスに焦点を当てるのに対してALコーチは学習とメンバーの能力向上に焦点を当てることだろうか。ALコーチのほかにもスポンサー(アドバイザーか)、チャンピオン(経営トップ)の役割も重要なようだ。
問題の設定もシングル(グループで単一で設定)とマルチプル(メンバーがそれぞれで設定)がある。これはALコーチがグループをどのような方向に導くかで成果が大きく左右されるんじゃないかと思える。ALコーチのスキルが試されそうだ。でもグループのなかでALコーチの持ち回りもありだという。その一方でALコーチは2日間の集中トレーニングが有効などとも書かれていて本を読むだけでは今ひとつどういう手法なのかよくわからない。
でも本の中にはコリンズのビジョナリー共有やセンゲの学習する組織、野中郁次郎のナレッジマネジメント、ジョン・コッターの組織改革プロセスなどの理論のええとこどりの引用も見られ、すごいことをやるようにも思える。
要するに大事なことはマーコードが顧問を務めるGIALジャパンに頼めということなのだろうか。

中尾ゆうすけ『新入社員が劇的に成長する3か月プログラム』こう書房

2008-08-15 14:17:01 | 人材マネジメント
この手の本で素晴らしい本にはお目にかかったことがない。この本も同類。
研修や教育の目的、目標を示し、新入社員が社会人として組織で働くことを覚えることが基本なのだ。誰が考えても同じだろう。
この本のエピソードで、著者の研修を受けた新入社員がディーラーのオープニングの時に、商品知識もない自分たちにできることは限られていると、率先して動物の着ぐるみを着たことは興味深い。新入社員は何も知らないが、自律的に考えればわかることだってあるのだ。いかに早く自律的に考えられるようになるかを援助することが大事だろう。