
この本ではクリティカル・シンキングの本質を「正しく疑う」と定義している。
またクリティカルシンキングをロジカルシンキング、ラテラルシンキングとセットの思考法という扱いで書かれている。
クリシンのテキストというより読み物として面白い。
たとえば、「フレームワークの限界を見極める」というテーマでPPMのフレームワークが例に挙げられている。
PPMは横軸は自社の市場シェアであり、縦軸は市場の成長性である。しかし横軸は競合他社と比較したコスト競争力または自社の強みであり、縦軸は市場の魅力であるとも読み替えられる。そういう発想で横軸に市場シェアではないもの、縦軸に市場の成長性ではないもので事業のポートフォリオを見直すこともできる。
ビジネススクールの生徒で自社のケースに落とし込まない考えない頭でっかちは、考える筋トレができていないという記述も参考になる。
しかし、1時間くらいで人にクリシンを教えられるテキストはできないのだろうか。
クリティカルシンキングを3分で理解できるわけがないが、1時間で教えるのも難しいと思う。
職場でなら、1時間講義して、その後OJTというか日常業務のなかで思考のくせを直し、クリシン・モードになれる練習をすれば効果的だろう。
たとえば、1時間で教えること。
クリシンは考えること、伝えること。
①考えること:自分の偏見、思考のクセを自覚する。
②考えること・伝えること:わかりやすく説明する。根拠→結論またはその逆で説明する。
③伝えること:相手の知りたがっていること、理解できる程度を認識する。
・考える方法としてのフレームワーク
3C,4P,5F,7S,PPM,アンゾフのマトリクス,バリューチェーン → 参考文献で示す
・フレームワークの限界を知る → PPMの例
・伝える方法
見える化 プロセス、ツリー、4象限図など
フレームワークをそのまま使うことのメリットとデメリット
ロジカルな組み立てとしての帰納法、演繹法
・自分と他人のwhat,where,why,howの位置を知る
これくらいだろうか。
1時間の講義でフレームワークのだいたいを理解していれば、OJTを行うときに「フレームワークの○○で示したら」とか「プロセスを図で示して」「その根拠は?」「テーマは何?」などと言っても違和感がない会話が成立すると思う。こういうことを繰り返していくと自然とクリシンが身に付くのではないだろうか。
クリシンはスキルに関するものなので、3分本を読むだけではなかなか身に付くのは難しい。