東京新聞の社説【週のはじめに考える 原因不明で動かせるか】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015030802000135.html)。
「福島の原発事故から四年がたとうとしているが、事故原因は不明のままです。それで再稼働を急ごうとするところにそもそも無理があるのではないか。たとえば自動車が設計などの問題で事故を起こしたら、原因を突き止め、同種の車も直したうえで走らせるではありませんか。子どもでも分かることです」。
「原発事故調書 原因不明、責任不在」・・・・・・原発再稼働なんてやっている場合でしょうか? 大間その他の建設なんてやっている場合でしょうか? 特に腹立たしいのは、自民党議員の誰ひとり責任をとらず、誰もその贖罪の意識も一切感じていない点。「眠り猫」の方々も含めて、そんな自公議員を平気で支持できる神経も理解不能。
『●「原発事故調書 原因不明、責任不在」:
川内原発再稼働なんてやってる場合か!』
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015030802000135.html】
【社説】
週のはじめに考える 原因不明で動かせるか
2015年3月8日
福島の原発事故から四年がたとうとしているが、事故原因は不明のままです。それで再稼働を急ごうとするところにそもそも無理があるのではないか。
たとえば自動車が設計などの問題で事故を起こしたら、原因を突き止め、同種の車も直したうえで走らせるではありませんか。子どもでも分かることです。
原因究明が不十分なままでは再稼働にかかわる議論に入れない、と言い続けているのは、新潟県の泉田裕彦知事です。
県には東電・柏崎刈羽原発があります。七基が集中立地し、地盤がよくないため、四十メートルも掘り下げて建設されている。
◆原発取り巻く無責任
知事の不安は、少なからぬ国民の不安でもあるでしょう。不安は二つに分けられそうです。
第一は、原因不明とそれを許している無責任体制です。
東電はもちろん、政治家も役人も、学者も、です。
東電は政治家と役人のかげに隠れ、政治家は東電と役人のせいにし、役人は審議会などの学者たちのせいにして、結局だれも自分が悪かったとは言わない。
学者たちはさすがにばつが悪いのか、原子力学会や地震学会は反省を述べましたが、だれが悪いのかはよく分からない。
要するにみんな大津波のせいにして「想定外」という言葉の中へ逃げ込んだのです。いやみを言えば、私はがんばったという人しか見当たらない。
福島の被災者から見れば、これほど人をばかにした話はありません。古里は奪われたが、奪った者がだれか分からない。きちんと謝罪する者なく、怒りを向ける先もはっきりせず、土地を守ってきた祖先に申し訳のしようもない。
◆段差生じた柏崎刈羽
大津波の想定を議論にのせながら無視した者たち、原子炉の設計上の危うさは米国からの内部告発で知りながら放置した者たち。事故後情報を持ちながら伝えなかった者たち。
それとも原発という巨大すぎる科学は、飛行機や鉄道などと違って、人が過ちを犯しても破滅的結果には至らない、フェイルセーフという手法が使えないのか。
これらの疑問が解けないのに、場所や機種が違うとはいえ、原発を再稼働してもいいのだろうか。
百パーセントの安全は、事故後だれも言わなくなりました。だから避難計画づくりやヨウ素剤の配布も行われます。
しかし事故原因が不明のままでは、本当はどれほど危険なのか、実際にどれほど防止可能なのか、見当のつくはずもありません。
第二の不安は地震です。日本はあいにく地震国です。
柏崎刈羽の地盤の悪さは先に書きました。辺りは古くからの油田地帯で液状化がおきやすい。
二〇〇七年七月十六日、新潟県中越沖地震(震度6強)で、1号機の近くでは一メートルを超す段差ができ、3号機は地盤沈下のため変圧器が出火した。核燃料プールの水は全基であふれ出した。
もしも、地震がさらに大きければ福島のようになっていたかもしれない。もちろん仮定の話ですが想像するだけで恐ろしくなる。
福島の事故について国会事故調の報告書は、津波より前、地震直後の配管の亀裂破断を「断定はできないが…」という断り書き付きで大いに疑っています。動き始めたイソコン(非常用復水器)を止めたことで「炉圧の下がりが速いので、漏洩(ろうえい)を確かめたかった」という運転員の証言を得ています。
ただ放射線量が高くて内部を調べられないので、確かめられないのです。
しかし、そうならば事故原因としてあらゆる可能性、また最悪を想定するのが科学的態度というものです。新潟県知事の心配は、地震国日本ならどこでももちうる心配なのです。
科学的に未知があるというのなら、しかし危険だけれど経済活動に不可欠だというのなら、科学的合理性の代わりに少なくとも社会的合意は必要なはずです。政治家でも役人でも電力会社でも学者でもなく、国民が主体的に決めることなのです。
◆国民に是非も聞かず
一九七八年、米スリーマイル島原発事故の前年、オーストリアでは国民投票で過半数が反対し、スウェーデン、イタリアが続き、ドイツはメルケル政権より前の二〇〇〇年に政府と電力業界の合意で最初の脱原発方針を決めている。
原因不明のまま、国民に是非も聞かないというところに、この国の政治家、役人たちの根源的な隠蔽(いんぺい)体質があると言っても過言ではないでしょう。国民に聞けないのは、世論調査結果がすでに非を述べているからでしょうか。もしそうならば、これほど国民をばかにした話はありません。
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