![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/8b/7aa6e07fd6b929cf12cc80e377fabbcc.jpg)
東京新聞の宇佐見昭彦・永井理記者による記事【熊本地震 2つの断層が連動 揺れの回数は過去最多】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016041802000124.html)と、
社説【週のはじめに考える すべては減災のために】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016041802000127.html)。
《熊本県を中心に相次いでいる地震は、これまでに最大震度7、最大マグニチュード(M)7・3を記録し、大きな被害を出した。発生から四日目を迎え、これまでの地震の常識では割り切れない特異な姿が見えてきた》。
《専門家に「常識が通じない」と言わしめた地震が九州を揺さぶっています。次は何が起きるのか》。
地震や火山の噴火を予測することなど困難…それを素直に受け入れることではないでしょうか。
そして、《専門家に「常識が通じない」と言わしめた地震》《予想外の展開》《常識では割り切れない》《広範囲の連続地震になることは予想することができなかった》《専門家も見通せぬ》《関係ないとは言い切れない》…ことを鑑みれば、我々は、いま、立ち止まって考えるべきなのではないでしょうか。
《地震の発生を防ぐことは、もちろんできません。でも、被害を減らすこと、減災であれば、わたしたちの努力で道を開くことができます》…であるならば、その最たる致命的被害をもたらす唯一稼働中の川内原発を停止するとことが、最重要な「減災」ではないでしょうか。ニッポンが致命傷を負わぬために。
『●高浜原発「差し止め」、国民を守る司法判断:
寄生委の新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」』
『●九州電力川内核発電所、「住民の命に関わる重大事」を
「審査さえパスすれば、約束をほごにしてもいい」?』
『●前田郁勝・西川知一郎両裁判長や九電のオゾましき
「社会通念」=「「安全より効率、命より経済」を優先」』
『●熊本大地震…「「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。
地震国日本では、これこそ社会通念」』
『●東京電力核発電人災の教訓:
次の大地震で川内原発に「異常があってからでは遅い」』
『●地震調査委員会で結論が出ず「議論になっている」…
原子力「寄生」委員会は「規制」の仕事をすべきでは?』
==================================================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016041802000124.html】
熊本地震 2つの断層が連動 揺れの回数は過去最多
2016年4月18日 朝刊
熊本県を中心に相次いでいる地震は、これまでに最大震度7、最大マグニチュード(M)7・3を記録し、大きな被害を出した。発生から四日目を迎え、これまでの地震の常識では割り切れない特異な姿が見えてきた。 (宇佐見昭彦、永井理)
■大分の揺れ誘発
気象庁は当初、熊本県で震度7となった十四日夜のM6・5を「本震」としたが、のちに十六日未明のM7・3が本震で、震度7は「前震」だったと修正するなど迷走した。
元気象庁地震予知情報課長の吉田明夫・静岡大客員教授は「この二つの地震はメカニズムが異なる。『前震-本震』ではなく独立した活動とみた方がいい」と指摘。十四日夜は日奈久(ひなぐ)断層帯、十六日未明は布田川(ふたがわ)断層帯によるもので、近接する二つが連動したとする。政府の地震調査委員会でも十七日、同様の指摘が出た。
大分県でも「火山地域や中央構造線沿いの弱い所で地震が誘発された」(吉田氏)。気象庁は震度7の地震を「熊本地震」と命名したが、広域にわたる地震の全体像を再検討し、見直す可能性も出てきた。
■阪神の倍ペース
十四日夜の震度7以降、熊本、大分両県で体に感じた地震は四百八十八回。震度5弱以上の地震も十四回を数えた(十七日午後十一時現在)。M3・5以上の地震の回数を過去の直下型地震と比べると、余震活動がこれまで最も活発だったとされる新潟県中越地震を十七日に上回った。阪神大震災の約二倍のペースだ。
今回は特に、M6・5とM7・3という二つの地震にともなう余震が重なった形で数が増えた。清水洋・九州大教授は「今回のように地質が複雑な場所では断層が一発で割れず、残った部分が後で割れるため余震が増えやすい」と話す。
複数の活断層が関係し、断層帯を離れた地域にも地震が飛び火しているだけに、どこまでを余震とみるかは難しい判断だ。
■火山活発化も
阿蘇山は過去に何度も巨大噴火を起こしており、地震の影響が気になる。布田川断層帯は、阿蘇山を囲むカルデラの手前までしか延びていないと考えられてきたが、小さな余震がカルデラ中でも起き始めた。
地震調査委は「余震や地殻変動などから判断すると、思ったより長くカルデラ内まで延びている」と結論付けた。
委員長の平田直(なおし)・東京大地震研究所教授は「これから影響を受けて火山活動が活発化する可能性はある」と指摘。「監視を強化していただきたい」と関係機関に注意を呼びかけた。
==================================================================================
==================================================================================
【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016041802000127.html】
【社説】
週のはじめに考える すべては減災のために
2016年4月18日
専門家に「常識が通じない」と言わしめた地震が九州を揺さぶっています。次は何が起きるのか。減災に向け、わたしたちは知恵のすべてを傾けたい。
本震と思っていた木曜夜の最大震度7の地震が実は前震で、終息を期待しながら余震を警戒していた次の晩に襲ってきたのが余震ではなく本震だったとは…。
予想外の展開が、不安な夜を過ごしていた被災地の人たちに非情な追い打ちを掛けることになってしまったのかもしれません。
◆二晩目に被害広がる
地震学では、このような一連の地震で、地震の規模を示すマグニチュード(M)の最も大きなものを本震とするそうです。
気象庁はその規則に従い、木曜夜に震度7を観測したM6・5の地震を本震と呼び、それ以降の地震を余震としました。
ところが、土曜日の未明、地震の規模としては約十六倍に及ぶM7・3の地震が起き、結果として「本震」が入れ替わる事態となりました。この段階、つまり一連の地震が始まって二晩目に、終息に向かうどころか被害の範囲は大きく広がってしまったのです。
気象庁によると、内陸地震ではデータの残る一八八五年以降、M6・5程度の地震が起きた後に、さらに大きな地震が発生した例はなく、専門家からは「これまでの常識が通じない事態だ」という話も聞こえてきます。
今回のように、広範囲の連続地震になることは予想することができなかったのでしょうか。
現行の震度区分では最強の「震度7」が、専門家も見通せぬ本震の前触れだった。自然の猛威は人知を超えることを、あらためて思い知らされる今回の試練です。
一連の地震活動は、溝状の地形に多数の活断層が分布する別府-島原地溝帯で発生しています。震源は熊本県から大分県に広がっていきました。その延長線上には四国や紀伊半島へと連なる中央構造線断層帯があります。
◆危険はどこにいても
歴史的に見ると、安土桃山時代の一五九六年、その大分県から近畿地方にかけて、中央構造線に沿って地震が続いたことが知られています。京都で慶長伏見地震が起きたのは、大分県で慶長豊後地震が起きた四日後。地震の規模は、どちらも今回の本震と同程度と推定されています。
一連の地震活動は今後、どう展開するのか分かりません。不安をあおってはいけませんが、可能性の一つとして思い出しておくべき歴史的事実でしょう。
その中央構造線に沿っては、四国最西部の佐田岬半島に伊方原発があることにも留意が必要と言わねばなりません。
今回の地震が、九州から東海地方の沖合で想定されている南海トラフ巨大地震に関係があるか。
南海トラフ地震や東日本大震災は、プレートの境界で起こる海溝型地震。一方、今回の一連の地震は陸側プレートの内部で起こる活断層型地震です。場所も離れており、今回の断層のずれが直接関係することはなさそうですが、専門家の間には「関係ないとは言い切れない」との見方もあります。
つまり、南海トラフの地震に先立つ数十年間は、西日本でM6以上の地震が増える傾向が認められる、と。心構えが問われます。
日本には二千以上の活断層があり、大きな地震が起こる恐れは、どこにいてもある。未知の活断層で地震が起きたことも少なくありません。
地震の発生を防ぐことは、もちろんできません。でも、被害を減らすこと、減災であれば、わたしたちの努力で道を開くことができます。
地震発生の仕組みを知るよしもなかった時代の先人も、生き延びる工夫を重ねてきたはずです。例えば、中世の欧州では空に向かうように石で教会を建て、永遠を願った。われらが先祖は、むしろ、地震に遭えば崩されることを覚悟し、再建しやすい木造建築を発展させてきたのかもしれません。
新たな技術で大きな構造物を造る時代になれば、さて、どんな減災の工夫が必要でしょうか。
◆心構えが問われる
耐震、免震技術の前進ばかりではありません。阪神大震災、東日本大震災で経験を積んだボランティアなど助け合う心も、被害を軽減させる減災の柱です。だからこそ、時間とともに危険が広がっていく現場では、二次被害の阻止にあらゆる知恵を傾けたい。
発生直後、デマがネット上などに出回ったことは、まことに残念です。情報が何よりも安全を左右する局面で、人々の心に混乱を招く振るまいは許されません。
今回の地震も、これから直面する地震も同じです。歴史的な知見も、科学的な知見も、助け合う心も、情報も、すべてを減災への力としようではありませんか。
==================================================================================
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます