[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]
(2024年03月10日[日])
3.11の教訓は活かされず、能登半島地震の「警告」を無視してさらなる暴走を続けるキシダメ政権。本年1月1日の能登半島地震で道路は寸断され、海岸では隆起が起き、さらには、多くのモニタリングポストも機能しなかった。避難計画など絵に描いた餅だったことを目の当たりにした。(小出裕章さん)《今回の地震で志賀原発は外部電源の一部系統が使えなくなり、非常用発電機も一部停止した。稼働していたら、福島第1原発と同様の経過をたどったかもしれない》。福島第一核発電所周辺では、未だに全く《原状回復》はされていない。汚染水放流が廃炉に向けての一歩のごとく嘯き、1グラムのデブリも取り出せないし、どこに数十トンものデブリが残されているのか見当もつかない。にもかかわらず、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この13年間、着々と《原発復権》。《日本では現在、10基の原発が動いている。また、基準審査や定期検査などで停止中の原発が23基ある。その他、24基は既に廃炉が決まっており、3基が新たに建設中だ》…正気なのだろうか。そんなデタラメを行う自公お維コミにどうしてて投票できるのですか? 理解不能。
神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【能登半島地震であらためて露見した日本で原発を続けることの本当のリスク/セーブアース セーブアース (第17回)】(https://www.videonews.com/saveearth/17)。《1月1日の能登半島地震では、能登半島の付け根に位置する志賀原発が、変圧器が壊れて一部の外部電源が喪失したり、燃料プールから水が漏れるなど、相次ぐトラブルに見舞われた。能登半島地震はあらためて、地震大国である日本で本当に安全に原発の運用ができるのかという問いをわれわれに突き付けている。第17回のセーブアースでは、原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏をゲストに、地震大国日本が原発を続けることのリスクと、それがやめられない理由などについて考えた》。
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ』
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら』
『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》』
『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)』
『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…』
『●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震
と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所』
『●本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長
年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動》』
『●石川県志賀町・稲岡健太郎町長「北陸電力は再稼働を目指すとのこと
だが、首長として以前のように安全性をアピールすることは難しい」と…』
『●3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 能登半島地震の警告は?
正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?』
『●小出裕章さん《今回一番学ばなければいけないことは、志賀原発が止まって
いてよかったということ。…原発が1年間稼働すれば、広島原爆が…》』
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【https://www.videonews.com/saveearth/17】
【松久保肇×井田徹治:能登半島地震であらためて露見した日本で原発を続けることの本当のリスク】
(https://youtu.be/_xxXLqvX2II)
2024年02月14日公開
能登半島地震であらためて露見した日本で原発を続けることの本当のリスク
セーブアース セーブアース (第17回)
ゲスト
松久保肇(まつくぼ はじめ)
原子力資料情報室事務局長
1979年兵庫県生まれ。2003年国際基督教大学卒業。16年法政大学大学院公共政策研究科修士課程修了。東京金融取引所勤務を経て12年より原子力資料情報室研究員。17年より現職。22年より経済産業省・原子力小委員会委員。共著に『検証 福島第一原発事故』、『原発災害・避難年表』など。
概要
1月1日の能登半島地震では、能登半島の付け根に位置する志賀原発が、変圧器が壊れて一部の外部電源が喪失したり、燃料プールから水が漏れるなど、相次ぐトラブルに見舞われた。能登半島地震はあらためて、地震大国である日本で本当に安全に原発の運用ができるのかという問いをわれわれに突き付けている。第17回のセーブアースでは、原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏をゲストに、地震大国日本が原発を続けることのリスクと、それがやめられない理由などについて考えた。
北陸電力は、能登半島北部沿岸で96kmの断層が動く地震を想定していたが、実際は150kmにわたって断層が動いた。今回は幸い志賀原発の敷地内では地層の隆起は起きなかったが、すぐ近くで地盤が4m隆起している。もし敷地内でそれほどの隆起があれば、取水口が海面から離れることにより冷却水が取れなくなる恐れもあったし、そもそも原発の建屋が損傷する恐れもあった。
また、能登半島地震は、震災と原発事故が同時に起こったとき、周辺住民が本当に安全に避難できるのかという古くて新しい問題をわれわれに突き付けた。今回のように道路が寸断して孤立集落がたくさん発生しているような状況下で原発事故が起きた場合、どうやって住民を避難させるのか。さらに志賀原発のように半島の付け根にある原発で事故が起これば、半島の奥側にいる人たちは逃げ場がなくなる。船を前提にした避難計画もあるが、地盤が隆起して港が使えなくなる場合があることも、今回の経験で分かった。
日本では現在、10基の原発が動いている。また、基準審査や定期検査などで停止中の原発が23基ある。その他、24基は既に廃炉が決まっており、3基が新たに建設中だ。志賀原発は2011年の東日本大震災と福島第一原発の事故以来、運転が止まっているが、もし運転中であれば、より大きな事故につながっていた可能性もある。また、今回地震と津波の影響を大きく受けた珠洲市には1970年代より、北陸電力、中部電力、関西電力の3社による珠洲原発の建設が計画されていたが、地元の反対運動により凍結されていた。もし当初の計画通り珠洲に原発が設置されていれば、取り返しのつかない事態になっていたかもしれない。
そのような状況にもかかわらず、北陸電力は志賀原発の再稼働を目指している。なぜならば、その間北陸電力は東日本大震災から1度も稼働していない志賀原発に維持費や人件費として6,100億円をつぎ込んでいるからだと松久保氏は言う。いつ動くか分からない原発に資金の投入を続けていれば、他のエネルギーに投資することも難しい。志賀原発に限らず、日本は原発をやめることを前提に、再生可能エネルギーに投資する方向に舵を切るべきではないかと松久保氏は言う。
岸田政権は2022年12月、安倍政権さえできなかった原発の運転期間の延長を成し遂げている。原子炉等基本法では運転期間は40年、特別な点検をすればプラス20年とされていたが、岸田政権は、運転停止している期間をカウントしないことで実質的に60年を超える稼働を可能にした。
さらに岸田首相は肝いりのGX実行会議で次世代革新炉の開発・建設を命じた。政府はGX債という2050年温暖化ガス0実現のための国債を10年間で20兆円発行し、そのうち1兆円を次世代革新炉の開発・建設にあてるとしている。しかし高速炉の実証実験がうまくいったとしても、高速炉は建設費が高いだけではなく燃料費も高いので、実用化することは経済的に難しく、それだけのお金を投じることの意味は見いだせない。国が丸抱えで支援するしかなくなっており、松久保氏はこれは沈みゆく原子力産業の救済措置に過ぎないと言う。
福島第一原発の事故処理費用は23.4兆円と言われるが、これはデブリを取り出すまでのコストに過ぎない。さらに取り出した後の核廃棄物を処理するために膨大な費用がかかることが予想され、それは優に20兆円はかかると松久保氏は言う。一つの原発の事故処理に国家予算の半分近く、国の年間GDPの1割近くを費やすことになるのだ。再び事故が起これば、また同じだけの負担を負うことになるが、そのリスクを国民に負わせて運転を続けるつもりなのだろうか。
原発政策を議論する経産省の原子力小委員会では、原発に反対する意見を述べる人は松久保氏を含め2人しかいない中、委員会は2時間の枠で、経産省の人が30分ほど説明して21人の委員が3分ずつコメントするだけで、議論も何もないと松久保氏は言う。そのようなことをやっていては、原発政策を巡る本質的な議論などできるはずもない。明らかに行き詰まった日本の原発をどうするかを考えるためには、国民的な議論が不可欠だ。
日本は世界でも類を見ない4つのプレートが重なり合った文字通りの地震大国だ。そんな日本がそれでも原発をやめられない最大の理由は、電力会社がすでに投資をした資金を回収せざるを得ないからに他ならないと松久保氏は言う。そのために国民がどれだけ大きなリスクを背負わされているのかを、われわれは厳しく認識する必要があるだろう。
能登半島地震が示した日本で原発を続けることの危険性などについて、原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏と環境ジャーナリストの井田徹治が議論した。
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[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]
(2024年03月04日[月])
能登半島地震の「警告」を無視し続ける気らしい、キシダメ首相らは。正気だろうか。この間も、愛媛県で地震があり、震源はアノ伊方原発の極近傍。10kmほどの位置だったそうだ。さらに、千葉県沖でも、地震が続いているようだ。
石川県志賀町の稲岡健太郎町長「北陸電力は再稼働を目指すとのことだが、首長として以前のように安全性をアピールすることは難しい」と。(東京新聞)《昨年末、前町長が逮捕された贈収賄事件に伴う町長選で初当選。その約1週間後、未曽有の震災が起きた。町長選では「化石燃料に頼り、電気代も高騰している現状では、すぐにでも原発を再稼働すべきだ」と主張したが、一転、慎重な姿勢に態度を変えた》そうだ。当時30代半ばだった町長も含めて、3.11東京電力福島第一核発電所人災で、皆そう思ったはずなのに、あの教訓は一体どこにいってしまったのか? 今回の「警告」をまたしても無視すれば、果たして再びの「幸運」に恵まれて、日本全土が高濃度の核汚染から免れることなどあり得るだろうか…。志賀原発直下の (活) 断層が、震度7の地震と連動してスライド・隆起しなかったことが、どれほどの「幸運」だったのかを理解できないのだろうか。(小出裕章さん)《今回の地震で志賀原発は外部電源の一部系統が使えなくなり、非常用発電機も一部停止した。稼働していたら、福島第1原発と同様の経過をたどったかもしれない》。(古賀茂明さん)《ほぼ全ての計画が全くいい加減な「なんちゃって避難計画」》についても重要だが、全ての核発電所の廃炉に直ぐに着手すべきだ。
3.11の時も、そう思ったのだけれども、核発電〝麻薬〟中毒者・《原発ゾンビ》らはそうでないらしい。一体何をやっているんだろうか、この国は…。キシダメ政権や「利権」「裏金」「脱税」党ときたら、《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
北陸電力によると《想定内》だそうだ…《北陸電力は…「同時に全外部電源が失われても『止める』『冷やす』『(放射性物質を)閉じ込める』の安全機能を満足できる設計になっている」と強調する。珠洲沖の活断層が150キロにわたり連動したことについては、「これらの断層を活断層と評価し、さらに複数の断層の連動も評価している。その規模はマグニチュード(M)8・1クラスの地震を想定しており、今回のM7・6は想定範囲内の規模」》(中日新聞)。《能登半島地震による志賀原発の一部電源喪失》についても、《想定》してたんだよね?
伊東浩一記者による、中日新聞の記事【もし志賀原発が稼働中だったら… 元京都大助教・小出裕章さんの警告】(https://www.chunichi.co.jp/article/845486)。《-能登半島地震の発生時、志賀原発が稼働中だったら、どんな被害が出た可能性があるか。 志賀原発が10年にもわたり停止していたことが何より幸いだった。原発の使用済み燃料は発熱しているが、10年たつと発熱量は運転停止直後に比べ、千分の1以下に低下する。今回の地震で志賀原発は外部電源の一部系統が使えなくなり、非常用発電機も一部停止した。稼働していたら、福島第1原発と同様の経過をたどったかもしれない》。
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ』
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら』
『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》』
『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)』
『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…』
『●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震
と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所』
『●本当に賢明な判断だった…珠洲核発電所《建設を阻止したのは、住民らの長
年にわたる根強い反対運動だった…無言電話や不買運動に耐えた阻止活動》』
『●石川県志賀町・稲岡健太郎町長「北陸電力は再稼働を目指すとのこと
だが、首長として以前のように安全性をアピールすることは難しい」と…』
『●3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 能登半島地震の警告は?
正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?』
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【https://www.chunichi.co.jp/article/845486】
もし志賀原発が稼働中だったら… 元京都大助教・小出裕章さんの警告
2024年1月30日 05時10分 (1月30日 05時10分更新)
最大震度7を観測した能登半島地震の発生から間もなく1カ月を迎える。北陸電力志賀原発(石川県志賀町、停止中)は、外部電源や非常用電源が一部使えなくなり、放射線監視装置(モニタリングポスト)の一部も測定不能になるなどのトラブルが次々に明らかになった。北電側は「安全上の問題はない」と繰り返しているが、原子力安全が専門の元京大原子炉実験所助教・小出裕章氏は「10年以上運転停止していたことが幸いした」と安全性に疑問を投げかける。稼働中だった場合、今回の地震で志賀原発にどんな危険が想定されたのかを語ってもらった。
(「志賀原発が運転停止中だったことが幸いだった」
と語る小出裕章さん=長野県松本市で)
能登半島地震による志賀原発の一部電源喪失 1日に石川県志賀町で震度7、1号機地下で震度5強を観測。変圧器が故障して油が漏れ、外部電源5回線のうち2回線が使用不能になった。16日の余震後には1号機の非常用発電機3台のうち1台が試運転中に自動停止した。
-能登半島地震の発生時、志賀原発が稼働中だったら、どんな被害が出た可能性があるか。
志賀原発が10年にもわたり停止していたことが何より幸いだった。原発の使用済み燃料は発熱しているが、10年たつと発熱量は運転停止直後に比べ、千分の1以下に低下する。今回の地震で志賀原発は外部電源の一部系統が使えなくなり、非常用発電機も一部停止した。稼働していたら、福島第1原発と同様の経過をたどったかもしれない。
-具体的にどのようなプロセスでそうなるのか。
出力100万キロワットの原発の場合、原子炉の中では、ウランが核分裂して3倍の300万キロワット分の発熱をしている。大地震の際は制御棒を入れて核分裂反応を止めるが、実は300万キロワットのうちの21万キロワット分の発熱は、ウランの核分裂で出ているわけではない。それまでに生成された「核分裂生成物」が原子炉の中に膨大にたまっており、「崩壊熱」を出している。
制御棒でウランの核分裂反応を止めても、21万キロワット分の崩壊熱は止められない。膨大な発熱だ。福島でも核分裂反応は止まったが、崩壊熱を止めることができないまま、電源が何もなくなり、冷やせないために炉心が溶けて、(放射性物質が)大量に出てしまった。
-停止中の原発ではどうなるのか。
核分裂生成物は約200種類の放射性物質の集合体で、寿命の長い物質もあれば、半減するまでに8日と寿命が短い物質もある。10年もたつと、発熱する放射性核種がほとんど残っていない。21万キロワット分の崩壊熱が千分の1になると210キロワット。1キロワットの電熱器200個分ぐらいを冷やせればいいことになる。仮に全電源が喪失して冷却できなくなっても、巨大な使用済み核燃料プールにつかっているわけだから、水が干上がって使用済み燃料が溶けるような事態にはならない。
-今回、変圧器が破損した。北陸電力の耐震設計は甘かったのか。
もちろん甘かったと指摘できる。運転中の原発で変圧器がだめでした、ということになれば、それこそ事故に直結してしまう。
-昨年3月、原子力規制委は北電の「敷地内に活断層はない」という主張を妥当と判断し、志賀原発2号機再稼働への道を開いた。だが、そもそも原発周辺のすべての断層を正確に把握し、耐震設計をすることはできるのか。
どこに活断層があり、活動度がどれだけだ、ということが完璧に分かれば、地震が予知できる。しかし地震を予知できた試しはかつて一度もない。今回、活断層が150キロにわたって連動した可能性が指摘されている。こういうことが起きて「想定外」だったと言う。だが、重大な結果を招く原発に関して想定外なんて言い方はしてはいけない。
日本は国土面積が世界の0・25%しかない小さな国だが、世界の地震の1割から2割が起きている。そんな場所に57基もの原発を建ててしまったことこそ誤りだったと知るべきだ。
今回一番学ばなければいけないことは、志賀原発が止まっていてよかったということ。100万キロワットの原発が1年間稼働すれば、広島原爆がつくった死の灰の千発分の核分裂生成物ができる。運転中に地震に襲われるのとは全然違うことを皆さんに分かってほしい。
(聞き手・伊東浩一)
こいで・ひろあき 1949年、東京生まれ。74年、東北大大学院工学研究科修士課程修了(原子核工学)。専門は放射線計測、原子力安全。2015年3月に京大を定年退官したのを機に長野県に移住した。
北陸電力は「想定内」
北陸電力は、志賀原発の運転中に能登半島地震と同規模の地震が発生した場合について、「同時に全外部電源が失われても『止める』『冷やす』『(放射性物質を)閉じ込める』の安全機能を満足できる設計になっている」と強調する。
珠洲沖の活断層が150キロにわたり連動したことについては、「これらの断層を活断層と評価し、さらに複数の断層の連動も評価している。その規模はマグニチュード(M)8・1クラスの地震を想定しており、今回のM7・6は想定範囲内の規模」と説明。震源断層については、「国や各種研究機関の報告を注視するとともに、必要に応じ今後の国の審査に適切に反映していく」としている。
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[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]
(2024年02月03日[土])
核発電「麻薬中毒」「原発ゾンビ」の皆さん、「想定外」と言う勿れ…能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所。これまでの教訓は何処に? 今回も、再稼働していなかったという幸運が重なったに過ぎない。低層階で変圧器の故障や油漏れ事故を起こしたということは、上部では相当な揺れだったはずで建屋や原子炉、核燃料プールがマトモだったと考えるのは難しいのでは?
dot.の記事【能登半島地震「想定外」ではなかった 日本海側にも活断層が多数存在/川口穣】(https://dot.asahi.com/articles/-/211469)。《元日の家族団らんを容赦なく襲った能登半島地震。東日本大震災以降の報道や対策の 議論は太平洋岸が中心だったが、日本海側の地震リスクが低いわけではないという。…今回の震源域に活断層があることは、従来知られていた。東日本大震災を受けて2013年から14年にかけて開かれた国土交通省の「日本海における大規模地震に関する調査検討会」では、津波を伴った大地震を起こしうる断層モデルとして今回の地震とほぼ同じ震源域を想定し、最大でM7.6の地震が起こる可能性があるとしている。今回の地震の要因となったのがその断層だったのか、あるいは未知の断層だったのかは今のところはっきりしないものの、地域の地震リスクとしては「想定外」ではなかったという。東京大学名誉教授で、政府の地震調査委員会委員長を務める平田直(なおし)さんはこう説明する》。
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ』
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら』
『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》』
『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)』
『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…』
3.11東京電力福島核発電所人災の教訓もどこに? …「想定外」と言う勿れ。
日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/「孤立」「原発」…生かされなかった阪神・淡路大震災、東日本大震災の教訓】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202401170000102.html)によると、《それに対して、道路が寸断された半島の特性が避難所への水や食べ物、物資の搬入が遅れた理由と言われるが、それらは十分、阪神・淡路大震災、東日本大震災の経験があれば想定でき、リスク回避は自治体レベルで可能だったはずだ。人災という言葉は使いたくないが、あまりに2つの震災の教訓が北陸の自治体で検討され、訓練されていなかったことがわかる。自衛隊の逐次投入が批判されるが、それよりも自治体からの出動要請がまず必要だったのではないか。 ★また、被災地の北陸電力志賀原発(停止中)は設備の故障で外部電源の一部から電気を受けられなく、空間放射線量を測るモニタリングポストも万全とは言えないのに北陸電力は情報公開に消極的だ。ここでも教訓は生かされたとは言えない》。
樋口英明さん、そもそも《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》。
長周新聞の記事【地震列島と原発は共存できず 未知も含め全国に6000もの断層 「安全」といえる場所ないと専門家指摘】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28770)。《石川県能登地方で1日、最大震度7(マグニチュード=M7・6)を記録する「令和6年能登半島地震」が発生した。県内での死者は200人以上を数え、交通網が壊滅的打撃を受けるなか、今も被害の全容は明らかになっていない。東日本大震災以後、日本列島は地震活動期に入っているといわれており、全国に2000あるとされる活断層がいつどこで動いてもおかしくないとの指摘を多くの専門家たちがくり返しおこなっている。加えて、南海トラフ地震も今後40年間の発生確率は90%といわれており、迫り来る地震被害への備えは急務となっている。列島直下で何が起きているのかについて専門家の指摘や警鐘に耳を傾け、日本列島が直面している現状を直視することが求められている》。
さらに、樋口英明さん、《「被害が大きくて」かつ「事故発生確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》であり、「安全」な核発電所など形容矛盾。
長周新聞の記事【すべての原発を即時停止せよ 安全の根拠ない再稼働基準 情報の後出しと隠蔽が体質化 原発列島に自然からの警告】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28804)。《元日に発生した能登半島地震では、北陸電力・志賀原発が立地する石川県志賀町でも最大震度7の揺れを観測し、あわや福島原発事故の再現かと思わせる原発立地町直撃の地震となった。マグニチュード7・6の地震発生直後、志賀原発原子炉建屋下では震度5強を観測。北陸電力も政府もすぐに「異常なし」と発表したが、後から変圧器の故障、大量の油漏れ、外部電源の一部喪失などの「異常」が次々に小出しで発表されている。北陸電力によれば、現在までに放射能漏れなどの事象は発生していないとされるが、多重防護の一部を欠いた状態のなかで群発地震が継続しており、予断を許さない。地震想定や、原発再稼働の前提となる安全基準の信頼性は根底から崩れており、志賀原発の再稼働撤回のみならず全国の原発を即座に停止し、次なる大規模地震に備えることが急務となっている》。
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【https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28804】
すべての原発を即時停止せよ 安全の根拠ない再稼働基準 情報の後出しと隠蔽が体質化 原発列島に自然からの警告
2024年1月16日
再稼働に向け動き出していた志賀原発
元日に発生した能登半島地震では、北陸電力・志賀原発が立地する石川県志賀町でも最大震度7の揺れを観測し、あわや福島原発事故の再現かと思わせる原発立地町直撃の地震となった。マグニチュード7・6の地震発生直後、志賀原発原子炉建屋下では震度5強を観測。北陸電力も政府もすぐに「異常なし」と発表したが、後から変圧器の故障、大量の油漏れ、外部電源の一部喪失などの「異常」が次々に小出しで発表されている。北陸電力によれば、現在までに放射能漏れなどの事象は発生していないとされるが、多重防護の一部を欠いた状態のなかで群発地震が継続しており、予断を許さない。地震想定や、原発再稼働の前提となる安全基準の信頼性は根底から崩れており、志賀原発の再稼働撤回のみならず全国の原発を即座に停止し、次なる大規模地震に備えることが急務となっている。
「異常なし」でも「実は…」が続々と
1月1日午後4時10分の地震発生直後、NHKをはじめとするテレビ各局は「志賀原発は異常なし」とする電力会社の発表を速報で流した。しかし、志賀町の最大震度7は、2011年3月11日の東日本大震災で福島県を襲った震度(6強)を上回っており、「原発が無傷で済むレベルではない」と誰もが直感する揺れだ。さらに能登半島北部では、海底が数㍍隆起して陸地化する現象が海岸線の85㌔にわたって発生【地図参照】。国土地理院が示したデータでは、海岸線の隆起は志賀原発の北7㌔地点にまで迫っていた。
志賀原発は、福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR)の1号機、改良沸騰水型(ABWR)の2号機の2基がある。1号機は1993年7月、2号機は2006年3月に運転を開始した比較的若い原発だが、2011年の福島原発事故後の全原発停止によって稼働を停止。2号機については、2014年から再稼働に向けた新規制基準の適性審査が進んでいた。福島第1原発と違い地震時に原子炉は動いていなかったが、使用済み核燃料貯蔵プールには計1657体の核燃料が保管されていると推定される。
原発が稼働していなくても、貯蔵プールに常時水を送り核燃料を冷却しつづけなければならない。冷却機能が止まれば、数時間で燃料棒が損傷し、放射能漏れを起こす恐れがある。また、電源喪失で冷却水が供給できなくなったり、海岸線隆起で海水がとり込めなくなれば冷却機能が失われる可能性があった。
当初は「異常なし」とした北陸電力だが、その後の発表・訂正で徐々に実態が明るみに出ている。
1日、記者会見した林芳正官房長官は、「現時点では(志賀原発に)異常は確認されてない」としながら、記者の追加質問に対して「変圧器に火災が発生したが、すでに消火済み」とのべた。
さらに同日、原子力規制庁の会見では、地震の影響で外部から原発に電気を送る一部系統が使用不能になっていること、2号機で外部から電気を受けとる変圧器付近で「爆発したような音と焦げ臭いにおいがあった」と報告があったが、それは火災ではなく、地震の揺れで変圧器内部の圧力が高まったため消火設備が起動したものと公表。
さらに1号機でも変圧器周辺で油漏れが確認され、電源の一系統が使用不能となり復旧のメドは立っていないが、他の系統から電力を供給しているため問題なしとした。
また、核燃料貯蔵プールで地震の揺れによって冷却水(放射能を含む)が1号機では95㍑、2号機では326㍑が飛散して床面にこぼれ、冷却水を供給するポンプが一時的に停止したが、午後4時49分に復旧し、核燃料を貯蔵している使用済み燃料プールの冷却に問題はないとした。
翌2日には、高さ4㍍の防潮壁が数㌢傾いたこと、1、2号機の廃棄物処理建屋の接続部分のカバー約15㍍が脱落していたこと、2号機の使用済み燃料貯蔵プールに2・5㍍のケーブルカバーなどが落下していたことが公表された。
油漏れは当初の6倍 揺れも想定上回る
当初は「発生しなかった」(1日)、「水位計に有意な変動は確認されなかった」(2日)と説明していた志賀原発への津波到達については、3日に「約3㍍の水位上昇が観測された」に変わり、10日には、地震発生後1~3㍍の津波が複数回到達していたことが明らかになった。北陸電力は、津波ではなく「水位上昇」と表現している。
変圧器損傷による油漏れについても、当初は漏れ出した油は「約3500㍑」と発表していたが、5日には漏洩量は約六倍の約2万㍑にのぼっていたと訂正した。2万㍑といえばドラム缶(200㍑)100本分に相当する量だ。また北陸電力は「全量を回収済み」としていたが、10日にも新たに海面に油が漏洩していることが発覚した。10日までに計2万3000㍑余りの油が漏れ出たことになる。今も全貌は明らかではないが、北陸電力は油に放射能は含まれていないとしている。
(1日の地震で油漏れを起こした志賀原発の変圧器
(撮影:北陸電力))
さらに志賀原発で観測された揺れの加速度が、一部で想定を上回っていたことが10日に開かれた原子力規制委員会の定例会合で明らかになった。原発には施設や設備ごとに揺れやすい周期が異なり、あらかじめ各構造物ごとに揺れの大きさを示す加速度(ガル)を想定する。福島原発後の原発再稼働に向けて設定された新規制基準では、耐震設計に用いる地震動の加速度をおよそ1000ガル(大規模地震の目安)前後に設定している。
だが、今回の能登半島地震では、志賀原発がある志賀町の観測点での最大加速度は、東日本大震災に匹敵する2828ガルにのぼった。1000ガル以上も計7地点で確認された。志賀原発1、2号機の原子炉建屋の基礎部分でも揺れが想定を上回り、1号機では東西方向の0・47秒の周期で918ガルの想定に対して957ガルを観測したという。規制庁は原子炉建屋などに異常はないと説明しているが、北陸電力が規制庁に報告したのは9日で、みずから公表はせず、関係自治体に説明もしていなかった。
また規制庁は、原発の約30㌔圏内に約120カ所あるモニタリングポスト(空間放射線量の測定器)のうち、輪島市や穴水町など原発の北側20~30㌔付近にある15カ所で、地震発生以降、測定不能の状態にあると発表。空間線量の実測値は、原発事故時に住民避難の判断根拠となるものであり、計測できなければ避難時期やルートも決められない。このモニタリングポストの欠測(故障)も20カ所にのぼることが10日になって明らかになった。道路が寸断されているため、原因の特定ができず、一部では復旧の見通しが立っていないという。
北陸電力からの重要情報の後出しや訂正があいつぐため、経産省は10日までに、北陸電力に対して正確な情報発信をおこなうよう指示するという事態にもなった。
現在までのところ、原子炉が停止中だったこともあり、福島原発のような過酷事故には至っていないが、地震そのものが想定を大きく上回る規模で発生し、断層による地割れ、海面隆起、交通網寸断、停電などの多重災害において原発情報はすべて後出しになり、「異常なし」は異常がないのではなく、パニックを防ぐための政治的アナウンスに過ぎないといえる。
一部では、主電源が喪失し、核燃料プールから水が漏れ続けているとの報道もあり、今後どのような重大事象が明るみに出るのか、予断を許さない状況が続いている。
いくつもの断層が集中する能登半島周辺では、1700年以降、何度も大地震に見舞われており、そのような地域に原発を立地する無謀さを自然が警告しているとみなさなければならない。
過去に臨界事故隠蔽も 原子炉下には断層
志賀原発での重大事故と情報隠蔽には、有り余る前科がある。1999年6月の定期検査中に一号機で臨界事故(意図せずに核分裂反応を起こし、大量の放射線や熱を発生させる事故)を引き起こしたが、北陸電力は「発表すると2号機(建設)の工程が遅れる」などの理由でデータを改ざんし、必要な記録を隠滅。対外的な報告を一切せず、8年後の2007年3月に明るみに出るまでひた隠しにしていた。
事故が発覚したのは、全国の電力会社でデータ改ざんが明らかになったことを契機に原子力安全・保安院が一斉点検を命じ、北陸電力の全社員アンケートで1人の社員が告白したからだった。このときすでに志賀原発2号機は稼働を始めていた。
このような情報隠蔽は、原発建設を推進する電力会社、原発メーカー、立地自治体、政府を含む“原子力ムラ”の常套手段であり、「原発安全神話」を流布する側にとっては体質化して久しい。重大事故では、浜岡原発(中部電力)、女川原発(東北電力)、東京電力の福島第2原発、柏崎刈羽原発では核燃料の制御棒が脱落する事故が起き、福島第1原発(東京電力)でも7時間半にわたる臨界事故が発生していたが、電力会社は30年近くも隠ぺいしていた。また、2007年の新潟県中越沖地震で震度7相当の揺れに襲われた東電柏崎刈羽原発では、基礎杭に損傷が見つかったと東京電力が公表したのは地震から14年後のことである。
今回の能登半島地震を受け、原子力規制委員会(山中伸介委員長)は、再稼働に向けた審査が進む志賀原発二号機について「(今回の地震が)新知見かどうかを確定させるまでに年単位の時間がかかる。審査はそれ以上かかると思う」との見通しを示している。この期に及んで再稼働を前提にした審査を続ける姿勢を崩してはいない。
志賀原発では、2014年に北陸電力が2号機の再稼働を目指して原子力規制委員会に適合性審査を申請。2016年3月には原子力規制委員会の専門家チームが、原子炉建屋直下にある断層【図参照】を「活断層である可能性は否定できない」と評価した。新規制基準では、重要施設の直下に活断層がないことを求めている。断層にずれが生じれば事故につながりかねないため、12万~13万年前以降に活動したことが否定できなければ再稼働はできず、廃炉を迫られることになる。
だが、政府や財界が経済的利害から既存原発の再稼働を熱望するなかで、昨年(2023年)3月、原子力規制委員会は専門家チームの報告を覆して、「敷地内に活断層はない」とする北陸電力の主張を妥当とし、「活断層問題はクリア」とのお墨付きを与えた。委員の1人は「(北陸電が示した)膨大なデータに基づいて評価し直したところ、活断層ではないと判断できる非常に説得力のある証拠がたくさん得られた」とのべていた。
これが弾みとなり、昨年11月、経団連の十倉雅和会長(住友化学)が志賀原発を視察して「一刻も早く再稼働できるよう心から願っている」と訴えるなど、政財界が総力を挙げて再稼働に向けて動き出していた矢先に迎えたのが今回の能登半島地震だ。
すでに周知のように、能登半島には先端にも根元にも巨大な断層が幾重にも走っており、志賀原発だけでなく、隣接する福井県には日本原電の敦賀原発(1基停止中)、関西電力の美浜原発(1基稼働中)、大飯原発(2基稼働中)、高浜原発(2基停止中、2基稼働中)が林立し、全国で最も原発が集中する「原発銀座」と呼ばれる地域だ。この地域全体にも何本もの断層が連なっており、75年前の1948年6月の福井地震(マグニチュード7・1、最大震度6、死者3769人、負傷者2万2000人以上)をはじめ、近年も近隣では2004年の中越地震、07年の中越沖地震、20年には福井県嶺北でもマグニチュード5、最大震度5の地震などが頻発している。
また今回の能登半島地震では、本震だけでなく、マグニチュード3・5以上の群発地震が連日のように続いており、日本列島で起きた過去の地震と比べてもその回数は抜きん出て多く、今後いつまで続くのかはわかっていない【気象庁作成のグラフ参照】。
すぐにでも原発を停止し、廃炉を進め、未曾有の地震に備えて核燃料を厳重に防護しなければならないのが常識であり、再稼働を前提にする発想そのものが気狂い沙汰といえる。原子力規制委員会は「原子力推進委員会」と改名しなければならない。
今回の地震は、地下に断層があるかないか、それが活断層であるか否かなどに関係なく、人間がソロバンをはじいて計算した想定を帳消しにするほどの被害を広範囲にもたらすことを改めて教えた。再稼働という一部の経済的利害を追求する目標に基づいてつくられた新規制基準そのものが、自然を無視した恣意的かつ非科学的なものであることをシビアに突きつけている。
今や誰も「原発を建てて安全な場所」と責任をもって認定できないのが現実であり、「想定外」では済まされない。意図的に見ないことにしている「万が一」のいつ起きてもおかしくない原発災害によって失われるのは途方もない人々の生活と生命である。
絵空事だった避難計画 自治体に責任丸投げ
さらに、改めてあらわになっているのは、福島原発事故の教訓から自治体に策定が求められてきた「避難計画」と被災の現実との大きな乖離だ。
福島第1原発事故後、発足した原子力規制委員会は、原発再稼働のためにこえるべきハードルとして「新規制基準」と「原子力災害対策指針」(防災指針)の2つを策定した。そのうち防災指針は、事故発生に備えてとるべき被曝対策を定めるもので、原発の周辺地域ごとに策定される「避難計画」がその中核となっている。福島原発事故までは、「事故は絶対に起きない」という安全神話に依存して避難計画はまともに策定されていなかった。
ただし、防災指針における避難計画は、原発を管理運営する電力会社ではなく、周辺自治体の責任で策定するものとされており、原発の防護措置の一つであるにもかかわらず、規制委員会による安全審査の対象外とされている。あくまで国の原子力防災会議による了承手続きがあるだけで、自治体への責任丸投げというのが実態だ。
新たな防災指針では、避難計画を策定する対象地域を原発30㌔圏内に拡大(それまでは8~10㌔圏だった)しており、能登半島西岸に位置する志賀原発の30㌔圏内は、激震地の輪島市、穴水町、七尾市など八市町に約15万人が暮らしている。能登町や珠洲市は30㌔圏外だが、半島の先端にあるため、原発災害のさいは原発に向かって逃げることをよぎなくされる。
防災指針によると、原発事故発生時には5㌔圏内の住民がまず避難し、5~30㌔圏内の住民は屋内退避を経て、一定の放射線量(毎時20マイクロシーベルト)をこえたら、あらかじめ確保した避難先に向けて避難を始めるとされている。
だが今回の地震では、まず第一に避難経路を決めるための指標となる空間放射線量を計測するモニタリングポストが20カ所で故障。携帯電話も使えなくなり、停電のためテレビ電波も入らず、情報手段が途絶した。これでは放射線量もわからず、避難に関する情報も住民は知ることができない。
(1日の地震で崩落した道路(石川県志賀町))
さらに、避難路となる道路は、24路線54カ所の国道、県道、高速道路が通行止めとなった。原発事故時の「基本的な避難ルート」とされていた金沢市と能登半島を結ぶ自動車専用道「のと里山海道」は、複数カ所で陥没し、一時的に全面通行止め。他の一般道でも発災から1週間たっても、崖崩れによる寸断、路面の亀裂や陥没、崩落などが修復できず、10日現在で3000人以上が孤立状態に置かれている。
現地に物資が供給できないということは、現地住民が域外に避難することも物理的に不可能ということであり、地震と同時に起きる原発事故での住民の陸上避難は絵空事であることが浮き彫りになった。
さらに地震直後、珠洲市長は「市内の6000世帯のうち9割が全壊またはほぼ全壊だ」と災害対策本部会議で窮状を訴えた。この時点で防災指針にある「屋内退避」は机上の空論であり、このような原発事故の防災指針・「避難計画」は現実とかけ離れていることが浮き彫りになっている。自治体が膨大な時間と労力をかける計画策定や避難訓練などもアリバイに過ぎず、「安全神話」醸成のためのパフォーマンスに過ぎなかった。
現在も能登の被災地では、住居の崩壊や大規模火災、道路寸断、通信遮断、水や電気などのライフラインの途絶、燃料や物資不足、さらに豪雪による低体温症、感染症蔓延などの未曾有の被害のなかで、被災者や支援するボランティアたちの極限状態が続いている。国による早急な救援が必要だが、さらに原発災害が加わっていたら果たしてどんな事態を招いていたか――。救援・救助もおろか、住民の自主避難もできず、能登半島全体が孤立と阿鼻叫喚の渦に飲まれていたことは想像に難くない。
この期に及んで「地震に耐えた」と慢心し、とり返しの付かない過酷事故を引き起こすまで再稼働マインドから抜けきれない「原発ゾンビ」を退場させ、地震列島の現実に立った正気を政治にとり戻すことが急務となっている。
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[※ 「3.11から12年 「脱原発の約束はどこに」」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]
(2024年01月17日[水])
一体何をやっているんだろうか、この国は…。キシダメ政権や「利権」「裏金」党ときたら、《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? そして、志賀核発電所の不誠実な情報開示。隠蔽体質と言われても仕方ない。「未知の断層」がまだまだ存在する地震大国で、(おそらく活断層であることは否定できない)断層の上に志賀核発電所を造ってしまったデタラメな「利権」「裏金」党政権。せめて、すぐさま廃炉作業に着手すべきだ。不幸中の幸いであり、今回も幸運が重なったに過ぎない。(dot.)《数多くの原発訴訟に関わる海渡雄一弁護士は、こう言う。「もし志賀原発の再稼働が認められていたら、どんな悲劇に発展したことか。この地震は、地震・火山大国日本への最後の警告だ」》.
日刊ゲンダイのコラム【斎藤貴男 二極化・格差社会の真相/SDGsというカルトの呪縛からの解放を 各地各様の事情が軽んじられすぎている】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/334774)。《昨年5月に能登地方がマグニチュード(M)6.5の大地震に襲われ、珠洲市で震度6強が観測された際、私は本欄で大要こう書いた。珠洲原発計画が凍結されていてよかった、日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」とうたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけている…》。
添田孝史記者による、dot.の記事【能登半島地震・志賀原発 避難ルート「のと里山海道」は一時全面通行止め 避難計画は“絵空事”だった/添田孝史】(https://dot.asahi.com/articles/-/210705)。《元日に発生した能登半島地震で、北陸電力志賀原子力発電所については当日中に「異常なし」と発表された(後に訂正)。だが、原発事故があった際の避難ルート「のと里山海道」は複数カ所で陥没、一時、全面通行止めになった。石川県の激震地・輪島市や穴水町、七尾市は原発30キロ圏内だ。地震大国・日本で「原発震災」が再び起これば、近隣住民の避難はやはり困難を極める》。
古賀茂明さん《普通の人は、国が再稼働を認めるからには、ちゃんとした避難計画があり、その計画は、政府が言うところの「世界最高水準の」基準に従って規制委が審査していると思うだろう。だが、実際には全く違う。規制委は、避難計画にはノータッチなのである。したがって、ほぼ全ての計画が全くいい加減な「なんちゃって避難計画」になっている。信じられないかもしれないが、それが真実だ》…。今回、それをまざまざと見せつけられた。
能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所…それでも再稼働・新規建設したいという、キシダメ首相や自公お維コミ議員、原子力「寄生」委員会、電力会社などの核発電〝麻薬〟中毒患者ら。《外部電源の一部を喪失し、変圧器からの油漏れや核燃料プールの水漏れなどはあったが、原子力規制委員会は「大きな異常はなし」》…火災も起きていた(勘違いって、ホント?)訳で、これでも《大きな異常はなし》って、どういうこと? 《外部電源の一部を喪失》なんて、とんでもない大問題。《変圧器の配管が壊れ、計約7100リットルの油が漏出》も、その後、大きく修正された。
さらには、核発電〝麻薬〟中毒患者の皆さんは、何やらアノ東京電力のアノ柏崎刈羽核発電所を再稼働したいらしいが、ホントに正気なのかね?
元裁判官の樋口英明さん《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》、《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》。古賀茂明さん《11年の東日本大震災の最大の揺れは2933ガル(「ガル」は、地震の強さを測る単位)。21世紀最大の揺れは、08年岩手・宮城内陸地震の4022ガルだ。16年の熊本地震は1700台。今世紀の1000ガル以上の地震は18回とかなりの頻度だ。原発の耐震設計基準はと言えば、大飯原発が設計時に405ガル。後に856ガルまで大丈夫だとされたが、他の原発も1000以下が多い。一方、三井ホームの耐震性は5115ガル、住友林業の住宅は3406ガルで、日本の原発がいかに地震に弱いかがわかる》。志賀核発電所では、《1号機で最大957ガルを観測し…2号機も…871ガル》。
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ』
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら』
『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》』
『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)』
古賀茂明さんに言わせると、核発電所の運転を停止することは簡単だそうだ ――― 《三つ目に、避難計画の万全性を担保するために原子力規制委員会の審査を受けろと要求する。実際には審査されていないからだ》。ニッポンの裁判官は、そういうデタラメを理解しようとしていない。
『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を』
《実は、私はかねてより、「原発を動かせと言いながら廃炉にする方法」
を提唱している》
《原発を動かすための議論なら社長たちは拒否できない。
そこで、最初に、安全性について質問する》
《次に、万一事故が起きた時に損害をすべて賠償するために
民間の保険に入ってくださいと要求する》
《三つ目に、避難計画の万全性を担保するために原子力規制委員会の
審査を受けろと要求する》
《四つ目は核のゴミだ。原発のゴミも適切に処分できるんですよね、
と社長に聞く》
《これで、全ての原発は動かなくなり、廃炉するしかなくなる》
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【https://dot.asahi.com/articles/-/210705】
能登半島地震・志賀原発 避難ルート「のと里山海道」は一時全面通行止め 避難計画は“絵空事”だった
2024/01/07/ 10:00
(複数カ所で陥没が確認された基本的な避難ルート
「のと里山海道」。=2024年1月2日午後2時31分、
石川県穴水町)
元日に発生した能登半島地震で、北陸電力志賀原子力発電所については当日中に「異常なし」と発表された(後に訂正)。だが、原発事故があった際の避難ルート「のと里山海道」は複数カ所で陥没、一時、全面通行止めになった。石川県の激震地・輪島市や穴水町、七尾市は原発30キロ圏内だ。地震大国・日本で「原発震災」が再び起これば、近隣住民の避難はやはり困難を極める。
(【写真7枚】避難計画とは一体何か。空から見た「のと里山海道」)
* * *
「志賀原子力発電所をはじめ、原子力発電所については現時点で異常がないことが確認をされております」
1月1日の地震後、最初の会見。林芳正官房長官は現地の被害状況より前に、原発の様子に言及した。地震が起きるたびに、日本、いや世界中の関心が集まってしまうからだろう。
■激震地が30キロ圏内
能登半島西岸の石川県志賀町に北陸電力志賀原発がある。原発から約9キロ離れた同町内の観測点では震度7、原発では震度5強を記録した。激震地の輪島市や、穴水町、七尾市などは30キロ圏内になる。
志賀原発には、東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型で、1号機(54万kW、1993年営業運転開始)、2号機(135.8万kW、2006年営業運転開始)の2基がある。2011年の東電の事故後、運転は止まったままだ。2号機は、2014年から再稼働に向けて新規制基準の審査が進んでいたが、まだ合格していなかった。
使用済み燃料プールには計1657体の核燃料を保管している。13年近く冷やされ続けているので、すぐに心配になる事態は起きなさそうだ。
ただし、北陸電力によると、一部の変圧器で配管が壊れて油漏れが発生し、外部電源の一部が使えなくなっているという。多重の安全策の一部を欠き、安全のレベルは下がっている。
2007年に震度7相当の揺れに襲われた東電柏崎刈羽原発で、基礎の杭に損傷が見つかったと同社が公表したのは、地震から14年後のことだった。その後、建屋の建て替えへと追い込まれた。志賀原発も、今後の調査でまだ損傷が見つかるかもしれない。
■避難訓練は「絵空事」だった
あらためてわかったのは、地震と原発事故が同時に起きる「原発震災」では、避難するのはとても困難だということだ。
避難経路を決めたりするのに重要な、放射線量を測るモニタリングポストは、能登半島の北部を中心に10カ所でデータを測れなくなっている(5日21時時点)。原子力規制庁監視情報課によると、一部は通信障害によるものだが、それ以外の原因は確認できていないという。
これでは、放射線レベルは今どんな状況なのか、どの方向が安全なのか、いつ逃げるのか、判断することができない。
東電事故の当時、福島県はモニタリングポストを26カ所に設置していたが、1台を除いて使えなくなった。地震による停電でデータが送れなくなったり、津波で機械が流されたりしたためだ。その結果、放射線量が高い地域がわからず、住民がより被曝の多い方向に逃げる事態も引き起こした。
原子力規制庁は、東電事故以降、通信手段の多重化や、電源の強化はしていたというが、教訓は生かされていないようだ。
携帯電話も、能登半島北部では使えない地域が多い。固定電話やテレビ電波さえも、停電でダウンしたところがある。これでは情報が入らない。
■「基本的な避難ルート」が複数カ所で陥没
原発事故があった際の「基本的な避難ルート」とされていた、金沢と能登半島を結ぶ自動車専用道「のと里山海道」は複数カ所で陥没が確認され、一時、全面通行止めになった。他の道路も寸断され、孤立した集落も数多く残されている。
昨年11月に、石川県は志賀原発が震度6強で事故を起こしたと想定し、住民が避難する訓練をしていた。その時の想定では、道路損壊は1カ所だけとしていた。
「実際には多くの家屋が倒壊し、下敷きになった住民もいるかもしれない。死傷者も複数発生し、火災発生もありうる。道路の損壊も広範囲に、複数個所に及ぶ。津波被害も発生しているかもしれない」
「周辺市町は地震の災害対策本部を設置しているはずである。消防や警察はこうした事態への対応で奔走している。こうした中での複合災害発生である。原子力災害への対応がどこまで可能か」
「重大事故が起こっても、あたかも住民が皆安全に避難できるかのような、まやかしの訓練」
今回の地震の40日ほど前に、「志賀原発を廃炉に!訴訟原告団」などの市民団体は、そんな声明を出していたが、その危惧は的を射ていたようだ。
■東海第二は避難計画不備で運転差し止め
原発のリスクを最小限にするために、さまざまな安全対策について国際的な基準に従って国内法でも定められている。
その柱が深層防護だ。全5層の防護レベルで安全を確保する仕組みで、最後の層となる5層目では、住民が安全に逃げられるように、計画や手順を整備しておくことを求めている。
「実現可能な避難計画及びこれを実行し得る体制が整えられているというにはほど遠い状況」
こんな理由で、水戸地裁は2021年3月に、茨城県東海村にある日本原子力発電東海第二原発の運転差し止めを命じている(東京高裁で係争中)。
判決は、避難計画の現状についてこう批判している。
「住宅が損壊し、道路が寸断することをも想定すべきところ、住宅が損壊した場合の屋内退避については具体的にふれるところがない」
「道路の寸断がある場合は、通行不能となった道路等の情報を迅速に提供するとしているが、具体的な提供手段は今後の課題とされている」
「モニタリング機能の維持は今後の課題としている」
今後の課題として棚上げされていた点が、まったく実現されないままであることが、今回の地震で証明された形だ。
■“大揺れ”に襲われる原発
最近、原発は不思議なぐらい大地震に揺さぶられ続け、そのたびに住民は肝を冷やしている。
・2005年8月 宮城県沖地震(M7.2 最大震度6弱) 東北電力女川原発で、設計時に想定していた地震の揺れより大きな揺れ。
・2007年3月 能登半島地震(M6.9 最大震度6強) 志賀原発で想定を超える揺れ。
・2007年7月 新潟県中越沖地震(M6.8 最大震度6強) 柏崎刈羽原発では震度7相当の揺れを観測。想定より3.8倍も大きな揺れ。
・2009年8月 駿河湾地震(M6.5 最大震度6弱) 中部電力浜岡原発で想定を超える揺れ。
・2011年3月 東北地方太平洋沖地震(M9 最大震度7) 女川原発、福島第一原発、東海第二原発で想定を超える揺れ。福島第一では津波による電源喪失で3つの原子炉が炉心溶融。国会の事故調査委員会は「地震による損傷の可能性は否定できない」としている。
これを見ると、今後も原発は“大きな揺れ”に見舞われ続けるだろう、と想像できる。
■地震はこれで終わりではない
地震のたびに、想定が不十分だったことが判明する。老朽化も進んでいる。そのうち揺れで大事故を起こす原発が出てきても不思議はない。
現在、再稼働している原発は12基で、うち7基が集中する福井県の若狭湾は、活断層が密集しており、地震の起こりやすい「ひずみ集中帯」にも入っている。
原発を今後も使い続けるのならば、今回の地震被害と照らし合わせて、避難計画は万全なのか、再検討が必要だろう。原発周辺の道路や通信網、電源、住宅や避難所を、抜本的に強化する必要がありそうだが、それには相当の費用がかかる。しかし、住民の命や健康を守る費用をケチってはいけない。
「それでは発電コストが上がりすぎて割に合わない」というなら、すでに原発のコストを下回りつつある再生可能エネルギーに早く切り替えた方がいい。
数多くの原発訴訟に関わる海渡雄一弁護士は、こう言う。
「もし志賀原発の再稼働が認められていたら、どんな悲劇に発展したことか。この地震は、地震・火山大国日本への最後の警告だ」
地震はこれで終わりではないのだ。
(北陸電力志賀原発2号機の原子炉格納容器内
に入り、非常時の機器などについて説明を受ける
経団連の十倉雅和会長(左から3人目)ら
=2023年11月28日午前、石川県志賀町)
(能登地方が大規模な地震に見舞われた翌日の
志賀原発=2024年1月2日午前9時46分、石川県志賀町)
(北陸電力志賀原発=石川県志賀町)
(科学ジャーナリスト・添田孝史)
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[※ 「3.11から12年 「脱原発の約束はどこに」」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]
(2024年01月16日[火])
能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所…それでも再稼働・新規建設したいという、キシダメ首相や自公お維コミ議員、原子力「寄生」委員会、電力会社などの核発電〝麻薬〟中毒患者ら。《外部電源の一部を喪失し、変圧器からの油漏れや核燃料プールの水漏れなどはあったが、原子力規制委員会は「大きな異常はなし」》…火災も起きていた(勘違いって、ホント?)訳で、これでも《大きな異常はなし》って、どういうこと? 《外部電源の一部を喪失》なんて、とんでもない大問題。《変圧器の配管が壊れ、計約7100リットルの油が漏出》も、その後、大きく修正された。
さらには、核発電〝麻薬〟中毒患者の皆さんは、何やらアノ東京電力のアノ柏崎刈羽核発電所を再稼働したいらしいが、ホントに正気なのかね?
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ』
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら』
『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き
に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》』
dot.の記事【能登半島地震で露呈した原発の「不都合な真実」 政府が志賀原発を“異常なし”と強弁した理由 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/articles/-/210770)。《やはり原発はやめるべきだ。能登半島地震を見てそう思った方はどれくらいいるのだろうか。あの大地震でも志賀原発は事故を起こさなかった!」「やはり日本の原発は安全だ!」という原発推進論者の声も聞こえてきそうだが、そんな声に騙されてはいけない》。
同所の記事【能登半島地震でマスコミが映さない原発の「不都合な真実」 ずさんな避難計画を隠そうとする政府と電力会社 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/articles/-/211236)。《先週に続いて、あまり知られていない原発の「不都合な真実」をもう一つ紹介しよう。それは、原発周辺住民などのために作られている原発災害避難計画は原子力規制委員会の「審査」を受けていないということだ。普通の人は、国が再稼働を認めるからには、ちゃんとした避難計画があり、その計画は、政府が言うところの「世界最高水準の」基準に従って規制委が審査していると思うだろう。だが、実際には全く違う。規制委は、避難計画にはノータッチなのである。したがって、ほぼ全ての計画が全くいい加減な「なんちゃって避難計画」になっている。信じられないかもしれないが、それが真実だ。今回の能登半島地震では、地震と津波、火災による家屋の被害とともに、広範囲に及ぶ道路が、土砂崩れ、亀裂、陥没、隆起などで寸断された。津波で港が被害を受け、海岸が隆起した地域もあった》。
古賀茂明さんに言わせると、核発電所の運転を停止することは簡単だそうだ ――― 《三つ目に、避難計画の万全性を担保するために原子力規制委員会の審査を受けろと要求する。実際には審査されていないからだ》。ニッポンの裁判官は、そういうデタラメを理解しようとしていない。
『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を』
《実は、私はかねてより、「原発を動かせと言いながら廃炉にする方法」
を提唱している》
《原発を動かすための議論なら社長たちは拒否できない。
そこで、最初に、安全性について質問する》
《次に、万一事故が起きた時に損害をすべて賠償するために
民間の保険に入ってくださいと要求する》
《三つ目に、避難計画の万全性を担保するために原子力規制委員会の
審査を受けろと要求する》
《四つ目は核のゴミだ。原発のゴミも適切に処分できるんですよね、
と社長に聞く》
《これで、全ての原発は動かなくなり、廃炉するしかなくなる》
元裁判官の樋口英明さん《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》、《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》。
古賀茂明さん《11年の東日本大震災の最大の揺れは2933ガル(「ガル」は、地震の強さを測る単位)。21世紀最大の揺れは、08年岩手・宮城内陸地震の4022ガルだ。16年の熊本地震は1700台。今世紀の1000ガル以上の地震は18回とかなりの頻度だ。原発の耐震設計基準はと言えば、大飯原発が設計時に405ガル。後に856ガルまで大丈夫だとされたが、他の原発も1000以下が多い。一方、三井ホームの耐震性は5115ガル、住友林業の住宅は3406ガルで、日本の原発がいかに地震に弱いかがわかる》。志賀核発電所では、《1号機で最大957ガルを観測し…2号機も…871ガル》。
今頃、「想定外」などと口にしていいのか? そんなに〝想定外〟のことがまだ起こり得るのならば、《新規制基準の適合性を審査》など、即座に、中止すべきだ。今回の志賀核発電所、様々な配管や、耐震設計されてない部品や施設が多数あるはずで、本当に地震で何の損傷もしていないのか? 日本全体・地球規模での壊滅的な核発電所の事故は、3.11に続き、今回も、大変な幸運にも、回避されたのではないか。再びの幸運だったに過ぎないのではないか。3度目はあるのか? ブログ主は、3.11東京電力福島核発電所人災でも、津波よりもむしろ、地震により激しく施設が損傷したと思っている。
渡辺聖子記者による、東京新聞の記事【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/302420)。《能登半島地震は、東京電力福島第1原発事故後に進められていた原子力災害への備えに、想定外の事態を突きつけた。停止中の北陸電力志賀原発(石川県)は設備の故障で外部電源の一部から電気を受けられなくなり、完全復旧には半年かかる見通し。道路の寸断や家屋の倒壊も激しく、深刻な原発事故が起きていたら計画通りの避難は困難だった。だが、今回浮かび上がった課題に対し、原発の事故対策や避難指針の策定を担う原子力規制委員会の動きは鈍い。(渡辺聖子)》、《北陸電力志賀原発 1、2号機のうち2号機が再稼働の前提となる新規制基準の適合性を審査中。1日の能登半島地震では、1号機地下で震度5強を観測。地震の揺れの強さを示す加速度は、1号機で最大957ガルを観測し、旧原子力安全・保安院時代に設定した想定値を39ガル上回った。2号機も25ガル上回る871ガルだった。揺れで壊れた変圧器から約2万リットル以上の油が漏れ、一部は海に漏えいした》。
驚くことに、「想定外」と言いつつ「大丈夫」だと言い、さらには、この東京新聞の記事によると、《山中伸介委員長…新たな地震想定の規模によっては稼働中の原発が停止する可能性も出てくるが、山中委員長は「他の原発にも影響あるかどうかは分析次第。一定の時間がかかる」と述べるにとどめた》そうだ。分析中は、核発電所の稼働を続ける気らしい…。
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【https://dot.asahi.com/articles/-/210770】
能登半島地震で露呈した原発の「不都合な真実」 政府が志賀原発を“異常なし”と強弁した理由 古賀茂明
政官財の罪と罰
2024/01/09/ 06:00
やはり原発はやめるべきだ。
【写真】「原発に異常なし」と木で鼻を括ったように
発言した政権幹部はこの人
能登半島地震を見てそう思った方はどれくらいいるのだろうか。
「あの大地震でも志賀原発は事故を起こさなかった!」「やはり日本の原発は安全だ!」という原発推進論者の声も聞こえてきそうだが、そんな声に騙されてはいけない。
2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きるまで、日本では、「原発は安くて安全でクリーン」だという原発神話が存在した。事故でその神話が一旦崩壊した後、急速に発展する再生可能エネルギーとの比較からも、今では「原発は高い」「原発は汚い」という事実はかなり広く理解されるようになった。
しかし、「原発は危ない」という点については、少し状況が異なる。
福島第一原発の事故で原発の危険性を思い知らされ、「原発はいらない!」と強く思った多くの国民は、事故から12年を経て、あの想像を絶する原発事故の痛みと恐怖を忘れてしまったかのようだ。
原発推進論者が、「原発が動かないから電気料金が上がる」とか、(夏や冬のほんの一時期だけなのだが)「需給が逼迫して停電のリスクがある」とか叫ぶと、いとも簡単に、「それなら原発を動かしてもいいか」という反応を示すようになったのだ。
実は、今回の地震の結果を見るまでもなく、日本の原発は「危ないから」止めるべきだと考える十分な根拠がある。
私は、これを「原発の不都合な真実」と呼んでいる。意外と知らない人が多いのだが、今回の地震と併せて考えていただけば、理解が深まると思うので、この機会に一つだけその話を紹介したい。
「原発の不都合な真実」の中で、もっとも重要なのは、原発の耐震性に関する事実だ。
当たり前の話だが、原発の事故が起きても良いと考える人はほとんどいない。多くの人は、政府が、「世界最高水準の規制基準を満たしています」と言うのを聞いて、「福島の事故を経験しているのだから、さすがに動かして良いという原発は安全なものに決まっている」と信じているようだ。
日本の国土は世界のわずか0.25%しかないのに、2011年~2020年でみると全世界のマグニチュード6.0以上の地震の17.9%が日本周辺で発生するという、世界で最も危険な地震大国だと言って良いだろう。その日本で世界最高水準の規制に適合していると聞けば、「原発は、ちょっとやそっとの地震ではびくともしない」と誰もが思っているだろう。
しかし、真実は全く違う。日本の原発は地震に極めて弱い。それをわかりやすく説明したのが、関西電力大飯原発を止めたことで有名な樋口英明元福井地裁裁判長だ。
私も樋口氏から直接話を聞いて知ったのだが、日本の原発は、民間のハウスメーカーが販売する耐震住宅よりもはるかに耐震性が低い。たとえば、三井ホーム、住友林業の耐震性は、各々最大約5100ガル(ガルは加速度の単位、大きいほど強い揺れを示す)、約3400ガルに耐える設計になっている。
一方、たとえば、四国電力の伊方原発の耐震基準は650ガル、高浜原発は700ガルと、日本の原発の耐震性は民間住宅の数分の1し
かない。北陸電力志賀原発も建設当時は490ガル、その後600ガルに引き上げられ、現在は1000ガルということで安全審査を申請している。なぜ、耐震性が上がっているかというと、さすがに3桁では信用されないということで、いくつかのマイナーな耐震対策を施して耐震性がすごく上がったと説明しているのだ。
日本では2000年から20年までの間に、1000ガル以上の地震が17回、700ガル以上は30回起きていた。つまり、原発の耐震基準を超える地震はごく普通に起きるのである。ちなみに、日本で記録された最大加速度は2008年の岩手・宮城内陸地震の4022ガルである。2番目が2011年の東日本大震災の時の2933ガル。
この事実を知れば、原発の耐震性はこれらよりも強くして欲しいと思う。しかし、日本の原発の耐震基準の大半は1000ガル以下である(詳しくは、樋口氏の著書『私が原発を止めた理由』『南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々』〈いずれも旬報社〉を参照のこと)。
このような事実を知る人が増えれば、そんなに危ない原発が動いていたのかと驚き、今すぐ止めてくれということになるだろう。
今回の能登半島地震の最大加速度は、原発のある石川県志賀町の観測点で、東日本大震災に匹敵する2828ガルだったことがわかった。1000ガル以上も計7地点で確認されている。
だが、たまたま運が良かったのかどうか、あるいは計測に異常があったのかもしれないが、北陸電力の発表を鵜呑みにすると、志賀原発1号機原子炉建屋地下2階で399.3ガルだったということだ(それ以外の観測点でどうだったのかはわからない)。近隣に比べて何故かずいぶん小さな揺れだったということになる。
1000ガルの基準地震動から見れば余裕というところなのだろうが、その割には、かなり深刻な被害が出たのが驚きだ。使用済み燃料プールの水が大量に溢れる、冷却ポンプが一時停止する、複数の変圧器付近で配管の破損による大量の油漏れがあり、その影響で外部電源の一部系統が使用不能になるなどかなりの異常が発生した。これらの結果、放射能が外部に漏れたかどうかが気になるところだが、当初、モニタリングポストでは放射能漏れは観測されていないと発表されて胸を撫で下ろした。だが、なぜか4日になって、原発の北15キロ以上離れたところにあるモニタリングポスト14カ所でデータが確認できていないことが発表された。他のモニターの値が信用できるのか、また、より近くのモニタリングポストで計測不能になっていたらどうなったのかということも不安材料となった。
これらの異常の他に何があったかはまだ明らかにされていない。特に、敷地内で建物や道路に亀裂が入ったり、隆起や陥没があったりしたかなどはすぐにわかりそうなものだが、発表があったのは5日になってから。それも、1号機の原子炉建屋付近や海側エリアなどで最大35センチの段差やコンクリートの沈下などがあったという程度の簡単な情報提供だけだった。道路に段差があれば、消防隊などの活動に支障が生じたりするので実は深刻は事態だが、そのようなことを連想させたくないのだろう。
そして、何よりも気になるのが、北陸電力や政府の情報の出し方である。地震の発生後最初に伝えられた「志賀町で最大震度7」という情報を聞いた私は、真っ先に、これは大変だと思った。志賀町といえば原発だ。それがどうなっているのか、住民はすぐに避難しなくて良いのかということが気になった。しかし、テレビを見ていても、出てくる話は、津波のことばかり。もちろん、それが最も重要な情報であることはわかる。それを繰り返し流すことは必要だ。
しかし、原発の状況についても、万一のことを考えれば、決して後回しで良いという話ではない。ところが、原発の状況について政府が具体的に触れたのは事故から2時間以上経過した後だった。林芳正官房長官が会見で、「現時点で異常なし」と木で鼻を括ったような発言をしたのだ。だが、記者の質問が飛ぶと、突然、変圧器で火災が発生と驚くような話をして、すでに消火と言い添えた。変圧器で火災なら重大事故なのではないかと心配になる。現に、外部電源が一部断たれたわけだから、「異常事態」であるのは疑いようがない(火災については、のちに北陸電力が否定したが、官房長官は訂正せずに放置した。この官房長官発言が原因で、原発で火災という情報が拡散して混乱を生じさせた。ちなみに、北陸電力は、爆発音と焦げ臭いにおいがしたことやスプリンクラーが作動して水浸しになったことは認めたが、それでも火災はなかったと主張している)。
では、原発で火災があったという前提で、「異常なし」と涼しげに語った林氏の意図はどこにあったのか。何か特別の意図があったのではないかとどうしても勘ぐりたくなる。
志賀原発については、元々その敷地内に活断層があるのではないかということがずっと疑われてきた。もし、今回の地震で「異常」があったということになれば、あらためて活断層への疑念が深まる。それがなくても、基準地震動の見直しとそれに基づく対策の実施が求められる可能性も出てくる。コストの問題もありまた再稼働までの時間が延びることも必至なので、それは北陸電力としてはどうしても避けたい。だから、「異常」はなかったと言いたくなる。
むしろ、今回の地震を奇貨として、これほど大きな地震でも「何の問題もなかった」と言えれば、いかに志賀原発が安全かを示していると言えるとさえ計算していたのではないか。そんな疑いをかけたくなる林氏の対応だった。
疑念はこれだけにとどまらない。政府にとって、実はもっと大事なことがある。それは東電柏崎刈羽原発の再稼働だ。
東電は事故後倒産寸前に陥り、福島事故の後始末も自力ではできなかった。このため、政府は巨額の出資で資金を注入し、東電を政府の「子会社」とした。その資金を回収するためには、政府保有の東電株を高く売らなければならない。だが、東電は経営が苦しく株価が低迷している。柏崎刈羽原発が動けば、発電コストが下がり、利益が大幅に増える。その結果株価が上がり、政府も資金回収できるというシナリオを実現するために、何としても原発を動かしたい。
しかし、志賀原発で、耐震性に問題があったとなれば、同じ日本海側の近県に立地する柏崎刈羽にも影響が及ぶ可能性がある。それだけは何としても避けたいというのが東電のみならず、政府の強い願いだ。特に、嶋田隆首相秘書官は、次期東電会長とまで言われた経済産業省の元事務次官でもある。柏崎刈羽再稼働は、官邸にとっても最優先課題となっていた。それに水を差すことなどありえないのだ。
こうした裏の理由により、志賀原発は、何が起きても「異常なし」で通すしかないのである。
能登半島地震で、深刻な原発事故が起きなかったことは不幸中の幸いだった。
しかし、今回の原発での異常事態や周辺地域の壮絶な被害状況を見れば、日本のような地震大国で原発を動かす、いや、保有するだけでもいかに大きなリスクになるのかがはっきりわかる。
3.11から12年経って、事故の記憶が風化し、脱原発どころか、原発新増設にまで踏み込む原発推進策に舵を切ろうとしていた日本にとって、これは天啓ではないのか。これだけのわかりやすい材料を与えられて、なお、金に目が眩んで原発推進の方針を撤回できないことなどありえないと信じたいところだ。
しかし、それは楽観的すぎるのかもしれない。
原発事故の被害を想像する能力を失い、驕りと強欲の塊となった日本が過ちに気づくには、原発事故を待つしかない――それこそが「不都合な真実」ということなのだろうか。
国民は、与えられたこの機会に真剣に考え直して、政府に対して「原発をやめろ」と迫るべきである。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/302420】
震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?
2024年1月13日 06時00分
能登半島地震は、東京電力福島第1原発事故後に進められていた原子力災害への備えに、想定外の事態を突きつけた。停止中の北陸電力志賀原発(石川県)は設備の故障で外部電源の一部から電気を受けられなくなり、完全復旧には半年かかる見通し。道路の寸断や家屋の倒壊も激しく、深刻な原発事故が起きていたら計画通りの避難は困難だった。だが、今回浮かび上がった課題に対し、原発の事故対策や避難指針の策定を担う原子力規制委員会の動きは鈍い。(渡辺聖子)
北陸電力志賀原発 1、2号機のうち2号機が再稼働の前提となる新規制基準の適合性を審査中。1日の能登半島地震では、1号機地下で震度5強を観測。地震の揺れの強さを示す加速度は、1号機で最大957ガルを観測し、旧原子力安全・保安院時代に設定した想定値を39ガル上回った。2号機も25ガル上回る871ガルだった。揺れで壊れた変圧器から約2万リットル以上の油が漏れ、一部は海に漏えいした。
◆特別な耐震性を求めていなかった「変圧器」が故障した
「原発内の施設の不具合で受電できないことは想定していないのではないか。考えを整理する必要がある」。10日の規制委の定例会合で、志賀原発で起きたトラブルについて伴信彦委員が議論を提起した。
(能登半島地震の対応を議論した原子力規制委員会の
定例会合=10日、東京都港区で)
志賀原発では1、2号機の変圧器の配管が壊れて油漏れが発生し、外部電源とつながる最も規模の大きい送電線が使えなくなった。別の回線に切り替え、使用済み核燃料の冷却などの必要な機能を保っている。
外部電源の喪失が要因となった福島第1原発事故後、原発構内の非常用電源を複数確保することなどが新規制基準に盛り込まれた。ただ、対策は原子炉建屋などの重要設備に集中している。放射性物質を扱わない変圧器に特別な耐震性は求めていない。敷地外の電線や鉄塔が地震で損壊すれば外部電源を失うため、建屋外の電気設備には期待しない、との考えが背景にある。
(地震による揺れで油漏れを起こした北陸電力
志賀原発1号機の変圧器=1日(北陸電力提供))
今回の地震では、敷地外の送電網は断たれなかったが、原発の外部電源の一部を失った。規制委の山中伸介委員長は記者会見で、変圧器の故障原因の究明は必要としたが「安全上の影響が及ぶとは考えていない」と従来の考え方を見直そうとはしなかった。
◆「適合済み」原発にも「想定外」起きては困るが
志賀原発は、新規制基準の適合性が審査されている。事故対策に向けて想定する地震の大きさについて、今後の分析結果を踏まえた審査が進められる見通しだ。これまでに把握されていなかった断層が地震を引き起こした可能性も指摘され、想定の大幅な見直しも視野に入る。
一方で、既に新規制基準に適合済みの原発への対応は見えない。
新規制基準に最新の知見を取り入れた場合、審査に適合済みの原発にも反映させる仕組みがある。この仕組みが適用されれば、新たな地震想定の規模によっては稼働中の原発が停止する可能性も出てくるが、山中委員長は「他の原発にも影響あるかどうかは分析次第。一定の時間がかかる」と述べるにとどめた。
◆国の指針に沿った避難ができない状況が実際起きたのに
志賀原発の30キロ圏内で空間放射線量を測るモニタリングポストは、約120カ所のうち最大18カ所で一時測定ができなくなった。地震発生から11日たっても、1カ所で測定できていない。通信回線の不具合が原因とみられる。
国の原子力災害対策指針は、原発事故が起きた場合、放射線量の実測値に基づき屋内退避や避難すると定める。今回、実測値が把握できず、石川県内では600戸以上の家屋が全壊し、道路は各地で寸断。原発事故が起きれば、指針通りに避難できない状況だった。
山中委員長は、自動車やドローンなどで線量を測る手段もあると強調。「木造家屋が多く、屋内退避できない状況が発生したのは事実」と指針の前提が崩れたことは認めながらも、見直しについて具体的に言及することはなかった。
【関連記事】志賀原発「異常なし」から考えた 運転中だったら?「珠洲原発」だったら? 震度7の地震は想定内なのか
【関連記事】「柏崎刈羽」周辺道路にも無数の亀裂…「原発は本当に大丈夫か?」地元に広がる不安の声
【関連記事】志賀原発の周辺15カ所で放射線量を測定不能 モニタリングポストが「壊れているのか、埋まっているのか…」
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[※ 「3.11から12年 「脱原発の約束はどこに」」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]
(2024年01月06日)
能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所…それでも再稼働・新規建設したいという、キシダメ首相や自公お維コミ議員、原子力「寄生」委員会、電力会社などの核発電〝麻薬〟中毒患者ら。《外部電源の一部を喪失し、変圧器からの油漏れや核燃料プールの水漏れなどはあったが、原子力規制委員会は「大きな異常はなし」》…火災も起きていた(勘違いって、ホント?)訳で、これでも《大きな異常はなし》って、どういうこと? 《外部電源の一部を喪失》なんて、とんでもない大問題。《変圧器の配管が壊れ、計約7100リットルの油が漏出》も、その後、大きく修正された。
『●アベ様派のデタラメの系譜…村上誠一郎議員《安倍氏の政権運営が「財政、
金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」と批判》』
『●《クーデター》《テロ》を追認する司法…《一内閣の一存で転換させた
「解釈改憲」に追随…「憲法の番人」の本来の役目》を放棄した仙台高裁』
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ』
『●世界中の《人を呼んで祭りをする会場にはそもそも不向き…ゴミ処分場とし
ての優位性は、祭り会場としては最悪の欠陥…「ゴミの島 夢洲の正体」》』
『●《「自民党の自浄作用は期待できない」──。政治資金パーティーの
裏金疑惑に火を付けた神戸学院大教授の上脇博之氏はそう断言する》』
『●(こちら特報部)《「政治とカネ」で孤軍奮闘…毎年発覚する政治資金問題、
そろそろ「上脇さん頼み」を脱却した独立の公的監視告発機関が必要》』
『●自民党「政治刷新本部(仮称)」の凄いメンツ…本部長・キシダメ総裁、
最高顧問・すがっちとド「アホウ節」氏、事務総長・木原誠二幹事長代理』
3.11以降でさえも、軍事費は倍増しても、防災や復興のための備えが全くなされてこなかったことが残念でなりません。アベ様をはじめ、カルトとヅボヅボな利権政党が云う「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の実情は無残過ぎる。発災から1週間が経とうとしているのに、相も変らぬ遅さと、後手後手対応。
さらに、キシダメ政権や「利権」「裏金」党ときたら、《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? そして、志賀核発電所の不誠実な情報開示。隠蔽体質と言われても仕方ない。「未知の断層」がまだまだ存在する地震大国で、(おそらく活断層であることは否定できない)断層の上に志賀核発電所を造ってしまったデタラメな「利権」「裏金」党政権。
曽田晋太郎・宮畑譲両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/志賀原発「異常なし」から考えた 運転中だったら?「珠洲原発」だったら? 震度7の地震は想定内なのか】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/300551?rct=tokuhou)。《元日の北陸を襲った能登半島地震。震度7という激震と津波が大きな被害をもたらしたが、地震直後から大いに気になったのは、震源に近い北陸電力 志賀原発(石川県志賀町)だ。外部電源の一部を喪失し、変圧器からの油漏れや核燃料プールの水漏れなどはあったが、原子力規制委員会は「大きな異常はなし」とする。しかし、志賀原発は1度、原子炉建屋直下に活断層ありと判定されるなど、いろいろといわくのある原発。今回耐えたから大丈夫と言えるのか。(曽田晋太郎、宮畑譲)》。
『●金沢地裁原発差し止め判決: 井戸謙一元裁判官』
《2006年3月、金沢地裁―志賀原発訴訟で国策に逆らう判決を
下すまでの重圧と苦悩 唯一の原発差し止め判事
(井戸謙一元裁判長)「私がNOを突きつけた理由」》
『●海渡雄一氏インタビュー「原発と司法」』
『●原発裁判はどれも完敗:
井戸謙一元裁判官と小出裕章さんの対話』
『●そりゃぁ、東京電力原発人災以降を見ただけでも、
「司法」にも絶望するよな』
『●井戸謙一元裁判官再び:
最高裁は常に国側に、そして、努力は無駄に』
『●金沢地裁原発差し止め判決: 井戸謙一元裁判官』
『●志賀原発訴訟第二ラウンド: 裁判所は信頼を回復できるか?』
『●「自民党と政治権力」
『週刊金曜日』(2013年7月19日、952号)について』
『●「鼻血問題」: 「原発関連死」と「死の街」発言』
『●東京電力原発人災鼻血問題:
風評被害に矮小化していて良いのか?』
『●井戸謙一さん「高浜3、4号機再稼働差止仮処分」
…「仮処分決定は、直ちに効果が発生」、再稼働不能』
『●金沢地裁・井戸謙一元裁判長「「原子炉を運転してはならない」。
自ら発した声に法廷はどよめいていた」』
『●「効率より安全、経済より命」: 井戸謙一元裁判長、
樋口英明・山本善彦裁判長の声は班目春樹氏には…?』
『●北陸電力志賀核発電所の原子炉直下に活断層の存在を知りながら
…再稼働のために一千億円以上もドブガネ』
『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》』
『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)』
能登半島で、今、起きていることは、将来、伊方核発電所で何が起きるかということを如実に物語っている。たとえ停止中であったとしても…。停止中であった福島第一核発電所の4号炉(核燃料プール問題)も思い出すべき。
『●『細木数子 魔女の履歴書』読了+α』
「昨日テレビで京大の小出裕章さんが電話インタビューに応じて
おられたが、小出さんでも4号炉で問題となっている
燃料プールの問題に気付かなかったというようなことを
仰っていた。驚きだ…」
『●「逃げて欲しいのです」』
『●「想定不適当事故」と割り切ってきたくせに、いまさら遅いよっ!!』
『●再稼働ありきのストレステストなど、本来、やってはならなかった』
『●大飯原発、本当に再稼働などしている場合か?
~東京電力福島第一原発4号機問題~』
『●東京電力原発人災、今頃公開されたわずかな
捏造・改竄映像からでも分かったこと』
『●野党議員だった頃の河野太郎氏「原子炉と使用済み核燃料プールは、
テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」』
『●「日本一細長い佐田岬半島の付け根に位置する伊方原発は、
周辺住民にとって、“日本一避難しにくい原発”」』
『●森一岳裁判長《原発の危険性検証には『福島原発事故のような
事故を絶対に起こさないという理念にのっとった解釈が必要…』》』
『●伊方原発3号機、広島高裁(森一岳裁判長)が運転差し止めの
仮処分決定…種々の問題に加えて《約10秒》《2~3秒》全電源喪失』
『●森一岳裁判長が下した伊方原発3号機の運転差し止め仮処分決定は
正鵠を得ていた…全電源喪失後《43分間》核燃料プール冷却停止』
『●大阪地裁《関西電力3原発の運転差し止め認めず》、水戸地裁《東海
第二原発の運転禁じる》、広島高裁《伊方原発3号機の運転容認》』
『●「「過ちは繰り返しません」。広島の、福島の
嘆きが胸に突き刺さ」らないとは…吉岡茂之裁判長』
『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を』
《日本では2000年以降、千ガル以上の地震が18回(ガルは揺れの
強さを表す単位)、七百ガル以上は31回起きていることを示す。
そのうえで、「民間の耐震住宅並みの強度は達成できていますよね」
と質問すると、社長たちは、答えに窮する。なぜなら、住友林業、
三井ホームの耐震性は、3400ガル、5100ガルだが、伊方原発は
650ガル、高浜原発は700ガルと日本の原発の耐震性は非常に低い
からだ。
国民の多くは、原発は民間住宅の何倍も頑丈に作られている
と信じている。…三つ目に、避難計画の万全性を担保する
ために原子力規制委員会の審査を受けろと要求する。実際には
審査されていないからだ。国民は「えっ?避難計画は規制委の
審査を受けたんじゃないの?」と驚き、審査してもらえとなる。
だが、専門家が審査したら、絶対に今の避難計画では通らない》
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/300551?rct=tokuhou】
こちら特報部
志賀原発「異常なし」から考えた 運転中だったら?「珠洲原発」だったら? 震度7の地震は想定内なのか
2024年1月5日 12時00分
元日の北陸を襲った能登半島地震。震度7という激震と津波が大きな被害をもたらしたが、地震直後から大いに気になったのは、震源に近い北陸電力 志賀原発(石川県志賀町)だ。外部電源の一部を喪失し、変圧器からの油漏れや核燃料プールの水漏れなどはあったが、原子力規制委員会は「大きな異常はなし」とする。しかし、志賀原発は1度、原子炉建屋直下に活断層ありと判定されるなど、いろいろといわくのある原発。今回耐えたから大丈夫と言えるのか。(曽田晋太郎、宮畑譲)
◆不安を抱え続ける周辺住民、避難先の高台で「ひと安心」
「地震が起きた直後は何の情報もなく、東日本大震災の時のように急に事故が起こるかもしれないと思い、とても不安だった」
能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある志賀原発から約10キロの同県七尾市に暮らす友禅染絵作家、志田弘子さん(71)は地震発生時の心境をこう吐露する。当時は自宅におり、倒壊の危険を感じて外に出たが立っていられず、近くの切り株につかまって家族と震えながら揺れが収まるのを待ったという。
(大きな地震に見舞われた北陸電力志賀原発
=2日、石川県志賀町で)
志賀原発は運転停止中といえ、近くに暮らす住民は常に不安と隣り合わせだ。志賀町に住む70代の男性は「大津波警報が出て、すぐに高台に避難した。1日の夜9時ごろにニュースで原発に異常がないことを知り一安心したが、道路が寸断され、すぐには逃げられない状況。放射能は目に見えないので、影響が本当にないのか不安がゼロになることはない」と語る。
規制委事務局の原子力規制庁は今回の地震で志賀原発に「大きな異常はない」と発表した。ただ、地震による影響は多々あった。
◆「火災」は勘違い、変圧器の油漏れ
同庁や北陸電力の発表などによると、原発内の変圧器で当初、点検した作業員が「爆発音がして焦げ臭い」と報告し、林芳正官房長官も1日午後の会見で「変圧器の火災が発生し、消火した」と説明したが、実際は勘違いで火災は起きていなかった。ただ、地震で同原発の1、2号機の変圧器の配管が壊れ、計約7100リットルの油が漏出。外部から受電する系統の一部が使えなくなり、別の系統に切り替えて電源を確保した。
また、地震の揺れで1、2号機の使用済み核燃料プールの水が計約420リットルあふれたが、外部への流出はなかった。一方、北陸電は2日午前の段階で1、2号機の敷地内にある取水槽の水位について「有意な変動はない」としていたが、同日夜に「約3メートル変動していた」と訂正した。プラントへの影響はないという。
◆「大事故」は起きなかったものの本当に「大丈夫」か
確かに東京電力福島第1原発事故のような事態には至っていない。だが、それで「大丈夫」となるのか。
金沢市在住で「北陸電力と共に脱原発をすすめる株主の会」の中垣たか子さん(72)は「取水槽の水位の訂正もあり、ちゃんと原発を管理できているのか、きちんとした情報が公表されているのか心配だ。安全上問題はないと言っているが、外部に放射能が漏れていないからいいみたいな態度が問題で、原発が潜在的に危険という認識が欠けているのでは。小さな異常の積み重ねが大きな事故の引き金になりかねない。大事故が起こる前に立ち止まってもらわないとあまりに危険だ」と訴える。
前出の志田さんも「のんきに大丈夫と構えていられない」とし、切実な思いを語る。「福島の原発事故が特別ではないと、改めてその怖さを強く感じた。住民はこんなに不安を抱えながら生きている。これだけの地震大国でも原発を推進する国の方針は正しいのか。もう誰もが不安を感じることがないように、原発政策を見直してほしい」
◆住民の反対運動で中止になった幻の原発計画
地元住民に不安をもたらす志賀原発。その来歴はいわく付きだ。
そもそも、石川県能登地方では、志賀原発の建設以前に、より北の珠洲市で関西電力、中部電力、北陸電による「珠洲原発」の建設計画があった。候補地の一つだった同市高屋町は、今回の震源となった地区と隣接する。志賀原発の廃炉を求める活動をしている金沢大の五十嵐正博名誉教授は「珠洲原発は住民による根強い反対運動で計画が中止となったが、もし高屋町に建設していたら、大変なことになっていたと思う」と想像する。
志賀原発はできてからも、トラブルが続いた。
(地震による揺れで油漏れを起こした北陸電力志賀原発
1号機の変圧器=1日(北陸電力提供))
1993年に稼働した1号機は99年に制御棒3本が脱落し、臨界事故を起こしたが、北陸電が事故を公表したのは2007年になってからで、「事故隠し」と批判された。06年に稼働した2号機は11年3月、東日本大震災が起きた日に定期検査入りして運転を停止した。その後、1、2号機とも動いていない。
16年には、原子力規制委員会の専門家チームが、1号機の原子炉建屋直下にある「S-1断層」などを「活断層の可能性は否定できない」と評価。事実上、再稼働は不可能とされた。
◆覆った活断層の評価 再稼働を目指していたところで…
ところが23年3月、隣接する2号機の再稼働の前提となる新規制基準への適合審査会合で、規制委は「敷地内に活断層はない」とする北陸電の主張が妥当だとし、16年の判断を覆した。23年11月には、経団連の十倉雅和会長が志賀原発を視察。「一刻も早く再稼働できるよう心から願っている」と訴えていた。
まさに今年、再起を図っていた志賀原発だったわけだが、今回の地震は大きな影を落とす。
(調査用に掘られた溝に降り、福浦断層を観察する
原子力規制委の調査団
=2022年10月13日、石川県志賀町で)
日本原子力発電 敦賀原発(福井県)の断層調査を行った経験がある、名古屋大減災連携研究センターの鈴木康弘教授は「これほど大きな地震を起こす断層が志賀原発の近くにあるという想定はなかった。この地域でどういう地震が起きるのか、抜本的に見直さなくてはいけない。前提条件が相当変わった」と指摘する。
さらに、能登地方の断層は複雑で、一見、大きな断層と関係がないように見えても、連動する可能性は否定できないという。鈴木氏は「今回の地震を機にもう一度、点検をさせるのか、新たな規制基準を示すのか。これは原子力規制庁の責任問題だ」と強調する。
◆過小評価はできない「外部電力の喪失」
一方、原発のハード面の安全対策としては、北陸電や政府が「大きな異常ではない」とした外部電力の一部喪失も見逃せない。東京電力福島第1原発事故は、外部電源が喪失、非常用電源も水没したことが原因となったからだ。
原子力資料情報室の上沢千尋氏は「運転中であれば、原子炉を止めるアクションが必要になる。多くの機器を動かさなくてはならず、対応の負荷が全く違う。助かった面はあるだろう」と言う。原発内の使用済み核燃料が十分冷やされていたことも含め、長期にわたって運転停止中だったことが幸いしたとみる。
(県道23号の片側一車線をふさぐ土砂崩れ
=3日、石川県志賀町で)
北陸電は、1、2号機とも不具合が発生したのとは別の系統から外部電力を受け、非常用ディーゼル発電機もあるため、安全上の問題はないとしている。しかし、上沢氏は「今後の余震や別の地震が起きた時のことを考えると、非常に脆弱(ぜいじゃく)な状態になっている」と不安視する。
その上で、上沢氏もやはり根本的な断層の問題を指摘する。「原発直下の断層が動かなくても、周辺には多くの断層がある。どれかが動けば、影響を受ける可能性は高い。北陸電力は不適切な場所に建ててしまったことを認めて廃炉にするべきだ。今回の地震はその好機と捉えてほしい」
◆デスクメモ
今回の地震の震源となった断層は、あらかじめ知られていた断層ではないという。となるとその影響は、今までの志賀原発の断層議論では想定されていなかっただろう。原子炉建屋直下の活断層あるなしといったミクロな話ではなく、トータルで原発の適地かどうかを議論すべきでは。(歩)
【関連記事】震度7の志賀原発で変圧器の配管損傷、油漏れ 火災は発生せず 日本海側のほかの原発で異常やけが人なし
【関連記事】志賀原発の周辺15カ所で放射線量を測定不能 モニタリングポストが「壊れているのか、埋まっているのか…」
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[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]
(2022年03月13日[日])
小田克也記者による、東京新聞の記事【<あの日から 東日本大震災11年>被害者団体連絡会代表・武藤さん 被害訴え「避難者切り捨て 明確に」 NGO開催のシンポジウムで講演】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/164313)。
東京新聞の【<社説>3・11から11年 避難者の人権は画餅か】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/164497?rct=editorial)。
《東京電力福島第一原発事故の被害を見つめるシンポジウムが六日、北区の北とぴあドームホール(王子一)で開かれた。原発事故被害者団体連絡会代表の武藤類子さん=福島県三春町在住=が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアによるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った。(小田克也)》。
《その理不尽さに十一年前の福島の人々の姿が重なるからです。根本さんは、東京電力福島第一原発から三十キロの福島県沿岸の地域に住んでいました。二〇一一年三月、爆発した原発建屋から煙がわき上がる瞬間を見た根本さんは放射能の恐怖におびえながら県境を越え、約二百五十キロ離れた新潟市に避難します。そこで立ち上げたのが、避難者を支援する団体「スマイルサポート新潟」です。支援対象は大半が自分と同じように母子だけで避難した自主避難者でした》。
『●脱アクションウィーク、5万人集会』
「最後の福島の被災市民としての武藤類子さんが
訴えておられる映像がとても印象に残りました。
その文章おこしされたものはCML
(http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-September/011909.html)
にありますので、一読して頂きたいです」
『●再稼働・輸出問題に続いて、東京電力原発人災下の
五輪招致騒動: 「あろうことか」、の連続』
《団長を務める武藤類子さん(60)は「抜本的な対策を取らない
と大量な汚染水が出ることは、東電にとって想定内だったはず。
文書はそれを示す証拠だ。これまでのずさんな汚染水対策を見ると、
私たち被災者の犠牲はなんだったのかと思う」と憤る》
『●「東電元幹部の罪と罰」
『週刊金曜日』(2014年9月19日、1008号)についてのつぶやき』
《武藤類子氏【これでも罪を問わないのか】。
明石昇二郎さん【東電関係者の「不起訴」理由 検察は、いかに
原子力ムラに丸め込まれたか】、「告発人として主任検事から
詳細な説明を受けていた筆者が、その詳細を暴露する……
御用電力学者の言い訳を鵜呑み……原子力ムラにしてやられた検察」》
『●原状回復が損害賠償の基本: 東京電力原発人災で
「ふるさとをなくした痛み」は全く癒えていない』
《「東京電力福島第一原発事故で国と東電の刑事責任を
追及している福島原発告訴団の武藤類子団長は「原発事故が
解決していない中での再稼働は信じ難い」と強調。川内原発建設
反対連絡協議会の鳥原良子会長は「民意を反映しない
鹿児島県や薩摩川内市の再稼働同意に住民は大きな怒りを
感じている」と述べた》
《原発事故被害者団体連絡会が設立された。被災者の悲しみ、
怒りは、激しく、深く。共に訴え、助け合うため団結した。
それは私たちとも無関係ではあり得ない。福島が求めている
のは、当然そうあるべきことだけだ。謝罪と被害の完全賠償、
暮らしと生業の回復、詳細な健康診断と医療保障、
および被曝(ひばく)低減策、そして、事故の責任解明-》
『●東電核発電人災、「だれひとり刑事罰を問われなくて
いいのか」? 「市民の正義」無き国ニッポン』
《長い困難な裁判になるのだろうが、みんな裁判にかけている。
団長の前いわき市議佐藤和良さんは「有罪に持ち込むため、
スクラムを組もう」と訴えた。副団長の武藤類子さんも
「最悪の事故を経験した大人として、未来に対して何ができるか」
と問うた。私も、市民の正義を求める人びととともに
「われらゆるがず」の歌声に連なりたい。(佐藤直子)》
『●武藤類子さん《沖縄で闘っている人の言葉…「国を相手に
ケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ」》』
「レイバーネットのコラム【●木下昌明の映画の部屋 250回/
原発事故に翻弄された14人~土井敏邦監督『福島は語る』】
…。《映画は、生活を根こそぎ奪われ、人生を翻弄された
14人の被災者に焦点を当てている。…暮しの中から被災後の困難を
浮かび上がらせているのが特徴だ》」
《こういった人々の語りから「病めるフクシマ」という言葉がじわり
と浮かんでくる。福島原発告訴団の武藤類子団長が登場する章では、
「自分たちは理不尽な被害者なのに、黙っていていいの?」
と問いかける武藤団長が、沖縄で闘っている人の言葉を紹介する。
「国を相手にケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ。
それが尊厳なんだ。プライドなんだ」 胸に響く。》
『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》』
《「私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」──
2011年9月、福島第一原発事故から半年後の集会で読み上げられた
武藤類子さんのスピーチは大きな反響を呼び、多くの人の心を
揺さぶりました…》
武藤類子さん《避難者の人たちだって、多分ほとんどの人は「叶うなら帰りたい」と思っているでしょう。でも、それはただ同じ場所に戻りたいということではなく、慣れ親しんだ、かつてのふるさとに帰りたいということ。「帰りなさい」と言いながら、復興予算がじゃぶじゃぶ投入されて知らない建物が次々に建ち、新しい住民ばかりが増えて、以前とはまったく違う「ふるさと」になってしまっているというのは、大きな矛盾だと思います》。《本来ならその人たちにとっても…まったく違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》。
東電や国はさっさと「原状回復」して見せてほしい…11年も経ってしまったではないですか。さらに、かつて、武藤類子さん《ひとりひとりの市民が… 国と東電の責任を問い続けています。そして、原発はもういらないと声をあげています。私たちは今、静かに怒りを燃やす東北の鬼です》とも。
東電や自公お維コミ、《火事場ドロボー》の皆さんは、「原発さえなければと思います」…この〝声〟をどう思うのか? 《原発事故がなければ苦労することもなかった自主避難者に、日本社会は冷淡です。「勝手に避難した。困窮は自己責任」「いやなら福島に帰れ」。心ない言葉がネット上にあふれます》。冷淡・冷酷な国・ニッポン。《「避難するならご勝手に」と言わんばかりに自主避難者を顧みない政府の姿勢が、社会の冷たさを助長してはいないでしょうか。》
『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》』
『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない』
『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…》』
『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!』
『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です』
『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》』
『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》』
『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない』
『●《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書に
まとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》』
『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ごせる
未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)』
『●《政府機関の地震予測「長期評価」に基づく試算から原発への大津波の
到来は予見できた…対策の先送りを許した国…国に重大な法的責任》』
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/164313】
<あの日から 東日本大震災11年>被害者団体連絡会代表・武藤さん 被害訴え「避難者切り捨て 明確に」 NGO開催のシンポジウムで講演
2022年3月8日 08時36分
(原発事故の被害を語る武藤さん
=北区で(「FoE Japan」提供))
東京電力福島第一原発事故の被害を見つめるシンポジウムが六日、北区の北とぴあドームホール(王子一)で開かれた。原発事故被害者団体連絡会代表の武藤類子さん=福島県三春町在住=が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアによるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った。(小田克也)
武藤さんは原発事故を「終わってない。原子炉で何が起きたか未解明な部分は多い。東電は廃炉のロードマップを作っているが、どのような状態が廃炉なのか決まっていない。原発作業員の被ばく労働が、さらに過酷になるとき防護措置や補償がきちんとされるのか心配」と語った。
住宅などの避難者支援が打ち切られ「国や福島県が避難者を切り捨てる方向が明確になってきている」と指摘。政府方針である汚染水を処理した水の海洋放出を「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない、という漁連との約束を反故(ほご)にしたプロセスは、民主主義に反する」と批判した。
福島県は事故当時の子どもたちを対象に甲状腺検査を実施。「これまでに二百二十一人のがんが確定している」と話し、検査を重ね、さらに解明していく必要性を強調した。国が汚染土の再利用計画を進めていることにも懸念を示した。
ロシアによるザポロジエ原発攻撃には、「原発は事前配備された放射能兵器」という、チェルノブイリ原発がロシアに占拠されたときに知った専門家の言葉を紹介しながら「一刻も早く戦争を止めてほしい」と語った。
シンポは、脱原発に取り組む国際環境NGO「FoE Japan」と、国際交流NGO「ピースボート」が催し、オンラインでも行われ、約三百人が参加した。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/164497?rct=editorial】
<社説>3・11から11年 避難者の人権は画餅か
2022年3月9日 07時09分
ロシアがウクライナに侵攻し、多くの避難民が出ているというニュースは、根本久美子さん(44)=写真=にとって人ごとではありません。「自分ではどうしようもない大きな力に巻き込まれ、この戦争がいつ終わるとも、いつ故郷に帰れるとも分からない」
その理不尽さに十一年前の福島の人々の姿が重なるからです。
根本さんは、東京電力福島第一原発から三十キロの福島県沿岸の地域に住んでいました。二〇一一年三月、爆発した原発建屋から煙がわき上がる瞬間を見た根本さんは放射能の恐怖におびえながら県境を越え、約二百五十キロ離れた新潟市に避難します。
そこで立ち上げたのが、避難者を支援する団体「スマイルサポート新潟」です。支援対象は大半が自分と同じように母子だけで避難した自主避難者でした。
◆コロナ禍、生活苦の悲鳴
国が定めた避難指示区域外からの自主避難者には、原発周辺の双葉や大熊、浪江町など強制避難地域の人たちのような東電からの賠償はありません。生活費は持ち出し。夫は妻子に仕送りするため福島に残って働く。切り詰めた二重生活に耐えてきた人たちも、コロナ禍で一気に困窮しました。
二十四時間対応の根本さんの相談電話には助けを求める連絡が頻繁に入ります。「食べるものがなくて」「仕事がなくなった」「コロナで陽性になった」。皆、身近に頼れる人がいないのです。
寄付で集めた食糧を配ったり、送ったり。月数件だった相談は多い月で五十件以上に増えました。命が危ないと感じれば、根本さんは夜中の雪道でも駆けつけます。活動には福島県から助成を受けていますが、支援物資の送料も膨らんで資金難です。日本中がコロナ禍に苦しんでいますが、原発事故で壊された生活が、さらに追い詰められていることは分かってほしい、と根本さんは訴えます。
福島県によると、原発避難者はピーク時に県内外で約十六万四千人いましたが、今年三月時点では約三万三千人です。新潟県への避難者も約七千人から約二千人に減りました。自主避難者の統計はありませんが、スマイルの支援先でも帰還する人が増えています。
背景にあるのは、放射線量低下を理由に福島県が一七年三月、災害救助法に基づく借り上げ住宅の無償提供を打ち切ったことです。生活費や教育費に加え、新たに家賃まで負担することは難しいとして、避難をあきらめたのです。
自主避難者が古里を離れたのは放射能の影響を避けたかったからです。根本さんの故郷の家も、裏山が除染されず放射線量は高いまま。やむなく新潟に中古の家をローンを組んで買ったものの、その選択が正しかったのか。根本さんは「いつも先が見えなくて、手探りです」と苦笑します。
◆社会の冷淡、政治が助長
原発事故がなければ苦労することもなかった自主避難者に、日本社会は冷淡です。「勝手に避難した。困窮は自己責任」「いやなら福島に帰れ」。心ない言葉がネット上にあふれます。
「避難するならご勝手に」と言わんばかりに自主避難者を顧みない政府の姿勢が、社会の冷たさを助長してはいないでしょうか。
福島県は一部地域を残して避難区域を解除し帰還を促しています。撤去方針が示された放射線量測定のモニタリングポストは街中に存続することになりましたが、事故から十一年を経ても避難を続ける人は、「復興」を掲げる政府には不都合な存在なのでしょう。
原発事故の翌一二年には、当時野党だった自民党も含む全会一致で「子ども・被災者支援法」が成立します。無用な被ばくを免れる「避難する権利」が明記された画期的な法律でしたが、政府は限られた支援策しか基本方針に盛り込まず、同法は骨抜きにされます。逃げる権利を担保する仕組みもつくられず、放置されたままです。
人権は、それを守る仕組みが伴わなければ、絵に描いた餅にすぎません。避難した選択を自己責任と片付け、何も公的に支援しないのでは、避難する権利が「ある」状態とは言えないのです。
国連の人権機関も、古里から避難する、しないにかかわらず、住民の被ばくを避ける方策をとるように日本政府に勧告しました。
災害多発列島に住む私たちは、いつ避難者になってもおかしくありません。そのとき人権は守られるのか。自主避難者の苦境は、私たちの行く末をも映し出しているように思えてならないのです。
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[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]
(2021年10月30日[土])
日刊ゲンダイの記事【長谷川健一さん死因は「甲状腺がん」…福島原発事故と戦った飯舘村の酪農家が投げかけたもの】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/296614)。
《大手メディアはほとんど取り上げていないが、26日付の東京新聞朝刊の社会面に衝撃的な記事が掲載されていた。<長谷川健一さん死去 「原発事故被害者団体連絡会」共同代表>という訃報記事だ。長谷川さんは福島県飯舘村で酪農を営んでいたが、2011年3月の東京電力福島第一原発事故で強制避難を余儀なくされた。その後、原発事故被害者団体連絡会の共同代表などを務めたのだが、長谷川さんの「功績」は何と言っても、原発事故直後、村が高濃度の放射能汚染に見舞われたにもかかわらず、それを隠蔽しようとした村や東電の対応を問題視して“告発”したことだろう》。
《原発に『ふるさと』を奪われて》。未だに政府や自公お維は「原状回復」して見せてはくれない。アベ様らは、経産省内閣らは、まだ核発電をやりたいそうだ。ましてや、核発電所「アベシンゾウ」を新規建設したいそうだ。まともじゃないね。核発電「麻薬」中毒患者らの考えることは。2021年衆院選では、それでも、自公お維に投票したのですか? 何度失敗を繰り返せば気が済むのでしょうか。あとの祭り。
『●核発電「麻薬」中毒患者の覚めぬ悪夢…《安全神話、
経済神話、クリーン神話-三つの神話》を脱却できず』
『●「原子力の平和利用」という核発電への幻想…「原発は『プルトニウム
をつくる装置』」(内橋克人さん)にこだわる周回遅れのニッポン』
『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために』
『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
“最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」』
『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき』
『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》』
『●《岸田新内閣が…発足したが、その陣容をみると原発推進派が要職に
就いており、今後のエネルギー政策で「原発回帰」が強まるとの見方》』
『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)』
『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を』
『●経産省内閣復権でいいの? …デモクラシータイムス【総選挙の争点③
どうするエネルギー EVと原発(古賀茂明×飯田哲也×山田厚史)】』
《10年前、村を襲った福島原発放射線量の数字を「公表するな」「安全だ」と強弁していた専門家らは今、どう思っているのだろうか。》 長谷川健一さんがお亡くなりになったそうだ。《報道された長谷川さんの死因は「甲状腺がん」》だったそうだ…。ご冥福をお祈りします。
『●哀しい遺書: 「原子力さえなければ」』
「長谷川健一氏撮影の写真が掲載されていますので、ご覧下さい。
こんなに痛ましい死はありません。状況は全く解決されていませんし、
良くなる兆候も見えてきません。ましてや、この期に及んでも
原発を止めるつもりもないようです。トルコへ原発を輸出する
と言い始めてもいます…。」
『●原発人災、我々は騒ぎ過ぎているのか? 不安を煽り過ぎているのか?? 』
《「除染はビジネス」「村長は経産省キャリアの繰り人形」
「飯舘村は原子力ムラのコントロール下に置かれている」――。
福島原発事故で高濃度の放射能汚染に見舞われた飯舘村の酪農家、
長谷川健一氏(58)が「原発に『ふるさと』を奪われて」
(宝島社)を出版。20日、都内で会見を開いた。著書は原発事故
直後から現在に至るまでの村の日々をつづったルポだが、驚くのは
村民の被曝の影響を無視し、今も汚染の実態をヒタ隠しにし続ける
村や国の対応である》
『●続・原発人災、我々は騒ぎ過ぎているのか? 不安を煽り過ぎているのか?? 』
《日刊ゲンダイ本紙は…飯舘村の酪農家・長谷川健一氏…の
次のようなコメントを紹介した。
「昨年11月末ごろ、国の除染モデル事業を請け負った大成建設の
作業員とみられる10人ほどが、村のモニタリングポストを
高圧洗浄機で洗い、土台の土をソックリ入れ替える作業を行っていた。
その様子を複数の村民が目撃していたのです」
大成建設は「土の入れ替えなどしていない」(広報部)と全面否定だ。
それでは、この差を政府はどう説明するのか。文科省の嘘を環境省が
証明するなんて、皮肉な話だ。この国の統治機構は狂っている》
『●《草木のすべてにセシウムが染みついている。田畑を耕すが自分で
食べるだけ。孫には食べさせないし、売ることもできない》』
再び引用。堀切さとみ氏による、レイバーネットの記事【セシウムが染みついた飯舘村で懸命に生きる~映画『サマショール』】(http://www.labornetjp.org/news/2020/0305eiga)によると、《ポレポレ東中野でドキュメンタリー映画『サマショール~遺言 第六章』(豊田直巳・野田雅也監督)を観た。年月をかけて、ひとつの村、ひとりの人を追う。飯舘村の長谷川健一さんの姿。それをみるだけでも貴重な記録だ。2016年に長谷川さんはチェルノブイリを訪ねた。サマショールと呼ばれる立ち入り禁止区域に住み着いた人々は、1500人いたのが126人に。そこに25年後の飯舘村が重なったと長谷川さんは言う。飯舘村は2017年3月に避難解除になり、1000人以上が村に戻った。でも、チェルノブイリのように人はどんどん減っていくだろう。見た目には昔のままでも、草木のすべてにセシウムが染みついている。田畑を耕すが自分で食べるだけ。孫には食べさせないし、売ることもできない。それでも、何百年も先のこの村に子どもたちが帰るのを願って、長谷川さん夫婦は蕎麦を植える。映画は、果てしない時間の中のほんの一コマにすぎない自分がどう生きるのか、その葛藤を描いていた。(堀切さとみ)》
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【https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/296614】
長谷川健一さん死因は「甲状腺がん」…福島原発事故と戦った飯舘村の酪農家が投げかけたもの
公開日:2021/10/28 06:00 更新日:2021/10/28 06:00
(長谷川健一さん(C)日刊ゲンダイ)
大手メディアはほとんど取り上げていないが、26日付の東京新聞朝刊の社会面に衝撃的な記事が掲載されていた。
<長谷川健一さん死去 「原発事故被害者団体連絡会」共同代表>という訃報記事だ。
長谷川さんは福島県飯舘村で酪農を営んでいたが、2011年3月の東京電力福島第一原発事故で強制避難を余儀なくされた。その後、原発事故被害者団体連絡会の共同代表などを務めたのだが、長谷川さんの「功績」は何と言っても、原発事故直後、村が高濃度の放射能汚染に見舞われたにもかかわらず、それを隠蔽しようとした村や東電の対応を問題視して“告発”したことだろう。
長谷川さんは2012年に出版した著書「原発に「ふるさと」を奪われて」(宝島社)で、3号機が爆発した11年3月14日当時、役場にあった線量計の値が平常時の年間許容量(1ミリシーベルト)を1日余りで超える「毎時40マイクロシーベルト超」を計測していたと指摘。驚く長谷川さんに向かって、村職員が「この数字、公表しねえでくれよ。(菅野典雄)村長から『絶対人に言うな』と止められている」と“口止め”されていたことを明かしていた。
さらに京大原子炉実験所の今中哲二助教が村内各地で放射線量を計測。その結果を村に伝えると、菅野村長は「とにかくこのデータは公表しないでほしい」と話したことや、山下俊一長崎大教授ら放射線専門家が入れ代わり立ち代わり村を訪れては「安全だ」「大丈夫だ」と吹聴し、やがて〈放射能をことさら危険視するほうがおかしいという雰囲気さえ漂い始めた〉とつづっていた。
日刊ゲンダイ記者が出席した当時の出版会見で長谷川さんは、村の復興計画会議の委員に原発推進派の識者が含まれたことを挙げて、「すでに飯舘村は原子力ムラの御用学者たちに牛耳られている」と強調。「実は今、菅野村長の行くところすべてに付いて回っている経産省の官僚がいるのです。村役場でも、常に村長のそばにいる。そして、マスコミの取材の際もその彼が出張ってきて、あれこれと指示を出しているんですね。今では彼がマスコミ取材対応の窓口となって取材をさばくようになった」と話していた。
長谷川さんはこの時、国の除染モデル事業を請け負った建設会社の作業員が、村のモニタリングポストを高圧洗浄機で洗い、土台の土をソックリ入れ替えるなどして「放射線量を改竄している」とも指摘していた。
報道された長谷川さんの死因は「甲状腺がん」。68歳だった。
10年前、村を襲った福島原発放射線量の数字を「公表するな」「安全だ」と強弁していた専門家らは今、どう思っているのだろうか。
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[※ 『ふくしま原発作業員日誌-イチエフの真実、9年間の記録』(片山夏子、朝日新聞出版、2020年2月刊、1700円)↑]
(2021年06月13日[日])
日刊ゲンダイのインタビュー記事【注目の人 直撃インタビュー/原発が嘘を告白し懺悔 ノンフィクション小説の著者に聞く】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/289740)。
《■加藤就一さん(NNNドキュメントディレクター) 世界最悪レベルの福島第1原発事故から10年。世界が脱原発に向かう中、日本は「脱炭素社会の実現」を奇貨として原発推進に突っ走ろうとしている。なぜ、世論はブレーキをかけないのか――。原発を主人公に描いたノンフィクション小説「ごめんなさい、ずっと嘘をついてきました。福島第一原発 ほか原発一同」(書肆侃侃房)で知られざる真実を暴いた著者に聞いた》。
「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる。
大島堅一さん《ALPSにしても、本来は本格運転前に原子力規制委員会の検査をパスする必要があるのに、2013年に稼働してから今に至るまで使用前検査が「未了」なのだから呆れます。海洋放出できる、できない、という理屈論の前に、議論の前提が成り立っていないのです》…またしても、原子力「寄生」委員会の無責任ぶり。《東電を〝育てた〟のは更田氏ら原子力「寄生」委員会や国、自公である》。
《とても民主的な意思決定とは思えません。こういう見切り発車的な強引なやり方では国民の理解は到底得られません。放射性廃棄物処分の歴史を見ても必ず失敗すると思います》…こんな腐りきった政権を誰が支持したの? 自公お維議員等に、投票してはいけない。
《それではメディアはかみつけませんよね。隠蔽、改ざん、言い換え、ごまかしなど、情報を都合よくコントロールする政権が続き、政府にも電力会社にも斬り込めないメディアという環境ですから、国民は何も知らされないまま、原発推進が再び加速していくのです。根はとても深い》…核発電「麻薬」中毒者の狂気。
『●東京電力、「お前のモノだろう!」』
「政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ。
原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、
政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立て
とは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ」
《放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任》
《東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、
飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。》
『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
…裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った』
《「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる
土壌だったんです。それが壊されたからね、土壌汚染によって。
だから、東電に原状回復してもらう。」》
『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士「国の
対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」』
『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》』
『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の議員、
原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」』
『●「誤った情報に惑わされないために」「トリチウムの健康への
影響は心配ありません」…「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」』
『●汚染水の海洋放出…《避難したままの人たちは、いまだ4万人を
超える。どれだけ多くの人たちがさらに傷つけられればいいのか》?』
『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は基準値を
大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》』
『●核汚染水の海洋放出: 大島堅一さん《「問題ない」「できます」と
と言っているのは東電や政府だけで、信用できる状況にはありません》』
『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》』
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【https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/289740】
注目の人 直撃インタビュー
原発が嘘を告白し懺悔 ノンフィクション小説の著者に聞く
公開日:2021/05/31 06:00 更新日:2021/05/31 10:21
(加藤就一氏(C)日刊ゲンダイ)
■加藤就一さん(NNNドキュメントディレクター)
世界最悪レベルの福島第1原発事故から10年。世界が脱原発に向かう中、日本は「脱炭素社会の実現」を奇貨として原発推進に突っ走ろうとしている。なぜ、世論はブレーキをかけないのか――。原発を主人公に描いたノンフィクション小説「ごめんなさい、ずっと嘘をついてきました。福島第一原発 ほか原発一同」(書肆侃侃房)で知られざる真実を暴いた著者に聞いた。
(*インタビューは【動画】でもご覧いただけます。)
■「アンダーコントロール」はオンエアできず
――著書を読むと、政府があの手この手で原発関連の情報を長年コントロールしてきているのがよく分かります。
僕は鉄腕アトム世代です。超小型原子炉で100万馬力、などと原子力は素晴らしいと刷り込まれた国民でした。福島原発事故が発生し、調べ始めたら、今まで信じていたことが全部嘘だということが分かった。この嘘っぱちをきちんと伝えないといけないと思いました。
――安倍首相(当時)は東京五輪を招致した2013年のIOC(国際オリンピック委員会)総会の演説で、福島第1原発について、日本語では「港湾内の0.3平方キロの範囲内で完全にブロック」と表現する一方、英語では「アンダーコントロール」と使い分けました。
「お笑い芸人vs原発事故」という番組を制作している時、演説の英語版を使おうとしたら、英語版はオンエアできないようになっていた。見比べてみたら、驚くことに肝心な部分がごっそり変えられていた。英語版では安倍首相は「私は完全に保証します。状況はアンダーコントロールです。これまでも、これからも(放射能は)どんなダメージも東京に与えません」とスピーチしているのです。
――コロナ禍で東京五輪開催が流動的になっています。政府は復興五輪と銘打って招致しました。
五輪までに復興を成し遂げたことにするため、復興を否定するものは平気で隠してきました。例えば、放射線量を測定するモニタリングポストです。福島県内に設置されている約3000台のうち、8割を五輪前に撤去しようとしたのです。復興したはずの福島にそんなものがたくさんあってはマズいからです。
――撤去したのですか。
地元のお母さんたちが猛抗議して、撤回させました。廃炉作業は続いている。何か起きた時、モニタリングポストがなければ、速やかに察知できませんから。お母さんたちはよく勉強している。原発関連の番組は、まずお母さんたちに分かってもらい、それを子どもたちに伝えてもらおうという意識で作っていました。
――菅首相は今年4月、「もうこれ以上は避けて通れない」として、放射性物質トリチウムを含んだ「汚染水」の海洋放出を決定。2023年にも開始されるとみられています。
安易な決定です。トリチウムを取り除く技術があるのかないのかが吟味されていない。例えば、近畿大学で低コストで除去する技術を開発しています。また、120年経つと、トリチウムの濃度は1000分の1になるのですが、石油の備蓄タンクが12個あれば保管できる量です。原発施設の外側の地下にダムを造って、地下水を出さない方式もある。コストはそれほどかからない。海洋放出を回避する方法はいくらでもあるのです。
■メディアは特オチとスポンサーを恐れる
――海洋放出を巡る報道をどう見ていますか。日刊ゲンダイで「処理水」ではなく「汚染水」と記したところ、記事配信されたヤフーニュースのコメント欄に「悪意がある記事だ」という書き込みが少なくありませんでした。
それが政府の狙いですよ。原子力規制委員会の更田豊志委員長は報道各社に「汚染水」ではなく「処理水」を使うように申し入れた。記者クラブ加盟社が規制委トップに逆らえば、1社だけ情報を流してもらえなかったりする。それで新聞社もテレビもトリチウムが残る「処理水」という言い方に統一してしまったのです。ニュースを見た読者や視聴者は「処理水、安全ね」と刷り込まれるわけです。しかし、ALPS(多核種除去設備)ではトリチウムは除去できない。処理できないのだから処理水のはずがない。100%汚染水ですよ。
――菅首相は30年度の温室効果ガス削減目標を13年度比で46%削減する方針を表明しました。
菅政権は原発再稼働を推し進めるというたくらみを持っていますから、「ああ、きたな」という感じです。脱炭素社会実現をうたい、原発の新増設や建て替えを進める自民党の議員連盟の顧問に安倍前首相が就任しました。安倍氏肝いりの原発輸出は全敗しても、このざまです。「原発ゾンビ」と書きましたが、ほんとにしぶとい方々です。
――世界はどうですか。
福島事故を受けて、ドイツは脱原発に舵を切りました。原発大国の米国やフランスも、シェールガスや再生可能エネルギーが原発のコストより安くなる現実を目のあたりにして、風向きが変わりつつあります。途上国もコストとの見合いで判断していくでしょう。海外のシンクタンクは「原発に勝ち目ナシ」「35年には駆逐される」と発信しています。脱炭素に乗っかって、原発推進を加速しようとしているのは日本くらいです。
■原発事故から10年経つと「元通り」に
――原発問題は命、健康マター。国民の関心が高いはず。福島事故も体験したのに、また元通りですか。
原発事故発生からしばらくは、世論もビビッとするのですが、8年、10年と経つと、エネルギー資源に乏しい日本にとっては非常に重要な救世主だと刷り込まれているので、やっぱり元に戻ってしまうんですね。
――原発報道の影響が大きい。
震災直後は割と自由に事実を報道できていましたが、だんだんと時間が経ち、できなくなっていった。
――それはなぜですか。
福島事故直後の東電は、破産状態のようなもので、広告出稿をやめました。その間、メディアは自由に動けた。ところが、東電が少しずつ広告を出すようになると、顔色をうかがう報道姿勢になっていく。東電以外の電力会社についても地方メディアの大スポンサーなのでどこも同じことが起こる。例えば、極細半島に建てられた愛媛の伊方原発は原発より半島の先に住んでいる約5000人の住民が避難できないという致命的な欠陥がある。しかし、地元放送局ではそうした問題を取り上げる番組は作れない。代わりに東京の私が作りました。
――メディアが電力会社を批判できないから、原発政策が推し進められるのですね。
政権とメディアの関係も同じ構図です。総務省が東北新社に勤める菅首相の長男と会食を繰り返していた問題がありました。あってはならない接待ですが、安倍政権時代にすごくはやったのが、テレビ各局の社長や報道局長と首相との会食です。総務省の接待問題と何ら構図は変わりない。メディアは本来、権力を監視しなければいけない立場なのに、社長と報道局長が首相とニコニコ食事をして仲良くなる。ひと昔前だったら、首相から会食の誘いを受けても、「お気持ちだけいただきます」と丁重に断るのが報道機関だった。それがなんとなくグジュグジュになってしまった。それではメディアはかみつけませんよね。隠蔽、改ざん、言い換え、ごまかしなど、情報を都合よくコントロールする政権が続き、政府にも電力会社にも斬り込めないメディアという環境ですから、国民は何も知らされないまま、原発推進が再び加速していくのです。根はとても深い。
(聞き手=生田修平/日刊ゲンダイ
▽加藤就一(かとう・しゅういち) 1957年、愛媛県生まれ。早大政治経済学部卒業後、日本テレビ入社。「アメリカ横断ウルトラクイズ」を総合演出。原発事故以降、10年で原発作品(NNNドキュメント)10本をOA、15の賞を受賞。今月末退社し、フリーに。
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[※ 東京新聞(2017年11月17日)↑]
東京新聞の辻渕智之・原昌志記者による記事【米基地の環境調査中止 環境省、公表せず経緯も不明】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017111790070219.html)。
《全国の在日米軍基地内で環境省が一九七八年度から毎年行っていた環境汚染調査が、二〇一四年度以降中止されていることが分かった。環境省は中止を公表せず、本紙の取材に米側からの要請の有無も明らかにしていない。同省は「基地の外で周辺を調べた方が広範な影響を把握できると判断した」と説明するが、専門家や自治体は疑問視している》
「在日米軍特権」の一例。《年一、二回定期的に立ち入りができる唯一の機会》がいつの間にか、立ち消えに。それに、日米地位協定改定=環境補足協定は「在日米軍基地への立ち入り調査を条件付きで認める内容」だったはではないのか? 立ち入りを《申請》できても、《米側の受け入れ義務は明記されておらず》…というアホのような環境「補足」出来ない、抜け道協定。アベ様らは、胸を張って、これを改訂と言えるのか?
環境省も情けないなぁ、《基地の外で周辺を調べた方が広範な影響を把握できると判断》って一体どんな言い訳なんだろう…。これまた、「日米共犯」の一例でしょうか。「米政府や番犬様の問題と云うよりも、番犬様にシッポを振るニッポン政府の問題でもある」。
『●「捨て石」: 「安倍晋三さん。日本本土に
お住まいのみなさん…「第二の加害者」は、あなたたちです。」』
《首相は追悼式のあいさつで、米軍属が逮捕された事件に触れ
「米国とは地位協定上の軍属の扱いの見直しを行うことで合意し、
詰めの交渉を行っている」と説明。式典後、記者団に「安倍政権では
環境補足協定のような事実上の地位協定改定を行うことができた」と述べた。
日米環境補足協定は、日本政府や自治体による在日米軍基地への
立ち入り調査を条件付きで認める内容で、地位協定に環境対策に関する
規定がないため昨年、締結した。
ただ、環境補足協定でも要請から締結まで六年かかっている》
『●普天間所属オスプレイ24機中の2機が墜落!
日本政府が当事者能力を持って」いない…「日米共犯」』
『●「日米安保の根幹を成す地位協定の不平等性を
そのままにしておいて、もう一方の9条だけをいじり…」』
『●「在日米軍特権」…《事故の検証すらできない日本は
むしろ、法的従属を“放置”した国家》<金口木舌>』
『●沖縄の心は踏みにじられっぱなし…
「在日米軍特権」「日米共犯」の下、《牧草地から土をどっさり》と盗難』
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017111790070219.html】
米基地の環境調査中止 環境省、公表せず経緯も不明
2017年11月17日 07時03分
【■米軍基地に絡む近年の主な環境事故■
(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/images/2017111799070219.jpg)】
全国の在日米軍基地内で環境省が一九七八年度から毎年行っていた環境汚染調査が、二〇一四年度以降中止されていることが分かった。環境省は中止を公表せず、本紙の取材に米側からの要請の有無も明らかにしていない。同省は「基地の外で周辺を調べた方が広範な影響を把握できると判断した」と説明するが、専門家や自治体は疑問視している。 (辻渕智之、原昌志)
沖縄の環境調査団体「IPP」の河村雅美代表が沖縄県に情報公開請求し、六月に開示された関連資料から判明した。
調査は水質と大気・ばい煙を対象に、各基地・施設で毎年か数年に一度、汚水処理施設や排水口から採水し、ボイラーや焼却炉の排出ガスなどを採っていた。一部の基地を除き年一、二回定期的に立ち入りができる唯一の機会だった。
一一、一二年度には沖縄の施設内の排水から基準値超の大腸菌群数を計測し、米軍側が原因を調べ、下水処理の塩素投入装置の不具合が改善された。しかし環境省は一四年度から、基地外で川の水や大気を採取する調査に変更した。
基地の環境を巡っては、一五年に日米地位協定の「環境補足協定」が締結され、環境に影響を及ぼす事故などが起きた場合、日本政府や自治体は立ち入りや水、土壌、大気の採取を申請できる。
ただ、この協定には米側の受け入れ義務は明記されておらず、米軍専用施設の約70%を抱える沖縄県は「(環境省の調査中止で)基地内の状況を定期的に把握できなくなった。基地の中だけで有害物質がたまる場合も想定される」として、環境省に調査再開を求めている。
小泉昭夫京大教授(環境衛生学)は「基地内で調査した方が汚染の確認や汚染源の特定に有効で、対策も打てる」と指摘。在日米軍司令部は本紙の取材に「施設内のサンプル採取は環境補足協定で規定している」とするのみで、調査中止の理由や要請の有無は答えなかった。
◆相模原・座間 実施の自治体も
米軍基地の環境調査は、環境省とは別に、基地のある自治体が米軍の許可を得て個別に行っているケースもある。神奈川県内では相模原市と座間市が年一回、相模総合補給廠(しょう)やキャンプ座間などに立ち入り、独自の水質調査をしている。米海軍佐世保基地がある長崎県佐世保市は、基地の水域で測定器を置いて水質を常時監視している。
環境汚染の調査とは異なるが、米原子力潜水艦や原子力空母が寄港する神奈川県横須賀市では、国が放射線監視装置(モニタリングポスト)を設置。海上保安庁の船も、原子力潜水艦の入出港時に海水を採取して検査している。
環境省の定期調査は、首都圏の米軍基地・施設内では近年は、二〇一二年度に横須賀基地、横浜ノースドック、相模総合補給廠、池子住宅地区(いずれも神奈川)で実施。一三年度も横須賀、厚木基地(神奈川)で行われた。
基地の外の周辺調査だけとなった一四、一五年度は横田基地(東京都福生市など)と厚木、キャンプ座間、相模総合補給廠の周辺の川で採水し、水質を調べた。環境省はどの地点も問題はなかったとしている。
(東京新聞)
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asahi.comの社説【NHKの使命 政府の広報ではない】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p)と、
(週刊朝日)コラム【室井佑月「問題をひた隠しにする政府をマスコミはなぜ甘やかすのか?」】(http://dot.asahi.com/wa/2016042800274.html)。
《当局の発表をただ伝えるだけでは、報道機関の使命は果たせない。それは放送人としての「イロハのイ」だ》
アベ様の《「公式発表」のみを事実として扱うことを求め、…ものごとを様々な角度から見つめ、事実を多面的に伝えるという報道の基本を放棄せよ》という籾井勝人NHK会長。「アベ様のNHK」と呼ばれる所以です。
『●「川内原発を地図からトリミング」というのは穿ち過ぎか
と思ってたら、「アベ様の犬HK」ときたら…』
『●アベ様に逆らう者は「誰一人残っていなかった」、
ニーメラー牧師「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」』
テレ朝もふくめて…アベ様に逆らう者は「誰一人残っていなかった」状態は加速。アベ様に飼いならされるマスコミ。
《私はTPP断固反対といったことは一回も、ただの一回もございません》…なんて言わせて、なぜ平気? なぜ、アベ様を責めないの?
自公お維大地支持者も、アベ様から《説明したって、おまえらわからないだろ? なら、黙ってついてくればいい》と言われて、ヘイコラ投票し続けるの?
『●「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」、
騙す阿呆に、騙される阿呆』
『●公約破りの自民党が推進するTPP、その旗を振るマスコミにも呆れる』
『●ISD条項はどうなった?…TPP問題、
自民党の「悪辣」ぶりは、今に始まったことではない』
《政府に寄り添うような発言はその都度批判されてきたが、一向に改まらない。このままでは、NHKの報道全体への信頼が下がりかねない》…これは、「アベ様のNHK」に限った話しではない。マスコミ全体の話し。アベ様は、《そう堂々といい切ってしまえるお人なのだ。2012年の総選挙のポスターが、証拠として残っていても。マスコミは彼に甘すぎやしないか? そういった甘やかしが、いったい誰のためになる? 彼はいっそう乱暴になるし、国民の知る権利が妨害されるだけ》なのに。
「闘い」続けた忌野清志郎さんは、かつて、「日本国憲法第9条に関して人々はもっと興味を持つべきだ」と仰っていました。
『●これが民意なの?』
《「地震の後には戦争がやってくる。軍隊を持ちたい政治家が
TVででかい事を言い始めてる。国民をバカにして戦争にかり立てる。
自分は安全なところで偉そうにしてるだけ」。昔、有名なロック歌手が
そう書いていた▼「日本国憲法第9条に関して人々はもっと興味を
持つべきだ」という題名でつづったのは、四年前に亡くなった
忌野清志郎さん。雑誌で連載していたエッセーをまとめた
『瀕死(ひんし)の双六(すごろく)問屋』(小学館文庫)に収録されている》
『LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の記事【今日が命日…忌野清志郎の「表現の自由を奪う圧力」との闘い、そして憲法9条への美しすぎるメッセージ】(http://lite-ra.com/2016/05/post-2205.html)によると…、
《忌野清志郎の楽曲をめぐって起きた発売中止、放送中止の圧力事件、
その圧力に抗し続けた清志郎の言動にフォーカスをあてて、
彼の歴史を振り返ってみたい》
《彼の死後に起きた東日本大震災では福島第一原発が放射能事故を起こし、
また、そんな大事故が起きたのにも関わらず、その反省を活かそうともせず
この国は原発再稼働へと急速に歩みを進めている。
また、昨年は、十分な議論もなされないまま安保法案が強行可決され、
憲法9条の存在すら危ういものとなり始めている。天国の清志郎が見たら、
さぞや嘆き悲しむであろう状況に我々はいる。
そして、おそらく、私たちが彼ほどの過激な行動をとり続けることは無理だろう。
どんな圧力を受けても、決して自分のメッセージを曲げなかった清志郎のような
強さを持ち続けることも常人には難しい。
しかし、それでも、忌野清志郎のことを思い出し、彼の言葉にふれたら、
少しだけ勇気がわいてくる。明日は憲法記念日、清志郎はこんなメッセージも
残している。
〈この国の憲法第9条はまるでジョン・レノンの考え方みたいじゃないか?
戦争を放棄して世界の平和のためにがんばるって言っているんだぜ。
俺たちはジョン・レノンみたいじゃないか。戦争はやめよう。
平和に生きよう。そしてみんな平等に暮らそう。きっと幸せになれるよ〉
(『瀕死の双六問屋』/小学館)》
…だそうです。
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【http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p】
NHKの使命 政府の広報ではない
2016年5月2日(月)付
NHKは、政府の広報機関ではない。当局の発表をただ伝えるだけでは、報道機関の使命は果たせない。
それは放送人としての「イロハのイ」だ。しかし、籾井勝人会長は就任から2年3カ月になるが、今もその使命を理解していないとしか思えない。
籾井氏は、先月の熊本地震に関する局内会議で、原発に関する報道は「公式発表をベースに」と発言した。「当局の発表の公式見解を伝えるべきだ。いろいろある専門家の見解を伝えても、いたずらに不安をかき立てる」などとも指示した。
26日の衆院総務委員会で籾井氏は、こう答弁している。
「公式発表」とは「気象庁、原子力規制委員会、九州電力」の情報のこと。鹿児島県にある川内(せんだい)原発については「(放射線量を監視する)モニタリングポストの数値などをコメントを加味せず伝える。規制委が、安全である、(稼働を)続けていいといえば、それを伝えていく」と考えているという。
災害の時、正確な情報を速く丁寧に伝えるよう努めるのは、報道機関として当然だ。自治体や政府、企業などの発表は言うまでもなく、ニュースの大事な要素である。
同時に、発表内容を必要に応じて点検し、専門知識に裏付けられた多様な見方や、市民の受け止めなどを併せて伝えるのも報道機関の不可欠な役割だ。
しかし籾井氏の指示は「公式発表」のみを事実として扱うことを求めているように受け取れる。ものごとを様々な角度から見つめ、事実を多面的に伝えるという報道の基本を放棄せよと言っているに等しい。
「住民に安心感を与える」ためというのが籾井氏の言い分のようだ。だが、それは視聴者の理解する力を見くびっている。
NHK放送文化研究所の昨年の調査では、85%が「必要な情報は自分で選びたい」とし、61%が「多くの情報の中から信頼できるものをより分けることができるほうだ」と回答した。
多くの視聴者は、政府や企業などが公式に与える情報だけでなく、多角的な報道を自分で吟味したいと考えているのだ。
籾井氏は一昨年の就任会見で「政府が右ということを左というわけにはいかない」と発言。昨年は戦後70年で「慰安婦問題」を扱うか問われ、「政府の方針がポイント」と語った。
政府に寄り添うような発言はその都度批判されてきたが、一向に改まらない。このままでは、NHKの報道全体への信頼が下がりかねない。
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【http://dot.asahi.com/wa/2016042800274.html】
室井佑月「問題をひた隠しにする政府をマスコミはなぜ甘やかすのか?」
(更新 2016/5/ 2 11:30)
(なぜ甘やかす?(※イメージ))
あたしが今、いちばん気になっている話題は、「パナマ文書」。大企業や一部の金持ちがタックス・ヘイブンを利用し、法律スレスレの「節税」を行っていたと聞けば、良い気持ちはしない。
アイスランドの首相はこのことで辞任に追い込まれ、イギリスのキャメロン首相も、父親が設立した投資ファンドを所有していたため、窮地に立たされている。
4月6日付の朝日新聞デジタルによると、
「オバマ米大統領は5日の記者会見で『税逃れは世界的に
大きな問題だということを改めて思い起こさせた。
多くの取引が合法で、それがまさに問題だ』と述べ、
抜け道を防ぐ取り組みが必要との考えを示した」
という。あたしもその通りだと思う。まず、抜け道のある法律がおかしいわけで、そこを変えなきゃならない。
菅官房長官は日本では調査しないといっているが、それはなぜなんだろう?
増えつづける社会福祉費で、国費が足りないんでしょ。いつもそういってるでしょ。だから、消費税増税だって決行したわけだし。
ならば、今後のことを考え、きちんと調査をし、法の抜け道を塞ぐために動くべきではないか。
それをするつもりがないといわれれば、わざと抜け道を作っておきたい理由があるように見えてしまう。
話は変わって、TPPについてもおなじことがいえる。政府が提出したTPP交渉資料は、ほぼすべてが黒塗りだ。
TPP特別委員会で野党が質問しようにも、どうにもならない。
海外とTPPの交渉をはじめてから約3年。たしか、交渉がはじまったばかりの頃は、
「他国も絡んでいることだから、
交渉の途中経過は話せない」
というような説明をされていた。が、すでに、終わった交渉もある。どのような交渉がなされてその結果となったのか、私たち国民がこれから深く関わる事柄なのに、それを教えられないってどういうこと?
そういうことをされると、政府は国民のための交渉なんてしなかったんじゃないか、だから隠さなきゃならないんじゃないか、そんなふうに思えてしまう。
安保法制のときも思ったが、ひょっとして、
(説明したって、おまえらわからないだろ?
なら、黙ってついてくればいい)
とでもいわれているのだろうか。だとしても、それは難しい。
なにしろ、この国の首相の安倍さんは、
「私はTPP断固反対といったことは一回も、
ただの一回もございません」
そう堂々といい切ってしまえるお人なのだ。2012年の総選挙のポスターが、証拠として残っていても。
マスコミは彼に甘すぎやしないか? そういった甘やかしが、いったい誰のためになる? 彼はいっそう乱暴になるし、国民の知る権利が妨害されるだけ。
※週刊朝日 2016年5月6-13日号
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レイバーネット日本(http://www.labornetjp.org/)の『●木下昌明の映画の部屋』から(http://www.labornetjp.org/Column/20121211)。東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012082290070613.html)とコラム「筆洗」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012091302000110.html)。最後に、映画『放射線を浴びた『X年後』』のWPから(http://x311.info/message/、http://x311.info/keyword/)。
「こんな巨大な事件が、全体像が明らかにされないまま現代史に
埋没するなんてことは、日本人としての資質が問われる」
こんな事件があったなんて、衝撃的。まったく知らなかった。1年ほど前に「NNNドキュメント」で映画の原本と云えるものが放映されたらしいが、覚えていないということは、見損ねたのか。
第五福竜丸だけではなく、しかも日米両政府の「密約」があったというのが驚き。
「たとえば「第二幸成丸」の乗組員20人中17人が、「新生丸」では
19人中17人が死亡している。それなのに米政府は、200万ドルの
慰謝料を支払うことで“完全解決”を図り、日本政府が受諾し、
一切の調査を打ち切って隠蔽した。翌年から、すべての魚が無検査で
全国の食卓にのぼった」・・・・・・。
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【http://www.labornetjp.org/Column/20121211】
木下昌明の映画の部屋・第153回
●伊東英朗監督『放射線を浴びたX年後』
「第五福竜丸」事件の実態暴く――フクシマ「X年後」の未来は……
「3・11」以降に見た放射能問題を扱った数多くの映画のなかでも、伊東英朗監督の『放射線を浴びたX年後』は刺激的だった。一つの事件を介して、日本人とその社会のあり方を問うていたからだ。
この作品は今年1月「NNNドキュメント」で放映されたテレビ番組を、新たな映像を加えて映画用に編集し直したドキュメンタリーである。1954年、日本のマグロ漁船「第五福竜丸」がビキニの水爆実験によって被曝した事件を扱っている。この事件が、戦後文化の象微となったゴジラ映画誕生のヒントとなったことはよく知られている。
だが、実は被曝したのは1隻だけでなく992隻に上った。しかも、船員の多くは若くしてがんで人知れず亡くなっていた。たとえば「第二幸成丸」の乗組員20人中17人が、「新生丸」では19人中17人が死亡している。それなのに米政府は、200万ドルの慰謝料を支払うことで“完全解決”を図り、日本政府が受諾し、一切の調査を打ち切って隠蔽した。翌年から、すべての魚が無検査で全国の食卓にのぼった。
この事件を、高校教師の山下正寿とその教え子たちが28年かけて調査、記録していた。そのことを知った南海放送の伊東監督は調査に参加するとともに独自に船員家族の取材を始める。埋もれていた実態が次々と明るみに出てくるこのシーンが見どころだ。
また映画は、米国から入手した機密文書によって、日本全土が放射性降下物「死の灰」に覆われていた実態も図面によって明らかにする。米国は、日本の米軍基地で死の灰を予知し、観測していたのだ。
山下は語る。「こんな巨大な事件が、全体像が明らかにされないまま現代史に埋没するなんてことは、日本人としての資質が問われる」と。
この映画から、フクシマの「X年後」が見えてきて誰しも愕然となろう。
映画は現在、全国で自主上映されているが、東京では今年の目玉の一つとして上映される。フェスタは、映画や音楽を通じて身近な労働や生活を見つめ直す趣旨で毎年開かれている。他に、中川五郎のライブや3分ビデオ大会など。
(木下昌明/『サンデー毎日』 2012年12月23日号)
「レイバーフェスタ」は12月15日午前10時30分~ 新宿区大久保のR’sアートコートで。
問い合わせは、℡ 03-3530-8588
〔付記〕 再録にあたって、若干の加筆をした。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012082290070613.html】
ビキニ水爆実験 調査続ける元教諭 死の灰1000隻に 恐怖今も
2012年8月22日 07時06分
一九五四年の米軍のビキニ水爆実験では、第五福竜丸だけではなく、約一千隻ものマグロ漁船が死の灰を浴びた。高知県宿毛(すくも)市の元高校教諭山下正寿さん(67)は三十年近く調査を続け、船員たちが長く健康被害に苦しみ、がんなどで亡くなった実態を明らかにした。「核の恐怖は三十年後、四十年後でないと分からない」。福島という核の体験を重ねたこの国で命の重みを問い続ける。 (森本智之)
二十一日の東京・築地市場の正門近く。被ばくマグロが大量廃棄されたことを伝える金属板に、足を止める観光客はいない。「寂しいですね」と山下さんがつぶやいた。
終戦四十年に当たる八五年夏。社会科教諭だった山下さんは高校生らと地元の原爆被爆者への聞き取りをした。年老いた女性から「長崎で被爆した息子はビキニでも被ばくし、最後は自殺しました」と聞いた。
爆心地から一・八キロの長崎市の自宅で被爆。宿毛に移り住み、母子家庭を支えるためマグロ漁船に乗り始めたという。戦後復興のため「沖合へ遠洋へ」と国が旗を振った時代。貧しい港町でほとんど唯一の高収入を得る手段だった。航海を重ねるうち、のどの痛みなどを訴えるようになり、入院先の神奈川県で海へ身を投げた。二十七歳だった。
「第五福竜丸の他に死の灰を浴びた人がいた。それも身近に」。当時の新聞記事や公文書を調べると、計六回の水爆実験の際、付近で操業していたマグロ漁船は帰国後、被ばく検査を受けた。マグロの廃棄を求められたのは九百九十二隻。三分の一に迫る約二百七十隻は高知県船籍だった。日米両政府は二百万ドル(当時のレートで七億二千万円)の慰謝料で決着。その後、船員の健康調査は行われていない。
山下さんたちは突き動かされるように、県内の漁村を訪ね歩く。偏見や風評被害を恐れ沈黙していた船員たちも口を開き始めた。航海中、汚染された雨水を飲み、被ばくマグロを食べていた。「きのこ雲を見た」「白い粉が降ってきて口に含んだ仲間が、血を吐いて死んだ」という証言をいくつも得た。
身元が判明した百八十七人中、四十人は死亡していた。大半は六十代前後。うち十三人ががんだった。「マグロ漁師は早死にする」とうわさされる地域もあった。
元船員らの団体をつくるなどして補償を国や県に求めた。「因果関係が不明」と相手にされない中、元船員らは相次いで亡くなった。今も調査は続ける。
東京電力福島第一原発の事故後も「放射能の直接的な影響で亡くなった人はいない」という論で再稼働を求める動きがあることに、市民の被害を過小評価する姿勢は変わっていないと危惧する。
今夏、自身の前立腺がんが分かった。この日、東京を訪れたのも治療のためだ。「核実験でがん患者の数が増えていると警鐘を鳴らしてきた。その私ががんにかかるとは『もっと頑張れ』と誰かに言われているような気がする」
<ビキニ水爆実験> 1954年3~5月、米国が南太平洋ビキニ環礁などで計6回行った。放射性物質を含む死の灰が広範囲に降り、近くで操業していた静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」の無線長久保山愛吉さんは急性放射線障害で死亡した。この年を含め、米国は周辺海域で原水爆実験を繰り返しており46~58年に計67回行った。
(東京新聞)
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012091302000110.html】
【コラム】
筆洗
2012年9月13日
米国は一九五四年、太平洋のビキニ環礁などで、六回もの水爆実験を繰り返した。無線長だった久保山愛吉さんが亡くなった「第五福竜丸」以外にも、多くの日本の漁船が「死の灰」を浴びたことはほとんど知られていない▼同じ海域で数多くのマグロ漁船が操業していた。二百七十隻は高知県の船だった。闇に葬られそうだった事実を発掘しようと、高校の教員だった山下正寿さんは三十年かけて、生徒とともに漁村を訪ね歩き、聞き取りを続けた▼調査の過程で二百人以上の元船員の消息が分かった。健在なら五十代から六十代のこの時期に、三分の一の人はすでにがんなどで亡くなっていたという▼山下さんの調査の足跡を丹念にたどり、生存している元船員や遺族への取材を重ねた南海放送(松山市)のドキュメンタリーが映画になった。「放射線を浴びた『X年後』」。十五日から東京都内で上映が始まる▼なぜ、被曝(ひばく)の記憶が消えたのか。船員には米国からの補償金は届いたのか。歴史の底に沈む闇を照らそうとするジャーナリズムの熱意が伝わる。山下さんの執念が、地方のテレビ局に乗り移ったかのようだ▼南海放送が独自に入手した米国の原子力委員会の機密文書からは、日本全土が核実験の死の灰で覆われていた実態も明らかになる。福島第一原発の事故を経験した今、映像は重い問い掛けを発している。
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【http://x311.info/message/】
プロデューサー 大西康司
はじめに、何故「もうひとつの第五福龍丸事件」を愛媛の放送局が?という疑問を持つ方が多いと思います。今から8年前、私にとっても1954年に起きたいわゆる'第五福龍丸事件'は遠く、歴史上の、そして教科書上の出来事に過ぎませんでした。しかし伊東英朗ディレクター(監督)が掴んできた「ビキニで被災した元マグロ漁船乗組員が、愛媛にもいるらしい」という思わぬ情報は「不思議な感覚」を私に呼び起こしました。それは歴史が'今'に生きている「不思議さ」であり、広島・長崎・第五福龍丸だけと思っていたこの国の被ばく者が、自分の近くに共存している「驚き」でした。
2004年から始めた取材。伊東ディレクター(監督)との約束事は一つ。それは、被取材者と近い位置にいるローカル局制作者として「一人の人間の'痛み'を忠実に丁寧に描くこと」によって、「個人と国家」の関係が問われるこの事件の実態・本質に迫っていこう、ということでした。そう、「一人の人間に寄り添うことから本質へと迫る」…これはローカル局の'限界'ではなくローカル局だからできる'可能性'なのです。手探りの中、ひたすら、ひたすら現地を訪ね、一人一人の証言を積み重ねていく取材…「小さな井戸を掘り続け、それを'普遍'につなげていく」…8年の取材を重ねる中、社の理解を得てローカルで粘り強く放送を続けることができたこと、そして何より日本テレビ系「NNNドキュメント」で2回に渡り全国放送できたことが、この'小さな井戸'を掘り進んでいく大きな勇気となりました。
そんな取材の集大成として突き進んだ映画化。
この映画が発掘した事実を'一人'でも多くの方に知って欲しい。
この映画を見て頂いた'一人'が、その立場や考え方を超えて噛みしめて欲しい。
この映画を'一人''一人'にしっかりと届けたい。
…'一人'の人間にこだわる私達の願いです。
最後に、南海放送というローカル局が'テレビ'というメディアを超え'映画'に挑戦する試みが可能になった背景には、日頃「メディアとメディアの新しい組み合わせ」を積極的に推進してきた南海放送トップの後押し、様々な現場の仲間による社を挙げての協力・応援がありました。そして勿論、'映画'という未知の航海への'灯台'となって頂いた 日本テレビ系「NNNドキュメント」関係者の皆様のご指導、御協力があったればこそです。改めて深く感謝致します。
大西 康司【プロフィール】
昭和57年南海放送入社。以来、様々な番組を制作、プロデュースを行う。報道情報本部制作部長などを経て、現在 執行役員テレビ局長。
監督 伊東英朗
『高校生で訪れた広島』
原爆で焼かれた一人ひとりの壮絶な死を知り、その苦しみに自らを重ね合わせた時、深い絶望と強い怒りを覚えた。10代だった僕はその思いを「忘れること」は、加害と同じだと考えた。以来、折にふれ広島を訪れるようになった。そしていつからか「忘れない」ではなく「何かできることをしたい」と思うようになった。
『8年前』
インターネットで番組リサーチをしていた時。元高校教師 山下さんの活動を伝える記事が目に飛び込んできた。『…第五福竜丸以外の多くの被ばく船を調査…』「第五福竜丸以外の船?そんな話聞いたこともない。僕だけが知らないことなのか。」まるで狐につままれたような感覚だった。
『確かめたい』
番組制作を共にやってきたプロデューサーの大西と、4時間をかけ高知県の山下さんを訪ねた。山下さんは静かに語り始めた。「多くのマグロ漁船、貨物船が被ばくし、汚染された魚が水揚げされ食卓に運ばれた。いつしか事件は第五福竜丸事件として記憶された」と言う。それまで当たり前のように使ってきた「広島、長崎、唯一の被ばく国」というフレーズは正確ではなかった。「なぜ事件が記憶から消え去ったのか」僕は、その理由をこの手で解き明かしたいと思った。
その日からこの事件の取材が始まった。抱えている番組制作の隙間を見つけては現場に通った。費用を節約するため山下さんの自宅を宿舎兼取材拠点とさせてもらった。カメラマンと2人、愛媛西部から高知東部まで300キロを何十回となく往復。被ばく者を訪ね歩く日々。時に怒鳴られ凄まれ、飯が喉を通らないこともあれば「よう来てくれたなあ、ありがとう。お父さんが生きとったらあんたら大歓迎するに。腹減っちゅうがやろ」とカレーをおご馳走になることも。取材で疲れた体で車を運転し会社まで4時間をかけ戻る。その繰り返し。その年2004年には、日本テレビ系列(NNNドキュメント)で全国の人にその事実を伝えることができた。以降、新事実が見つかるたびにローカルでの放送を繰り返した。しかし、番組が事件解明へつながることはなかった。
『乗組員の証言も積み重ねた』
日米両政府の公的文書、調査記録も検証した。
しかし乗組員が被ばくしたことを裏付けることができないままだった。ところが2009年、米エネルギー省の機密文書を発見。放射性降下物が漁場を中心に拡大、日本全土までもが放射性降下物で覆われていたことが分かった。
『2011年3月11日』
その日を境に人々の関心は放射能に集まった。「直ちに健康に影響はない」という言葉に疑心し、目に見えない放射線に怯え、風評被害が起こった。
「ついにあの時がやってきた」
テレビの前で呆然と立ち尽くす自分の姿がありった。
『人々に向けられる線量計』
風で舞い上がり、雨で落下する放射性物質。セシウム、ストロンチウム、ホットスポット、シーベルト…専門用語が飛び交い、新聞紙上に、牛乳やお茶、魚、水などから放射線が検出されたと記事が踊る。風評被害が起こり、わずかの期間で政府は、終息宣言をした。
僕が、港を歩き老人や未亡人から聞いた半世紀前の話が、目の前で起こっていることと重なる。心の中で叫んでいた。
「半世紀前に身の回りで同じことが起こっていたんだ。
皆知らないのか。
同じ轍を踏んではいけない。」
過去の被ばく事件を未清算のまま放置してはいけない。この事件を解明しなければ、今後起こりうる被害を防ぐことができない。
2012年1月、日本テレビ系列(NNNドキュメント)で1時間番組として8年ぶり2回目となる放送を行った。全国から大きな反響を得、多くの若い世代が見てくれたことが分かった。
『今度は映画化』
映画館での上映はもちろん、その後の小さな自主上映が調査などにつながって欲しい。それが僕の強くささやかな願いだ。事件はほぼ未解明なままだ。全国津々浦々にかつてマグロ船に乗った人がいる。生存していれば70歳台から80歳台。核実験は、太平洋だけとっても1954年から1962年まで続けられた。被害者の数は計り知れない。解明の第一歩となる被害の実態を調査し、救済の道筋をつけなければならない。小さな行動が積み重なれば光が見えてくると信じている。
日本テレビ日笠プロデューサーには番組製作から映画化まで親身になってアドバイス頂いた。また、当時のマグロ漁をとらえた「荒海に生きる」、そして高校生たちの取り組みを記録した「ビキニの海は忘れない」などの映像によって、よりリアリティをもってビキニ事件の実相に迫ることができた。
今、被ばく者たちは自らの死をもって被ばく事件のX年後を伝えている。僕らはそれを重く受け止め、事件を伝え続けなけれならない。
人々が事件を知ることが、被ばく事件解明の一歩につながると信じている。
伊東 英朗【プロフィール】
1960年愛媛県生まれ。16年間公立幼稚園で先生を経験後、テレビの世界に入る。東京で番組制作を経験した後、2002年から地元ローカル放送局 南海放送で情報番組などの制作の傍ら、地域に根ざしたテーマでドキュメント制作を始める。2004年ビキニ事件に出会い、以来、8年に渡り取材を続ける。
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【http://x311.info/keyword/】
ビキニ水爆実験
米国が1954年3月1日から5月まで、中部太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で行った実験。キャッスル作戦と名付けられた実験は6回(うち1 回はエニウェトク環礁)。3月1日に爆発させた「ブラボー」は広島に落とされた原爆の1千倍以上の破壊力があるとされ、近海で操業中の第五福龍丸(乗組員23人)が被ばく。同年9月、無線長の久保山愛吉さんが死亡した。
ビキニ被災事件の補償問題に関する日本側書簡返信
日本政府は、1954年12月、被ばくした魚は、人体に影響を及ぼすものではないとして、放射線の検査をすべて打ち切った。そして翌日からは、すべての魚が水揚げされた。その直後、日本政府とアメリカ政府は、公文書を取り交わしている。アメリカ政府が「完全な解決」を条件に、慰謝料として200万ドル(当時、日本円にして7億2千万円)を支払うという文書。日本政府は、その条件を受け入れ、事件は完全な解決とされた。慰謝料は、4分の3が、魚の廃棄や魚価が下がったことによる損害に、残りは、第五福龍丸乗組員の治療費などにあてることが閣議決定されている。
アメリカ原子力委員会の機密文書
南海放送は2009年、アメリカエネルギー省から、水爆実験を所管した米原子力委員会の機密文書を入手。これは、米国気象局のロバート・J・リストが、1955年5月(実験のおよそ1年後)にまとめたNYO-4645と呼ばれるもので、非公開資料として長年機密扱いされてきた、しかし、1984年8月に一部の数値や文章を削除した状態で公開したものである。「キャッスル作戦からの世界的規模の放射性降下物」と題された機密文書には、世界規模の放射性降下物の広がりが記録されている。各水爆実験の広がりの他、1日毎の広がりが記録されている。この機密文書から、多くのマグロ漁船が放射性降下物に覆われた場所で操業していたこと、日本全土が放射性降下物で覆われていたことが裏付けられることになった。また、この文書から、実験の1年前に、すでに122ヶ所のモニタリングポストが設けられていることが分かった。日本では、三沢や東京など5ヶ所。さらに広島や長崎ではABCCが利用され測定が行われていた。
山下正寿(やましたまさとし)と幡多ゼミ(はたぜみ)
元高校教師の山下正寿氏らが顧問を務める高校生ゼミナール(1983年設立)。高知県幡多地区の高校生が主体となり「足もとから平和と青春を見つめよう」をモットーに、地域の現代史調査活動をしている。1985年から地域のビキニ事件を調査。その姿は「ビキニの海は忘れない」(1990年)で描かれた。
教師になって高知に帰ってきた山下さんは、仲間の教師や教え子たちと共に、被災者の聞き取り調査を始め、高知県の沿岸部を3年に渡り調査した結果、消息が分かった乗組員は241人。生存していれば50代から60代のこの時期に、既に3分の1が死亡していた。被ばくした魚を水揚げした船は、東北から九州まで全国に渡っていた。その内、3分の1が山下さんの地元、高知船籍の船だった。山下先生は現在も、被災した乗組員たちに、被爆者健康手帳が交付されるように働きかけている。
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東京新聞の記事3つ(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061602000225.html、http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061690140000.html、http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061602000229.html)。
このような愚かな結論・・・・・・、野田首相をはじめ西川一誠福井県知事、時岡忍おおい町長、その他大勢のそれを強行したアホな政治家ども・・・・・・、一体どう形容したらいいのか? 「愚か」「アホ」と云う以外、どんな形容の仕方があるだろうか。このような決断をするとは、哀しすぎる。将来に大きな禍根を残す愚かな行為である。一つ既成事実を作ってしまえば、あとは簡単。負の連鎖である。3.11以前の日常に、安全神話時代に逆戻り。神経は麻痺させられる。まったく、もうーッ!! FUKUSIMA人災の被災者の方々に顔向けできない。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061602000225.html】
福井県知事 国の支援を要求 同意表明、淡々と
2012年6月16日 夕刊
西川一誠福井県知事は十六日午前十時すぎに始まった野田佳彦首相らとの会談で、「国の支援を約束いただいた。関西地域の生活と産業安定のため、同意する決意をしたい」と書類を読み上げ、重い結論を淡々と伝えた。
政府が四月十三日に再稼働の方針を決定して以来、知事は国に対し原発の安全対策や必要性などを要求。「再稼働を人質に地域振興などの条件を引きだそうとしている」との批判をよそに、自身の判断に関して二カ月以上沈黙を守ってきた。
この日は反対デモを横目に、車で官邸に到着。会談の冒頭十分間、安全対策の徹底や地元経済や雇用への配慮など八項目を要請した。「流れに任せず、明確なビジョンに基づいてリードしてほしい」と政府の覚悟を迫ると、野田首相から「いずれも重要な課題で重く受け止める」との言質を引き出した。
会談後は枝野幸男経済産業相や藤村修官房長官と握手。報道陣に「この後、福井で会見しますから」と言い残して立ち去った。
◆知事要請の8項目
▽原発に対する国民や消費地の理解向上
▽原発の安全技術の向上と人材育成
▽将来のエネルギー政策の明確なビジョンの提示
▽原発立地自治体にとって原発が基幹産業ということへの理解
▽使用済み核燃料の中間貯蔵施設の整備など
▽原発立地自治体と政府の連携、協力関係の強化
▽日本海側の地震と津波対策の強化
▽福井県議会の要望への忠実な取り組み
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061690140000.html】
大飯再稼働を決定 首相「安全」裏打ちなき強行
2012年6月16日 14時00分
政府は十六日午前、野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら関係三閣僚による四者会合を開き、関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を決めた。これに先立ち、福井県の西川一誠知事は官邸で首相と会談し、同意する考えを伝えた。政府は十分な安全対策を取らないまま、裏打ちのない首相の「安全宣言」によって再稼働を強行した。
首相は四者会合で「立地自治体の理解が得られた今、再稼働を政府の最終的判断とする」と表明。「政権として、原子力行政と安全規制の信頼回復に向けさらなる取り組みを進める決意だ。新たな規制機関の一日も早い発足に向け、一丸となって努力を続けたい」と強調した。記者会見はしなかった。
四者会合前の会談には、首相のほか、枝野氏ら関係三閣僚らも同席。西川知事は安全対策や使用済み燃料の中間貯蔵施設の整備など八項目を要望し「関西の人々の生活安定のため再稼働に同意したい」と述べた。
枝野氏は八項目の要望について「重く受け止め、真摯(しんし)に対応する」と応じ、首相は「福井県の決断に深く感謝したい」と語った。
関電は同日午後、機器の点検など再稼働に向けた作業に着手。二基の起動は順番に行い、それぞれ本格稼働に三週間程度が必要とされるため、フル稼働は早くても七月下旬になる。
国内の原発五十基は北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)が五月五日に定期検査入りして以降、すべて停止している。大飯原発3、4号機が再稼働すれば昨年の東京電力福島第一原発事故以来、定期検査後の原発が再稼働するのは初めてとなる。
しかし、安全対策に盛り込まれた免震施設の建設や防潮堤の整備などは計画を示せば十分とされ、今回の再稼働には間に合っていない。事故で信頼を失った経産省原子力安全・保安院に代わる安全規制の新組織もまだできておらず、安全対策は万全とはいえない。
大飯再稼働をめぐっては、政府が四月十三日に再稼働方針を決定。首相は今月八日の会見で「福島を襲ったような地震、津波が起きても事故を防止できる」と表明していた。
(東京新聞)
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061602000229.html】
大飯原発「5層の防護」3層目まで 国際基準 程遠く
2012年6月16日 夕刊
大飯原発3、4号機の再稼働が決まった。野田首相らはしきりに安全性が確保されたと強調するが、国際的な安全基準の一部しか満たしていないのが現状だ。このまま再稼働に踏み切れば、国際基準から逸脱した形になる。
国際原子力機関(IAEA)は、原発の安全性を保つため「五層の防護」という考え方を示している。
五層の防護とは、故障や誤作動を防ぎ、地震や津波などに襲われても炉心溶融のような重大事故にならないよう備えをするのが一~三層目。事故が起きてしまった場合、いかに事故の被害を最小限に食い止め、住民を被ばくから守るかの備えをするのが四、五層目となる。
大飯原発はどうか。非常用電源の多様化や建屋が浸水しにくいなどの安全向上策はある程度はできたが、それは三層目までのこと。事故が起きた後に重要となる四、五層目の対応は空手形というのが現状だ。
ベント(排気)時に放射性物質の放出を最小限にするフィルターの設置、事故収束に当たる作業員を放射線から守る免震施設の整備などが四層目に当たり、適切に住民を避難させたり、内部被ばくを防ぐヨウ素剤を配ったりするのが五層目。
しかし、四層目が達成されそうなのは三年後で、五層目はいつになるか、めども立っていない。
原発外で対策拠点となるオフサイトセンターは、いまだに見直し作業の最中。モニタリングポストなど広域に放射線量を監視する体制も整っておらず、福井県の避難計画も近隣の他府県との連携を考えない硬直化した内容のままだ。
首相らは「福島のような津波と地震が襲っても事故は防げる」と胸を張るが、国際基準に照らせば、重要な対策がすっぽり抜け落ちている。 (福田真悟)
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gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/135347)。
日刊ゲンダイや山岡俊介さんらだけが騒いでいて良い問題なのでしょうか?
『●原発人災、我々は騒ぎ過ぎているのか?
不安を煽り過ぎているのか??』
「15%が1%程度」というのもひどい数字でしたが、「全3147カ所中たったの1カ所」というのもとんでもない数字。日刊ゲンダイの〝煽り記事〟として無視してしまってよいものなんでしょうか? 文科省を環境省が否定するという異常事態。
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【http://gendai.net/articles/view/syakai/135347】
環境省の詳細調査が証明した「文科省発 飯舘村の放射線量」やっぱりウソ
2012年2月27日掲載
公表通りは全3147カ所中たったの1カ所
「強制的に下げられた放射線量の数値が全国に公表されている」――飯舘村の酪農家の「告発」は、やはり本当だった。文科省が連日公表してきた飯舘村の放射線量はでっち上げ。嘘っぱちの数値だと、ハッキリした。
環境省は24日、国直轄で実施する「除染特別地域」の放射線量調査の中間結果を公表した。対象は飯舘村を含めた福島県の11市町村(約125平方キロメートル)。調査結果は、100メートル四方の放射線量が分かる詳細な分布図となっている。
「放射線量は実際に人が測定したほか、測定器を載せた自動車を走らせ、
すべて地上で調査しました。昨年11月から3カ月の実測値を基に
線量の自然減衰を考慮し、すべての測定が終了した今年1月16日現在に
減衰補正した数値が確認できます」(環境省関係者)
問題は飯舘村の放射線量だ。村内全3147カ所を見ると、最大は毎時21.2マイクロシーベルト。エリアによってバラつきはあるが、政府が定めた許容被曝量「年間20ミリシーベルト」(毎時3.8マイクロシーベルト)を上回る地域が大半だ。
ところが、文科省が1月16日に発表した飯舘村の放射線量は毎時1.17マイクロシーベルトだった。環境省調査でこの数値を下回ったエリアは、たったの1カ所。0.03%の確率に過ぎない。恐ろしいほどの数値のギャップだ。
日刊ゲンダイ本紙は22日付で、飯舘村の酪農家・長谷川健一氏(58)の次のようなコメントを紹介した。
「昨年11月末ごろ、国の除染モデル事業を請け負った大成建設の作業員と
みられる10人ほどが、村のモニタリングポストを高圧洗浄機で洗い、
土台の土をソックリ入れ替える作業を行っていた。
その様子を複数の村民が目撃していたのです」
大成建設は「土の入れ替えなどしていない」(広報部)と全面否定だ。それでは、この差を政府はどう説明するのか。文科省の嘘を環境省が証明するなんて、皮肉な話だ。この国の統治機構は狂っている。
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gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/135259)。
TOKYO FMのクロノスのインタビューに出ていた田原総一郎氏は、マスコミは不安を煽りすぎだと批判する。年間1ミリシーベルトの被爆限界に何ら科学的根拠が無いので、大騒ぎすることはない、と言わんばかりの話しぶりだった。さて、下記のような記事が掲載された日刊ゲンダイとそういうスタンスの田原氏、どちらを信頼すれば良いのか? 答えは明白だと私は思う。今中哲二さんや小出裕章さんか、それとも山下俊一氏か、という問いほどに明白。
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【http://gendai.net/articles/view/syakai/135259】
飯舘村のアキれた実情 酪農家はミタ 放射線量改ざん
2012年2月21日掲載
「除染はビジネス」「村長は経産省キャリアの繰り人形」
「飯舘村は原子力ムラのコントロール下に置かれている」――。福島原発事故で高濃度の放射能汚染に見舞われた飯舘村の酪農家、長谷川健一氏(58)が「原発に『ふるさと』を奪われて」(宝島社)を出版。20日、都内で会見を開いた。著書は原発事故直後から現在に至るまでの村の日々をつづったルポだが、驚くのは村民の被曝の影響を無視し、今も汚染の実態をヒタ隠しにし続ける村や国の対応である。
「強制的に下げられた放射線量の数値が全国に公表されている」――。20日の会見で、長谷川氏は、仰天の「放射線量改ざん」疑惑を暴露した。
「昨年11月末ごろ、国の除染モデル事業を請け負った大成建設の
作業員とみられる10人ほどが、村のモニタリングポストを
高圧洗浄機で洗い、土台の土をソックリ入れ替える作業を行っていた。
その様子を複数の村民が目撃していたのです」
文科省が20日夜に公表した飯舘村の放射線量は、毎時0.755マイクロシーベルト。長谷川氏によると、村内に設置された別のモニタリングポストだと、最近も平均毎時3マイクロシーベルトだ。
国は「改ざん」数値を根拠に「飯舘村の線量は下がった」と喧伝したいのだろう。フザけた話だ。
長谷川氏は、国の主導で進む除染事業の効果にも疑問を投げ掛ける。飯舘村の75%は山林だ。しかし、除染の実施範囲は農地や住宅地ばかり。
「どんなに除染しても、山から(放射性物質が)浮遊してくれば意味がない。
彼ら(請負業者)にとって、除染はビジネス。線量が下がろうが、
下がらなかろうが関係ないのです」
そもそも、飯舘村の放射能汚染への対応は最初からデタラメだった。
長谷川氏の著書によると、3号機が爆発した昨年3月14日当時、役場にあった線量計は「毎時40マイクロシーベルト超」を計測した。平常時の年間許容量(1ミリシーベルト)を1日余りで超える危険水域だ。驚く長谷川氏に、村職員は「この数字、公表しねえでくれよ。(菅野典雄)村長から『絶対人に言うな』と止められている」と“口止め”した。
京大原子炉実験所の今中哲二助教が3月下旬に村内各地で計測した放射線量を菅野村長に伝えた際も「とにかくこのデータは公表しないでほしい」といった問答が、しばらく続いたという。
村にはその後、山下俊一長崎大教授(当時)ら放射線専門家が入れ代わり立ち代わり訪れ、「安全だ」「大丈夫だ」と吹聴し、やがて〈放射能をことさら危険視するほうがおかしいという雰囲気さえ漂い始めた〉。
長谷川氏は、村の復興計画会議の委員に原発推進派の識者が含まれたことを挙げて〈すでに飯舘村は原子力ムラの御用学者たちに牛耳られている〉と強調。20日の会見では、菅野村長を操る黒幕の存在についてこう言及した。
「実は今、菅野村長の行くところすべてに付いて回っている経産省の
官僚がいるのです。村役場でも、常に村長のそばにいる。
そして、マスコミの取材の際もその彼が出張ってきて、あれこれと
指示を出しているんですね。今では彼がマスコミ取材対応の
窓口となって取材をさばくようになった」
これでは、村長が村民無視で経産省の操り人形になっていても不思議はない。やっぱり国の放射能対策を信じてはダメだ。
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