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●「日米安保の根幹を成す地位協定の不平等性をそのままにしておいて、もう一方の9条だけをいじり…」

2017年07月29日 00時00分30秒 | Weblog

[※ 報道特集(2017年7月8日)↑]



videonews.comの記事『シリーズ・憲法改正を考える1/地位協定で主権を制限された日本に独自の憲法は書けない(ゲスト 伊勢崎賢治氏)』(http://www.videonews.com/marugeki-talk/848/)。

 《安倍首相にとって祖父の遺志でもある憲法改正は最大の政治的野望だ。辞任に追い込まれない限り首相は万難を排しても、憲法改正を仕掛けてくるだろう…しかも、首相が憲法9条に関して、現行の条文を残したまま「自衛隊を明記する」などという珍妙な考えを示してしまったため、論理的な整合性も含め、今後更なる議論が必要となることは論を俟たない。しかし、その前に日本にはもう一つクリアしなければならない重大な課題がある。それが日米地位協定だ…おおよそ現在の国際基準では考えられないような不平等な内容のまま》

   『●「我が軍」的自衛隊の「違憲」状態を「合憲」へと改めず、
                憲法を「壊憲」して「違憲」を解消する!?


 日米地位協定の壁…《改正を主張する政治家もほとんどいない》、多数の沖縄の政治家の皆さんや市民の皆さんを除いて。

   『●「番犬様の尾っぽ」=世界一危険な基地・
     普天間は返還されない!? 辺野古は単なる破壊損なのか??

 それにしても、「保守」と呼ばれたがっている政治家やその他の皆さんは、この「日米地位協定の壁」、特に、沖縄の様々な現状を見ても、なにも感じないのだろうか。不思議でしょうがない。

   『●2016年7月参院選、「あとの祭」…「本土」マスコミは
           「沖縄・地域住民弾圧隊」「照明弾誤射」を報じず
    《幸いなことに被害は報告されていないようだが、これをたんなる
     「誤射」と片づけるわけにはいかない。こうした頻発するミスこそが、
     重大事故を引き起こす可能性を証明しているからだ。2004年には
     沖縄国際大学米軍ヘリが墜落するという大事故が起き、
     日米地位協定の壁に阻まれていまだ事故原因の全容解明さえ
     なされていないが、沖縄ではつねに、このような理不尽な事故への
     不安と隣り合わせのなかでの生活を余儀なくされているのである。
       しかも、である。このフレア発射問題を報じたのは地元紙だけで、
     読売、朝日、毎日、産経の4大紙は扱っていない。沖縄が
     抱える現実は国全体の問題なのに、メディアがこうした姿勢でいる
     
ために、いつまでたっても基地問題は他人事になってしまうのだ》

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http://www.videonews.com/marugeki-talk/848/

2017年7月8日
シリーズ・憲法改正を考える1
地位協定で主権を制限された日本に独自の憲法は書けない
伊勢崎賢治氏(東京外国語大学大学院教授)
マル激トーク・オン・ディマンド 第848回(2017年7月8日)

 安倍首相が憲法改正の意志を明確に示して以降、改憲問題が具体的な政治日程に上っている。森友加計問題や相次ぐ閣僚や議員の失言や不祥事、そして都議選の惨敗と、安倍政権を取り巻く政治状況は不透明になってきているが、安倍首相にとって祖父の遺志でもある憲法改正は最大の政治的野望だ。辞任に追い込まれない限り首相は万難を排しても、憲法改正を仕掛けてくるだろう。

 憲法改正については、まだ議論が生煮えの部分も多い。しかも、首相が憲法9条に関して、現行の条文を残したまま「自衛隊を明記する」などという珍妙な考えを示してしまったため、論理的な整合性も含め、今後更なる議論が必要となることは論を俟たない。

 しかし、その前に日本にはもう一つクリアしなければならない重大な課題がある。それが日米地位協定だ。

 日米地位協定は日本における米軍兵士やその家族(軍属)、軍関連業者などの法的な地位を定めた日米両国間の協定だが、敗戦後間もない1952年に締結された日米行政協定から実質的に一度も改正されていないこともあり、いかにも戦勝国が敗戦国に要求する無理難題が羅列された条文がそのまま残っている。地位協定の下では、米軍関係者には事実上の治外法権が認められ、パスポートもビザもなく日本国内を自由に出入りできるほか、「公務中」の刑事裁判権も日本側にはない。この協定の下では、アメリカは日本の好きなところに好きなだけ基地の提供を要求できるし、日本の広大な空域が米軍によって支配され、民間航空機はその合間を縫うような難しい飛行を強いられる等々、おおよそ現在の国際基準では考えられないような不平等な内容のままになっている

 2004年、普天間基地に隣接する沖縄国際大学キャンパスに米軍のヘリが墜落した時、武装した米軍兵が普天間基地の柵を乗り越えて勝手に大学のキャンパスに侵入し、大学そのものを封鎖してしまった。その瞬間に、一民間大学に過ぎないはずの沖縄国際大学は日本の警察権も裁判権も及ばないアメリカの施政下に置かれ、日本の報道機関も取材ができない「外国」になってしまうという、衝撃的かつ信じられないような事件があった。普通なら深刻な外交問題に発展するところだが、あれも無条件で米軍に財産権を認めている地位協定に戻づく、いたって合法的な措置だった。

 端的に言えば、日本は第二次大戦の敗戦とその後の占領政策で失った主権国家としての最低限の権利を取り戻せていないのだ。その原因が日米地位協定にあることは明らかだ。驚いたことに日米地位協定の不平等さは、同じく第二次大戦の敗戦国だったイタリアやドイツの地位協定はもとより、フィリピンやイラクやアフガニスタンと米軍との間の地位協定よりも遥かに酷いと、東京外大大学院教授の伊勢崎賢治氏は指摘する。

 ところが、日本では地位協定の改正は政治の争点にものぼらない。そのため、これまで地位協定は一度も改正されていないし、改正を主張する政治家もほとんどいない。これから日本は、実質的に何の意味があるとも思えない、「自衛隊を書き込む」だけの憲法改正に血眼になって突き進むようだが、その間もこれだけ不平等で理不尽な地位協定は全く放置されたままになるようだ日米合同委員会なる秘密委員会で地位協定の運用は話し合われるのに、どうしても地位協定の改正だけはできないのだ。

 そもそも武力の保持を放棄した憲法9条は日米安保条約と対になった車の両輪だった。日米安保の根幹を成す地位協定の不平等性をそのままにしておいてもう一方の9条だけをいじり、自衛隊を合法化した時そこにどのような矛盾や問題が生じるのかは、十分に検討しておく必要があるだろう。

 なぜ日本は地位協定を改正できないのか。いや、それを言い出すことも、議論することも、改正の可能性を考えることもできないのはなぜなのか。地位協定で主権が制限されたままの状態で憲法が改正されると、何が起きるのか。主権なき憲法改正の危険性に警鐘を鳴らす伊勢崎氏と、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

PROFILE
伊勢崎賢治 (いせざき けんじ)
東京外国語大学大学院教授
1957年東京都生まれ。80年早稲田大学理工学部卒業。84年インド国立ボンベイ大学大学院社会科学研究科博士前期課程修了(後期中退)。86年早稲田大学大学院理工学研究科都市計画専攻修了。東チモール暫定統治機構県知事、国連シエラレオネ派遣団武装解除統括部長などを経て、日本政府特別顧問としてアフガニスタンの武装解除を指揮。立教大学教授などを経て2009年より現職。著書に『本当の戦争の話をしよう 世界の「対立」を仕切る』、『新国防論 9条もアメリカも日本を守れない』など。
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