阿部ブログ

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在日米軍司令官の更迭と米軍内の性的暴行問題を扱った映画インジブル・ウォー

2013年06月11日 | 雑感
報道の通り米国防総省は6月7日、在日米陸軍・第一軍団(前方)(UNITED STATES ARMY JAPAN AND I CORPS (FORWARD) UNIT 45005)司令官マイケル.T.ハリソン少将を解任したと発表している。解任理由は「司令官として監督責任がある性的暴力の訴えを適切に調査せず、報告義務を怠った」事による。 暫定的に在欧米陸軍の前副司令官ジェームズ.C. ボーザー陸軍少将が当面職務を代行する。

米軍司令官は「国防総省指示6495.02 性的暴行防止及び対応プログラム手順」、所謂「セクシャルハラスメント/暴行への対応及び防止(SHARP)プログラム」に則り、被害者及び通報者を完全な保護下におき守秘が約束されるが、適切に運用できておらず、性的犯罪を含む不祥事を抑止する、適切かつ効果的な手段を執らなかったし、そもそも報告していなかったと言うこと。

在日米軍内には、SHARPプログラムに基づき、性的暴力対応調整官と部隊被害者擁護担当、性的暴行対応相談役(SARC)が配置されている。また各部隊には、部隊内被害者支援員(UVA)が指定されている。また、もし性的暴行の被害を受けた場合には、SHARPホットラインが用意されており、因みに番号は“090-9395-8909”、軍電の場合は“882#”。

現在の米軍は陸軍だけでなく空軍、海軍、海兵隊においても犯罪が多発し、更に増加傾向にある。ハリソン少将解任の3日前の6月4日には、デンプシー統合参謀本部議長と陸軍・海軍・空軍・海兵隊の4軍トップが上院軍事委員会の公聴会に招集される事態となっている。国防総省は、軍内部での性的暴行の件数が過去最悪の1万9000人であると発表。報告されていないものを含めてると、昨年だけで2万6000件の被害が推定されるとしている。しかも性的被害にあっているのは女性に限らない。

米軍犯罪の増加は、イラク&アフガン戦に従軍した結果の外傷性ストレスなどに苦しむ軍人が犯罪に起こす傾向が強いようだが、そもそもブッシュ・ジュニア時代に大規模な軍人募集の際、とうてい兵役に就くことは本来出来ない、若年犯罪者や知能的に問題のある人間を大量に入隊させた事も大きく影響している。現代の兵士は専門性の高い能力発揮が求められるので、入隊しても使えないだろうし、兵士本人もストレスだろう。

米軍の性的犯罪が注目されるようになったのは、米軍内の性的暴行問題を追ったカービー・ディック監督による「インビジブル・ウォー(Invisible War)」(2012年)だ。この作品は、サンダンス映画祭長編ドキュメンタリー部門観客賞を受賞している。この「インビジブル・ウォー」を観たパネッタ前国防長官は、米軍の性犯罪防止プログラムの改革を実施すると明言しているし、問題の深刻さを米国社会に認識させた功績は大きい。

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