阿部ブログ

日々思うこと

最新の北極研究船「シクーリアック」が進水

2012年12月09日 | 日記

米国国立科学財団(National Science Foundation:NSF)は10月13日、マリネット造船所(Marinette Marine Corporation:MMC、ウィスコンシン州マリネット)及びアラスカ大学フェアバンクス校(University of Alaska, Fairbanks:UAF)と共同で、世界最大規模の次世代研究船「シクーリアック(Sikuliaq)」を進水させた。

「シクーリアック」の設計は、2004年に完成していたが、建造自体は2011年4月に始まっている。同船は2014年1月までには運用を開始する予定で就役する期間は30年とされている。1966年に建造された現用の「R/Vαヘリックス」北極調査船は、「シクーリアック同船の就役ながら、既に2007年8月に売却されている。

「シクーリアック」は全長80メートル、幅16メートルで排水量3724トン。5750馬力×4基のディーゼルエンジンで80センチ以上の氷を砕氷する。最大速度は14.2ノット。18,000海里(33,000キロメートル)を航行することができる。

「シクーリアック」船は、オバマ政権第一期の米国再生・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act:ARRA)を利用して最高額の2億ドルをかけて建造されたもので、UAFの水産学部(School of Fisheries)及び海洋科学部(School of Ocean Sciences)が、米国学術研究船団(U.S. Academic Research Fleet)が操船する。

同船は、日本の大深度調査船「ちきゅう」と同様に国際研究船であり、年間約500人の研究者を乗せて北極圏で最長270日間の連続しての長期活動が可能であり、北極海域の調査研究活動において大きな役割を果たすだろう。

前述の通り2014年に就役するが、第1回の航海は、UAFのスワード海洋センター(Seward Marine Center、アラスカ州スワード)からする科学ミッションとなるようだ。

ペタコンからエクサコンへ

2012年12月09日 | 日記
10月29日に公開されたオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory:ORNL)のスパコン「タイタン(Titan)」が、11月12日の最新世界トップ500スパコン・リスト第40版で第1位となった。「タイタン」はなんと毎秒17.59ペタフロップス(Petaflop/s)の演算能力を叩き出す。これは毎秒2京回の浮動小数点計算をこなすもの。

「タイタン」は、オークリッジ研究所のスパコン「ジャガー(Jaguar)」の後継機。
「ジャガー」は、グラフィック・プロセッシング・ユニット(Graphic Processing Unit:GPU)により演算するが、今回の「タイタン」は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)と、GPUを複合的に組み合わせることにより「ジャガー」と同様のサイズ及び使用電力で10倍以上の演算能力を発揮できる。CPUは、AMD社のOpteronでコア数は29万9008。GPUはNVIDIA社のTesla(K20x)で26万。
因みに「ジャガー」の消費電力は、7メガワット。タイタンは8.21メガワット。

2012年6月の前回トップ500スパコン・リスト第39版で第1位だったローレンス・リバモア国立研究所(Laurence Livermore National Laboratory:LLNL)の「セコイア(Sequoia)」は第2位で、省電力は8メガワット。16.32ペタフロップスの「京」は第3位。

今後は、ペタコンからエクサコンの開発に向けて研究開発が進められる事となるが、技術的なハードルは極めて高い。このハードルを越える為にはプロセッサとストレージの一体化技術や、プロセッサとメモリの3次元積層など大きなイノベーションが必要だ。

第 1 位 オークリッジ国立研究所「Titan」(1京7,590兆回/秒)
第 2 位 ローレンス・リバモリア国立研究所「Sequoia」(1京6,325兆回/秒)
第 3 位 理化学研究所「京」(1京510兆回/秒)
第 4 位 アルゴンヌ国立研究所「Mira」(1京66兆回/秒)
第 5 位 ユーリッヒ研究センター「JUQUEEN」(4,141兆回/秒)
第 6 位 ライプニッツ研究センター「SuperMUC」(2,897兆回/秒)
第 7 位 テキサス大学「Stampede」(2,660兆回/秒)
第 8 位 国立スーパーコンピュータセンター「天河1号A」(2,566兆回/秒)
第 9 位 CINECA「Fermi」(1,725兆回/秒)
第10 位 IBM Development Engineering「DARPA Trial Subset」(1,515兆回/秒)

「京」以下の日本勢は、青森県六ヶ所村の国際核融合エネルギー研究センターにある「六ちゃん(英語名Helios、ヘリオス)」(1,237兆回/秒)が15位、GPUメインの東京工業大学「TSUBAME(ツバメ)2.0」(1,192兆回/秒)は17位となっている。